台湾での会社設立の基礎:子会社・支店・代表者事務所、手続と就業許可
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台湾での会社設立の基礎:子会社・支店・代表者事務所、手続と就業許可

約12分
ファイルを開いて書類に目を通す場面女性が机の上の緑色のファイルを開き、中の書類に目を通します。音声のない6秒の映像です。架空の情景

製造、流通、情報通信、専門サービス。事業の中身が違えば、日本企業や個人事業者の台湾市場への入り方も変わります。目的は同じ「台湾で事業を始める」でも、誰とどんな契約を結び、どの組織で収益を受け取り、現地で誰が働くかによって、整える法律関係が違ってくるからです。

手続は一本の線になっていません。登記、外国投資の審査、銀行口座、税務、営業場所、就業許可、居留。互いにつながってはいても、それぞれ別個の手続です。登記を終えても投資額の審査や業種別の許認可がすべて済むことにはならず、株主や経営責任者が翌日から台湾で働けるようにもなりません。

だから順番が大切です。事業モデル、投資者と本店の所在地、想定する取引、資金の流れ、人員配置、営業場所。これを最初にまとめて見ておくと、後の手戻りが減ります。

1. 台湾への進出形態:子会社・支店・代表者事務所

台湾子会社(有限公司・股份有限公司)は台湾法上の独立した法人です。外国会社の台湾支店は独立した法人格を持たず、外国会社の一部として台湾で営業します。代表者事務所は営利活動の拠点にできず、外国会社のための法律行為や連絡業務に限られます。責任、税務、許認可、政府調達への参加資格は、組織形態と個別案件で変わります。

子会社は親会社と別の法人格を持ちます。自分の名義で契約を結び、権利義務の主体になります。有限公司と股份有限公司のどちらにするかは、出資持分または株式の構成、機関設計、意思決定の仕組み、資金調達計画を見て決めます。ただし、子会社が独立した法人だからといって、責任が常に子会社だけで止まるとは限りません。保証、担保、親会社との契約、取締役の責任といった個々の法律関係は別に確認します。

支店は外国本店が台湾で営業するための組織です。株主はいません。本店の一部なので、本店が支店の債務と責任を負います。台湾支店と本店の間の資金移動、利益送金、会計処理、税務上の扱いは、子会社からの配当と同じ仕組みで考えないほうが安全です。

代表者事務所は、市場調査、連絡、交渉の支援、外国会社のための法律行為など、許された範囲で活動する拠点です。台湾で販売や役務提供といった営業活動はできません。実際の業務が受注、代金の受領、反復的なサービス提供へ広がるなら、名称にこだわらず、子会社か支店が必要かを改めて考えます。

比べるときの軸は責任だけでは足りません。資本構成、利益の分配と送金、税務、業種別の許認可、雇用関係、政府調達への参加要件を一緒に見ます。特定の入札や許認可で台湾法人、資本金、実績、登録の要件が求められるときは、組織の名称だけで参加の可否を判断せず、該当する法令と公告に当たります。

配当、利子、使用料を日本の親会社と台湾の子会社の間で動かすときは、台湾の国内法上の源泉徴収と、日本との間の租税取決めの適用要件を事前に見ておきます。取決めの内容と手続は財政部と国税局の案内にあり、ここでは扱いません。

2. 台湾子会社設立の主要な手続

設立は、一般に会社の中国語名称と営業項目の予備審査から始まります。外国人投資の審査、口座開設と送金、投資額の審査確定、会社設立登記、税籍登記へと続きます。下のリストは全体の流れをつかむための概要で、どの案件にも同じ順序と期間が当てはまるという意味ではありません。

  1. 会社の中国語名称および営業項目の予備審査

  2. 委任状その他の外国文書の公証・認証(必要に応じて台湾の在外機関による認証)

  3. 経済部投資審議司への投資申請(該当する場合)

  4. 会社設立用の準備口座開設

  5. 国外からの投資資金送金

  6. 投資額審定

  7. 会社設立登記

  8. 税籍登記

  9. 準備口座から正式口座への切替え

  10. 輸出入、業種別許認可、就業許可・居留等の追加手続(該当する場合)

予備審査は、使う名称と予定する事業を登記前に確認する段階です。通ったからといって、その業種に必要な別の許可をすでに受けたことにはなりません。予定する場所ですぐ営業できることにもなりません。外国人投資の申請が必要な場合は、投資者、投資額、出資対象、事業計画を審査資料と一致させます。

認証が要る外国文書もあります。委任状、法人の存続証明、代表権を確認する書類などで、発行地と書類の性質によって、公証・認証または台湾の在外機関による認証の経路が変わります。翻訳文、署名権者、法人名の表記が申請書と合っているかも見ます。書類を取る前に有効期間と認証の経路を整理しておくと二度手間になりません。

