台湾子会社が日本の親会社に配当を送るとき、台湾ではいくら差し引かれるのでしょうか。2026年10月時点で、台湾の国内法による税率は配当の支払額の21%です。日本の親会社が日台民間租税取決めの要件を満たせば、上限は10%になります。源泉徴収をして国庫に納めるのは、台湾子会社の側です。
国内法の21%は、子会社が支払時に差し引きます
所得税法(所得稅法)第88条第1項第1号は、会社が本店を台湾域外に置く営利事業者に配当を支払うとき、源泉徴収義務者が支払時に税額を差し引くと定めています。源泉徴収義務者は配当を支払う会社、納税義務者は外国法人の株主です(第89条)。税率を定めるのは各類所得扣繳率標準第4条で、支払額の21%です。財政部の税務ポータルは、2018年1月1日以後の支払からこの税率を適用すると案内しています(Q&A 1503)。
「支払時」は、実際の支払、口座振替、送金のときを指します。もっとも、所得税法施行細則第82条は、株主総会が配当を決議した日から6か月以内に支払わなければ支払ったものとみなし、取締役会が現金配当を決議した場合も同じとしています。
3月決算の日本の親会社が、資金繰りの都合で配当の送金を翌年1月まで延ばしたいと考えています(架空の例です)。子会社の株主総会の決議が6月なら、12月に6か月が満了し、まだ送金していなくても支払があったものとみなされます。送金を待っても、源泉徴収の時期は待ってくれません。
納付の期限は短く、10日です。差し引いた税額は、源泉徴収の日から10日以内に国庫へ納めます。同じ期間内に源泉徴収票(扣繳憑單)を税務機関に申告して確認を受け、親会社に交付しなければなりません。10日の間に3日以上続く祝日があれば、期限は5日延びます。2025年1月1日から施行されている第92条第2項の規定で、親会社が台湾に固定の営業場所を持っていても配当には同じ期限が当てはまります(同条第3項)。源泉徴収をしなかったり不足したりすると、税務機関は期限を定めて不足分の納付を命じ、その税額の1倍以下、期限内に補わなければ3倍以下の過料を科します(第114条第1号)。
日台民間租税取決めの10%
日台民間租税取決めは、2015年11月26日に、日本側の公益財団法人交流協会と台湾側の亜東関係協会が民間の取決めとして結んだものです。国税庁は、日本国が締結した条約・協定等の国際約束には当たらないと説明しています。取決めは英文で作成されており、台湾の財政部は英文と中国語訳を公開しています。両団体は2017年に名称を改め、現在は公益財団法人日本台湾交流協会(同年1月1日から)と台湾日本関係協会(同年5月17日から)です(国税庁の解説ページ)。
効力発生は2016年6月13日です。台湾の財政部によると、台湾での源泉徴収には2017年1月1日以後に支払うべき所得から適用されています(財政部の発表、取決め第28条第2項)。
配当の条文は短いものです。取決め第10条第2項によれば、配当の受益者(受益所有人)が日本の居住者であるとき、台湾が課す税額は配当の総額の10%を超えません。持株割合の要件はありません。同じ項は、配当の原資となった利益に子会社が納める税には影響しないとも定めています。
2,000万台湾元の配当なら、国内法では420万台湾元、取決めの上限では200万台湾元が台湾で差し引かれます(架空の例です)。差は220万台湾元です。
取決めが届かない場面もあります。親会社が台湾に恒久的施設を持ち、配当の元になる株式がその恒久的施設と実質的に関連していれば、第2項の上限は使えません(同条第4項)。第26条は、取決めの利益を得ることが主な目的、または主な目的の一つである活動について、減免を認めないとしています。
支払時から10%で源泉徴収してもらう書類
書類が先です。最初から10%で差し引いてもらうには、支払の前にそろえておく必要があります。適用所得稅協定查核準則第25条によれば、親会社は日本の税務当局が発行した居住者証明と、自社がその配当の受益者であることの証明を、源泉徴収義務者である子会社に提出します。子会社は源泉徴収の申告で適用する条文を明記し、これらの証明に、持株を示す書類と配当の計算表または通知書を添えます。
すでに21%で差し引かれていたら、どうなるのでしょうか。同じ準則の第34条により、親会社か子会社が、納付日から10年以内に証明書類と源泉徴収票を添えて、源泉徴収の申告を受けた税務機関に取決めの適用を申請できます。2025年4月8日の改正施行時に納付日から5年を過ぎていた税額には、改正前の規定が適用されます。
利益を社内に残すと5%が加算されます
毎年の配当決議の背景には、未処分利益への加算税もあります。所得税法第66条の9は、2018年度分から、その年度の利益のうち分配しなかった額に5%の営利事業所得税を上乗せし、その年度の利益から翌会計年度末までに実際に支払った配当を計算から差し引きます。申告と納付は、その年度の確定申告をした翌年の5月1日から31日までです(第102条の2)。
