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越境ECで台湾の消費者に売るとき:7日間の無条件解約、定型化契約の必須記載、中国語表示

約9分

AIで生成したイメージ画像です。実在の商品、会社、事件を写したものではありません。

日本の雑貨ブランドが、自社の日本語サイトに繁体字の商品ページを追加し、台湾の消費者から直接注文を受けて国際郵便で発送し始めました。半年ほどして、台湾の購入者から「商品を受け取って5日目ですが、気に入らないので返品したい。送料もそちらで負担してください」というメールが届きます。日本のサイトの規約には「お客様都合の返品は未開封に限り、送料はお客様負担」とあります。さらに別の購入者からは、台湾の地方政府の消費者保護官を通じて申立てがあったという連絡が来ました(架空の例です)。

台湾の消費者保護法は、日本の特定商取引法と似た仕組みを持ちながら、細部で大きく違います。もっとも違いが出るのが、ネット通販の解約権と、定型化契約の規制です。

ネット通販は「通訊交易」として扱われる

台湾の消費者保護法第2条は、インターネットなどを通じて、消費者が商品やサービスを検視できない状態で結ぶ契約を通訊交易と定義しています。日本の法律でいう通信販売に相当します。同じ条文で、事業者(企業經營者)は商品の設計、生産、製造、輸入、販売(經銷)やサービスの提供を営業として行う者と定義され、国籍や所在地による限定はありません。

日本の事業者が台湾の消費者と結ぶ契約にどの国の法律が適用されるかは、第一に契約の準拠法条項で決まり、条項がなければ台湾の渉外民事法律適用法第20条により、関係が最も密接な法律によります。そして、台湾の消費者が訴えを起こす場合、消費者保護法第47条は消費関係が生じた地の裁判所に管轄を認めています。台湾の消費者が台湾で商品を受け取る取引では、紛争が台湾の裁判所と台湾の消費者保護官のもとで扱われる可能性を前提に組み立てるのが現実的です。

到着後7日以内は理由なく解約できる

第19条は、通訊交易の消費者は商品を受け取った後7日以内に、商品の返送または書面の通知によって契約を解除でき、理由の説明も費用や対価の負担も要らないと定めています。台湾では法律が7日間の無条件解約を保障し、消費者に費用を負担させる約定は無効です(同条第5項)。台湾法が適用される取引では、準則の例外に当たらない商品について「未開封に限る」「返送料は購入者負担」と定めても、その約定は無効です。

7日の起算には罠があります。事業者が商品の交付時に、次に説明する第18条の解約権の案内を提供していなかった場合、7日の期間は案内を提供した翌日から数え直されます。ただし、本来の7日の起算点から4か月を過ぎると、案内の有無にかかわらず解約権は消滅します(第19条第3項)。案内を怠ると、実質的に4か月間の返品リスクを抱えることになります。消費者が期間内に商品を発送するか書面を発信すれば、その時点で契約は解除されたものとみなされます(第4項)。

解除後の手順は第19条の2にあります。書面通知による解除では、個別に合意した場合を除き、事業者が通知を受けた翌日から15日以内に、元の交付場所または約束した場所で商品を引き取ります。商品を引き取った、または返送を受け取った翌日から15日以内に、受領済みの代金を返還しなければなりません。日本から台湾の消費者宅へ回収に行くのは現実的でないため、台湾内の返送先か回収業者をあらかじめ決めておく必要があります。

返品された商品の扱いでも、日本の感覚とのずれが出ます。第19条の解約は消費者が理由を説明しなくてよい制度なので、「開封したから」「タグを切ったから」という理由だけで返金を拒むことはできません。消費者の使用によって商品の価値が明らかに下がった場合の精算は、民法の原状回復の規定を基準に個別に判断されますが、第19条の2第3項は、消費者にとって民法第259条より不利な原状回復の約定を無効としています。返品条件を規約で厳しく書いても、そのとおりには働かないと考えておくほうが安全です。

