架空の情景です。夕方の工場で、灰色の布をかぶせた機械が並び、床に一筋の光が差しています。人の姿はありません。
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台湾の取引先が重整・破産に入ったら、売掛金の申報期限は重整で最短10日、破産で最短15日

約8分

架空の情景

台湾の取引先に重整の裁定が出ると、売掛金を申報できる期間は、短ければ裁定の日から10日です。日本の本社が公告に気づいたときには、締め切りが迫っていることもあります。最初に確かめるのは、相手の会社の種類です。

公司法第282条の重整は、日本の会社更生に近い手続です。ただし使えるのは、株式か社債を公開発行している会社に限られます。財務困難で営業を止めた(止めるおそれがある)会社に再建の見込みがあるとき、会社自身のほか、一定額以上の債権者なども申し立てられます。中小の非公開会社なら、選択肢は破産、和解、あるいは手続のない事実上の廃業です。

次の出荷を止められるか

まだ出荷していない注文が残っているかもしれません。先に給付する約束でも、契約後に相手の財産が著しく減り、代金を払えないおそれがあるときは、相手が代金を払うか担保を出すまで出荷を拒めます(民法第265条)。拒む理由は書面で伝えます。

重整:裁定の前から権利行使が止まりうる

申立てから裁定までの間でも、裁判所は会社の財産の保全、債務の履行や債権の行使の制限、強制執行の停止などを命じることができます(第287条)。期間は90日以内です。必要なら、さらに90日以内で延長されることがあります。

重整の裁定が出ると、会社に対する破産、和解、強制執行、財産関係の訴訟は当然に停止します(第294条)。日本の会社が台湾の裁判所で進めていた仮差押えの執行や訴訟も、ここで止まります。

裁定の前に成立した債権は重整債権です。抵当権や質権、留置権の担保があれば有担保重整債権、なければ無担保重整債権となり、いずれも重整手続の外では行使できません(第296条)。

申報を逃すと、弁済の列に並べない

申報の期間は、裁判所が重整の裁定のときに決めます。裁定の日から10日以上30日以下です(第289条)。短い期間です。裁判所はこの期間と、申報しなかったときの効果を公告し、知れている債権者には書面でも送ります(第291条)。

重整債権者は、権利を証明する書類を付けて重整監督人に申報します。申報すれば時効は中断します。申報しなければ、重整手続で弁済を受けられません(第297条)。

救済の余地は小さいものです。自分の責めに帰さない事由で遅れたときは、事由がやんでから15日以内なら補充できます。それも、重整計画が関係人会議で可決されるまでです。重整が完了すれば、未申報の債権の請求権は消えます(第311条)。

一方で、同じ条文の第2項は、保証人や他の共同債務人に対する権利は重整の影響を受けないとしています。負責人の個人保証や、親会社の保証状があるなら、そちらへの請求は別に考えます。

破産:申報期限と取戻し

破産は、債務を弁済できない債務者に対して宣告されます(破産法第57条)。支払いの停止があれば、弁済不能と推定されます(第1条第2項)。申立ては債権者からも債務者からもできます(第58条)。

期限は公告に書かれます。裁判所は破産を宣告するときに破産管理人を選び、債権の申報期間を決めます。宣告の日から15日以上3か月以下です(第64条)。宣告すると、裁判所は破産管理人と申報期間を公告します。期限までに申報しなければ、破産財団から弁済を受けられません(第65条)。知れている債権者には通知書も送られますが、日本の本社に届くとは限りません。

破産債権は、原則として破産手続によらなければ行使できません(第99条)。例外として、手続の外で動ける権利があります。

  • 別除権:宣告前から質権・抵当権・留置権を持つ債権者は、手続によらずに権利を行使できます(第108条)
  • 取戻権:破産者の財産でないもの、たとえば委託在庫は、破産管理人から取り戻せます(第110条)
  • 売主の取戻し:商品を発送したが買主がまだ受け取っておらず、代金も全額は払われていないなら、売主は契約を解除して商品を取り戻せます。破産管理人が全額を払えば、引渡しを求められます(第111条)
  • 相殺:宣告の時に破産者に債務を負っていれば、手続によらずに相殺できます(第113条)

海上輸送中のコンテナは、第111条の場面に当たりえます。船荷証券を誰が持っているかを、すぐに確かめてください。

手続がないまま止まった場合

非公開の会社が、重整も破産もないまま支払いを止めることもあります。その場合は、通常の回収の手続になります。支払命令や仮差押えは台湾の取引先が売掛金を払わないで、会社が解散して清算に入ったときの申報は台湾の取引先の清算公告で扱いました。

申報で求められるのは、請求書と出荷記録、そして相手が受領した証拠です。最短10日の期間に間に合わせるには、この三つを日本の本社で先にそろえておくことになります。

昊鼎国際法律事務所の窓口はwei@hoveringlaw.com.twで、台北(103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)と台中(40453 臺中市北區館前路19號6樓之1)に事務所があります。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月24日。条文は中国語の原文を基準にしています。

よくある質問

取引先の重整の公告を見落とし、申報しませんでした。売掛金はどうなりますか。
公司法第297条により、申報しなかった重整債権は重整手続による弁済を受けられません。自分の責めに帰さない事由で期限内に申報できなかったときは、その事由がやんでから15日以内に補充して申報できますが、重整計画が関係人会議で可決された後はできません。重整が完了すると、未申報の債権の請求権は消滅します(第311条)。
取引先の負責人が個人で連帯保証しています。重整で保証も消えますか。
公司法第311条第2項は、会社の債権者が保証人やその他の共同債務人に対して持つ権利は、会社の重整によって影響を受けないと定めています。会社への申報とは別に、保証人に対する請求の時効や手続を確認します。
台湾の取引先に対して、こちらにも未払いの買掛金があります。差し引けますか。
破産の場合、破産法第113条により、破産宣告の時に破産者に債務を負っている破産債権者は、破産手続によらずに相殺できます。重整の場合は、公司法第296条第3項により、相殺権は重整人に対して行使します。相殺の意思表示を誰に、いつ出したかの記録を残してください。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。