机の上に置かれた国際郵便の封筒と、数行だけ印字された書類
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帰国後に届いた台湾の少額訴訟の判決書:理由のない判決と「法令違反」に限られた上訴

約6分

架空の情景

帰国後に国際郵便で届いた台湾の判決書に、主文が数行あるだけで理由が書かれていなくても、それだけで違法な判決にはなりません。台湾の少額事件(10万台湾ドル以下の金銭請求など)では、判決書は主文だけでもよいとされているからです。

主文だけの判決書と、日本の少額訴訟との違い

根拠は台湾の民事訴訟法第436条の18です。争いのある点については、必要なときに理由の要旨を加えるとされています。

不服の申立て方は、日本の少額訴訟と違います。日本の民事訴訟法では、少額訴訟(60万円以下の金銭請求)の終局判決に控訴はできず、判決の送達から2週間以内に、判決をした裁判所へ異議を申し立てる仕組みです(e-Gov法令検索・民事訴訟法第368条、第377条、第378条)。台湾では、第一審判決に対して地方法院の合議体へ上訴できます。ただし、判決が法令に違反していることを理由とする場合に限られます(第436条の24)。

理由がないことは上訴の理由になるか

そのままでは理由になりません。通常の事件では、判決に理由を付さず、または理由に食い違いがあれば、当然に法令違反とされます(第469条第6号)。ところが少額事件の上訴に準用されるのは、同条の第1号から第5号まで、つまり裁判所の構成、裁判官の回避、管轄、代理、弁論の公開に関する違反だけです(第436条の32第2項)。第6号は入っていません。

「法令違反」として書くべきこと

法令違反とは、判決が法規を適用しなかったか、適用を誤ったことです(第468条)。上訴状には、違反した法令とその具体的な内容、訴訟資料から違反がうかがえる具体的な事実を書かなければなりません(第436条の25)。

基隆地方法院の2025年9月の決定は、その線引きをよく表しています。上訴人は交通事故の経緯と、期日に行けなかった事情を書いただけで、どの法令に反するかを示していませんでした。呼出状は上訴状に書かれたのと同じ住所あてに寄存送達(警察などの機関に預け、通知を貼る方法)され、預けた日から10日で効力が生じています(第138条第2項)。裁判所は一方の弁論による判決にも問題はないとして、上訴を却下しました(114年度小上字第27號)。その第一審判決の末尾にも、法令違反を理由としなければ上訴できない旨が書かれていました(114年度基小字第952號)。

日本からの期限は20日と37日

上訴は、判決の送達後20日の不変期間内にします(第440条、第436条の32第2項で準用)。裁判所の所在地に住んでいない当事者は、法定期間を数えるときに在途期間を差し引きます(第162条)。司法院の法院訴訟當事人在途期間標準第3条は、国外居住者についてアジア37日、ヨーロッパ・北米・南米・オセアニア44日、アフリカ・南極72日としています。日本はアジアです。

裁判所の所在地に住み、期間内に代わって上訴できる訴訟代理人がいれば、在途期間は差し引きません(第162条第1項ただし書)。期間の初日は算入せず(民法第120条第2項)、最終日が日曜日などの休日なら翌日にずれます(第122条、民事訴訟法第161条)。

日本から上訴するなら、台湾での送達先も要ります。台湾に送達場所のない上訴人は、台湾に送達場所を持つ送達受取人を指定しなければならず(第133条第2項)、指定しなければ裁判所は職権で公示送達を命じることができます(第149条第5項)。

呼出しが届いていなかった場合

欠席した当事者が相当な時期に適法な呼出しを受けていなければ、裁判所は一方の弁論だけで判決してはなりません(第386条第1号)。ここは典型的な法令違反です。

桃園地方法院の2025年9月の判決では、第一審が、被告に送るべき弁論期日の呼出状を原告側の訴訟代理人のところへ送達し、原告だけが出廷した期日に判決していました。第二審は上訴を適法と認め、事件を差し戻さずに自ら審理しました。衝突箇所と合わない修理項目を除いた結果、賠償額は52,089台湾ドルから33,887台湾ドルに減っています(114年度小上字第37號)。

手続で勝っても、結論が同じこともあります。新北地方法院は2024年12月、刑務所にいた被告に適法な呼出しをしないまま判決した第一審の誤りを認めました。それでも貸金の請求自体に理由があるとして、上訴を棄却しています(113年度小上字第231號)。通常の事件なら差戻しの根拠になる第451条が、少額事件の上訴には準用されていないからです。

第二審でできないこと

第二審では、訴えの変更や追加、反訴はできません(第436条の27)。新しい主張や証拠も原則として出せず、例外は第一審の法令違反のせいで出せなかったものだけです(第436条の28)。上訴の趣旨から理由がないと分かれば口頭弁論なしで判決でき(第436条の29)、第二審の裁判にはそれ以上不服を申し立てられません(第436条の30)。上訴が理由なしと退けられた後に、同じ理由で再審を求めることもできません(第436条の31)。第二審の裁判費用は、請求額10万台湾ドル以下なら2,250台湾ドルです(司法院の裁判費対照表、2026年10月21日確認)。

主文が数行の判決書でも、日本に住んでいて、裁判所の所在地に住み、代わって上訴できる訴訟代理人がいなければ、期限は送達の翌日から数えて57日目です。その日が休日なら翌日に延びます。

日本から台湾の弁護士に依頼する手順は海外から台湾の弁護士に仕事を頼むときに、少額手続の費用や調停は台湾で10万元以下の未払い金を訴えるときにまとめています。昊鼎国際法律事務所への連絡はwei@hoveringlaw.com.twで受け付けており、台中事務所の所在地は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月21日

よくある質問

台湾の少額訴訟の判決書に、理由がほとんど書かれていません。それだけで不服を申し立てられますか。
難しいでしょう。少額事件の判決書は主文だけを記載することができ(民事訴訟法第436条の18)、少額事件の上訴に準用される当然の法令違反は第469条第1号から第5号までで、「判決に理由を付さず、または理由に食い違いがある」(第6号)は含まれていません(第436条の32第2項)。どの法令にどう違反したかを具体的に書く必要があります(第436条の25)。
日本に住んでいます。台湾の少額訴訟の判決に対する上訴の期限はいつですか。
上訴期間は判決送達後20日です(第440条、第436条の32第2項)。裁判所の所在地に住んでいない当事者は在途期間を差し引いて計算し(第162条)、司法院の基準ではアジア在住者は37日です。裁判所の所在地に住み、期間内に代わって上訴できる訴訟代理人がいれば、差し引きません。
期日の呼出しを受け取っていないのに、相手方だけの弁論で判決が出ました。
欠席した当事者が相当な時期に適法な呼出しを受けていなければ、裁判所は一方の弁論だけで判決してはならず(第386条第1号)、これは法令違反を理由とする上訴になり得ます。ただし少額事件の第二審は事件を第一審に差し戻さず自ら判断するため、請求そのものに理由があれば結論が変わらないこともあります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。