3か月。台湾で子が生まれたとき、日本人の親が日本へ出生届を出す期限です。父か母が日本人なら子は日本国籍を取得しますが、台湾人の親の国籍もあわせて取得するので、出生届と一緒に国籍留保を届け出なければ、生まれた時にさかのぼって日本国籍を失います(法務省「国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A」Q8)。届出先として同じQ&Aが挙げるものの一つが、本籍地の市区町村役場です。
名の漢字は二つの基準を通す
出生届を書く前に、名前の字を決めることになります。日本の法務省は、常用漢字表と人名用漢字表の漢字を子の名に使えると案内しています(子の名に使える漢字)。台湾の戸籍に載る中文姓名にも条件があります。外国人と結婚した台湾国民の子の中文姓名は、台湾の国民の姓名の習慣に合わなければならず、字は辞源・辞海・康熙字典などの通用字典か教育部の国語辞典にあるものに限られます(姓名条例第1条第5項、第2条)。字典にない字は登記されません。日台で同じ字を使いたいなら、日本の二つの表にあり、台湾の字典にも載っている字から選ぶことになります。
姓名の並びにも決まりがあり、姓が先で、姓と名の間に空白や記号は入れられません(同条例第3条)。この規定で取った中文姓名は、のちに一度だけ変更を申請できます(第1条第6項)。
戸籍の氏は自動では台湾と合わない
日本人の親が外国人と結婚しても、その人の氏は当然には変わりません。婚姻から6か月以内なら届出だけで外国人配偶者の氏に変えられ、6か月を過ぎると家庭裁判所の許可を得てから届け出ます(同Q&A Q6)。
子については別の手続です。父または母が外国人である人が、その外国人親の氏を名乗るには、家庭裁判所の許可が必要です。戸籍の筆頭者とその配偶者はこの扱いから外れ、15歳未満の子は法定代理人が申し立てます(裁判所「氏の変更許可」)。台湾に住んだまま申し立てるなら、日本での最後の住所地の家庭裁判所が窓口になります。子のように日本に住んだことがなければ、東京家庭裁判所です。
「陳」と台湾で登記しても、それだけで戸籍の氏が「陳」になるわけではありません。親自身の氏をどうしたかによって子の扱いも変わり得るので、手続の前に本籍地の市区町村に確かめておくと確実です。
台湾側の60日
台湾側の期限は、日本の3か月とは別に進みます。出生時に父か母が中華民国国民なら子は台湾の国籍を持ち(国籍法第2条)、台湾で生まれた12歳未満の国民は出生後60日以内に出生登記をします(戸籍法第6条、第48条)。
姓はその登記の前に決めます。民法第1059条第1項は、父母が出生登記の前に、子が父の姓と母の姓のどちらを名乗るかを書面で約定すると定めています。約定がないか話がまとまらなければ、戸政事務所でくじを引きます。内政部戸政司の案内によれば、約定は出生証明書の下の從姓約定欄に父母がそれぞれ署名か押印をすれば足り、そこに書かなければ子女從姓約定書を別に出します。出生証明書は原本が必要です(出生登記申辦須知)。決めた姓は、未成年の間に父母の書面約定で一度、成年後に本人が一度変えられます(同条第2項〜第4項)。
日本の戸籍謄本などを台湾で使うなら、台北駐日経済文化代表処など台湾の在外機関の認証と、在外機関の認証または台湾の公証人の認証を受けた中国語訳が要ります(戸籍法施行細則第14条)。
60日を過ぎても受理はされますが(戸籍法第48条第2項)、正当な理由がなければ300〜900台湾ドル、催告後も申請しなければ900台湾ドルの過料です(戸籍法第79条)。最後は戸政事務所が職権で登記し、婚姻中の子の姓はくじで、名は戸政事務所の主任が代わりに付けます(第48条の2、第49条第2項)。
台湾旅券のローマ字は産院の書類から
初めて台湾の旅券を申請するとき、病院が発行した出生証明書や外国政府の文書にローマ字の名前がすでにあれば、その綴りを優先して使えます。なければ中文姓名の国家言語の読みを一字ずつ音訳します。並びは姓、カンマ、名の順です。上限は空白を含めて39字です(護照条例施行細則第14条)。産院で出生証明書を受け取る段階で綴りを確かめておくと、あとから旅券の表記をそろえやすくなります。
国籍と出生登録の流れ全体は日台の赤ちゃんの国籍と出生登録にまとめています。台湾の弁護士には、出生登記と姓の約定書、登記が遅れたときの対応、台湾での姓名の変更申請、両国の書類の表記が食い違ったときの台湾側の訂正手続を依頼できます。昊鼎国際法律事務所への相談はwei@hoveringlaw.com.twで受け付けています。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2、台中事務所は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。台湾で先に出生登記を済ませても、日本への出生届と国籍留保の期限は出生日から3か月のままです。
参考にした公的資料
確認日:2026年10月22日
- 法務省「国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A」Q6、Q8。
- 法務省「子の名に使える漢字」。
- 裁判所「氏の変更許可」。
- 姓名条例(姓名條例)第1条、第2条、第3条。
- 国籍法(國籍法)第2条。
- 戸籍法(戶籍法)第6条、第48条、第48条の2、第49条、第79条。戸籍法施行細則(戶籍法施行細則)第14条。
- 民法第1059条。
- 内政部戸政司「出生登記申辦須知」。
- 護照条例施行細則(護照條例施行細則)第14条。
よくある質問
- 台湾で生まれた子の出生届は、日本へいつまでに出せばよいですか。
- 子が生まれた日から3か月以内です。子が外国人である親の国籍も取得する場合は、出生届と一緒に国籍留保の届出をしないと、生まれた時にさかのぼって日本国籍を失います(法務省「戸籍Q&A」Q8)。台湾の出生登記を先に済ませても、この3か月は出生日から数えます。
- 台湾人の夫の姓を、日本の戸籍でも子の氏にできますか。
- 父または母が外国人である人(戸籍の筆頭者とその配偶者を除く)が外国人親の氏を名乗るには、家庭裁判所の許可が必要です。15歳未満の子は法定代理人が申し立て、費用は収入印紙800円と郵便切手です。海外に住む人は日本での最後の住所地の家庭裁判所に、日本に住んだことがなければ東京家庭裁判所に申し立てます(裁判所「氏の変更許可」)。
- 子の名の漢字は、日本と台湾で同じ字にしなければなりませんか。
- そうした決まりはありません。ただ、基準は別々です。日本では常用漢字表と人名用漢字表の漢字が子の名に使えます(法務省「子の名に使える漢字」)。台湾の中文姓名は、辞源・辞海・康熙字典などの通用字典か教育部の国語辞典にある字に限られます(姓名条例第2条)。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



