台北で開かれた業界団体の会合の後、競合他社の営業部長が「来月から各社5%上げるらしい」と口にしました。日本から出向している台湾子会社の総経理は、その場で何も言わずに席を立ちました(架空の例です)。翌月、自社も5%値上げしています。これは聯合行為でしょうか。
合意の範囲は広い
公平交易法第14条によると、聯合行為とは、競争関係にある同じ生産・販売段階の事業者が、契約、協議その他の方法による合意で、価格、数量、取引先、取引地域などを共同で決め、市場の機能に影響を与える行為です。
「その他の方法による合意」には、契約や協議でない意思の連絡も含まれます。法的な拘束力は要りません。事実上、共同の行為につながれば足ります。さらに合意は、市場の状況、商品の特性、コストと利益、事業者の行動の経済合理性などから推定できるとされています。同業公会が定款や会議の決議で会員の活動を縛ることも、聯合行為になります。
冒頭の総経理の沈黙が合意と評価されるかどうかは、事実関係次第です。推定の考慮要素からすると、その後の値上げに自社独自の経済的な理由があったかが問われるでしょう。原材料の値上がりを示す社内資料は、その説明の材料になります。
禁止と例外の許可
第15条は聯合行為を禁じています。例外は、規格の統一、共同研究開発、輸出市場に限った約定などで経済全体と公共の利益に役立ち、公平会の許可を得たものだけです。公平会は申請を受けてから3か月以内に決定し、必要なときは1回延長できます。
違反に対して、公平会は期限を定めて停止・是正を命じ、10万〜5,000万台湾ドルの罰鍰を科すことができます。是正しなければ、20万〜1億台湾ドルの罰鍰を是正まで繰り返し科すこともできます。情節重大と認定されれば、上限は前年度売上高の10%です(第40条)。
刑事罰は二段目です。停止・是正命令に従わないか、停止後に同じ違反をしたとき、行為者に3年以下の有期徒刑・拘役か1億台湾ドル以下の罰金が科されます。併科もあります(第34条)。
調査が来たとき
公平会は、当事者や関係人を呼んで意見を聴き、帳簿や文書の提出を求め、事務所や営業所に職員を派遣して調査できます。証拠になる物は留め置かれることがあります(第27条)。職員が身分証明を示さなければ、調査を拒めます。
正当な理由なく調査を避けたり拒んだりすれば、5万〜50万台湾ドルの罰鍰を科されることがあります。再度の通知にも応じなければ、10万〜100万台湾ドルを繰り返し科すことができます(第44条)。日本本社のサーバーにあるメールを出すかどうかも、この場面で判断を迫られます。
寛恕政策と申請の順位
自ら申し出た事業者の罰鍰は、免除か減額されます(第35条)。細目は聯合行為違法案件免除或減輕罰鍰實施辦法にあります。
全額免除は、公平会が調査を始める前に、調査の開始に役立つ事証を出して最初に申請した事業者です。調査前の申請者がいなければ、調査中に違法の認定に役立つ証拠を出した最初の事業者も免除されます(同辦法第7条)。減額の幅は、減額を申請した事業者の中での順位で決まります(第8条)。
- 1位:30〜50%
- 2位:20〜30%
- 3位:10〜20%
- 4位:10%以下
順位は、書面なら公平会が受け取った時点、口頭なら陳述記録に署名した時点で決まります(第15条)。条件は、申請後ただちに参加をやめること、調査に全面的に協力し続けること、案件が終わるまで申請の事実を外に漏らさないことなどです(第6条)。他社に参加を強制した事業者は対象外です(第2条)。準備中に証拠を隠したり、申請することを漏らしたりしても申請できなくなります。
日本の公正取引委員会に課徴金減免を申請しても、台湾の順位は確保されません。台湾の公平会への申請が別に必要です。公司法上の関係企業に当たる事業者どうしなら、共同で申請でき、一つの事業者として同じ順位を受けます(第10条第3項)。日本の親会社がこれに当たるかは、個別に確かめる必要があります。董事や代表者個人の罰鍰も、条件を満たせば一緒に免除・減額されることがあります(第9条)。
取引先からの損害賠償
行政処分とは別に、聯合行為で損害を受けた取引先は賠償を請求できます(第30条)。故意の行為なら、裁判所は証明された損害額の3倍までの賠償を認めることができます(第31条)。
冒頭の総経理の会社なら、会合の日付と、値上げを決めた社内の稟議書の日付が、説明の出発点になります。どちらが先だったかで、話の組み立てが変わります。
調査の通知が届いたときの相談は、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)で受け付けています。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2、台中事務所は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。
参考にした公的資料
- 公平交易法 第14条、第15条、第27条、第30条、第31条、第34条、第35条、第40条、第44条
- 聯合行為違法案件免除或減輕罰鍰實施辦法 第2条、第6条、第7条、第8条、第9条、第10条、第15条
確認日:2026年10月24日。条文は中国語の原文を基準にしています。
よくある質問
- 業界団体の会合で値上げの話が出ただけでも、聯合行為になりますか。
- 公平交易法第14条は、契約や協議だけでなく、法的拘束力の有無を問わず事実上共同行為につながる意思の連絡も合意に含めています。合意は市場の状況や事業者の行動の経済合理性などから推定されることもあり、同業公会の決議による拘束も聯合行為になります。話題が出た場で異議を述べ、その後の価格決定を自社の判断で行った記録を残すことが、後の説明の材料になります。
- 日本の親会社が日本の公正取引委員会に課徴金減免を申請しました。台湾でも免除されますか。
- 台湾の罰鍰の免除・減額は、公平交易法第35条と聯合行為違法案件免除或減輕罰鍰實施辦法に基づき、台湾の公平交易委員会に申請して同意を得る必要があります。申請順位も台湾の受付時点で決まります。公司法上の関係企業に当たる事業者どうしは共同で申請し、一つの事業者として同じ順位を受けることができます(同辦法第10条第3項)。
- カルテルに参加すると刑事罰もありますか。
- 公平交易法第34条の刑事罰は、公平会が第40条第1項により停止や是正を命じたのに期限までに従わなかった場合や、停止後に同じ違反を繰り返した場合に科されます。法定刑は3年以下の有期徒刑・拘役か、1億台湾ドル以下の罰金(併科あり)です。最初の違反は、まず行政上の是正命令と罰鍰の対象になります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



