中国事業の見直しと台湾進出――投資主体と会社形態を考える
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中国事業の見直しと台湾進出――投資主体と会社形態を考える

約8分

ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

販売や調達、開発、管理を担う次の拠点をどこに置くか。拠点を見直している経営陣の検討リストに、台湾が挙がることもあるでしょう。先に考えるのは、台湾が中国の代わりになるかどうかではありません。現地で何をするのか、その事業をどの会社が持って動かすのかです。

帝国データバンクが2026年9月28日に公表したリリースによると、2026年6月時点で中国本土に進出している日本企業は10,118社で、2012年のピークから29.7%減りました。集計対象は香港・マカオを除く中国で、台湾は含まれていません。また、リリースは、こうした企業が台湾へ移っていると報告しているわけではありません。台湾進出を別の経営判断として検討するなら、進出ルートを取り違えないためにも、誰が申請するかを先に決めます。契約、雇用、税務の段取りもあわせて検討します。

事業の中身と投資する会社

書類を集め始める前に、台湾でやることを短いメモにまとめておきます。顧客と契約する会社、人を雇う会社、商品やサービスを届ける場所、設備や知的財産の持ち主、売上を受け取る会社。営業拠点と製造拠点、調達チームでは、結ぶ契約も台湾で負う義務も異なります。まだ固まっていない項目は、選択肢を並べて書けばよい。「台湾オフィス」の一言でまとめず、機能ごとに分けておくと、あとの手続きを組み立てやすくなります。

投資主体の正式名称、設立国・地域、資本関係も手続きを左右します。日本の親会社が直接投資する案と、グループの既存の地域統括会社を投資主体とする案は、台湾の手続き上、同じものとしては扱えません。外国人投資条例第3条は、外国人に外国法人を含め、外国法人の国籍は設立の準拠法によって決まると定めています。進出ルートの出発点は、計画を説明する担当役員の国籍ではなく、実際に申請する主体です。

準備する資料には、投資主体の最新の登記事項、株主構成と支配関係を示す図、台湾で予定する事業内容があります。グループで計画を承認した決議なども、準備する資料に含まれます。資本関係の中に中国本土の会社があるなら、その会社が投資する予定の会社を保有しているのか、支配しているのかを正確に整理します。中国との取引の有無だけでは、投資手続きの区分は決まりません。

投資許可から会社登記まで

外国人投資条例第8条は、この条例に基づく投資を行う者に、投資申請書、投資計画、関連書類を提出し、主管機関の許可を受けることを求めています。計画を変更する場合も同じです。第7条は、特定の事業への投資を禁止しています。制限対象の事業では、その事業を所管する主管機関の許可または同意が必要です。申請書を書く前に、その事業が禁止・制限の対象に当たるかを確認します。

現在の窓口は、経済部投資審議司です。経済部は日本の経済産業省に当たる官庁で、投資審議司はその一部局です。外国人が台湾で新しく国内事業を立ち上げる場合の公式の手順は、会社名と営業項目の事前確認から始まります。その後、投資申請、資本金の送金、送金額の検査確認を経て、会社登記へ進みます。この公式手順では、投資と資本金の検査確認の段階は投資審議司が担当すると示されています。

日程を組む際は、社内で決めた日と、許可や登記が実際に得られる日を分けて考える必要があります。第8条に定められた審査期間は、書類がそろってから数えるものです。書類が不完全な場合や、所管官庁の許可が必要な業種の場合に、開始日を保証するものではありません。

現地法人と支店で異なる責任と税務

現地法人か支店かは、実際の契約、責任、資金調達、運営体制に照らして選びます。台湾の現地法人は、台湾で設立し、会社登記を受ける独立した会社です。一方、支店は、外国会社が台湾で事業を行うための拠点です。会社法第371条は、外国会社がその名義で台湾内において営業するには、支店登記が必要だと定めています。「連絡事務所」と名乗っても、営業できるわけではありません。

台湾政府の投資案内のFAQは、支店と現地法人で税務上の取り扱いが異なると説明しています。台湾での事業所得への課税に加え、税引き後の送金や配当に対する源泉徴収の扱いにも違いがあります。一方の税負担が常に軽いとは言えません。予定している資金の流れを、台湾の税務の専門家と試算してから判断します。税率だけでは比べられません。事業内容、支払いの種類、受け取る側で、結果は変わります。

