空港の出国審査カウンター前に置かれたスーツケースと、折りたたまれた書類封筒
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台湾の刑事事件で出国制限中の外国人被告人、一時帰国は認められるか:許可と却下を分けた事情

約6分

架空の情景

出国制限がかかったら、事件が終わるまで台湾から一歩も出られないのでしょうか。そうとは限りません。出国制限中でも、期間を区切った変更を申し立てることはできます。認められるかどうかは、裁判所が何を重く見るかで決まります。

申し立てるのは誰か

被告人と弁護人は、検察官または裁判所に制限の取消しや変更を申し立てられます(刑事訴訟法第93条の5第1項)。ここで取り上げる許可決定は2件とも、解除する期間の始まりと終わりを主文に書いています。

制限そのものの根拠は第93条の2です。犯罪の嫌疑が重大で、一定の住居がないか、逃亡や証拠隠滅、共犯者・証人との口裏合わせのおそれを認める相当な理由がある場合に、必要があれば検察官や裁判官が直接制限できます。最も重い法定刑が拘役(短期の自由刑)か罰金だけの事件では、この条文による直接の制限はできません。保釈(具保)や住居制限に合わせて付けることもあります(第93条の6)。捜査段階の制限は8か月までで、裁判所の決定により4か月、2か月の2回まで延長できます。公判段階は1回8か月までで、法定刑の上限が懲役10年以下の罪は通算5年、それ以外は通算10年が上限です。逃亡して指名手配されていた期間は、どちらの段階でも数えません(第93条の3第1項~第3項)。空港で止めるのは移民署です。移民署は審査の場で書面を渡し、理由を告げることになっています(入出國及移民法第21条)。

判断の物差しを一番はっきり書いているのは、桃園地方法院の決定です。審理や証拠調べに支障が出るか、保証金などの代わりの手段で国外への逃亡を防げるか。この二点です。

事件の進み具合

屏東地方法院は2024年7月1日、父親の葬儀のため14日以内に戻ると申し立てたベトナム国籍の被告人の申立てを退けました。過失致死の事件で、医事審議委員会の鑑定結果がまだ届いておらず、被告人と共同被告人がともに否認しているため、今後の審理で交互尋問が求められる可能性もある、と裁判所は書いています(113年度聲字第696號)。父親が亡くなった翌日に埋葬が済んでいたことも、理由の一つに挙げられました。

逆に、桃園の被告人は準備手続で罪を認めていました。

台湾とのつながり

就労ビザは、つながりとして弱く見られることがあります。屏東の被告人には固定の仕事がありましたが、裁判所は、就労ビザによる短期滞在で、住まいも職員寮にすぎないとして、逃亡のおそれを認めました。

臺北地方法院が2021年11月29日に申立てを却下したモンゴル国籍の留学生は、家族がみなモンゴルにいて、台湾に財産はないと述べていました。捜査段階では、帰国してオンラインで課程を終え学位がもらえるなら台湾には戻らない、という趣旨の供述もしています(110年度聲字第1998號)。

告訴人との調停と賠償

同じ人が、3か月余りで違う結論を得た例があります。新北地方法院は2025年11月26日、文書偽造などの罪で審理中のベトナム国籍の被告人の申立てを却下しました。被告人はそれまで正当な理由なく何度も出廷せず指名手配され、ベトナムから入国したところで身柄を確保されていました。子どもの世話は留学で来台した時点で手配済みのはずで、通信アプリでも連絡がつく、というのが裁判所の見方です(114年度聲字第4373號)。

3か月後は違いました。2026年3月2日の決定で、許可が出ています。被告人側は、告訴人との調停が成立して賠償も済ませたこと、ベトナムに幼い子がいて父親が亡くなったことを述べ、予約済みの航空券の写しを添えています。事件は簡易判決の手続に移っていました。裁判所は本人名義で10万台湾ドルの保証金を納めることを条件に、3月15日から4月3日までの制限を解きました(115年度聲字第345號)。

罪の重さ

先のモンゴル国籍の留学生が問われていたのは第二級毒品の運搬で、法定刑の下限が懲役10年の重い罪です。5万台湾ドルを納めると申し出ましたが、裁判所は保証金では制限の代わりにならないと判断しました。

いずれも手続上の決定で、有罪かどうかを判断したものではありません。判決が確定するまで、被告人は無罪と推定されます。

保証金はどうなるか

桃園地方法院は2025年8月6日、傷害などの罪に問われたフィリピン国籍の被告人に、8万台湾ドルの保証金を条件として8月10日から31日までの制限を解き、9月1日午前0時から元に戻すと決めました(114年度聲字第2886號)。被告人は8月17日に出国し、30日に戻りました。裁判所は、期限どおりの帰国を担保する保証の理由はなくなったとしてこの部分の保証責任を免除し、保証金と実際に生じた利息の返還を認めました(114年度聲字第3576號)。

戻らなかった場合について、新北の許可決定は、期限を過ぎれば没収すると明記していました。一般的な規定としては、保証を受けた被告人が逃亡(逃匿)したとき、裁判所は保証人に指定の金額を納めさせて没収し、納付済みならそのまま没収すると第118条は定めています。利息も一緒です(第119条の1第2項)。

却下されたとき

裁判所の決定には、送達から10日以内に抗告できます(第404条第1項第2号、第406条)。検察官の処分なら、第416条により10日以内に裁判所へ取消しや変更を求めます。抗告しても、執行はそのまま続きます(第409条)。不起訴や起訴猶予(緩起訴)の処分、無罪や執行猶予の判決などが出れば、制限は取り消されたものとみなされます。ただし上訴期間中や上訴審では、必要があれば続くことがあります(第93条の4)。

後の新北の決定には、調停と賠償を済ませたという被告人の申立て、予約済みの航空券、簡易判決手続への移行が記されています。

逮捕直後の流れは台湾で逮捕された後の24時間は、釈放の約束ではないで扱いました。昊鼎国際法律事務所への連絡はwei@hoveringlaw.com.twで受け付けています。台中事務所の所在地は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月21日

よくある質問

台湾で刑事事件の出国制限を受けています。親族の葬儀のために一時帰国できますか。
被告人と弁護人は、検察官または裁判所に出国・出海制限の取消しや変更を申し立てることができます(刑事訴訟法第93条の5)。裁判所は、期間を区切って制限を解く形で認めることがあります。新北地方法院は2026年3月、ベトナム国籍の被告人に保証金10万台湾ドルを条件として3月15日から4月3日までの出国を認めましたが、同じ被告人の約3か月前の申立ては却下していました。
一時出国が認められ、期限どおりに戻れば保証金は返ってきますか。
その旅行の帰国を担保するために納めた保証金なら、決定の条件どおりに戻り、裁判所が保証責任の免除や退保を認めたときに、没収されていない分が利息とともに返還されます(刑事訴訟法第119条第3項、第119条の1第1項)。桃園地方法院は2025年9月、8月末までに戻ったフィリピン国籍の被告人の事件で、期限どおりの帰国を担保する保証の理由はなくなったとして、8万台湾ドルの保証金と利息の返還を決定しました。保証を受けた被告人が逃亡すれば、保証金は利息ごと没収されます(第118条、第119条の1第2項)。
申立てが却下されたら、争う方法はありますか。
裁判所の出国制限に関する決定(裁定)には、送達から10日以内に抗告できます(刑事訴訟法第404条第1項第2号、第406条)。検察官や裁判長による処分であれば、処分の日(送達された場合は送達後)から10日以内に所属の裁判所へ取消しや変更を求めます(第416条)。抗告しただけでは執行は止まりません(第409条)。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。