台湾の子会社は、原則として暦年で決算します。法人税にあたる営利事業所得税(營利事業所得稅)の確定申告は翌年5月、中間納付にあたる暫繳(暫定納付)は9月です。
3月決算の日本の親会社から見ると、台湾子会社は決算期も申告期もずれた暦で動いていることになります。ずれは3か月です。子会社の事業年度を親会社に合わせるかという論点は、このずれから生まれます。台湾で納めた税金を日本側でどう扱うか(外国税額控除など)は、日本の税理士に確認してください。
税率は20%、課税所得12万台湾元までは非課税
所得税法第5条第5項によると、営利事業の年間課税所得が12万台湾元以下であれば営利事業所得税は課されません。これを超えると課税所得の全額に20%がかかりますが、税額は12万台湾元を超える部分の半額が上限です。同じ項にある18%と19%の区分は、2018年度と2019年度だけの税率でした。
5月の確定申告と、同じ期間に締め切られる二つの申告
第71条第1項は、毎年5月1日から31日までに前年の所得を申告するよう定めています。年間の税額から暫繳税額や未控除の源泉徴収税額などを差し引いた残りを、申告前に会社が自ら納めます。2026年は5月31日が休日にあたったため、2025年度分の締切は6月1日に延びました(財政部の2026年4月19日の発表)。
同じ期間に締め切られる申告が、あと二つあります。財政部の2026年4月23日の記者会見資料は、2025年度の所得基本税額(最低税負)の申告と、2024年度の未分配盈餘の申告も6月1日が締切だと案内しました。
期限は欠損金にも響きます。第39条は、帳簿を備えた会社が、欠損の年度と控除する年度のいずれも青色申告書(藍色申報書)を使うか会計士の税務査核(查核簽證)を受け、期限内に申告した場合に限り、過去10年の欠損金の控除を認めています。会計士の査核報告書のアップロードが期限に間に合わないと、普通申告として扱われ、この控除は使えません(臺北國稅局の2026年6月8日の案内)。
9月の暫繳は前年税額の半分
暫繳は、第67条第1項が定める手続です。子会社は毎年9月1日から30日までに、前年の確定申告税額の2分の1を暫繳税額として国庫に納め、申告書を提出します。投資税額控除や源泉徴収税額などで相殺せずに全額を納めた場合は、申告書の提出を省けます(同条第2項)。
上半期の実績で計算する方法もあります。帳簿が整い、青色申告書を使うか会計士の税務査核を受けている会社が期限内に暫繳申告をするなら、当年の前半6か月の営業収入から上半期の所得を試算し、当年の税率で暫繳税額を計算できます(同条第3項)。業績が前年より落ちている年に検討する価値のある方法です。
前年に納める税額がなかった会社や、その年に新しく開業した会社は、暫繳の対象になりません。前年税額の2分の1が2,000台湾元以下になる会社も同じです(南區國稅局の2026年8月13日の案内)。
9月を過ぎたら、どうなるでしょうか?10月31日までに補充申告・納付すれば、10月1日から納付日までの利息が加算されるだけです(第68条第1項)。それを過ぎると、国税局が暫繳税額を決め、1か月分の利息を加えて通知します。納付期限は15日です。
配当しなかった利益への5%
第66条の9は、2018年度から、その年度の利益を分配しなかった営利事業に対し、未分配盈餘の5%を営利事業所得税として加算しています。1998年度から2017年度までは10%でした。未分配盈餘は、財務報告の基準で処理した当期の税引後純利益を出発点に、税引後純利益以外の純益項目を加え、過年度欠損の補填、その年度の利益からの配当、法定盈餘公積(法定準備金)の積立てなどを差し引いた額です。
ここで日付が二つ出てきます。配当や準備金などの控除項目は、翌事業年度が終わるまでに実際に行われた分だけが認められます(同条第3項)。申告は、その所得年度の確定申告を行った翌年の5月です(第102条の2第1項)。暦年決算なら、2025年度の利益にかかる申告は2027年5月になります。金額がゼロやマイナスでも申告は必要です。
親会社にとっては、配当をいつ決めるかの目安になります。2025年度の利益を2026年中に配当すれば、その分だけ2025年度の未分配盈餘が減ります。残した部分には5%がかかります。配当には台湾の源泉徴収が別にかかるため、二つの税金を並べて判断することになります。
外国会社の台湾支店は対象外です。財政部税務入口網のFAQ 2814は、本店(總機構)が台湾の外にある営利事業を、未分配盈餘の計算・申告の対象から外しています。子会社と支店の違いは台湾進出:子会社と支店の違いで取り上げました。
最低税負が問題になる年
所得基本税額条例第8条は、基本所得額から一定額を差し引き、行政院が定める税率を掛けて営利事業の基本税額を計算するとし、その税率を12%以上15%以下の範囲に置いています。中區國稅局の2026年5月8日の発表は、2026年度の控除額を60万台湾元、現行の徴収率を12%と案内しています。通常の法人税額が基本税額より少なければ、その差額を追加で納めます。
