台湾の代表者事務所にできることと税務:売上がなくても源泉徴収と帳簿は残ります
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台湾の代表者事務所にできることと税務:売上がなくても源泉徴収と帳簿は残ります

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「売上のない駐在員事務所なら、台湾の税務署とは関わりがない」と考えられがちです。しかし、手続はゼロにはなりません。本社のための購買や連絡だけをする事務所であれば、本社から送られる経費に営業税も法人税もかかりません。それでも、管轄の税務機関への届出、収支の記帳、そして給与などの支払いについての源泉徴収は求められます(財政部解釈 台財稅第7586964號)。

会社法上は「登記」された代表者事務所

台湾の会社法(公司法)で日本の駐在員事務所にあたるのは、第386条の「辦事處」です。現行の第1項は「外國公司因無意在中華民國境內設立分公司營業,未經申請分公司登記而派其代表人在中華民國境內設置辦事處者,應申請主管機關登記」と定めています。支店(分公司)を設けて営業するつもりのない外国会社が、代表者を派遣して事務所を置くなら、主管機関に登記しなければならないという意味です。経済部の解釈に付された編集注によると、2018年11月1日施行の改正前はこれが「報備(届出)」で、改正後は「登記」になりました。

事務所の代表者に何ができるのかは、経済部(經濟部)の解釈が示しています。2003年10月29日の解釈(經商字第09202221350號)は、代表者の「業務上の法律行為」を、実務上、契約締結・入札・見積り・購買に価格交渉を加えたものとしました。経済部の商工行政ポータルにある事務所登記の必要書類の案内(2026年6月2日修正)も、代表者への授権書に法律行為の種類を具体的に書くよう求め、同じ五つを例に挙げています。申請は台湾にいる代表者が行います。登記費用は1,000台湾元です。

営業はできません。会社法第371条により、外国会社は支店登記をしないまま外国会社の名義で台湾で業務を営むことができず、違反した行為者は1年以下の懲役・拘留または15万台湾元以下の罰金(併科あり)に処されます。先ほどの2003年の解釈は、改正前の条文にいう営業を、原則として会社が行う経常的・反復的な商業活動と説明しています。

購買と連絡だけの事務所と台湾の税金

財政部の関連する解釈は1980年代のものですが、いまも財政部の法令検索システムに掲載されています。1986年9月2日の解釈(台財稅第7558643號)によれば、外国企業が台湾に置いた連絡事務所(聯絡處)が本社のために購買業務を行い、外部への営業がなければ、営業登記は不要です。本社が送金する購買費用は営業税の課税範囲外で、法人税(營利事業所得稅)も免除されます。本社のための購買だけでは役務の販売にあたらず、本社が実際の必要に応じて送った資金は事務所の売上ではない、というのが理由です。

免除には条件があります。1987年5月2日の解釈は、購買・検品・連絡通信だけを行う連絡事務所に同じ免除を認めつつ、管轄の税務機関に届け出ること、収支を規定どおり記帳すること、外部の証憑を取得するか源泉徴収を行うことを求めました。営業外の収入があれば、法人税の確定申告と納付も必要です。外国銀行の台湾代表者事務所についても、財政部は外部への営業がなければ営業登記を免除するとしています(台財稅第7557083號)。

所得税法(所得稅法)第10条第1項は、固定営業場所に「事務所」を含めつつ、もっぱら商品の購買に使い、加工・製造には使わない倉庫や整備場所(倉棧或保養場所)を除いています。

届出の書式や、源泉徴収の申告にどの番号を使うかは、これらの解釈には書かれていません。現在の具体的な手続は、事務所所在地の国税局に事前に確かめておくと安心です。

現地スタッフの給与と事務所の家賃

現地スタッフへの給与や事務所の家賃を払うたびに、源泉徴収の対象になるかどうかを確認することになります。所得税法第89条第1項第2号は、給与(薪資)や賃料(租金)などの源泉徴収義務者として機関・団体・学校・「事業」などを挙げ、納税義務者を所得を受け取る人としています。

期限を定めるのは第92条第1項です。毎月差し引いた税額は翌月10日までに国庫へ納めます。1年分は翌年1月末までに源泉徴収票(扣繳憑單)にまとめて税務機関へ申告し、2月10日までに受給者へ交付します。1月に3日以上続く国定休日がある年は、申告が2月5日、交付が2月15日まで延びます。

受け取る人が台湾の非居住者個人なら、期限はぐっと短くなります。差し引いた日から10日以内に納付し、源泉徴収票を申告して確認を受けたうえで交付します(同条第2項)。基準額に届かない、あるいは源泉徴収の範囲外のために差し引かなかった支払いも、1月末までに免扣繳憑單で申告します(第89条第3項)。