設立の基本的な手順は、日本語で読める会社設立の基礎、子会社と支店の違い、会社設立の応用編でも紹介しています。

中国本土との資本関係が手続きを変える

台湾では、中国本土側の投資家に別の投資手続きが適用されます。大陸地区人民来台投資許可弁法第3条によると、中国本土の個人や法人などが、第三地区の会社の株式・出資総額の30%超を直接または間接に持つ場合、またはその会社を支配できる場合、その第三地区の会社も対象に含まれます。同条は、こうした第三地区の会社による台湾への投資には、通常の外国人投資条例を適用しないと定めています。経済部は、中国本土側の投資の手順も別に公開しています。

判断の対象は、投資する会社の持分と支配関係です。「グループに中国リスクがある」という大まかな話ではありません。日本企業が中国に販売先や子会社を持っているだけで、台湾の手続きにおいて中国本土側の投資家になるわけではありません。逆に、中国本土側が支配する投資家が、第三地区の持株会社を通じて投資しても、通常の外国人投資になるとは限りません。どちらの手続きで申請するかは、最新の資本関係図、株主間契約、議決権、役員の選任権を確認して決めます。

台湾の会社が将来、中国本土へ投資したり、取引したりする場合、その一つひとつについて台湾側で別に確認する必要があります。最初の外国人投資の許可を、その後の両岸に関わる活動すべてへの許可と考えない方がよい。

事業開始に備える雇用と税務

雇用契約や給与の準備に入る前に、台湾で誰が使用者になるかを決めておく必要があります。労働基準法第2条は、労働者を、雇用主に雇われ、賃金を受け取って働く人と定義しています。第3条は、法律の適用範囲を労働関係全般に広げていますが、条文が定める例外もあります。

誰が採用し、誰が指揮し、誰が給与を払うのか。今いる台湾のチームを新しい会社へ移すのか。こうした点も事業メモにまとめます。組織再編で設備や顧客を移す際、雇用契約や責任も自動的に引き継がれると考えるのは危険です。現地法人設立後の人事判断については、責任者が負うリスクや従業員の解雇でも取り上げています。

税務では、台湾での売上、グループ内のサービス提供、給与、ロイヤルティ、配当などの流れを、一枚の図にしておくとよい。前掲の支店と現地法人の税務FAQは出発点になりますが、そのグループが予定する資金の流れについての税務判断ではありません。登記、請求書の発行、源泉徴収の細目は、実際に経理を担当する人と確認します。最初の法務確認は、台湾で何が行われるかに絞ります。日本や中国本土での税務への影響については、それぞれの地域で別に相談する必要があります。

昊鼎国際法律事務所へのご相談

昊鼎国際法律事務所(Hovering International Law Firm)では、台湾での事業計画と資本関係図を、台湾での申請と契約の作業計画に落とし込むお手伝いができます。台湾での事業についてご相談の際は、初回のメールに、投資主体の登記事項と資本関係図、台湾での事業メモ、顧客や仕入先との契約案、予定している人員体制、すでにある中国本土とのつながりをお送りください。

ご相談は、昊鼎国際法律事務所の弁護士・曾雋崴が担当します。連絡先はwei@hoveringlaw.com.tw、所在地は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2です。個別の事案の判断には、事実関係と資料の確認が必要です。

参照した公式資料

確認日:2026年9月30日

よくある質問

帝国データバンクの調査は、日本企業が中国から台湾へ移っていることを示していますか?
いいえ。調査は中国本土に進出している日本企業の数を集計したもので、台湾を移転先と位置付けていません。台湾への進出は別の経営判断で、台湾側での法的な確認も別に必要です。
日本企業は台湾で子会社の登記を済ませ、すぐに資本金を送金できますか?
台湾の「外国人投資条例」が適用される投資では、第8条により、投資申請書などを提出して許可を受ける必要があります。経済部投資審議司が示す新規事業の手順では、投資許可、資本金の送金、資本金の検査確認を経て、会社登記へ進みます。
日本法人が親会社なら、必ず通常の外国人投資の手続きになりますか?
持分や支配関係を確認するまでは、そうとは言い切れません。「大陸地区人民来台投資許可弁法」第3条は、中国本土側との持分・支配関係が同条の要件に該当する第三地区の会社も対象に含め、その会社による台湾への投資には外国人投資条例を適用しないと定めています。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

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