外国の化粧品ブランドが台湾で製品を売るには、子会社か支店を必ず設立しなければならないのでしょうか?必ずしも設立する必要はありません。現地の輸入業者に輸入と販売を任せる方法があり、自ら台湾事業を運営する方法もあります。どちらを選んでも、誰が輸入するのか、製品登録をいつ終えるのか、製品情報ファイル(Product Information File、PIF)を誰がどこで管理するのか、表示と広告をどの基準で確認するのかを決めなければなりません。設立だけでは、販売準備は整いません。
適用される義務は、製品の種類と製造場所、実際の輸入形態、流通方法、広告内容によって変わることがあります。供給日程を決める前に、最新の法令と主管機関の案内を製品ごとに確認し直さなければなりません。
1. 子会社・支店か、現地の輸入業者か
最初に決めるのは、事業モデルと、化粧品製造・輸入業者として責任を負う主体です。
現地の輸入業者に任せる場合
台湾の輸入業者または販売代理店が輸入と販売を担当するなら、外国ブランドは自社の台湾子会社や支店を置かなくても構いません。販売代理店が輸入業者を兼ねることもあれば、別の輸入業者が加わることもありますが、代理店、総代理店、流通業者という契約上の呼び名だけでは、法的責任の帰属は決まりません。
まず確認するのは、誰が製品を輸入して製品登録を行い、誰がPIFを作成・更新・保存するのかです。表示の確認、流通記録の維持、消費者からの苦情と安全性情報の受付、主管機関による検査や資料提出要求への対応にも、担当者を定めておく必要があります。化粧品製造・輸入業者に課される法的義務と、ブランド・販売パートナー間の契約上の分担がずれていないかも、併せて確認しなければなりません。
契約には、商標や画像などの知的財産を使える範囲を定めます。製品登録とPIFに必要な製造元資料の提供・翻訳・補完の方法、最新資料の管理方法、契約終了時の引継ぎ方法も、具体的に書いておくのが適切です。広告の事前確認と修正の権限、苦情や副作用などの安全性情報の伝達、必要な回収への協力、試験・翻訳・保存の費用負担も盛り込めます。資料が一方の当事者にしか残らない事態を避けるため、返還や写しの提供の範囲と期限も、あらかじめ定めておく必要があります。
自ら台湾事業を運営する場合
子会社と支店は同じ組織ではありません。子会社は台湾法に基づいて設立される別個の法人で、支店は外国会社の本店の一部として登記されます。設立・登記の手続、法人格と本店の責任、会計・税務処理、利益の移転、代表権、内部統制の方法が、それぞれ変わります。販売をどこまで自分で握れるかだけで、組織形態を選ぶべきではありません。
現在の担当機関は、経済部投資審議司です。外国投資の手続が必要なときは、その案内を確認する必要があります。投資許可、資金の送金、会社または支店の登記、銀行口座の開設、税籍登録、輸入資格の取得にかかる期間は、投資家、業種、組織形態、提出資料、補正の有無で変わります。決まった期間を前提に発売日を決めるのは適切ではありません。先に、各手続が当てはまるかどうかと、最新の受付要件を確認しなければなりません。
どの形態でも、化粧品規制上の中心的な責任主体は化粧品製造・輸入業者です。製品資料の整理や安全性評価は、外部の専門家に任せられます。ただ、任せただけで製造・輸入業者の法的責任が移ることはありません。契約上の業務分担と法令上の責任主体は、分けて考えます。ここが出発点です。
2. 製品登録とPIFは別の制度
PIFは、製品登録と同じように、事前にTFDAへ提出するものでしょうか?いいえ。製品登録は、TFDAの化粧品製品登録プラットフォームで行う別の手続です。PIFは、品質、安全性、組成、標榜する機能、製造方法、試験結果、安全性評価などの資料をまとめたファイルで、化粧品製造・輸入業者が作成・更新・保存します。ファイル自体をTFDAへ事前に提出する制度ではありません。
製品登録の時期と有効期間
化粧品製造・輸入業者は、対象製品を供給・販売・贈与・公開陳列する前、または消費者に試用として提供する前に、製品登録を完了しなければなりません。有償販売の日だけが基準ではありません。販促用の贈与や消費者への試用提供の日程も、登録時期とあわせて管理します。
有効期間は3年です。供給を続けるなら、その満了前3か月以内に延長を申請しなければなりません。製品名、用途、剤型、成分、製造場所などの登録事項を変更するときは、変更内容に応じた手続が必要かどうかも確認します。
所定の登録事項をプラットフォーム上で申告する手続が、製品登録です。完了しても、PIFに必要な資料がすべてそろっていると確認されたことにはなりません。表示や広告が適法だという判断でもありません。登録の日程、PIFの管理、表示・広告の確認は、それぞれ別々のコンプライアンス項目として運用します。
