台湾の国税局(國稅局)が出した税額の核定に不服を申し立てる最初の期限は、30日です。追加で納める税額が書かれた通知であれば、この30日は納付書(繳款書)の納付期間が終わった翌日から数えます。納める税額がない通知は、通知書の送達の翌日からです(稅捐稽徵法第35条第1項)。この期間内に、処分をした国税局へ復査(再審査の申請)をしなければなりません。復査を経ないでいきなり訴願を起こすことは、手続上認められていません(財政部臺北國稅局「行政救濟」Q&A Q6)。
通知書を受け取るのは台湾子会社です。東京や大阪の親会社に報告が届くまでにかかった日数は、そのまま準備期間から消えていきます。
国税局が見られる資料と、さかのぼれる年数
稅捐稽徵法第30条によれば、国税局の調査担当者は帳簿や書類の提示を求めたり、納税者を事務所に呼んで質問したりでき、調査を受ける側は拒めません。ただし、調査は課税の目的に必要な範囲までです。提出した帳簿には国税局が受領証を出し、脱税の疑いがなければ提出が終わった日から30日以内に返却されます。特別な事情があれば、機関の長の承認を得て1回だけ30日延びます。帳簿を出さないと、国税局は自ら入手した資料や同業利潤標準で所得額を決めることができます(所得稅法第83条)。
では、何年前の申告まで見直されるのでしょうか。法人税のように自ら申告する税は、期限内に申告し、詐欺その他の不正な方法がなければ5年です。期限内に申告しなかった場合や、故意に不正な方法で脱税した場合は7年になります(第21条)。起算日は、5月の確定申告(台湾子会社の法人税は5月申告・9月暫繳を参照)を期限内に済ませていれば申告日、申告しなかったか遅れた場合は申告期限の翌日です(第22条)。この期間内に見つからなかった税額は、後から追徴できません。決まった税を取り立てる徴収期間は、納付期間満了の翌日から5年です(第23条)。
調査を受ける会社に認められていること
調査の前に、国税局は調査の理由と範囲を書面で知らせなければなりません。知らせると調査の目的を果たせない場合だけが例外です。会社は代理人を選んだり補佐人を同席させたりでき、その人たちが来るまでは供述や調査を拒めます。代理人が適法な通知を受けたのに正当な理由なく来ないときは、この限りではありません。国税局に告げたうえで、調査の様子を録音・録画することもできます。調査の秘密を保つ正当な理由があり、それを調書に記した場合は除かれます(納稅者權利保護法第12条)。
立証責任は誰にあるのでしょうか。法律に別段の定めがない限り、課税や処罰の要件となる事実は国税局が証明します。核定の前には原則として会社に説明の機会を与え、処分には書面で理由と法的根拠を示すことになっています(第11条)。各国税局には納税者権利保護官(納稅者權利保護官)が置かれ、税務紛争での意思疎通や調整を手伝い、不服申立ての際の相談に応じます。氏名と連絡先はウェブサイトで公表されています(第20条)。復査や訴願を申し立てた後は、法律上の利益を主張・維持するのに必要な範囲で、核定に関する資料の閲覧・複写も求められます(第13条)。
税金を納める前でも申請できる復査
申請書は所定の書式で理由を書き、証拠書類を付けて出します。国税局が受け取った日が申請日です。郵送なら、差出地の郵便局の消印の日付が申請日になります(稅捐稽徵法第35条第2項)。
30日は不変期間です。期限を過ぎた申請は「程序不合」として退けられます(財政部高雄國稅局の案内)。天災などの不可抗力で遅れたときは、その原因がなくなってから1か月以内に、証明を付けて原状回復を申請し、同時に復査の申請も済ませる必要があります。1年を超えて遅れた場合は認められません(第35条第3項)。
国税局は、申請書を受け取った翌日から2か月以内に決定しなければなりません。この期間を延ばす規定はありません。期間が過ぎても決定がなければ、会社はそのまま訴願へ進めます(同条第4項・第5項)。
