無地の段ボール箱、布地の見本、付箋を付けた書類が木製の机に並ぶ情景
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台湾の並行輸入訴訟で、公式サイトの会社沿革が証拠になった理由

約7分

架空の情景

日本で正規に買った商品なら、台湾の商標登録が別会社の名義でも販売できるのでしょうか。台湾の最高法院が検討した事件では、日本、シンガポール、台湾に関係する会社の公式サイトが、権利者同士のつながりを示す資料になりました。

争いは、日本で購入された真正品を台湾のオンライン販売ページに掲載したことから始まりました。台湾の商標権に基づいて、権利者側は販売者に損害賠償を求めていました。上告は棄却されました。国ごとに登録名義が違うという主張だけでは、権利行使を認めませんでした。

日本で買った事実と、台湾の権利者の同意

対象は、最高法院113年度台上字第882号の民事判決です。判決日は2024年6月27日で、台湾の智慧財産局が公表した主文・判決要旨から、その判断をたどれます。差戻し後の第二審判決に対する上告を退けた事件です。

販売者は、日本で合法的に購入した商品を台湾で売った真正品の並行輸入だと主張しました。権利を主張した側は、台湾での同意や授権を受けていないとして争いました。争点は、どこで買ったかにとどまりません。

台湾商標法第36条第2項は、商標権者またはその同意を得た者が、国内外の市場で取引・流通させた商品について、原則としてその商品への商標権行使を認めません。台湾は国際消尽を採用しています。最初の市場が海外でも、この規定の対象になります。

ここでいう消尽は、商標登録そのものが消えるという意味ではありません。権利者側の同意を得て市場に出た当該商品について、後の流通段階で商標権を行使できる範囲が制限されることを指します。

日本で買った物が本物かという確認に加えて、それを流通させた者と台湾の商標権者との関係を検討する理由がここにあります。外国での商標権者と台湾での登録名義人が別会社なら、どちらの権利も無関係に成立したのか、それとも共通の権利の源と事業上の結び付きがあるのかが問題になります。

会社沿革、海外拠点、共通する表示

裁判所が取り上げた公式サイトには、日本で始まった事業が台湾やシンガポールへ展開したという沿革が載っていました。台湾側のサイトにある海外拠点や本社の説明は、国外の会社のサイトにある住所や沿革と対応していました。同じ商標や商品を示す共通の表示も使われていました。

会社の説明がつながっていたのです。訴訟のために第三者が作った企業紹介に頼ったのではなく、権利を主張する側が公に示していた事業の説明が、各社の関係を判断する材料になりました。判決要旨には、会社側が商品の関連性を認めていたことも記されています。

最高法院は、登録された国が異なり、商標権が形式上は別の権利者に属していても、本質的な排他権の発生源が同じであるという原審の認定を踏まえました。そのうえで、当該商品は権利者の同意を得た者によって海外市場に流通した真正品に当たり、台湾側の商標権は消尽するとした判断を是認しています。

単にロゴが似ていたから、という結論ではありません。公式サイトの表示、会社沿革、権利者間の関係、商品の関連性が結び付けられています。日本のブランド本社が台湾の販売経路を点検するときも、台湾の商標登録簿だけで調査を終えると、判決が扱った関係資料を見落とします。

同意は、明示の許可に限られない

判決要旨は、商標法上の同意が明示の同意だけに限られないとしています。同じ権利者を源とする権利について、ライセンスや販売契約、同一の企業集団、持株会社と子会社、独占販売、世界共通の商標による販売方針など、経済的・法的な結び付きがある場合を挙げています。

そこで検討されているのは、会社同士に何らかの付き合いがあるという程度の関係ではありません。共通の商標戦略が消費者の混同を招きやすく、権利者もそれを認識すべきでありながら、その戦略を採用しているという事情です。さらに、その関係の下で、適法に商標が付された商品の品質や商標の使用状態を管理でき、輸入国の権利者の信用を維持できることも挙げています。裁判所は、こうした場合も同意の範囲に含まれうると説明しました。

