転職先から入社日を尋ねられたのに、今の会社の就業規則には「退職は3か月前までに申し出ること」とあります。台中で働く日本人社員を例に考えます。入社は2022年4月です。契約に期間の定めはありません(架空の例です)。
2026年10月には約4年半の継続勤務になります。この条件なら、台湾の労働基準法(勞動基準法)が定める予告は30日前です(第15条第2項、第16条第1項第3号)。会社が求める3か月との差は、契約書と就業規則の文言を見て考えることになります。
契約書に期間が書かれているか
労働基準法第15条第2項は「不定期契約,勞工終止契約時,應準用第十六條第一項規定期間預告雇主。」と定めています。労働者が期間の定めのない契約(不定期契約)を終了させるときは、第16条第1項の期間を使って雇用主に予告しなければなりません。「應」とある以上、任意の目安ではありません。
契約に期間があれば、以下の表をそのまま使うことはできません。第15条第1項が別に定めるのは、特定の仕事について結ぶ有期契約(特定性定期契約)の期間が3年を超える場合です。3年が経過した後、労働者は契約を終了できますが、雇用主には30日前に予告しなければなりません。この規定を、すべての有期契約に広げることはできません。
継続勤務の長さで決まる三つの区分
期間の定めのない契約を労働者が終了させる場合、第15条第2項によって第16条第1項の期間を用います。区分の基準は継続勤務(繼續工作)の長さです。
| 継続勤務の期間 | 雇用主への予告の時期 | 根拠 |
|---|---|---|
| 3か月以上1年未満 | 10日前 | 第16条第1項第1号 |
| 1年以上3年未満 | 20日前 | 第16条第1項第2号 |
| 3年以上 | 30日前 | 第16条第1項第3号 |
雇用主が一定の条文に基づいて契約を終了する場面を、第16条第1項は冒頭で挙げています。労働者の退職にも同じ日数を使うのは、第15条第2項がその「期間」を準用するからです。会社側の解雇についての定めが、丸ごと労働者に移るわけではありません。
例の社員は2022年4月入社です。2026年10月には勤続4年半となり、3年以上の区分に入ります。雇用主への予告は30日前までに必要です(第15条第2項、第16条第1項第3号)。
勤続3か月、1年、3年の節目に近ければ、まず入社日と予定する退職日を並べてみてください。区分によって日数が変わります(第16条第1項第1号~第3号)。契約書だけで日付がはっきりしなければ、給与明細なども見直します。ただし、第15条第2項と第16条第1項は、区分の境目で継続勤務をいつの時点で測るかを定めていません。いったん退職して再入社した人や関連会社へ移った人なら、継続勤務がどこから始まるかも確かめる必要があります。書類上の日付だけで決めにくい場合です。
予告した日を記録に残す
予告日が後で争いになれば、送信記録が役立ちます。第15条第2項は雇用主への予告を求めますが、書面の方式までは定めていません。メールや社内システムで伝えるなら、退職の効力が生じる日を具体的に書き、送信記録を残しておくとよいでしょう。会社から受領の返事があれば、それも保管できます。口頭で先に伝えた場合も、いつ誰に何を伝えたかを後で確認できるよう、やり取りの日時と内容を残しておくと、退職日について会社と話す際の材料になります。日時が手掛かりになります。例の社員なら30日前という期間を踏まえた退職日を記します(第15条第2項、第16条第1項第3号)。これなら、会社と日付を確認するときにも同じ記録を見られます。
入社して3か月未満の場合
最初の区分は「繼續工作三個月以上一年未滿者」です(第16条第1項第1号)。第15条第2項と第16条第1項は、3か月未満の人の日数も、予告なしに辞めてよいという扱いも定めていません。契約書、就業規則、実際の勤務経過を別に確認する必要があります。
求職のための外出と予告期間の賃金
雇用主が契約を終了する場面には、別の規定もあります。第16条第2項によれば、雇用主から第1項に基づく予告を受けた労働者は、次の仕事を探すため、勤務時間中に休暇を取って外出できます。1週間の上限は2日分の勤務時間で、その間も賃金が支払われます。また、雇用主が第1項の期間どおりに予告せず契約を終了させたときは、予告期間の賃金を支払わなければなりません(第16条第3項)。
自分から辞める場合に第15条第2項が準用するのは、第16条第1項の期間だけです。求職のための外出が、この準用だけで自動的に認められるわけではありません(第16条第2項)。予告期間の賃金を支払う義務を負うのも雇用主です。労働者が予告期間に足りないまま退職したら会社に同額を払う、という規定ではありません(第16条第3項)。その場合の労働者側の責任は、これらの条文だけでは決まりません。
就業規則の「3か月前」をどう考えるか
