3日。台湾で外国人社員との雇用関係が終わったとき、前の雇用主が地元の労働当局、移民当局、警察に書面で知らせるまでの期限です(就業服務法第56条第1項)。台湾国内での転職は、この通報を起点に日程を組むことになります。
退職を申し出る前に:誰が何を申請するのか
台湾で外国人が働くには、この法律に別の定めがない限り、雇用主の申請で得た許可が要ります(第43条)。許可の有効期間中に勤め先を変えるなら、許可を申請するのは新しい雇用主です。その際、外国人の離職証明文書を添えます(第53条第1項)。条文には、前の雇用主の同意という要件はありません。台湾の法人が申請して許可を得ている人なら、その法人が「前の雇用主」になります。
ゴールドカードを持っている人は、ここで話が変わります。就業ゴールドカードは就業許可・居留ビザ・外僑居留証・再入国許可を一枚にまとめたもので(外國專業人才延攬及僱用法第9条)、移民署の案内によれば個人単位の就業許可として機能します。転職しても、新しい会社が雇用許可を申請する必要はありません。カードの仕組みは「台湾の就業ゴールドカード」にまとめています。
最終出勤日までに:服務証明書
前の会社が書類を出し渋ったら、転職は止まってしまうのでしょうか?労働契約が終わるとき、労働者が服務証明書(勤務証明書)を求めれば、雇用主もその代理人も拒めません(勞動基準法第19条)。拒んだ雇用主には、2万〜30万台湾ドルの過料が科されます(第79条第3項)。記載内容や請求の仕方は「台湾で退職した後の勤務証明書」で扱いました。
ただし、第53条第1項が新しい会社に添付を求めているのは「離職証明文書」です。服務証明書がそのまま使えるかは条文からは分かりません。申請先の要件を見て決まります。
退職の申し出をいつまでにするかは勤続期間しだいです。詳しくは「台湾の会社を辞めるとき何日前に伝えるか」で扱いました。
最終出勤日の翌日から:許可と居留
雇用関係の終了は、それ自体が就業許可の取消事由です(第73条第3号)。第74条第1項は、許可を取り消された外国人について、この法律に別の定めがない限り出国を命じ、台湾で再び働くことを認めないと定めています。
就労を理由に居留している人なら、移民署は、居留の原因が消えたとして居留許可を取り消し、居留証を抹消します(入出國及移民法第31条第4項)。同じ項は居留の継続を認めることができる九つの場合を挙げており、台湾の雇用主との労働紛争で争訟手続が進んでいる人や、職業災害の治療中の人がこれに当たります。
新しい許可が出るまで
新しい会社で働き始めてよいのは、許可が出てからです。順番は逆にできません。それより前に働けば第43条違反で、外国人本人に3万〜15万台湾ドルの過料が科されます(第68条第1項)。同じ条の第3項は、違反した外国人に出国を命じ、台湾で再び働くことを認めていません。
受け入れる側も無傷では済みません。許可のない外国人を雇った会社には15万〜75万台湾ドルの過料があり、5年以内に繰り返せば刑事罰の対象です(第57条第1号、第63条)。
工場・介護・漁業の外国人労働者は別の枠組み
漁業、家事・介護、労働部が指定する製造・建設などの外国人労働者(第46条第1項第8号〜第11号)について、第53条第4項は雇用主の変更を原則として認めていません。例外は第59条の四つの事由で、労働部の承認が要ります。逆向きの移動にも制限があります。第46条第1項第1号〜第7号の仕事(専門職、教師、船員など)をしてきた人は、転職や職種の変更を機にこれらの仕事へ移ることができません(第53条第3項)。
台湾の弁護士に頼めること
台湾の弁護士には、退職の申し出から新しい許可までの日程を、今の許可の有効期間と照らし合わせて組む段階から相談できます。前の会社が服務証明書を出さなければ書面で求め、賃金や退職金で折り合わなければ労働調停や訴訟に進みます。昊鼎国際法律事務所の曾雋崴弁護士へはwei@hoveringlaw.com.twで連絡でき、事務所は台北(103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)と台中(40453 臺中市北區館前路19號6樓之1)にあります。第53条第1項が想定しているのは、前の許可がまだ有効な期間中の転職です。
参照した公的資料
確認日:2026年10月22日
- 就業服務法第43条、第46条、第53条、第56条、第57条、第59条、第63条、第68条、第73条、第74条(2025年1月20日改正後の現行条文)。
- 勞動基準法第15条、第16条、第19条、第79条。
- 入出國及移民法第31条。
- 外國專業人才延攬及僱用法第9条。
- 内政部移民署サイト(news.immigration.gov.tw)、Employment Gold Card: Work-Related FAQs(2025年1月12日)。
よくある質問
- 服務証明書(勤務証明書)と「離職証明文書」は同じものですか。
- 条文上は別の言葉です。服務証明書は、労働契約が終わるときに労働者が求めれば雇用主が拒めない書類です(労働基準法第19条)。離職証明文書は、新しい雇用主が許可を申請するときに添える書類です(就業服務法第53条第1項)。服務証明書でこの添付書類に足りるかどうかは条文に書かれていないため、申請先の要件で確かめることになります。
- 退職は何日前に申し出ればよいですか。
- 期間の定めのない契約なら、勤続3か月以上1年未満で10日前、1年以上3年未満で20日前、3年以上で30日前です(労働基準法第15条第2項、第16条第1項)。期間の定めのある契約では扱いが変わります。
- 最終出勤日の後、居留証はどうなりますか。
- 居留の原因が消えると、移民署は居留許可を取り消して居留証を抹消します(入出國及移民法第31条第4項)。台湾の雇用主との労働紛争で訴訟中の人、職業災害の治療中の人などは例外として居留を続けられることがあります。新しい勤務先に移った後は、30日以内に勤務先の変更を登録します(同条第6項)。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