すべての子会社が計算するわけでもありません。同条例第3条第1項第7号は、投資税額控除の適用がなく、かつ第7条第1項各号の所得もない営利事業を対象外としています。第7条が基本所得額に加え戻す所得には、課税が停止されている有価証券の譲渡所得(所得税法第4条の1)や、科学園区の免税所得などがあります。
財政部は2024年8月28日、前4事業年度のうち2年度の連結収入が原則として7.5億ユーロに達する多国籍企業グループについて、台湾の構成企業に2025年度から15%を適用する草案を予告しました(財政部の発表)。グループの規模がこの基準に当たる場合は、その年度に適用される税率を確認してください。
事業年度を3月決算に合わせるには
事業年度の原則は、所得税法第23条が定める1月1日から12月31日までです。変更が認められるのは、従来の慣習や営業の季節性という特殊な事情があり、所轄の稽徴機関の承認を受けた場合です。親会社の決算期にそろえたいという理由がこれに当たるかどうかは、条文からは読み切れません。
承認を受けた後の期限は、新しい事業年度に合わせて同じ方法で計算します(第101条)。財政部が示している例は7月始まりの年度で、確定申告は11月、暫繳は3月です(FAQ 2006、FAQ 2712)。未分配盈餘については、年度終了後5か月目の1か月間に、その前の年度の分を申告します(FAQ 2808)。4月始まりの年度での具体的な月は、承認を受けるときに所轄の国税局で確かめておくと確実です。
切り替えの年には手続が一つ増えます。第74条により、変更日から1か月以内に変更前の期間の所得を申告し、税額を納めます。1年に満たない期間の所得は年額に換算して税率を当てはめ、その割合で税額を戻します(第40条)。変更前の期間の未分配盈餘でまだ加算税の申告をしていないものは、変更後の事業年度の未分配盈餘に合算して計算します(第102条の2第3項)。
配当の時期や事業年度の変更について法的な検討が必要な場合は、昊鼎国際法律事務所にメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、子会社の事業年度と直近の確定申告の内容をお知らせください。
暦年決算の子会社であれば、2026年10月6日の時点で残っている日付は二つです。暫繳を逃した場合の10月31日と、2025年度の利益の配当を未分配盈餘から差し引ける最後の日である2026年12月31日です。
参考にした公的資料
- 台湾 所得税法(所得稅法、2026年9月11日最終改正)第4条の1、第5条、第23条、第39条、第40条、第66条の9、第67条、第68条、第71条、第74条、第101条、第102条の2
- 所得基本税額条例(所得基本稅額條例、2021年1月27日最終改正)第3条、第7条、第8条
- 財政部の発表:2025年度所得税の申告期限は6月1日(2026年4月19日)、2025年度所得税申告の記者会見資料(2026年4月23日)、中區國稅局 2026年度の基本所得額控除額(2026年5月8日)、臺北國稅局 会計士査核報告書の案内(2026年6月8日)、南區國稅局 2026年度暫繳の案内(2026年8月13日)、最低税負の徴収率草案の予告(2024年8月28日)
- 財政部稅務入口網 FAQ 2006、2712、2808、2814
確認日:2026年10月6日
よくある質問
- 台湾子会社の事業年度を、日本の親会社と同じ4月〜3月にできますか?
- 台湾の所得税法第23条は、事業年度を1月1日から12月31日までとし、従来の慣習や営業の季節性という特殊な事情があって所轄の稽徴機関の承認を受けた場合に限り、変更を認めています。承認後は各期限を新しい事業年度に合わせて計算し(第101条)、変更日から1か月以内に変更前の期間の所得を申告・納付します(第74条)。
- 9月の暫繳を忘れていました。どうなりますか?
- 所得税法第68条により、10月31日までに前年税額の2分の1を計算して補充申告・納付すれば、10月1日から納付日までの利息が加算されます。10月31日を過ぎると、国税局が暫繳税額を決めて1か月分の利息を加えて通知し、15日以内に納付することになります。
- 利益を配当せずに残すと、台湾で追加の税金がかかりますか?
- 2018年度以降、その年度の利益のうち分配しなかった部分(未分配盈餘)に5%の営利事業所得税が加算されます(所得税法第66条の9)。その年度の利益からの配当は、翌事業年度の終了までに実際に行われた分に限って差し引かれます。外国会社の台湾支店は、この申告の対象外です。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