PIFに入れる資料と、対象になる製品
PIFは、製品の品質と安全性を継続して説明できるように組み立てる資料の集まりです。品質、安全性、組成、標榜する機能、製造方法、試験結果、安全性評価に加えて、製品と製造業者の基本情報、ラベルなどの根拠資料も含まれます。製品ごとに整理しなければなりません。「化粧品製品情報ファイル管理弁法」は必要な資料を16の区分に分けているため、製品の種類に応じて、各区分の資料と署名・資格の要件を確認しなければなりません。
この制度は、製品群ごとに段階的に適用されてきました。2026年7月1日からは残る化粧品も対象に入り、原則としてすべての化粧品に適用されます。例外は一つだけです。工場登記を免除される製造場所で製造された固形手作り石けんです。手作りであることや、石けんという名称だけでは、対象外になりません。固形という形状と、製造場所の工場登記が免除されているという要件の双方を確認します。
安全性評価をはじめとするPIF業務では、必要な資格と能力を備えた第三者の支援を受けられます。ただし、作成を手伝ってもらっても、資料の保存サービスを使っても、化粧品製造・輸入業者の法的責任は残ります。元の製造業者、試験機関、安全性評価者、台湾側の事業者の間で、変更情報と署名済みの最新資料を互いに伝える体制も、整えなければなりません。
PIFの更新と保存
原料や処方、製造方法・製造場所、ラベルを含む表示、標榜する機能、安全性情報のどれかが変わったら、影響を受けるPIF資料を見直して更新しなければなりません。消費者からの苦情、有害事象、新たな試験結果が既存の評価に影響するかどうかも検討します。初回の作成で終わりではありません。変更を管理し続ける手続が要ります。
保存期間を定めるのは、「化粧品製品情報ファイル管理弁法」第7条です。起算は、当該製品を市場に最後に供給した日の翌日で、期間は最低5年間です。保存場所は、同弁法第8条により、「化粧品衛生安全管理法」第7条第1項第7号に定める化粧品製造・輸入業者の表示住所として管理しなければなりません。期間と場所は、別の条文です。運用でも分けて扱います。
元の製造業者が原本を持っている場合や、安全な電子保存、クラウドストレージを使う場合でも、製造・輸入業者は完全な資料にアクセスできなければなりません。主管機関から求められたときにすぐ検索して示せるよう、アクセス権限、バックアップ、版管理、ファイル形式、担当者を決めておきます。販売パートナーやサービス提供者との契約が終わっても、法定保存期間中は資料を維持しなければならないため、引継ぎの対象と方法、アクセス権限を残すかどうかは、契約で定めておくことが重要です。
検査、是正、過料
主管機関がPIFを検査するときは、原則として検査日の7日前までに、化粧品製造・輸入業者へ通知します。ただし、関係規定が定める法定の例外に当たる場合は、事前の通知なしに検査できます。通知があってもなくても同じです。完全で最新の資料を検索して示せる状態を、常に保っておかなければなりません。
製品登録で虚偽の情報を申告した場合や、PIFに虚偽の情報を記載した場合は、1万~100万新台湾ドル(NT$)の行政上の過料の対象になることがあります。PIF資料が不完全な場合は、通常、主管機関が期限を定めて是正を命じます。過料が問題になるのは、その期限内に是正しなかったときです。虚偽の情報と、補完できる資料の不備を、同じ違反の結果に結び付けてはなりません。
回収や廃棄も、どのPIF資料の不備にも自動的に伴うわけではありません。製品の安全性、違反の内容、是正の状況、各措置に適用される法定要件を分けて判断します。安全性の問題が確認されたときの措置と、文書の補完要求は別々に検討し、対応は主管機関の通知と適用条文に従って進めなければなりません。
3. 表示・宣伝・広告規制
虚偽・誇大な表現は禁止されています。医療的効能の標榜も禁止です。行政上の過料は、虚偽・誇大広告ならNT$4万~NT$20万、医療的効能を標榜した場合はNT$60万~NT$500万です。違反の類型で、過料の幅は違います。掲載前に、広告表現の全体と根拠資料を突き合わせなければなりません。
一語では決まらない広告の判断
広告は、文言だけでなく、名称、文字、画像、記号、音声などの表現全体で判断されます。表示・宣伝・広告が虚偽・誇大か、医療的効能の標榜かは、特定の一語では決まりません。商品名、文章、画像、記号、音声に加え、前後の文脈と、消費者が受ける全体的な印象も考慮されます。広告の中心となる表現が与えた印象は、小さな文字の限定文言を添えても、当然には消えません。個別の文言と、完成した制作物の両方を確認しなければなりません。
