朝の光が差す木の机に、閉じたノートパソコンと朱肉、無地の紙が置かれている。
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日本から台湾の口座へ送金した後、台湾で告訴できるのか

約4分

AIで生成した架空の場面です。実在の人物、書類、金融機関の画面や被害事例を撮影したものではありません。

以下は架空の話で、実在の事件や人物とは関係ありません。大阪の会社員Aさんは、日本の銀行から台湾の口座へ送金した翌日、「出金には手数料の先払いが必要」と言われました。入金のときは一晩で済んだ手続が、出金のときだけ何度も追加の支払いを求めてくる。そう気づいたAさんの次の疑問は、台湾の警察に届けるには台湾へ飛ぶしかないのか、でした。

告訴は台湾の弁護士に委任して、日本から進める道があります。ただし本人の出頭を求められる余地は残り、お金が戻るかどうかは別の問題です。

届出、告訴、資金の凍結は別の手続

台湾では、警察に被害を届ける「報案」と、犯人の処罰を求める「告訴」を区別します。詐欺(刑法第339条)の被害者は告訴でき(刑事訴訟法第232条)、告訴は書面か口頭で、検察官または司法警察官に対して行います(第242条)。台北市政府警察局は、電話の165だけでは届出は完了せず、「受(處)理案件證明單」を得て完了すると案内しています。日本から届出を完了させる方法を定めた公的な案内は、今回は確認できませんでした。書面での告訴は条文が認めているので、次に見る代理人を通じた告訴状の提出が、現実的な候補になります。

日本の警察は、詐欺かもしれないと不安を感じたときの窓口として警察相談専用電話を案内しています(警察庁。日本の機関の案内です)。ただ、台湾の口座への送金がどう扱われるかまでは、その案内から分かりません。送金元の銀行にも、早めに事情を伝えておくのが実務上の対応です。

資金を止める仕組みは、告訴とは別にあります。警察は詐欺の調査のため、疑わしい口座を「警示」に指定して取引を停止するよう金融機関へ通知でき(詐欺犯罪危害防制條例第9条第4項)、通報を受けた受取銀行は、通報された資金を「圈存」(引き出せないよう保留)し、監視を続けます(第10条)。被害者が送金したお金のうち、まだ引き出されていない残額は、警察の通知に基づいて返還できると定められ、条件は別の規則に委ねられています(第11条)。止める通知を出すのは警察で、返還の対象は引き出されていない残額です。

事件を扱う裁判所は、犯罪地または被告の住所・居所・所在地で決まります(刑事訴訟法第5条)。出金の場所や口座の名義人が分からないうちは、その特定から始まります。

日本で署名した委任状と、本人の出頭

告訴は代理人に委任できます。委任状(条文では「委任書狀」)は検察官または司法警察官に提出します。ただし、必要と認めたときは、検察官または司法警察官が本人に出頭を命じることができます(第236条の1)。委任状は、台湾に行かなくてよいことの保証にはなりません。

委任状に公証や認証まで必要かは、この条文からは分かりません。外交部領事事務局は、外国で作成した文書は作成国での前置手続(公証など)を済ませてから、台湾の在外公館で認証(驗證)を受けるよう案内しています(領事事務局、2017年8月掲載)。日本での認証は台北駐日経済文化代表処が扱い、担当地域は事務所ごとに分かれます(同代表処の案内)。提出先が何を求めるかを弁護士に確認してから公証の予約を入れると、二度手間になりません。細かい手順は海外から台湾の弁護士に仕事を頼むとき、先に確認することにまとめています。

附帯民事訴訟の相手は、起訴された被告

犯罪で損害を受けた人は、刑事手続の中で、被告と民法上の賠償責任を負う人に損害の回復を請求できます(附帯民事訴訟、第487条)。時期は起訴後で、第二審の弁論終結前までです。ただし、第一審の弁論終結後から上訴前は提起できません(第488条)。裁判所が複雑で長引くと見れば民事部へ移送することがあり、移送された事件では、裁判所に納める手数料(裁判費)が免除されます(第504条)。

実例に、新北地方法院113年度附民字第2177号判決(2024年12月18日)があります。原告は他人名義の口座(人頭帳戶)に送金して被害に遭い、出金役(台湾でいう「車手」)とされた被告に賠償を求めました。裁判所は、起訴状ではこの被害に関して被告が起訴されていないとして請求を退け、同じ事件の別の被告に対する部分は、別に民事部へ移しています。下級審の一事例で、すべての附帯民事に当てはまる判断ではありません。誰が起訴され、その人に賠償の資力があるかで、結果は変わります。

告訴は日本にいても進められる可能性がありますが、お金が戻る保証も、台湾へ行かずに済む保証もありません。

個別の事情を確認したい場合は、昊鼎国際法律事務所の曾雋崴弁護士へメールでご相談ください。送金の日時・金額・受取口座と、やり取りの記録があれば添えてください。メールは wei@hoveringlaw.com.tw、住所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2(台北市大同区承徳路一段35号7階の2)です。

参考にした公的資料

2026年10月5日確認。台湾の法令は全国法規資料庫(法規整編資料は民国115年9月24日まで)の現行条文で確認しました。

よくある質問

日本から台湾の弁護士に頼めば、台湾へ一度も行かずに済みますか?
行かずに済むとは限りません。告訴は代理人に委任できますが、検察官または司法警察官が必要と認めるときは、本人に出頭を命じることができます(刑事訴訟法第236条の1)。証人として尋問される場面では、証人が出頭できなければ、証人のいる場所またはその所在地の裁判所で尋問できます。音声と映像を相互に送受信できる設備があり、裁判所が適当と認めれば、その設備でも尋問でき、この規定は捜査段階にも準用されます(第177条)。ただし、証人が国外にいる場合にこれらの方法を使うかどうかは条文に書かれておらず、裁判所や検察官の判断になります。適法な召喚に正当な理由なく応じない証人には、3万台湾ドル以下の過料と勾引があり得ます(第178条)。日本から行けない事情があれば、弁護士を通じて早めに伝えます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。