期間の定めのない契約を終了させる労働者に労働基準法が求める予告期間は、先の表の三つの区分です(第15条第2項、第16条第1項)。契約書や就業規則(工作規則)がそれより長い期間を定めたとき、その定めが労働者を拘束するのか、早く辞めた労働者に会社が損害賠償などを請求できるのかについて、この二つの条文は答えていません。就業規則の定めが無効だとも、必ず守らなければならないとも、条文には書かれていないのです。
人事担当者には、3か月前という定めが労働契約書と就業規則のどこにあるのか示してもらうとよいでしょう。就業規則が改められていれば、会社がどの版に依拠しているかも確かめます。文書の確認が先です。会社から示された条項と、手元にある契約書・就業規則の文言が違えば、まずその違いを確認してから退職日について話すことになります。資遣費、最低勤務期間、就労許可と居留は別の問題です。例の社員について、期間の定めのない契約という条件で法律上の予告は30日前です(第15条第2項、第16条第1項第3号)。会社の3か月という定めの効力は、文書の内容と事情を踏まえて別に検討します。
台湾の弁護士に依頼できること
台湾の弁護士は、労働契約書、就業規則、入社日がわかる資料をあわせて確認し、契約が期間の定めのないものか、継続勤務が第16条第1項のどの区分に入るかを見極めることができます。区分が決まれば、退職の効力が生じる日をはっきり書いた退職の予告書を作成します。会社が就業規則を理由に退職日を遅らせようとするなら、退職日について会社と交渉します。会社が契約違反を理由に請求すると伝えてきた場合は、その根拠となる条項と主張を検討して、書面で回答します。入社3か月未満の場合や有期契約の場合のように区分表がそのまま答えにならないときは、契約書と就業規則から予告と退職に関する定めを探し、その文言が何を求めているのかを検討します。
退職の予告期間については、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)へメールでお問い合わせいただけます。事務所は台北市大同区承徳路一段35号7F-2にあります。労働契約書、入社日がわかる資料と「3か月前」と書かれた条項をあわせてお送りください。
参考にした公的資料
確認日:2026年10月16日
よくある質問
- 就業規則に「退職は3か月前までに申し出ること」とあります。台湾の労働基準法上の予告期間は何日ですか?
- 期間の定めのない労働契約なら、[労働基準法第15条第2項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=15)が[第16条第1項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=16)の期間を準用します。継続勤務3か月以上1年未満は10日前、1年以上3年未満は20日前、3年以上は30日前に雇用主へ予告しなければなりません。就業規則の3か月が労働者を拘束するか、早く辞めた場合に会社が何を請求できるかは、契約書・就業規則の文言と事情を別に検討します。
- 入社して3か月たっていません。予告なしに辞めてもよいのでしょうか。
- 期間の定めのない契約から退職する場合、[第15条第2項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=15)が準用する[第16条第1項第1号](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=16)の区分は継続勤務3か月以上から始まります。この二つの条文は3か月未満の日数も予告が不要だという扱いも定めていないため、契約書、就業規則、実際の勤務期間を確認します。
- 自分から辞める場合も、第16条の求職のための外出や予告期間の賃金の規定は適用されますか。
- 期間の定めのない契約を労働者が終了する場合、[第15条第2項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=15)が準用するのは[第16条第1項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=16)の期間だけです。[第2項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=16)の求職のための外出は雇用主から予告を受けた労働者についての規定で、[第3項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030001&flno=16)は第1項の期間どおりに予告せず契約を終了させた雇用主の支払義務です。この準用だけで外出が自動的に認められたり、その支払義務が労働者に移ったりはしません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