解約できない商品:準則の7類型と「告知」の要件

第19条第1項の但書は、通訊交易に合理的な例外事情があるときは解約権が及ばないとし、その例外は行政院が定めます。通訊交易解除権合理例外情事適用準則第2条が挙げる7類型は、腐りやすい、保存期限が短い、または解約時に期限切れが迫る商品、消費者の要求による特注の給付、新聞・定期刊行物・雑誌、消費者が開封した映像音楽商品やコンピュータソフト、有形の媒体によらないデジタルコンテンツや提供と同時に完了するオンラインサービス(消費者の事前同意が条件)、開封済みの個人衛生用品、国際航空旅客サービスです。

見落としやすいのは、同条の冒頭にある「企業經營者が消費者に告知した場合に」という要件です。例外に当たる商品でも、購入前に解約権が及ばないことを消費者に知らせていなければ、原則どおり7日の解約権が生じます。化粧品やインナーウェアを「個人衛生用品」として返品不可にしたいなら、商品ページと注文確認の両方に、開封後は第19条の解約権が適用されないことを中国語で明記することになります。

第18条が求める表示と、台湾式の「確認画面」

第18条は、通訊交易で事業者が消費者に書面で提供すべき情報を列挙しています。事業者の名称、代表者、事務所または営業所、電話か電子メールなど迅速に連絡できる手段。商品やサービスの内容、対価、支払期日と方法、交付期日と方法。第19条による解約権の行使期限と方法。第19条第2項により解約権が排除される商品であればその旨。消費者からの申立ての受付方法。インターネットを通じた取引では、これらを消費者が完全に閲覧し保存できる電子的な方法で提供しなければなりません。日本の「特定商取引法に基づく表記」のページに相当しますが、解約権の案内が含まれる点と、注文確認メールなど保存できる形で届ける点が要点です。

定型化契約についてはさらに規制があります。第11条の1は、事業者が消費者と定型化契約を結ぶ前に30日以内の合理的な期間を置いて全条項を審閲させるべきとし、この権利を放棄させる条項は無効とします。第12条は、誠信原則に反して消費者に著しく不公平な条項を無効とし、平等互恵に反する条項などは不公平と推定されます。第17条は、中央主管機関が業種ごとに定型化契約の「記載すべき事項」と「記載してはならない事項」を公告できるとし、公告に違反する条項は無効、公告された記載事項は契約に書いていなくても契約内容になると定めています。

ネット通販については、経済部が零售業等網路交易定型化契約應記載及不得記載事項を公告しています(2016年7月15日改正、同年10月1日施行)。記載すべき事項には、事業者の名称、責任者、電話、電子メール、営業所の住所、電子文書による意思表示の合意、契約締結前に商品の種類・数量・価格その他の重要事項を確認する仕組みの提供と契約成立後の確実な履行、注文数量の上限、交付場所と方法、支払方法、送料の計算と負担(記載がなければ事業者負担とみなす)、第19条による返品と解除権、個人情報保護、アカウント不正利用時の対応、システムの安全性、消費紛争の処理手順などが並びます。記載してはならない事項には、「広告は参考に過ぎない」という文言、事業者側の電子記録だけを証拠とする条項、第47条や小額訴訟の管轄を排除する条項などがあります。日本のサイトの利用規約を機械翻訳しただけでは、この公告との整合が取れていないことがあります。

広告と表示:第22条と公平交易法

第22条は、事業者に広告内容の真実性を確保する義務を課し、消費者に対する義務は広告の内容を下回ってはならないとします。公平交易法第21条は、商品や広告で、価格、数量、品質、内容、製造方法、製造日、有効期限、用途、原産地、製造者、製造地などについて虚偽または誤認を招く表示をすることを禁じています。「日本製」の表示は原産地の表示に当たりますから、海外で生産した商品に日本のブランド名だけで日本製と受け取られる表現を使うと、この条文の問題になります。

商品そのものの表示については、商品標示法があります。第5条は、製造者、委託製造者、輸入者、小分け業者が商品を市場に流通させるときに表示をする義務を負うとし、第6条は、商品名、台湾内の輸入者の名称・住所・電話、原産地、主要成分、内容量、製造年月などの表示項目と、輸入品には国外製造者の外国語名称の表示を求めます。第11条により、表示の文字は中国語を主とし、英語その他の外国語を補助的に使えます。台湾の輸入業者や現地倉庫を通して販売する形を取るなら、この中国語表示を誰が貼るかを契約で決めておく必要があります。日本から消費者へ直送する形では消費者自身が輸入者の立場になりますが、商品ページ上の表示が第18条と第22条の対象になることは変わりません。