会計年度は原則として1月1日から12月31日までで、特別な事情があり税務機関の承認を受けた場合に変更できます(第23条)。暦年決算の子会社の2025年度利益であれば、2026年末までに支払った配当が差し引かれ、加算税の申告は2027年5月です。親会社の3月決算とは時期がずれます。
支店の送金には源泉徴収がありません
支店は事情が違います。外国会社の台湾支店は、台湾での利益に営利事業所得税を納めます(所得税法第3条第3項)。その後、税引後の利益を本店に送っても配当としては扱われません。財政部は1987年3月9日の解釈(台財稅第7586738號)で、支店の利益は本店の利益の一部であって分配の問題はなく、支店が源泉徴収をする必要もないとしています。2023年改正の国内源泉所得の認定原則第2点も、配当から支店の利益送金を除いています。本店が台湾域外にある営利事業者は、5%の加算税の申告対象にもなりません(税務ポータルQ&A 2814)。拠点の形の違いは台湾進出:子会社と支店の違いで整理しました。
送金と日本側での扱い
外国人投資条例(外國人投資條例)第12条は、投資人が毎年分配を受ける利益について結匯(両替・送金)を申請できると定めています。出資金そのものを戻す減資や清算は配当と手続が異なり、台湾会社を終了する際の資本金と会社財産で取り上げています。取決めの183日ルールや恒久的施設については台湾で働く半導体技術者の税務をご覧ください。
日本での扱いは日本の税法が決めます。取決め第22条第1項は、日本の法令に従い、台湾で納めた税額を日本の税額から控除できるとしています。外国子会社配当益金不算入制度や外国税額控除とどう関係するかは、日本の税理士にご確認ください。
配当決議を控えて書類の準備や還付申請を検討している場合は、昊鼎国際法律事務所にメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、配当の予定時期と持株の構成をお知らせください。
子会社が交付する源泉徴収票は、後から10%の適用を申請するときにも使います。第34条が申請書類として求めているためです。
参考にした公的資料
- 台湾 所得税法(所得稅法、2026年9月11日最終改正)第3条、第23条、第66条の9、第88条、第89条、第92条、第102条の2、第114条(第88・89・92・114条は2024年8月7日改正、2025年1月1日施行の条文。沿革)
- 所得税法施行細則(所得稅法施行細則、2022年2月21日最終改正)第82条
- 各類所得扣繳率標準(2021年6月30日最終改正)第4条、第14条
- 適用所得稅協定查核準則(2025年4月8日最終改正)第25条、第34条
- 外国人投資条例(外國人投資條例、1997年11月19日最終改正)第12条
- 日台民間租税取決め 台湾財政部掲載の中国語訳・英文、財政部所得税協定一覧(2026年9月4日更新)
- 財政部の発表日台租税協定の発効と適用開始(2016年6月15日)
- 国税庁日台民間租税取決めに定める相互協議手続について
- 財政部台財稅第7586738號(1987年3月9日)、所得稅法第八條規定中華民國來源所得認定原則(2023年10月13日改正)
- 財政部税務ポータルQ&A 1503 營利所得如何辦理扣繳(2026年4月10日更新)、2814 未分配盈餘申告の対象外となる事業者(2026年4月27日更新)
確認日:2026年10月6日
よくある質問
- 日本の親会社が台湾子会社の株式を何%以上持っていれば10%になりますか?
- 日台民間租税取決めの第10条第2項は、配当について持株割合の要件を置いていません。配当の受益者(受益所有人)が日本の居住者であれば、台湾が課す税額は配当の総額の10%を超えません。ただし、その株式が親会社の台湾にある恒久的施設と実質的に関連している場合は同項が適用されず(同条第4項)、取決めの利益を得ることが主な目的の一つである場合も利益は受けられません(第26条)。
- 書類が間に合わず21%で源泉徴収されました。差額は戻りますか?
- 適用所得稅協定查核準則第34条により、親会社または子会社が納付日から10年以内に、居住者証明などの証明書類と源泉徴収票(扣繳憑單)を添えて、源泉徴収の申告を受けた税務機関に取決めの適用を申請できます。2025年4月8日の改正施行時に納付日から5年を過ぎていた税額には、改正前の規定が適用されます。
- 台湾支店の利益を日本の本店に送金するときも源泉徴収されますか?
- 台湾の財政部は1987年3月9日の解釈(台財稅第7586738號)で、支店の台湾での利益は本店の利益の一部であり、支店が営利事業所得税を納めるほかに分配の問題はなく、源泉徴収も不要としています。2023年改正の財政部の国内源泉所得の認定原則も、配当から支店の利益送金を除いています。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