送金の段階では銀行が動きます。準備口座の開設と投資資金の送金では、銀行が顧客確認の一環として実質的所有者と資金の出所を確認することがあります。送金者、送金目的、投資承認の内容、入金口座が食い違うと、追加の説明や補正を求められます。その後は、実際の投資額に対する審査確定(投資額審定)を経て会社設立登記と税籍登記を進め、銀行の手続に従って準備口座を正式口座に切り替えます。資本金の送金と口座の切替えは資本金の送金と準備口座に、投資審査と登記住所の関係は投資審査と登記住所に分けて書きました。

期間は案件で変わります。組織形態、投資額、業種、審査内容、銀行手続の進み具合、補正の有無。どれも日数に響きます。輸出入登録、工場・製品・専門業種の許可、外国人の就業許可と居留の申請のように、会社設立の後に進める手続もあります。契約締結日や営業開始日を決めるときは、登記だけで判断せず、これらの後続手続がいつ終わるかまで見ておきます。

3. 業種と営業場所の事前確認

多くの業種で外国投資は可能です。それでも、禁止・制限業種、専門資格、営業場所の制限、業種別の許認可は別に当たります。医療機器、酒類、旅行、建設、専門サービスのように監督官庁の許可・登録や資格が絡む分野では、実際に提供する商品・サービスと取引の構造を基準に、適用される規定を調べます。

登記に営業項目を書けることと、その営業をすぐ始められることは別です。会社名と営業項目の予備審査、会社設立登記、税籍登記、業種別の許認可は、それぞれ目的が違います。オンライン販売とオフライン店舗、輸入と国内流通、直接サービスと仲介サービスのように運営方式が違えば、必要な登録も責任も変わります。

所在地は郵便物の受取先にとどまりません。登記、税務、実際の営業の基礎になります。賃貸借契約を結ぶ前に、予定する住所と営業項目について、土地使用分区、建築管理、賃貸借条件、税籍登記上の適合性を見ます。建物の用途や管理規約が事業に合わない、必要な賃貸人の同意が得られない、という場合は、登記後でも場所の変更や追加手続が必要になります。

台北市には営業場所事前照会(營業場所預先查詢)の制度があり、対象となる会社・商業登記の申請には照会結果を添付します。照会結果が出ても、他の許認可や専門法令上の要件まで満たしたことにはなりません。手続の中身は台北市の営業場所事前照会に書きました。他の地域に所在地を置く場合は、その地方政府と所管官庁の手続を確認し、長期の賃貸借契約や施設投資の前に、場所の適合性を書面で押さえておきます。

4. 就業許可・居留資格・資本金

申請者、株主、台湾で実際に働く人、居留の申請者。同じ一人であっても、法的には分けて考えます。投資の承認は資本の流入を、就業許可は外国人の業務遂行を、居留証は在留目的と期間を、それぞれ別に審査するからです。

会社設立と就業許可・居留資格

設立だけでは働けません。台湾で会社を管理・運営する外国人は、職務、出資関係、雇用主の事業実績などについて就業許可の要件を満たし、許可を取った後にその在留目的に応じた居留証を別に申請します。

学生でも投資・会社設立は申請できます。しかし投資者や株主になったことは、現在の在留資格で台湾での就労や会社経営が認められていることを意味しません。実際に契約を結び、従業員を指揮し、日常の経営業務を担うのであれば、業務を始める前に就業許可の対象と要件を押さえます。

審査は総合的です。申請者の職務と資格、会社での役割、投資関係、雇用主の事業実績、提出資料。就業許可を取った後も、居留証は在留目的に応じて別に申請し、各許可の有効期間と更新要件は、その処分と当時の法令を基準に確認します。

会社の資本金と外国籍経営責任者の就業許可

会社法に一律の最低資本金はありません。ただし、業種別の最低資本額、事業計画の合理性、銀行審査、就業許可上の雇用主要件は別に見られます。外国人投資事業の外国籍経営責任者に関する就業許可は、華僑または外国人が保有する当該事業の株式または出資額の合計が、発行済株式総数または資本総額の3分の1を超える会社の経営責任者(經理人)、外国会社の台湾支店の経営責任者、代表者事務所の代表者などが対象です。このうち、会社または支店の雇用主が設立1年未満の場合は、払込資本金または台湾における運転資金50万新台湾ドル(NT$)以上、売上高NT$300万以上、輸出入実績50万米ドル以上、または代理手数料20万米ドル以上のいずれかが原則です。設立1年以上の場合は、台湾における直近1年または直近3年平均について、売上高NT$300万以上、輸出入実績50万米ドル以上、または代理手数料20万米ドル以上のいずれかが原則です。代表者事務所は、設立1年以上であれば台湾における業務実績が必要です(設立1年未満は免除)。台湾経済の発展に実質的に貢献する場合や、事情が特殊な場合には、特別認定の余地もあります。

上の数値は雇用主要件です。会社設立に一律に適用される最低資本金として読むと間違えます。業種別の法令で別に資本金や保証金が求められることがあり、銀行は事業計画と取引リスクを独自に審査します。基準を満たしても就業許可が自動的に出るとは限らず、申請者の実際の職務、経歴、提出書類など他の要件も合わせて審査されます。設立時の資本金をいくらにするかは、この雇用主要件から逆算するのが実務で、費用の全体像は会社設立の費用にまとめました。

