台湾向けにアプリ・ゲーム・広告を販売する日本企業と台湾の所得税:源泉徴収20%と5月の申告
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台湾向けにアプリ・ゲーム・広告を販売する日本企業と台湾の所得税:源泉徴収20%と5月の申告

約9分

台湾に支店も事務所もなければ、台湾の法人所得税は関係ない。そう受け止められがちです。オンラインで売るサービスには当てはまらないことがあります。台湾の財政部は2017年度分から、外国企業が国境を越えて台湾の買い手に販売する電子サービス(電子勞務)の報酬に営利事業所得税を課しており、買い手には個人も企業も機関も含まれます(財政部2018年1月2日の令)。具体的な基準を定めているのは「外國營利事業跨境銷售電子勞務課徵所得稅作業要點」(2018年5月11日制定、2023年10月13日最終改正。以下「作業要点」)です。

営業税(台湾の付加価値税)の税籍登記は、これとは別の制度で、基準額や申告の仕方は台湾の個人にアプリ・ゲーム・サブスクを販売する日本企業と営業税で取り上げました。ここでは所得税に絞ります。

課税されるのは即時型のサービスです

作業要点第3点は、サービスの性質で線を引いています。オンラインゲーム、オンラインのドラマ・音楽・動画、オンライン広告のように、即時性・双方向性・利便性・継続性のあるサービスを台湾の買い手に提供して得た報酬は、台湾源泉の収入です。台湾の外で完成したスタンドアロンのソフトウェアや電子書籍をダウンロードさせるだけなら、台湾源泉の収入には当たりません。ただし、台湾の個人や企業の関与・協力がなければ提供できない場合は台湾源泉になります。

プラットフォーム事業者の手数料は、売り手と買い手のどちらか一方が台湾にいれば台湾源泉の収入です。特許・商標・著作権などをオンラインで台湾で使わせる取引は電子サービスの販売に入らず、所得税法第8条第6号の使用料(權利金)として扱われます。

営業税と所得税では、課税の範囲もずれます。財政部の跨境電子勞務交易課徵所得稅Q&A(貳Q3)が挙げる例は、台湾の個人に販売する電子書籍です。営業税の課税範囲には入ります。それでも、台湾の個人や企業の関与・協力なしに販売できる商品なので台湾源泉の収入にはならず、所得税の問題は生じません。

純利益率30%、寄与度50%、税率20%

所得の計算は、台湾源泉の収入から始まります(作業要点第4点)。帳簿と証憑を提示できれば、実際の原価・費用を差し引きます。帳簿がなくても、契約書、主要な営業項目、台湾内外の取引の流れを示す資料で主要な営業項目の認定を受ければ、その業種の同業利潤標準淨利率(業種別の標準純利益率)を使います。プラットフォームサービスと認定されれば30%です。どちらにも当たらなければ、税務機関が30%と定めます。税務機関がより高い実際の利益率を把握した場合は、その率が使われます。

次に、台湾内の取引過程が利益全体にどれだけ寄与したか(境內利潤貢獻程度)を決めます。移転価格の文書や作業計画の記録など、台湾内外の寄与を明確に分ける資料があれば、実際の割合を使います。取引の全過程、またはサービスの提供地と使用地の両方が台湾なら100%です。広告ではどうなるでしょうか。財政部のQ&Aは、外国の会社が台湾の会社のオンライン広告を台湾で配信する場合を100%の例として挙げています。それ以外は50%です。税務機関がそれより高い実際の割合を把握すれば、その割合になります。

2026年10月時点の税率は20%です(各類所得扣繳率標準第3条)。税務機関が30%と50%を認めた場合、税額は売上の3%になります。20%×30%×50%を掛けた計算上の数字にすぎず、財政部が公表した「実効税率」はありません。承認がないまま台湾の企業が源泉徴収するときは、支払総額の20%が差し引かれます。

台湾企業が払えば源泉徴収、個人が払えば自社で申告

作業要点第6点は、台湾に固定の営業場所も営業代理人もない外国企業について、納め方を二つに分けています。

支払う人台湾の企業・機関台湾の個人
納め方支払者が支払時に源泉徴収日本企業が自社で、または納税代理人を通じて申告・納付
税額支払額の20%(承認を受けた率があれば、それで計算した所得の20%)計算した所得の20%
期限源泉徴収の日から10日以内所得年度の翌年5月1日~5月31日

広告主が台湾の企業や機関であれば、その支払は所得税法第88条の源泉徴収の範囲に入ります。支払者は差し引いた日から10日以内に国庫へ納め、申告しなければなりません。その10日間に3日以上続く国定休日があれば、期間は5日延びます(第92条第2項)。

台湾の個人ユーザーが支払ったゲーム内課金は、源泉徴収の範囲外です。利用者は税金を差し引きません。この分は、所得税法第73条第1項と施行細則第60条に基づき、日本企業が所得年度の翌年5月1日から5月31日までに、財政部の税務ポータル(www.etax.nat.gov.tw)から自分で申告・納付します。末日が休日にあたるときは、次の行政機関の執務日が末日です。自社で申告できなければ納税代理人に任せます。代理人になれるのは台湾に住む個人か、台湾に固定の営業場所を持つ事業者で、税務機関の承認が必要です。

最初の申告の前に、準備がもう一つあります。営業税の税籍登記をしていない企業は、税務ポータルで資格登記をし、日本の主管機関による登記証明書類をアップロードします。この書類には、所在地の台湾の在外機関や現地の裁判所・公証人などの認証が必要で、外国語の書類には中国語訳を添えます(作業要点第9点)。日本語の書類も中国語訳の対象です。営業税の税籍登記を済ませた企業は、そのアカウントを使えます。登記事項が変わったら15日以内に変更登記をします。税金は台湾元で納め、送金手数料は企業の負担です。

