親会社に払うロイヤルティーや役務の対価はグループ内の資金移動であって、台湾の税金とは関係がない――そう受け止められがちです。台湾の所得税法が見るのは、受け取る側が誰で、所得がどこで生じたかです。日本の親会社が台湾に固定の営業場所(固定營業場所)も営業代理人(營業代理人)も持たずに台湾源泉の所得を受け取る場合、税金は支払う台湾子会社が支払いの時点で差し引きます(所得税法第73条第1項、第88条第1項第2号)。源泉徴収義務者は子会社、納税義務者は親会社です(第89条第1項第2号)。
台湾源泉かどうかを決めるもの
台湾で使わせる特許権・商標権・著作権・秘密方法の対価は、台湾源泉の使用料(權利金)です(第8条第6号)。財政部の所得源泉認定原則(所得稅法第八條規定中華民國來源所得認定原則)第7点は、台湾企業がライセンスを受けて国外の委託加工・製造・研究に使う場合の使用料も、台湾源泉としています。
ソフトウェアは契約の中身で分かれます。カスタマイズしていない標準化ソフトウェアを購入者が使うだけで、複製・改変・公開展示をしない取引は、同原則第10点で一般の国際貿易(一般國際貿易)による物品の販売と認定されます。システム・アプリケーションソフトウェアのライセンスやソースコードのライセンスの対価については、財政部の第25条審査原則第8点が使用料に分類しています。
役務の対価で問われるのは、どこで働いたかです。認定原則第4点によれば、外国企業の役務報酬が台湾源泉になるのは三つの場合です。台湾で全部行い完了したとき、台湾の内外で行わなければ完了しないとき、そして台湾の外で行っても台湾の居住者や企業の参加・協力がなければ完了しないときです。参加・協力とは、設備・人員・専門知識・技術といった資源の提供を指します。役務の買い手が出すべき基本的な背景情報や、通知・確認の連絡は含まれません。役務を全部台湾の外で行い完了し、親会社が台湾に固定の営業場所も営業代理人も持たない(または持っていてもその業務に関与していない)場合、その報酬は台湾源泉の所得になりません。
利息は明快です。台湾の法人が払う貸付金の利息は台湾源泉です(第8条第4号、認定原則第5点)。一つの契約に技術ライセンス、役務、設備の賃貸が混ざっていれば、税務機関は所得の種類を切り分けてそれぞれ判断します(認定原則第13点)。
国内税率は20%、納付は10日以内
2026年10月時点の各類所得源泉徴収率基準(各類所得扣繳率標準)第3条第1項(2021年6月30日最終改正)によると、親会社への主な支払いの税率は次のとおりです。
| 親会社が受け取るもの | 源泉徴収率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 使用料(權利金) | 支払額の20% | 第6号 |
| 貸付金の利息 | 支払額の20% | 第4号第5目 |
| 台湾で使う設備の賃借料 | 支払額の20% | 第5号 |
| その他の役務報酬 | 支払額の20% | 第10号 |
3月決算の名古屋の親会社が、台湾子会社から前年度分のロイヤルティー1,000万台湾元をまとめて受け取ることになりました(架空の例です)。国内税率のままなら200万台湾元が差し引かれます。送金額は800万台湾元です。
子会社は、税額を差し引いた日から10日以内に国庫へ納付し、源泉徴収票(扣繳憑單)を所轄の税務機関に申告して確認を受けたうえで、親会社に交付しなければなりません。その10日の間に3日以上続く国定休日があれば、期限は5日延びます(第92条第2項。2025年1月1日施行の条文)。
差し引き忘れには重い負担が伴います。税務機関は期限を定めて、差し引かなかった税額や不足分の納付と源泉徴収票の補充申告を命じ、その税額の1倍以下の過料を科します。期限内に納付しない、あるいは事実どおりに補充申告しない場合は3倍以下となり、差し引いた税額の納付が遅れれば滞納金(滯納金)が加算されます(第114条)。
日台民間租税取決めで変わること
日台民間租税取決めは、取決め本文によれば亜東関係協会と公益財団法人交流協会が2015年11月26日に東京で署名したもので、財政部の租税協定一覧では2016年6月13日に発効しています。取決めの中国語訳本の第11条第2項と第12条第2項により、利息と使用料の受益者(受益所有人)が日本の居住者であれば、台湾の税額は総額の10%が上限です。先の例なら、差し引かれるのは100万台湾元になります。
ただ、10%は自動的には使えません。支払いの時点で適用するには、親会社が日本の税務当局の発行した居住者証明書と、受益者であることの証明を子会社に提出します。子会社は源泉徴収の申告で適用条文を明記し、使用料ならライセンス契約書(中国語訳を含む)と計算明細を、利息なら貸付契約書と利息の計算明細を添えます(所得税協定適用審査準則(適用所得稅協定查核準則)第25条第2項・第4項)。