家族の居留は別の申請です。就業許可などに基づく居留証を持つ外国人の配偶者と未成年の子は、要件を満たせば依親居留を申請できます。婚姻関係や親子関係、扶養、在留目的を証明する書類が必要になることがあり、家族の居留資格が自動的に付くことはありません。

永久居留には年数と日数の両方が要ります。一般の外国人は、原則として台湾で5年連続して合法的に居留し、各年183日以上滞在するなどの要件を満たす必要があります。外国専門人材などには別の算定基準があり、素行、資産・技能などの他の法定要件も審査されます。要件算定で除外される滞在期間や申請時点の要件も個別に確認するもので、就業許可や居留証を5年間持っていたという事実だけで永久居留が認められることはありません。

5. 税金

営業税は一般税率が5%で、通常は2か月ごとに申告します。営利事業所得税の一般税率は20%ですが、実際の課税は課税所得と適用規定で変わります。非居住者に支払う配当の台湾国内法上の源泉徴収率は21%です。日本との租税取決めの適用要件と手続を満たす場合に軽減税率が使えるかどうかは、居住者区分、受益所有者、所得の種類、適用書類を確認して処理します。

二つの税は仕組みが違います。営業税は売上にかかり、営利事業所得税は課税所得にかかるので、申告方法も分けて考えます。国外の株主や関係会社に配当、利子、使用料、役務対価を支払うときは、支払の性質と受取人の地位、国内法上の源泉徴収規定、租税取決めの適用可能性を事前に見ておきます。

軽減税率は自動では適用されません。納税者が取決め上の居住者に当たるか、受益所有者に当たるか、所得の法的性質は何か、提出する居住者証明書や申請書類は何かを確認します。取引構造と契約書、請求書、実際の業務、代金の流れが互いに一致するように管理し、申告期限と証憑の保管も別に点検します。

公式資料

資料の確認日:2026年10月6日(台湾時間)。就業許可の雇用主要件は審査標準第38条・第39条の数字で、業種別の許認可・銀行審査は含みません。

関連する業務範囲は台湾投資・会社設立サービスで、担当弁護士の経歴と対応言語は曾雋崴弁護士のプロフィールで確認できます。相談のときに手元にあると早いのは、事業計画の概要、出資者の登記事項証明書、台湾で働く予定の人の経歴です。昊鼎国際法律事務所は、組織形態の選択から投資申請、就業許可までを日本語で引き受けています(wei@hoveringlaw.com.tw)。個別の事案はご相談・お問い合わせから受け付けています。

本稿は、台湾での会社設立と関連制度を一般的に説明する資料で、個別の事案に対する法律・税務上の助言には当たりません。投資構造、業種、申請者の国籍・在留資格、所管官庁の最新の実務によって必要な手続と結果は変わります。

よくある質問

台湾で会社を設立する際、子会社・支店・代表者事務所はどのように異なりますか?
台湾子会社(有限公司・股份有限公司)は台湾法上の独立した法人です。外国会社の台湾支店は独立した法人格を持たず、外国会社の一部として台湾で営業します。代表者事務所は営利活動を行う拠点ではなく、外国会社のための法律行為や連絡業務に限られます。責任、税務、許認可および政府調達への参加資格は、組織形態と個別案件によって変わります。
会社を設立すれば、台湾の就業許可や居留資格を取得できますか?
会社設立だけで就業許可または居留資格が得られるわけではありません。台湾で会社を管理・運営する外国人は、職務、出資関係、雇用主の事業実績などについて就業許可の要件を満たし、許可取得後にその在留目的に応じた居留証を別に申請します。
就業許可と居留証を取得するには最低資本金が必要ですか?
会社設立自体について一律の法定最低資本金はありません。ただし、業種別の最低資本額、事業計画の合理性、銀行審査および就業許可上の雇用主要件は別に見られます。外国人投資事業の外国籍経営責任者に関する就業許可は、華僑または外国人が保有する当該事業の株式または出資額の合計が、発行済株式総数または資本総額の3分の1を超える会社の経営責任者(經理人)、外国会社の台湾支店の経営責任者、代表者事務所の代表者などが対象です。会社または支店の雇用主が設立1年未満の場合は、払込資本金または台湾における運転資金50万新台湾ドル(NT$)以上、売上高NT$300万以上、輸出入実績50万米ドル以上、または代理手数料20万米ドル以上のいずれかが原則です。設立1年以上の場合は、台湾における直近1年または直近3年平均について、売上高NT$300万以上、輸出入実績50万米ドル以上、または代理手数料20万米ドル以上のいずれかが原則です。代表者事務所は、設立1年以上であれば台湾における業務実績が必要です(設立1年未満は免除)。台湾経済の発展に実質的に貢献する場合や、事情が特殊な場合には、特別認定の余地もあります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。