したがって、「同じグループだからすべて自由」「取引があるから同意がある」と短縮することはできません。一方、台湾の権利者が販売者に直接許可を出していないことだけで、直ちに商標侵害だと決まるわけでもありません。国ごとの会社関係と、商品が市場に出た経緯をつないで判断します。

資料の持ち主も違います。日本からの販売者には請求書や購入店の記録があり、台湾でブランドを管理する側には国別の商標登録やライセンス、販売契約の資料があるでしょう。次のように資料を分けると、足りない説明が分かります。

資料確かめる内容
購入記録、商品写真、仕入先の情報どの商品を、どの経路で取得したか
日本と台湾の商標登録、移転の記録対象商品の商標権者が誰か、権利がどのように移ったか
ライセンス・販売契約、グループ関係の資料権利者間の法律上・経済上のつながりと、品質や商標使用を管理する関係
当時の公式サイト、会社沿革、海外拠点の表示権利者自身が各社と共通ブランドの関係をどう説明していたか

公開ページは変わります。記録するならURLと確認日も残します。現在のページだけで過去の流通時点の関係まで証明できるとは限らず、当時の内容を示す資料が必要になることがあります。

商品の状態と販売方法の問題は残る

現行の第36条第2項には例外があります。流通後の商品が変質・損傷した場合、他人が無断で加工・改造した場合や、その他の正当な理由がある場合には、権利者による権利行使が妨げられないことがあります。真正品を買ったという事実だけで、加工や詰替え後の商品についても同じ結論になるとはいえません。

また、この判決は食品、医薬品などの輸入許可や表示を判断したものではありません。商標の国際消尽を確認しても、商品の種類や販売方法に応じた規制の確認は残ります。自社の店を正規代理店と見せる表示や、別の知的財産の問題まで一括して許可する判決でもありません。

JETROは2026年10月2日の記事で、日本の菓子メーカーが期間限定販売を経て台湾の百貨店に常設店を開いた事例を報じています。日本のブランドが台湾に販売経路を設ける現在の動きの一例です。この出店と紹介した訴訟に関係はありません。正規の販売網を整える企業にも、海外で流通した真正品に対して自社が行使できる権利の範囲を把握する課題があります。

台湾での販売中止要求や商標権の行使を相談する際は、国ごとの登録名義人、商品の購入経路、受け取った通知の期限をwei@hoveringlaw.com.twへ簡潔に伝えられます。契約書の原本や非公開の流通資料は、共有方法を確認してから送ります。

本件では、権利者側の公式サイトも、国別の登録を結ぶ資料になりました。仕入れの領収書と台湾の商標登録の間に、どの会社のどの権利関係があるのか。その説明を確かめてから、販売の継続や権利行使を判断することになります。

判決と法令・市場資料

法令と資料の確認日:2026年10月25日。台湾の公表判決と現行法に関する一般的な説明であり、特定商品の輸入・販売の適法性を保証するものではありません。

よくある質問

日本と台湾で商標権者の会社名が違うと、並行輸入は認められませんか。
会社名が異なるだけでは決まりません。紹介した最高法院判決では、権利の源が同じで、企業間に経済的・法的なつながりがあり、商品の品質や商標の使用状態を管理できる関係などを検討しました。国別の登録名義と、実際の権利・事業関係を合わせて確認します。
日本の購入店の領収書だけで、台湾で販売できると判断できますか。
領収書は購入経路を示す資料ですが、それだけで台湾の商標権者との関係まで証明できるとは限りません。商品が真正品か、権利者または同意を得た者によって市場に流通したか、権利者間にどのような関係があるかを確認します。商品の状態や表示など、別の確認も残ります。
真正品なら、加工したり詰め替えたりして売っても問題ありませんか。
商標法第36条第2項には、流通後の変質、損傷、他人による無断の加工・改造を防ぐ場合や、その他の正当な理由がある場合の例外があります。真正品を購入したという事実だけで、その後の加工や販売方法がすべて許されるわけではありません。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。