役務の対価はどうでしょうか。取決め第7条第1項は、日本の企業が台湾に恒久的施設(常設機構)を持たずに得る事業利得を日本でのみ課税するとしており、役務の対価が事業利得に当たれば台湾では免除の対象になります。その場合も、居住者証明書、台湾に恒久的施設がないことの証明、所得に関する書類をそろえ、子会社の所在地の税務機関の承認を受けなければなりません。承認されると、税務機関が子会社に源泉徴収をしないよう通知します(審査準則第23条)。親会社が従業員などを通じて同一または関連するプロジェクトの役務を台湾で提供し、その期間が課税年度に開始または終了する12か月の間に合計183日を超えると、恒久的施設に当たります(取決め第5条第3項)。日数の数え方は台湾で働く半導体技術者の税務で取り上げました。
すでに20%で差し引かれた分は、親会社または子会社が納付の日から10年以内に、証明書類と源泉徴収票を添えて、もとの申告を受けた税務機関に取決めの適用を申請できます。2025年4月8日の改正施行時に納付から5年を過ぎていた税額には、改正前の規定が適用されます(審査準則第34条)。取決め第26条は、居住者やその関係者の活動が取決めの利益を得ることを主たる目的または主たる目的の一つとしていた場合、減免を受けられないと定めています。
役務報酬の20%を軽くするには
技術サービスの提供や機械設備の賃貸のように、原価・費用の配分計算が難しい外国企業は、所得税法第25条により財政部の承認を受けて、台湾での営業収入の15%を所得額とすることができます。欠損金の控除は使えません。子会社はその所得額の20%を差し引くので(源泉徴収率基準第9条)、計算すると収入の3%です。審査原則では、2023年5月29日以降の承認期間は5年(契約がそれより短ければその期間)までです。対価のうち使用料の部分と、一般的な管理事務にあたるグループ管理サービスの対価は承認されません。
承認がないまま総額から20%を差し引かれた役務報酬にも、手立てがあります。親会社は収入を得た日から10年以内に、台湾の代理人を通じて子会社の所在地の税務機関に、原価・費用を差し引いた所得の再計算を申請できます。税務機関が再計算すれば、納めすぎた税額は還付されます(認定原則第15点)。使用料と利息はこの対象に入っていません。
営業税と対価の水準
台湾に固定の営業場所を持たない外国企業から役務を買うと、営業税(營業稅)は買い手の子会社が、報酬を支払った期の次の期の開始から15日以内に計算して納めます。一般の税額計算による営業人が課税事業だけに使う役務であれば、納付は免除されます(営業税法第36条第1項)。対価の水準そのものも見られます。関係企業間の取引が通常の取引条件(營業常規)に合わず税負担を減らしていれば、税務機関は財政部の承認を得て調整できます(所得税法第43条の1)。台湾で差し引かれた税額を日本の申告でどう扱うかは、日本の税理士にご確認ください。
支払契約の所得区分や取決めの書類については、昊鼎国際法律事務所へメール(wei@hoveringlaw.com.tw)でお問い合わせいただけます。
20%でも10%でも、期限は変わりません。子会社が税額を差し引いた日から10日以内です。
参考にした公的資料
- 台湾 所得税法(所得稅法、2026年9月11日最終改正)第8条、第25条、第43条の1、第73条、第88条、第89条、第92条、第114条
- 各類所得扣繳率標準(2021年6月30日最終改正)第3条、第9条
- 適用所得稅協定查核準則(2025年4月8日最終改正)第23条、第25条、第34条
- 営業税法(加值型及非加值型營業稅法、2025年5月28日最終改正)第36条
- 財政部 所得稅法第八條規定中華民國來源所得認定原則(2023年10月13日改正)、外國營利事業申請適用所得稅法第二十五條第一項規定計算所得額案件審查原則(2023年5月29日改正)
- 財政部国際財政司 我國所得稅協定一覽表(2026年9月4日更新)、日台民間租税取決め 中国語訳本、英文本
確認日:2026年10月6日
よくある質問
- 日本の親会社が日本国内だけで行った経営支援サービスの対価にも、台湾で源泉徴収がかかりますか?
- 台湾財政部の所得源泉認定原則第4点では、役務を全部台湾の外で行い完了し、親会社が台湾に固定の営業場所も営業代理人も持たない(または持っていてもその業務に関与していない)場合、その対価は台湾源泉の所得になりません。一部でも台湾で行う役務や、台湾側の設備・人員・専門知識・技術の提供がなければ完了しない役務は台湾源泉になります。
- 日台民間租税取決めの10%を適用するには、何が必要ですか?
- 利息と使用料は、受益者が日本の居住者であれば10%が上限です。親会社が日本の税務当局の発行した居住者証明書と受益者であることの証明を子会社に提出し、子会社は源泉徴収の申告で適用条文を明記して契約書と計算明細を添付します。20%で差し引いた後でも、納付の日から10年以内であれば取決めの適用を申請できます。ただし2025年4月8日の改正施行時に納付から5年を過ぎていた税額には、改正前の規定が適用されます。
- 台湾子会社が源泉徴収をしなかった場合はどうなりますか?
- 所得税法第114条により、税務機関は期限を定めて、差し引かなかった税額や不足分の納付と源泉徴収票の補充申告を命じ、その税額の1倍以下の過料を科します。期限内に納付しない場合や事実どおりに補充申告しない場合は、3倍以下の過料になります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