税金を先に納める必要はありません。臺北國稅局は、復査の申請に納付や担保は要らないと説明しています(上記Q&AのQ3)。復査を申請した税額は、強制執行への移送が猶予されます(第39条第1項)。その代わり、納めなかった税額が最後に確定すると、本来の納付期間の翌日から利息が付きます(第38条第3項)。
復査決定の後の訴願と「3分の1」
復査決定にも納得できなければ、財政部に訴願を提起します。訴願書は処分をした国税局を経由して出し、期限は決定書が届いた翌日から30日です(訴願法第14条第1項、第58条)。ここでは消印が使えません。国税局か財政部が訴願書を受け取った日が提起の日です(第14条第3項)。
訴願の間も執行の猶予を続けるには、次のいずれかが必要です。復査決定の税額の3分の1を納めて訴願を提起すること、3分の1の納付が難しく国税局の承認を得て相当の担保を提供すること、どちらも難しく国税局がその税額に見合う財産について移転や権利設定を止める手続を済ませていること、の三つです(稅捐稽徵法第39条第2項)。この割合は、2021年の改正で「半数」から3分の1に下がりました(財政部賦稅署のプレスリリース)。
訴願の決定は、受理の翌日から3か月以内に出さなければなりません。必要なら1回に限り、最長2か月延長されます(訴願法第85条)。それを過ぎても決定がなければ、行政訴訟を起こせます(行政訴訟法第4条)。
行政裁判所は税額で分かれます
訴訟は、訴願決定書の送達後2か月の不変期間内に提起します(行政訴訟法第106条)。2023年8月15日に施行された新制度(司法院の特設ページ)で、第一審は争う税額によって決まります。2026年10月時点の条文では、税額が50万台湾元以下なら高等行政法院の地方行政訴訟庭が簡易訴訟手続で審理します(第229条)。150万台湾元以下も地方行政訴訟庭、それを超えると高等行政訴訟庭です(第104条の1)。どちらの金額も、司法院が命令で変更できる仕組みです(同条第2項、第229条第3項)。税務事件では、裁判長の許可があれば会計師も訴訟代理人になれます(第49条)。
| 段階 | 申立先 | 期限と起算点 | 決定までの期間 |
|---|---|---|---|
| 復査 | 処分をした国税局 | 納付期間満了の翌日(納付税額がなければ送達の翌日)から30日、郵送は消印日 | 受理の翌日から2か月 |
| 訴願 | 財政部(国税局経由) | 決定書が届いた翌日から30日、受理日が基準 | 3か月、1回に限り最長2か月延長 |
| 行政訴訟 | 地方行政訴訟庭または高等行政訴訟庭 | 訴願決定書の送達後2か月 | — |
| 上訴 | 高等行政法院または最高行政法院 | 判決送達後20日 | — |
上訴の20日は、地方行政訴訟庭の判決にも高等行政訴訟庭の判決にも当てはまります(財政部稅務入口網Q&A、第241条)。
勝てば利息付きで還付、遅れれば滞納金
還付には利息が付きます。復査・訴願・行政訴訟で税金を返すことになったとき、国税局は復査決定の後、または訴願決定書や判決の正本を受け取ってから10日以内に返します。利息は、納めた日から還付の書類を発行する日まで、各年1月1日時点の郵便貯金1年定期の固定金利で日割り計算されます(稅捐稽徵法第38条第2項)。
逆に納付期間を過ぎると、3日ごとに滞納額の1%が滞納金(滯納金)として加算され、30日を過ぎても納めなければ強制執行に移されます(第20条)。財政部南區國稅局は、この規定が2022年1月1日に施行され、加算の上限が10%になったと説明しています(南區國稅局のQ&A)。
不服申立てとは別の道もあります。法令の適用、事実の認定、計算などの誤りで多く納めた税金は、納めた日から10年以内なら還付を請求できます。政府機関の誤りによる場合は15年です。ただし、行政法院の実体判決で確定した税額には使えません(第28条)。
親会社の側でそろえておきたい書類
帳簿の基準は中国語です。台湾の会計帳簿は中国語で記載し、外国語を併記しても中国語の記載が優先します(商業會計法第8条)。国税局が移転価格について書面で調査すると、移転価格報告書をその書面の送達日から1か月以内に提示しなければならず、延長は1回、最長1か月です。外国語の資料には、英語版の提示を認められた場合を除いて中国語訳を付けます(移転価格査核準則第22条)。報告書にはグループ内の重要な契約書の写しか主要部分の抜粋も含まれます。基準額は台湾子会社の移転価格文書で取り上げました。
