架空の情景です。白い棚に、ラベルのないガラス瓶、柑橘の入った器、茶葉を盛った小皿が並んでいます。文字やロゴはありません。
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日本のサプリメントを台湾で売るときの広告規制:機能性表示の訳し方と「健康食品」の許可

約8分

架空の情景

台湾で食品の広告に「高血圧を改善する」と書けば、医療効能の広告になります。罰鍰は60万〜500万台湾ドルです(食品安全衛生管理法第45条)。

日本のサプリメントや健康志向の食品を台湾で売るとき、壁になるのは商品そのものより、パッケージやECサイトの言葉です。日本の機能性表示食品は、事業者が科学的根拠などを消費者庁長官に届け出れば機能を表示できる制度です。台湾には、これにあたる届出制度がありません。審査の物差しが違います。

二つの禁止

第28条は、食品の標示、宣伝、広告について二つを禁じています。第1項は、不実、誇張、誤解を招きやすい表現です。第2項は、医療効能の表現です。

どちらに当たるかは、品名、文章、図案、記号、映像、音声などを全体として見て判断されます(食品及相關產品標示宣傳廣告涉及不實誇張易生誤解或醫療效能認定準則、以下「認定準則」の第3条)。ECサイトの商品写真も含まれます。購入者の体験談の引用も同じです。

医療効能と認定される表現

認定準則第5条は、次のどれかに触れれば医療効能と認定するとしています。

  • 疾病、疾病症候群、症状の予防、改善、軽減、診断、治療
  • 疾病に関係する体内の成分の軽減や低下
  • 中薬材の効能

「コレステロールを下げる」は二つ目に当たりうる表現です。罰鍰は60万〜500万台湾ドルです。繰り返せば、歇業や停業、登記・登録の廃止を命じられることもあります(第45条第1項)。

誇張・誤解と認定される表現

医療効能でなくても、認定準則第4条第1項に当たれば、第28条第1項違反です。

  1. 事実と異なる
  2. 証拠がない、または証拠が足りない
  3. 人体の器官、組織、生理、外観の機能を維持・変化させることに触れる
  4. 官公庁の公文書番号などを引用する

機能性表示でよく見る「〜の機能を維持する」「〜をサポートする」をそのまま訳すと、3号に当たるおそれがあります。言い換えが要ります。

使ってよい言葉もあります。準則の附件一は通常使える詞句を、附件二は栄養素や特定成分の生理機能の詞句を挙げ、これらは誇張・誤解とは認定されません(第4条第3項)。訳文を作るときは、まずこの二つの附件と照らし合わせます。商品名に「健康」の字を入れることは、許可を受けた健康食品を除いて誤解を招く品名とされます(同条第2項)。

第28条第1項の違反は4万〜400万台湾ドルの罰鍰で、食品業者の広告は、やめるまで回数ごとに処罰されます。情節重大なら販売の停止と、30日以内の訂正広告も命じられます(第45条)。

広告を出した者が問われる

罰鍰の対象は、第28条に違反した者です。台湾で輸入や販売を担う代理店が広告を作って出したなら、通常はまず代理店が処分の対象になります。その代理店も、主管機関が公告した類別と規模に当たる食品業者なら、登録をしなければ営業できません(第8条第3項)。日本のメーカーが台湾向けのサイトやSNSで自ら広告するなら、自社も当事者になりえます。

広告の文案を誰が作り、誰が承認したかが、ここで問われます。

「健康食品」を名乗るなら許可が要る

台湾で「健康食品」は法律上の用語です。保健効果があり、それを標示・広告する食品をいい、保健効果は科学的根拠のあるもので主管機関が公告したものに限られます(健康食品管理法第2条)。許可を受けなければ「健康食品」と名乗れません(第6条第1項)。同条第2項は、食品の標示や広告で特殊な栄養素や特定の保健効果を示すなら、この法律に従うとしており、日本の機能性表示を台湾向けの標示や広告に移すときに最も直接かかわるのは、この規定です。

許可は、安全性と保健効果の評価試験を経るか、主管機関の規格基準に合うことが条件です(第3条)。得た後も、広告できるのは許可された効能の範囲までで、医療効能には触れられません。違反すれば10万〜50万台湾ドル、医療効能なら40万〜200万台湾ドルの罰鍰です(第14条、第24条)。

越境ECで台湾の消費者に直接売る場合の論点は、越境ECで台湾の消費者に売るときでまとめました。化粧品の場合は台湾化粧品市場への進出を参照してください。

中国語の訳文は、日本語の原文と一行ずつ並べた対照表にしてから点検に回すと、どの表現をどの附件の詞句に置き換えたかが記録に残ります。

パッケージやECサイトの表現の点検を頼みたい場合は、昊鼎国際法律事務所のwei@hoveringlaw.com.twまでどうぞ。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2、台中事務所は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月24日。台湾の条文は中国語の原文を基準にしています。

よくある質問

日本で機能性表示食品として届け出た表示を、中国語に訳して台湾で使えますか。
台湾には日本の機能性表示食品にあたる届出制度はありません。訳した表示が、食品及相關產品標示宣傳廣告涉及不實誇張易生誤解或醫療效能認定準則の附件一・附件二の詞句の範囲に収まるか、健康食品として許可された効能の範囲にあるかを確認します。体の機能を維持・改善する趣旨の表現は、同準則第4条第1項第3号に当たるおそれがあります。
商品名に「健康」と入れたいのですが、問題がありますか。
同準則第4条第2項により、食品の品名に「健康」の字を使うと、誤解を招く品名と認定されます。健康食品管理法に基づく許可を受けた健康食品は例外です。また、許可を受けていない食品は「健康食品」と標示・広告できません(健康食品管理法第6条)。
台湾の代理店が作った広告に問題があった場合、日本のメーカーにも責任がありますか。
食品安全衛生管理法第45条の罰鍰は、第28条に違反した者に科されます。広告を作り、出したのが台湾の代理店なら、通常はまず代理店が処分の対象になります。日本のメーカーが自社のサイトやSNSで台湾向けに広告している場合や、広告の内容を指示している場合は、自社の関与の範囲を確認する必要があります。代理店契約で広告の事前承認の手順を決めておくと、表現の管理がしやすくなります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。