化粧品がニキビを治療する、抗炎症効果がある、殺菌作用がある。こうした表現は、医療的効能の標榜に当たることがあり、特に注意が必要です。疾病名と製品を結び付ける方法、使用前後の画像、医療従事者を想起させる演出、成分の説明を製品の治療効果へ結び付ける文脈も、併せて見ます。
インフルエンサーと販売パートナーの投稿
インフルエンサー、レビュー投稿者、販売パートナーの投稿も、内容と商業的な文脈によっては、実質的に広告と判断されることがあります。対価の支払、製品の提供、販売リンク、ブランドによる投稿の指示、反復的な協業は、その判断で考慮される要素です。個人の投稿がすべて自動的にブランドの広告になるわけではありません。投稿者とブランドの関係、具体的な内容、ブランドの関与の程度を確認しなければなりません。
協業契約や運用指針には、使える表現の範囲と根拠資料、掲載前の確認、違反表現の修正・削除の手続を定められます。コメントで追加される表現、ライブ配信や短い動画での口頭説明、販売ページとラベルの食い違いも、管理の対象に含めるのが適切です。確認用の原稿、承認履歴、修正要求、最終的な投稿は、後で事実関係を確認できるよう保存しなければなりません。
販売準備の順番
まず、台湾に子会社や支店を設けるのか、現地の輸入業者に任せるのかを決め、化粧品製造・輸入業者として法的責任を負う主体と、契約上の業務担当者を確認します。次に、供給・販売・贈与・公開陳列、または消費者への試用提供の前に、製品登録を終えます。PIFは製品ごとに作り、変更があれば更新し、法定の期間と場所に従って保存します。ラベル、販売ページ、広告、協業投稿は、表現全体を基準に見ます。検査や是正要求、苦情・安全性情報、必要な事後措置への対応手続も、運用しておきます。この順に進めれば、異なる制度の混同を減らせます。
会社と支店の基本的な仕組みは台湾会社設立の基礎、関連する支援範囲は台湾投資・会社設立サービス、担当弁護士は曾雋崴弁護士の紹介をご参照ください。
公式資料
- 化粧品衛生安全管理法
- 化粧品製品登録弁法
- 化粧品製品情報ファイル管理弁法
- TFDA:化粧品製品登録の対象範囲に関する公告
- TFDA:PIFの段階的施行に関する公告
- TFDA:PIF作成指針
- TFDA:化粧品製品登録専区
- TFDA:化粧品製品情報ファイル専区
- 化粧品の表示・宣伝・広告に関する認定準則
- 公式認定準則の付表
- 衛生福利部:化粧品広告規制に関する公告
- Invest Taiwan:外国人投資の概要
- 経済部投資審議司
本稿は、台湾の化粧品市場への進出に関する制度を一般的に説明する教育目的の資料です。個別の製品や広告に関する法的意見を示すものでも、許可・登録、販売可能性、処理期間を保証するものでもありません。進出形態、製品資料、表示・広告の内容、主管機関の最新の運用は、案件ごとに確認してください。
よくある質問
- 台湾で化粧品を販売するには、子会社または支店を必ず設立しなければなりませんか?
- 必ずしも設立する必要はありません。台湾の輸入業者(販売代理店を兼ねる場合を含みます)に輸入・販売を委ねる方法もあります。自ら台湾事業を運営する場合、台湾子会社と外国会社の支店とでは、設立・登記、責任、税務の仕組みが異なります。また、外国投資の許可や会社・支店の登記に要する期間も、案件や補正の有無によって変わります。まず、事業モデルと、化粧品製造・輸入業者として責任を負う主体を定める必要があります。
- PIFとは何ですか。TFDAの製品登録と同じ手続ですか?
- 同じ手続ではありません。製品登録は、TFDAの化粧品製品登録プラットフォームで行う別個の手続です。PIFは、品質、安全性、組成、標榜する機能、製造方法、試験結果、安全性評価等に関する資料をまとめ、化粧品製造・輸入業者が作成・更新・保存するファイルであり、PIF自体をTFDAへ事前に提出する制度ではありません。2026年7月1日から、原則としてすべての化粧品がPIF制度の対象となり、工場登記を免除される製造場所で製造された固形手作り石けんは例外です。
- 台湾の化粧品広告では、どのような表現に注意すべきですか?
- 広告は、文言だけでなく、名称、文字、画像、記号、音声等の表現全体を基準に判断されます。虚偽・誇大な表現と医療的効能の標榜は禁止されており、ニキビの治療、抗炎症、殺菌等の医療的な表現には特に注意が必要です。行政上の過料は、虚偽・誇大広告の場合はNT$4万~NT$20万、医療的効能を標榜した場合はNT$60万~NT$500万です。インフルエンサー等の投稿も、実質的に広告であれば同じ基準で確認する必要があります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



