2025年6月、経済部国際貿易署は、華為や中芯を含む601の企業・団体を「戰略性高科技貨品出口實體管理名單」に加えました。同署の新聞稿は、名單の掲載先に輸出するには事前に戦略性高科技貨品の輸出許可証を取る必要があり、許可のない出荷は税関が通さないと説明しています。
2026年6月にも更新がありました。265が加わり、13が外れています。この時点で掲載数は企業・団体と個人を合わせて11,480を超え、同年10月にも名單の公告が出ています。半導体の装置や材料、精密部品を扱う台湾子会社にとって、出荷のたびに確認する対象は増え続けています。名單は動きます。
貿易法第13条の三つのルール
貿易法第13条は、戦略性高科技貨品(SHTC)について三つを定めています。許可がなければ輸出できないこと。輸入証明文書を受けて輸入した貨品は、許可なく輸入者を変えたり第三国へ回したりできないこと。用途と最終使用者を正しく申告し、許可なく変えないことです。
貨品の種類と管制地区は、主管機関が公告します。貨品の分類が規制リストにかからなくても、それで終わりではありません。国際貿易署は、リスト外の貨品でも、最終用途や最終使用者が核・生物化学兵器やミサイルの開発に使われるおそれがあれば戦略性高科技貨品に当たると説明しています。名單に載った相手との取引は、その例に挙げられています。
許可の申請と有効期間
申請には、申請書、輸入国政府の国際輸入証明書や最終用途証明書、または外国の輸入者・最終使用者の最終用途保証書、取引文書などを付けます(戰略性高科技貨品輸出入管理辦法第16条)。
許可証の有効期間は6か月です。四つの国際輸出管理レジーム(ワッセナー・アレンジメント、ミサイル技術管理レジーム、原子力供給国グループ、オーストラリア・グループ)すべてに参加する国への輸出などは2年になります(第15条第1項)。期限が切れた許可証は延長できません(第19条)。
日本向けの許可免除
日本の親会社に装置や部品を戻す取引には、特別な規定があります。第15条第2項によると、日本か米国に向けた輸出で、輸出者が相手先は名單などの対象でないと確認していれば、次のどちらかの場合に許可証の発給を免除できます。
- 同じ管制貨品の輸出額が、本船渡し価格で30万台湾ドル未満
- 貿易署が認定した内部管理制度(ICP)の輸出者
内部管理制度の認定を受けた輸出者が3年の許可証を申請するときは、相手が同じ会社か親子会社の関係にあり、貿易署が同意すれば、本社が最終用途保証書を出し、取引文書の添付を省けます(第16条第2項)。日本の工場との往来が多い子会社なら、制度の整備を検討する価値があります。
第15条第2項の免除に当たらない場合でも、修理のための一時的な輸出なら書類は軽くなります。管制地区以外に向けた一時的な輸出で再輸入するもの(展示品、修理品、テスト品、交換品)は、第18条により、最終用途の証明書類を省いた形で許可を申請します。戻ってきたら、承認された期限内に輸入の証明書類を付けて発証機関で銷案の手続をします。展示品を展示期間中に売ってしまったときは、通常の申請書類を補って出します。同じ条は、管制地区以外への輸出で同じ管制貨品の輸出額が15万台湾ドル未満の場合や、輸入した貨品を元の輸出者にそのまま戻す場合も、同じ簡略な申請の対象にしています。日本の親会社から受け取った装置を親会社へ返すなら、この規定も確認します。
外国から輸入した戦略性高科技貨品を再輸出するときは、原輸出国の政府が事前の同意を求めていれば、その同意の証明も付けます(第17条)。
罰則と記録
管制地区に許可なく輸出すれば刑事罰です。5年以下の有期徒刑・拘役か300万台湾ドル以下の罰金で、従業員が業務で行えば会社にも罰金が科されます(貿易法第27条)。さらに1か月〜1年の輸出入停止か、出進口廠商登記の廃止もあります(第27条の1)。
管制地区以外への無許可輸出は行政罰です。罰鍰は6万〜300万台湾ドルで、輸出入の停止や登記の廃止も並びます(第27条の2)。名單の掲載先への出荷がどちらに当たるかは、相手の所在地で変わります。
関係書類は5年間保存し、当局から出荷後の流れについて資料を求められたら拒めません(第21条)。米国の輸出管理規則(EAR)は別の基準で判断されるため、米国由来の技術や部品を含む製品は、台湾の許可とは別に確認が要ります。原産地の申告については台湾から米国へ出す半導体部材の原産地声明書も参照してください。
照合の記録は、出荷ごとに日付をつけて残しておけば、当局から流れを尋ねられたときにそのまま出せます。
昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)は、照合手順や許可申請のご相談を受け付けています。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2、台中事務所は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。
参考にした公的資料
- 貿易法 第13条、第27条、第27条の1、第27条の2
- 戰略性高科技貨品輸出入管理辦法 第15条、第16条、第17条、第18条、第19条、第21条(最終改正2023年10月31日)
- 国際貿易署 新聞稿 2025年6月15日、2026年6月9日
- 国際貿易署 甚麼是戰略性高科技貨品(2026年2月11日更新)、出口實體管理名單の検索ツール
確認日:2026年10月24日。条文と新聞稿は中国語の原文を基準にしています。
よくある質問
- 台湾子会社から日本の親会社に装置を送り返すときも許可が必要ですか。
- 戦略性高科技貨品に当たるなら、原則として輸出許可が必要です。ただし、戰略性高科技貨品輸出入管理辦法第15条第2項により、日本・米国向けで、輸出者が相手先が出口實體管理名單などの対象でないことを確認し、同じ貨品の輸出額が本船渡し価格で30万台湾ドル未満か、貿易署が認定した内部管理制度の輸出者であれば、許可証の発給を免除できるとされています。
- 取引先が名單に載っているかは、どう確認しますか。
- 国際貿易署が出口實體管理名單の検索ツールを公開しています。相手の正式名称や所在地などを入力して照合し、照合した日付と結果を保存します。名單は定期的に追加・削除されるため、前回の取引時の照合結果をそのまま使わず、出荷のたびに確認するのが安全です。
- 許可を取らずに輸出してしまった場合、どうなりますか。
- 管制地区に許可なく輸出した場合は、貿易法第27条により5年以下の有期徒刑・拘役か300万台湾ドル以下の罰金(併科あり)で、法人にも罰金が科されます。管制地区以外への無許可輸出は、第27条の2により6万〜300万台湾ドルの罰鍰、1か月〜1年の輸出入停止、出進口廠商登記の廃止の対象です。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



