銀色の霧に包まれた広いコンクリートの岸壁の左寄りに、白樺合板の淡い色の小さな木箱が一つ置かれ、藍色のベルトが1本掛けられている。岸壁の右側には何もない。
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台湾から米国へ出す半導体部材の原産地声明書――「YT」と書ける加工、書けない加工

約4分

AIで生成した架空の情景です。実在の企業、施設、人物を写したものではありません。

「申告欄はYTですか、NTですか。YTなら声明書の正本もお願いします」。架空の例ですが、日本の専門商社の台湾子会社が、米国の半導体工場へ送る装置用の配管ユニットを出荷する直前に、通関業者からこう聞かれたとします。部品は日本と東南アジアから届き、台湾の倉庫で組み立てて検査し、箱に詰めました。

台湾で組み立てたのだからYT、と即答したくなりますが、2026年10月5日時点の条文と公表資料に照らすと、答えは部品表と原価表を見るまで出せません。

2025年5月7日から、台湾産品の米国向け輸出に声明書

経済部国際貿易署(貿易署)は2025年4月24日の公告で、同年5月7日から、米国へ輸出する台湾産品の一般輸出申告(報単類別G3、G5、D5、B8、B9)に「輸美國貨品原產地聲明書」(以下、声明書)を添えるよう求めました。米国の関税で税率の高くなった国の製品が、産地表示の付替えや再包装、簡単な加工を経て台湾から米国へ回るのを防ぐためだと、経済部は説明しています。

輸出申告書には、台湾産なら「YT」、そうでなければ「NT」を記入し、記入がなければ税関は申告を受理しません(財政部関務署、2025年5月2日)。声明書(公告の附件1)では、輸出者が台湾産と言える根拠の条文を選び、貨物の本体か包装に「臺灣製造」など(同じ意味の外国語でも可)と表示したことも声明します。事実と違えば一切の法的責任を負うと誓約し、輸出者と代表者の印を押します。

2026年7月1日からは、書類審査も検査もないC1の通関に限り、電子窓口の關港貿單一窗口(MI54)でオンライン提出できます(航貿週刊、2026年7月15日)。ただし関務署の問答集(2026年6月30日付)によれば、従業員や通関業者には委ねられず、輸出者が電子証明書で署名します。「通関業者に任せてあります」が通らない書類です。

分類番号の上6桁か、35%を超える付加価値率か

台湾産と言えるのは、台湾で完全に生産された貨物か、他国の原材料や工程が関わる場合は台湾で最後の実質的変更(實質轉型)が生じた貨物です(原產地證明書及加工證明書管理辦法第3条)。第5条は、貿易署が別に認定する場合を除き、実質的変更を二つの場合に限ります。一つは、加工後の貨物と原材料とで、台湾の輸入税則の番号の上6桁が異なる場合。もう一つは、番号が変わらなくても、付加価値率が35%を超えるか、特定の貨物について貿易署が公告した重要工程を満たす場合です。付加価値率は、輸出価格(FOB)から直接・間接に輸入した原材料・部品の価格(CIF)を引き、輸出価格で割って求めます。

同条は、それだけでは実質的変更とみなさない作業も挙げています。販売や出荷のための仕分け、詰替え、包装、ラベルの貼替え。簡単な切断や簡易な接合・組立。性質を変えない検査。箱とラベルを替えても、貨物の国籍は変わりません。

冒頭の配管ユニットでは、まず組立が「簡易」かどうかが問われますが、その線を数値で示す規定は同条にありません。番号が変わらなければ計算です。仮に輸出価格が100、輸入部品が60なら付加価値率は40%。値引きで輸出価格が90になると33.3%に下がります。営業の値引きが、原産地の判定まで動かすわけです。

基準に届かない貨物は「NT」と申告します。声明書は輸出を制限するものではない、というのが経済部の説明です。米国の税関が台湾産と認めるかは米国の規則で決まる別の問題で、経済部も同じ発表で、輸出前に米国の顧客とよく話し合うか、米国税関に原産地の事前判断を申請するよう呼びかけています。

虚偽の台湾製表示に申告書1件ごと60万台湾元の過料と、契約に残す根拠

貿易法第17条は産地の不表示や虚偽表示を禁じています。第28条により、違反した輸出入者には、警告、6万~300万台湾元の過料(罰鍰)、または1か月~1年の輸出入停止を科すことができ、重大な場合は輸出入業者の登記の廃止もあり得ます。

経済部の2026年9月7日の発表によると、関務署が2025年4月1日に迂回輸出の査察チームを設けてから貿易署へ送った、米国向け貨物の産地虚偽表示の疑い428件について、貿易署は257件の処分を終えました。台湾産でないのに台湾製と表示した案件には、輸出申告書1件ごとに60万台湾元の加重した過料を科しています。声明が虚偽で刑事法令に触れる場合は、税関が法務部調査局へ送るとも説明しています。

商社が輸出者なら、自社で造っていない貨物について、仕入先の工程と原価を根拠に印を押すことになります。仕入契約に残したいのは、管理辦法第3条・第5条のどの基準で台湾産と言えるのか、裏付けとなる部品表と輸入原材料の番号・価格、調達先や工程を変える前の通知、調査への協力です。貿易署は輸出入者に業務上の資料の提出を求め、必要なら検査もでき、輸出入者は拒めません。検査員が職務の証明書類を示さない場合は、検査を拒めます(貿易法第24条)。原価を見せたがらない仕入先とは、開示の範囲をNDAで決める話になります。販売契約では、台湾の基準による原産地の保証と、米国での関税上の扱いを分けて書くかどうかが論点です。

YTとNTは二文字ですが、その裏には分類番号と原価の計算、そして会社の印があります。

台湾からの輸出と原産地の整理について相談をご希望の場合は、昊鼎国際法律事務所のパートナー弁護士、曾雋崴(Wei Tseng)へ、まず機密情報を含まない概要をwei@hoveringlaw.com.twにお送りいただけます。台北事務所:103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2。

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参考資料

資料確認日:2026年10月5日(台湾時間)。対象となる報単類別、通関方式ごとの提出方法、処分件数は公告や発表で変わるため、出荷時点の公表で確認が必要です。

本稿は一般的な情報であり、個別案件への法律意見ではありません。資料最終確認日:2026年10月5日(台湾時間)。

よくある質問

台湾の倉庫で検品・詰替え・ラベル貼りをした貨物は、米国向けの輸出で台湾産(YT)と申告できますか。
その作業だけでは台湾産と申告できません。原產地證明書及加工證明書管理辦法第5条は、販売・出荷のための仕分け、詰替え、包装、ラベルの貼替え、簡易な組立、性質を変えない検査だけを行った貨物を、実質的変更に当たらないものとみなしています。台湾産と言えるのは、台湾で完全に生産された貨物のほか、台湾での加工によって関税分類の上6桁が原材料と変わる場合や、付加価値率が35%を超える場合などです。当てはまらない貨物は輸出申告で「NT」と申告します。米国の税関が台湾産と認めるかどうかは、米国の規則で決まります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。