政府採購法第17条第1項は、「外國廠商參與各機關採購,應依我國締結之條約或協定之規定辦理」と定めています。外国企業の参加は、まず条約や協定のルールで決まるという意味です。日本企業にとって中心になる協定は、WTO政府調達協定(GPA)です。
WTOの一覧では、台湾(Chinese Taipei)は2009年7月15日に加入し、日本は1996年1月1日から締約国です。ただし、すべての調達に協定が及ぶわけではありません。対象の機関と金額に基準があります。
協定の適用があるかは公告に書いてある
案件ごとの判断材料は、招標公告そのものにあります。政府採購公告及公報發行辦法第7条は、招標公告に載せる事項として、押標金の額、履約期限、投標文件に使う言語と並べて、「是否適用我國所締結之條約或協定」を挙げています。協定の適用がある公告は、主要事項を英語でも掲載します(同辦法第19条)。
適用がない案件でも、外国企業が締め出されるとは限りません。外國廠商參與非條約協定採購處理辦法第5条によると、機関は必要に応じて招標文件で外国企業の参加を認めることができます。外国企業とは、台湾の国籍を持たない個人や、台湾の法律で設立登記していない法人です(同第3条)。台湾子会社は外国企業ではありません。ただ、子会社が納める財物や役務の原産地が台湾以外なら、外国企業とみなされます(同第4条第2項)。
国内企業を優遇する措置もあります。条約や協定で禁じられていない限り、機関は国産品の比率や技術移転を評価項目にしたり、外国企業が最低価格のときに同じ価格で国内企業に決標したりできます(第43条)。特定の調達では、3%以内の価格差まで国内企業を優先する措置もあります(第44条)。協定の適用がある案件かどうかは、この点でも意味を持ちます。
台湾企業と組んで入札する
招標文件が認めていれば、複数の企業が共同で名義を出して投標できます(第25条)。得標すれば共同で契約し、履行の責任は連帯です。投標時には共同投標協議書を付けます。同業者どうしの共同投標は、公平交易法第15条第1項ただし書の要件も満たさなければなりません。
得標した後の分担にも線があります。工事や役務の契約は得標者が自ら履行し、全部や主要部分を他社に任せる転包は禁じられています(第65条)。一部を任せる分包は認められます(第67条)。日本の本社が得標し、施工の大半を台湾の協力会社に任せる計画なら、その割合が転包に当たらないかを契約前に確かめます。
書類と押標金
外国企業の資格書類は、招標文件で別に定めることができ、公証か認証を受けた中国語訳を付けます(第36条第3項)。日本の登記事項証明書や財務書類は、翻訳と認証に日数がかかります。ここで遅れます。
原則として、押標金は入札時、保証金は得標後に納めます(第30条)。設計やコンサルティングのような役務の調達は免除が原則で、公告金額未満の工事・財物の調達なども免除されることがあります。現金のほか、金融機関の本票や小切手、銀行の書面による連帯保証、保険会社の保証保険証券などが使えます。
返ってこない場合が第31条第2項に並んでいます。虚偽の書類での投標、他人名義の使用、得標後の契約拒否、期限までに保証金を納めないことなどです。本社の決裁が間に合わずに契約できなかった場合も、「得標後に契約を拒んだ」に当たるおそれがあります。
停権:入札できなくなる期間
もっと重いのは停権です。期間は最長3年です。機関は、第101条第1項の事由を見つけると、企業に通知し、異議がなければ政府採購公報に掲載します。掲載された企業は一定期間、入札も決標も下請もできません(第103条)。
- 3年:名義の貸し借り、虚偽文書による投標・契約・履行で情節重大、採購担当者への不正な利益の提供など
- 1年:破産手続中、差別的な取扱いで情節重大など
- 3か月〜1年:正当な理由のない契約拒否、検収不合格や履行遅延で情節重大、違法な転包など(過去5年の掲載回数で変わる)
通知の前に、機関は企業に意見を述べる機会を与えなければなりません。情節重大かどうかは、機関の損害、企業の帰責の程度、実際の補修や賠償を考えて判断されます(第101条第3項、第4項)。
異議と申訴の期限
入札の途中で不公正だと感じたら、異議は短期間で出す必要があります。招標文件の規定への異議は等標期の4分の1(最低10日)、手続や結果への異議は通知か公告の翌日から10日です(第75条)。公告金額以上の案件で処理結果に不服なら、15日以内に申訴します(第76条)。停権の通知への異議は20日以内です(第102条)。
日程を組むうえで最初に比べるのは、等標期の残り日数と、日本で書類の認証と翻訳にかかる日数です。後者が長ければ、間に合いません。
入札や停権の相談先は、昊鼎国際法律事務所のwei@hoveringlaw.com.twです。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2にあります。
参考にした公的資料
- 政府採購法 第17条、第25条、第30条、第31条、第36条、第43条、第44条、第65条、第67条、第75条、第76条、第101条、第102条、第103条
- 外國廠商參與非條約協定採購處理辦法 第3条、第4条、第5条
- 政府採購公告及公報發行辦法 第7条、第19条
- WTO: Parties, observers and accessions(Agreement on Government Procurement)
確認日:2026年10月24日。台湾の条文は中国語の原文を基準にしています。
よくある質問
- 日本の会社が直接入札できる案件かどうかは、どこで分かりますか。
- 政府採購公告及公報發行辦法第7条により、招標公告には「我が国が締結した条約または協定の適用があるか」を記載しなければなりません。適用がある案件であれば、日本の会社はWTO政府調達協定に基づいて参加できます。適用がない案件では、外國廠商參與非條約協定採購處理辦法第5条により、機関が招標文件で外国企業の参加を認めているかどうかを確認します。
- 日本語や英語の会社書類で資格審査を受けられますか。
- 政府採購法第36条第3項は、外国企業の投標資格と提出書類について、必要に応じて別に定めることができ、公証または認証を受けた中国語訳を付けると定めています。何をどの形式で出すかは招標文件で決まるため、公告が出たら早い段階で文件を取り寄せ、認証と翻訳の日数を逆算します。
- 停権の通知を受けたら、どう争えばよいですか。
- 政府採購法第102条により、通知を受けた日の翌日から20日以内に、書面でその機関に異議を出します。処理結果に不服があるか、機関が15日以内に処理しなければ、その翌日から15日以内に採購申訴審議委員会に申訴できます。期限内に異議も申訴も出さなければ、機関は企業名を政府採購公報に掲載します。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