申告しなかった所得が税務機関の調査で見つかると、税額を追徴されたうえで、その3倍以下の過料が科されます。申告はしたものの過少だった場合は、漏れた税額の2倍以下です(所得税法第110条)。

アプリストアのような外国のプラットフォームが代金を受け取る仕組みでは、プラットフォームが受け取った販売代金の全額を基準に課税されます。開発会社に渡した分を差し引くには、契約書、支払の証憑と明細を示し、渡した分が外国の開発会社の台湾源泉の収入にあたるなら、台湾の所得税を納めた証明も出します(作業要点第6点)。渡した代金から差し引いた税金は、毎月10日までに前月分を国庫に納めます(第8点)。

30%・50%の承認はどこに申請するか

日本企業が自分で申請するなら、中央政府の所在地の国税局、つまり財政部臺北國稅局が窓口です。代理人を通じるなら代理人の所在地の国税局です(作業要点第2点・第5点)。2021年12月16日からは、税金を実際に負担していることを示せる台湾の支払者も、自社の所在地の国税局に申請できるようになりました(財政部賦稅署の発表)。申請は事前でも、年間の申告と同時でもかまいません。基本の書類は、契約書、事業内容と台湾内外の取引の流れの説明、主要な営業項目の証明です。

承認の前に20%を差し引かれていたら、どうなるでしょうか?2017年度分以降に源泉徴収された税額が、承認された基準で計算した税額より多ければ、収入を得た日から10年以内に還付を申請できます(作業要点第10点)。10年は2023年10月13日の改正で延びた期間です。その時点で改正前の5年の期間を過ぎていた分には、改正前の規定が適用されます。

日台民間租税取決めの免除にも申請が要ります

日台民間租税取決め(2016年6月13日発効)の第7条第1項は、日本の企業の利益について、台湾にある恒久的施設(PE)を通じて事業を行わない限り、日本でのみ課税すると定めています。社員などを台湾に送り込んでサービスを提供した期間が、同じか関連するプロジェクトで、いずれかの12か月の間に継続して、または合計で183日を超えると、PEになります(第5条第3項)。日数の数え方は台湾で働く半導体技術者の税務で取り上げました。

免除は自動では受けられません。適用所得稅協定查核準則第23条により、日本の税務当局が発行した居住者証明、台湾にPEがない(またはPEを通じて事業を行っていない)ことの証明、所得の関係書類をそろえて、支払者の所在地の税務機関に申請します。承認されると、税務機関は支払者に源泉徴収をしないよう通知します。自社で申告する所得なら、申告と同時に申請できます。財政部の税務ポータルには、電子サービス用の取決め事業利得免税申請書の様式もあります。すでに差し引かれた税金は、納付の日から10年以内に取決めの適用を申請できます。2025年4月8日の改正施行時に納付から5年を過ぎていた分は、改正前の規定によります(第34条)。支払者側の源泉徴収全般は台湾子会社が日本の親会社に払うロイヤルティー・役務提供料・利息と台湾の源泉徴収をご覧ください。台湾で納めた税金を日本でどう扱うかは、日本の税理士にご確認ください。

販売しているサービスが台湾源泉の収入にあたるか、取決めの申請書類をどうそろえるかを検討したい場合は、昊鼎国際法律事務所にメール(wei@hoveringlaw.com.tw)でサービスの内容と決済の経路をお知らせください。

2026年度分の台湾の個人向け売上は、2027年5月1日から31日までに申告します。台湾の広告主が払う広告料は、取決めによる免除の承認がない限り、それより早く支払の時点で源泉徴収されます。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月7日

よくある質問

ダウンロード型のアプリを台湾のユーザーに販売した場合も、台湾の所得税がかかりますか?
財政部の作業要点第3点は、台湾の外で完成した商品(スタンドアロンのソフトウェアや電子書籍など)をダウンロードさせて得た報酬を、台湾源泉の収入としていません。台湾の個人や企業の関与・協力がなければ提供できない場合は例外です。オンラインゲーム・動画・音楽・広告のように即時性・双方向性・利便性・継続性のあるサービスの報酬は、台湾源泉の収入です。
日台民間租税取決めがあれば、台湾の広告主からの支払に源泉徴収はかかりませんか?
自動的には免除されません。取決め第7条第1項により、台湾にある恒久的施設(PE)を通じて事業を行わない限り日本企業の利益は日本でのみ課税されますが、日本の税務当局が発行した居住者証明、台湾にPEがない(またはPEを通じて事業を行っていない)ことの証明、所得の関係書類をそろえ、支払者の所在地の税務機関の承認を受ける必要があります。承認されると、税務機関が支払者に源泉徴収をしないよう通知します。すでに差し引かれた税金は、納付の日から10年以内に取決めの適用を申請できます(2025年4月8日の改正施行時に納付から5年を過ぎていた分は改正前の規定によります)。
台湾の個人ユーザーからの売上は、いつ、どこで申告しますか?
源泉徴収の範囲外の所得なので、日本企業が自分で、または税務機関の承認を受けた台湾の納税代理人を通じて、所得年度の翌年5月1日から5月31日までに財政部の税務ポータル(eTax)で申告・納付します。営業税の税籍登記をしていない企業は、その前に、認証を受けた本国の登記証明書類(中国語訳つき)をアップロードして資格登記をします。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。