台湾の顧客に売り始めたとき

事務所が台湾で商品や役務を売り始めたら、どうなるでしょうか?話は一変します。税籍登記規則(稅籍登記規則)第3条第3項は、連絡処や事務所(辦事處)などの固定営業場所が外部に営業するなら、営業開始前に税籍登記をするよう定め、営業税法第6条第3号は外国企業の台湾内の固定営業場所を営業人としています。

日本企業にとって身近な先例もあります。日系企業の高雄事務所が役務を販売し、その代金を日本の本社が日本の買い手から日本で受け取った事案です。財政部は、受領の日から10日以内に統一発票を発行するよう求めました(1988年4月13日の解釈)。代金が日本で動いていても、台湾の事務所の販売として扱われたわけです。

法人税の側では、第10条第2項の定義も目を通しておきたいところです。購買の代理以外に、代理する事業のために経常的に業務の交渉をして契約を締結する権限を持つ者や、経常的に注文を受ける者などを「営業代理人」としています。第41条は、本社が国外にある企業の固定営業場所や営業代理人に、独立した帳簿を備えて所得を計算し課税を受けるよう定めています。

日台民間租税取決めの第5条第4項

では、契約書に署名する代表者はどう見られるのでしょうか?日台民間租税取決めは、2015年11月26日に公益財団法人交流協会と亜東関係協会が民間の取決めとして結んだもので、両団体は2017年に現在の名称(公益財団法人日本台湾交流協会、台湾日本関係協会)に改めています(国税庁の案内)。台湾財政部の協定一覧では、2016年6月13日に発効しています。

取決めは英文で作成されており、第5条第2項は事務所(office)を恒久的施設(PE)の例に挙げます。除外は第5条第4項です。(d)は "the maintenance of a fixed place of business solely for the purpose of purchasing goods or merchandise or of collecting information, for the enterprise" をPEに含めません。(e)はその他の準備的・補助的な活動だけのための場所、(f)はこれらの組み合わせで全体の活動が準備的・補助的なものにとどまる場所です。

鍵になるのは署名の権限です。第5条第5項は、独立代理人以外の者が企業の名で契約を締結する権限を台湾で有し、反復して行使するなら、その者が企業のために行う活動についてPEがあるとみなします。活動が第4項の範囲に限られる場合は別です。PEがあっても、商品を購買するだけであれば利得は帰属させません(第7条第5項)。日本側でこれをどう扱うかは、日本の税理士にご確認ください。

支店や子会社に切り替えるとき

台湾で販売契約を繰り返し結び、代金を受け取り、統一発票を発行するところまで来たら、もう代表者事務所の枠には収まりません。選択肢は、第371条が求める支店登記か、台湾子会社の設立です。経済部の2008年4月28日の解釈は、支店と事務所は同時に存在できず、事務所のある会社が支店を設けるには事務所を先に整理すべきだとしました(2018年改正前の条文についての解釈)。事務所をやめるときは、第386条第2項により廃止登記を申請します。形態ごとの違いは台湾進出:子会社と支店の違いと台湾での会社設立の基礎で説明しています。

登記した業務の範囲と、台湾のスタッフが実際にしている仕事が合っているか気になる場合は、昊鼎国際法律事務所にメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、登記の内容と契約書への署名の仕方をお知らせください。

売上がなくても、スタッフに給与を払っている事務所には毎年1月末がやってきます。前年分の源泉徴収票を申告する期限です。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月6日

よくある質問

売上のない代表者事務所でも、台湾で税務の手続は必要ですか?
本社のために購買・検品・連絡通信だけを行い、外部への営業がない事務所について、財政部の1987年5月2日の解釈(台財稅第7586964號)は、営業登記を免除し、営業税と法人税(營利事業所得稅)も免除するとしています。そのうえで、管轄の税務機関への届出、収支の記帳、証憑の取得または源泉徴収を求めています。営業外の収入があれば法人税の確定申告が必要です。
現地スタッフの給与から差し引いた税金は、いつまでに納めますか?
所得税法第92条第1項により、差し引いた税額は翌月10日までに国庫に納め、1年分は翌年1月末までに源泉徴収票(扣繳憑單)として税務機関に申告し、2月10日までに受給者へ交付します。1月に3日以上連続する国定休日がある年は、申告が2月5日、交付が2月15日まで延びます。
代表者が台湾で契約書に署名すると、日台民間租税取決めのPEになりますか?
取決め第5条第5項は、独立代理人以外の者が企業の名で契約を締結する権限を台湾で有し、かつ反復して行使する場合、その者の活動について企業にPEがあるとみなします。ただし、その活動が第4項の購買や情報収集などに限られる場合は除かれます。どのような契約をどの程度の頻度で結ぶかによって変わるため、実際の業務に即して確認することになります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。