架空の情景
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台湾の国立公園でロケをするとき:ドローンの申請、公告された禁止事項、過料を受けた後の訴願

約6分

架空の情景

太魯閣国家公園でドローンを飛ばすには、管理処の許可が要ります。申請の締切は撮影日の7日前です。

政府のサービス案内によれば処理日数も7日で、受付を始める時期は同じ案内の中で60日前と3か月前の二通りに書かれています。管理処の空撮申請の案内は、許可を得ても飛行そのものは民用航空法などの法令に従うよう求めています(第4点)。生態保護区などの入園管制区で飛ばすなら入園許可、山地管制区なら入山許可が別に必要です(第7点)。生態保護区への立入りに管理処の許可が要ることは、国家公園法第19条にも定めがあります。

申請の根拠は公告された禁止事項

なぜ空撮に許可が要るのでしょうか。国家公園法と施行細則には、撮影そのものを定めた条文はありません。申請案内の第1点が挙げる根拠は、太魯閣国家公園の禁止事項第6点です。許可なく指定以外の場所で遠隔操作機器を操作することを禁じており、その授権規定が国家公園法第13条第8号の「その他国家公園主管機関が禁止した行為」です。主管機関は内政部です(第3条)。

第6点が許可なしに禁じる活動には、岩登りやキャンプも入っています。この三つは、申請案内に収録された2019年6月の改正版にも、内政部が2025年9月5日に改正し、同日から施行している現行の禁止事項にもあります。炊事の項目は経緯が違います。2019年の文言は「野炊」で、木材など地面に火をおこして調理することを指していました。2022年6月28日の改正で「炊煮」に改められ、2025年の改正後もそのままです。当時の改正の説明資料は、炊煮には木材から登山用のこんろまであらゆる火源を使う調理が含まれると説明しています。

武嶺の車中泊動画で問題になったこと

この禁止事項が報道に出てきたのが、合歓山・武嶺の件です。中央社の10月25日の記事によると、太魯閣国家公園管理処は、ある映像制作会社が武嶺で撮影した韓国のチアリーダーの車中泊動画を通報を受けて確認し、岩壁を登った行為は国家公園法違反だとして処分する方針を示しました。駐車場は公告されたキャンプ・炊事区域ではないため、車内でも火を使わない電気器具でも、指定区域外での炊事や宿泊は規範に合わないとも説明しています。10月4日には巡回中の警察が炊事をやめるよう勧め、撮影チームは従いました。撮影場所を求めて未開放の山道に入る場合はまず勧告し、繰り返し勧告しても従わないときや実際に環境を汚したときは第13条第8号で直接摘発するそうです。

金額は大きくありません。第26条は第13条第4号から第8号の違反に「1,000元以下」の罰鍰を定め、旧い通貨単位の金額を新台湾ドルの3倍に換算する条例第2条により、上限は3,000台湾ドルです。損なった部分は第27条により原状回復が求められ、それができないか著しく困難なときは損害を賠償します。

会社が処分を受ける場合、個人が受ける場合

外国人でも、台湾域内で行政法上の義務に違反すれば行政罰法第6条により台湾の行政罰の対象です。処罰には故意か過失が必要です(第7条第1項)。

制作会社にとって大事なのは同条第2項でしょう。法人自身が違反した場合、その代表者や、実際に行為した職員・従業員の故意・過失は、法人の故意・過失と推定されます。故意に共同して違反した者は第14条により行為の軽重に応じてそれぞれ処罰されるので、スタッフと出演者が一緒に違反すれば、双方に処分書が届くこともあります。

額を決めるときには、非難の程度、影響、違反で得た利益が考慮され(第18条第1項)、得た利益が法定上限を超えるときはその範囲で上限を超えて加重できます(同条第2項)。動画の広告収入がここでいう「違反で得た利益」に当たるかどうかは、争いになり得る点です。

帰国後に処分書が届いたら

訴願(行政不服申立て)の期限は、処分書が届いた日の翌日から30日です(訴願法第14条)。日本に住んでいれば、受理機関の所在地にいない人として在途期間を差し引いて計算できます(第16条)。行政院の訴願扣除在途期間辦法第5条では、アジアに住む人の在途期間は37日です。ただ、所在地に住み、期間内に訴願行為ができる代理人を立てた場合は差し引かれません。

では、処分書はどうやって日本に届くのでしょうか。外国への送達は、その国の機関や台湾の在外機関などに嘱託して行い、それができなければ書留郵便で送ります(行政程序法第86条)。処分書には不服申立ての方法・期間・受理機関を書くことになっています(第96条)。訴願書は処分をした機関を経由して出し、その機関は訴願に理由があると認めれば、自ら処分を取り消したり変更したりできます(第58条)。

処分の前には意見陳述の機会があるのが原則ですが、処分の根拠となる事実が客観的に明白な場合などは省略できます(行政罰法第42条)。訴願でも結論が変わらなければ、行政裁判所に取消訴訟を起こします(行政訴訟法第4条)。50万台湾ドル以下の罰鍰は簡易訴訟手続で、地方行政法院が第一審です(第229条)。

現地のコーディネート会社と組む場合は、委託契約で、罰鍰や原状回復費用を誰が負担するか、処分書の受領と訴願の対応を誰がするかを決めておく意味があります。契約で負担者を決めても、処分の相手方が変わるわけではありません。ビザなし入国での撮影業務の問題は、短期滞在者の営利活動と強制出国で扱いました。

台湾の弁護士には、処分前の意見書の作成、処分書の根拠条文と事実認定の検討、代理人としての訴願・行政訴訟、制作会社・事務所・出演者の間の費用負担条項の確認を依頼できます。ご相談はwei@hoveringlaw.com.twへ。昊鼎国際法律事務所の台北事務所は台北市大同区承徳路一段35号7階の2(臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)です。

処分書が届くのは日本の事務所か、それとも送達代収人として届け出た台湾のコーディネート会社か(行政程序法第83条)。訴願の30日を数え始める日は、そこで決まります。

出典

確認日:2026年10月26日

よくある質問

太魯閣国家公園でドローン撮影をするには、どんな手続が要りますか。
太魯閣国家公園管理処に、遅くとも撮影日の7日前までに申請します。処理日数は7日です。管理処の申請案内によれば、許可を得ても飛行そのものは民用航空法などの法令に従う必要があり(第4点)、生態保護区などの入園管制区で飛ばすには入園許可、山地管制区なら入山許可を別に取ります(第7点)。
帰国した後、処分書は日本の自宅まで送られてきますか。
外国で送達するときは、行政程序法第86条により、その国の管轄機関か台湾の在外機関などに嘱託します。それができない場合は、受取の返信が付く書留(雙掛號)で郵送して送達とすることもできます。どちらの方法でも、届いた日の翌日から訴願の期間が数えられます(訴願法第14条)。
撮影で傷めた場所の修復費用も求められますか。
国家公園法第27条は、処罰を受けた者に損なった部分の原状回復を求め、回復できないか著しく困難な場合は損害の賠償を求めます。罰鍰とは別の負担で、制作会社と出演者の間で誰が持つかは契約で決められますが、処分の相手方は変わりません。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。