親会社と結んだ業務委託やライセンスの契約書は、署名済みのものを送金の記録と対応させて保管しておくと、復査の理由書に付ける証拠としてもそのまま使えます。原本が日本語や英語なら、中国語訳を用意する日数も30日の中に見込んでおくと安心です。台湾で追徴された税額を日本の申告でどう扱うかは、日本の税理士にご確認ください。
核定通知書、納付書、そして子会社がそれらを受け取った日が分かる資料があれば、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)で残りの期限から一緒に確認します。復査は消印日、訴願は受理日で数えるため、訴願書は期限の日までに機関へ届いている必要があります。
参考にした公的資料
- 稅捐稽徵法(2021年12月17日最終改正。第20条は2022年1月1日施行)第20条、第21条、第22条、第23条、第28条、第30条、第35条、第38条、第39条
- 納稅者權利保護法(2025年5月28日最終改正)第11条、第12条、第13条、第20条
- 訴願法(2012年6月27日最終改正)第14条、第58条、第85条
- 行政訴訟法(2022年6月22日最終改正、2023年8月15日施行)第4条、第49条、第104条の1、第106条、第229条、第241条
- 所得稅法(2026年9月11日最終改正)第83条
- 商業會計法(2014年6月18日最終改正)第8条
- 營利事業所得稅不合常規移轉訂價查核準則(2020年12月28日最終改正)第22条
- 財政部稅務入口網 復査決定に不服がある場合のQ&A(2024年1月3日更新)
- 財政部臺北國稅局 「行政救濟」Q&A(2026年3月31日更新)、財政部高雄國稅局 税額通知に不服がある場合の救済(2023年12月4日)、財政部南區國稅局 滞納金引下げのQ&A(2021年12月27日)
- 財政部賦稅署 稅捐稽徵法改正案の三読通過(2021年11月30日)
- 司法院 行政訴訟の第一審強化の新制度(2026年3月31日更新)
確認日:2026年10月6日
よくある質問
- 復査を申請するには、追徴された税金を先に納めなければなりませんか?
- 納めなくても申請できます。財政部臺北國稅局は、復査の申請に税金の納付や担保の提供は要らないと案内しており、復査を申請すると強制執行への移送が猶予されます(稅捐稽徵法第39条第1項)。復査決定の後も猶予を続けるには、決定税額の3分の1を納めて訴願を提起するか、それが難しく承認を得て相当の担保を提供するか、どちらも難しく国税局が相当する財産の移転などを止める措置を取っていることが必要です(同条第2項)。納めなかった税額が最終的に確定すると、本来の納付期間の翌日から利息がかかります(第38条第3項)。
- 復査の30日はいつから数えますか?
- 納付すべき税額が記載された通知なら、納付書の送達後、納付期間が満了した翌日から30日です。納付すべき税額がない通知なら、通知書が送達された翌日から30日です(稅捐稽徵法第35条第1項)。国税局が申請書を受け取った日が申請日ですが、郵送した場合は差出地の消印の日付で判断します(同条第2項)。次の段階の訴願は、機関が訴願書を受け取った日が基準です(訴願法第14条第3項)。
- 台湾の国税局は何年前の法人税申告までさかのぼって追徴できますか?
- 期限内に申告し、詐欺その他の不正な方法による脱税がなければ、申告日から5年です。期限内に申告しなかった場合や、故意に詐欺その他の不正な方法で脱税した場合は7年で、申告しなかったり遅れたりした場合は申告期限の翌日から数えます(稅捐稽徵法第21条、第22条)。この期間内に発見されなかった税額は、後から追徴も処罰もできません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