関税と通関:購入者側に起きること

台湾の消費者が日本から直接商品を取り寄せるとき、関税法第49条第2項により、同じ便(同批)で輸入する貨物の課税価格の合計が財政部の公告する限度額以下なら免税ですが、輸入回数が頻繁な場合と、たばこ・酒など財政部が公告する特定の貨物は除かれます。財政部関務署臺北関の案内によれば、限度額は2,000台湾ドルで、課税価格には商品代金のほか運賃と保険料が含まれ、同じ納税義務者が半年度(1月〜6月、7月〜12月)に6回を超えて免税で輸入すると頻繁と認定されます。購入者が思っていた金額より高い税金を請求され、受取りを拒否して返送されるケースは、越境ECの紛争の典型です。商品ページに税金と通関の負担者を明記し、第18条の「対価」と「交付方法」の表示に含めておくと、この種のトラブルを減らせます。

紛争になったら:申立て、調停、懲罰的賠償

消費者は、事業者、消費者保護団体、消費者サービスセンターに申立てができ、事業者は申立ての日から15日以内に適切に処理しなければなりません。処理されなければ、消費者は直轄市・県市政府の消費者保護官に申し立てられます(第43条)。それでも解決しないときは消費争議調停委員会の調停に進みます(第44条)。

訴訟になった場合、第51条は、事業者の故意による損害には損害額の5倍以下、重大な過失には3倍以下、過失には1倍以下の懲罰的賠償金を消費者が請求できると定めています。個々の取引額は小さくても、返品拒否の方針を全購入者に適用していたような事案では、この条文が交渉の材料になります。

台湾の消費者を相手にする日本の事業者が最初に整えるものは、三つです。中国語で第18条の項目を網羅した表示と注文確認メール、7日解約と例外商品の告知を組み込んだ返品の手順と台湾内の返送先、そして15日以内に中国語で対応できる問い合わせ窓口です。昊鼎國際法律事務所では、台湾向けサイトの利用規約と表示の点検、消費者保護官からの申立てへの対応についてご相談を受け付けています。初回相談は1時間NT$3,000で、オンラインでも受け付けています。ご連絡の際は、ご希望の言語をお知らせください。連絡先はwei@hoveringlaw.com.tw、所在地は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2です。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月7日(台湾時間)。条文は中国語の原文を基準にしています。本稿は一般的な情報であり、個別の事案についての法的助言ではありません。

よくある質問

日本のサイトから台湾へ発送するだけです。台湾の消費者保護法は本当に関係ありますか。
消費者は消費関係が生じた地の裁判所に訴えを起こせるため(消費者保護法第47条)、台湾で商品を受け取った消費者が台湾の裁判所で訴える可能性があります。契約に準拠法の定めがなければ、台湾の渉外民事法律適用法第20条により関係が最も密接な法律が適用されます。台湾の消費者保護官への申立ても消費者側から可能ですので、台湾向けに販売する以上、第18条と第19条の仕組みに合わせておくのが現実的です。
返品不可の商品はありますか。送料は誰が負担しますか。
行政院が定めた準則により、生鮮品など腐りやすいもの、顧客の注文による特注品、新聞・雑誌、開封した映像・音楽ソフトやコンピュータソフト、デジタルコンテンツやオンラインサービス(事前同意が条件)、開封した個人衛生用品、国際航空旅客サービスの7種は、事業者が事前に消費者へ告知していれば7日解約の対象外です。対象となる商品の解約では、消費者に費用を負担させることはできず(第19条)、事業者は通知を受けた翌日から15日以内に商品を回収し、15日以内に代金を返還します(第19条の2)。
台湾の消費者からの苦情にはどう対応すればよいですか。
消費者は事業者、消費者保護団体、消費者サービスセンターに申立てができ、事業者は申立ての日から15日以内に適切に処理しなければなりません(第43条)。処理されない場合、消費者は地方政府の消費者保護官に申し立て、さらに消費争議調停委員会の調停を申し立てられます(第44条)。日本語の問い合わせ窓口しかないと15日の期限を落としやすいので、中国語で対応できる連絡先を用意しておきます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。