台湾で保釈されたら――電子監視と出境制限
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台湾で保釈されたら――電子監視と出境制限

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ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

台湾に駐在する日本人の管理職が、仕事上のトラブルで検察官の取り調べを受けた。あるいは、旅行中の家族が突然逮捕された。家族や会社がまず知りたいのは、「いつ出てこられるのか」です。台湾では、裁判官が短期間で勾留か、条件付きの釈放かを判断します。条件には、保釈金、住居の指定、パスポートの提出、足首への機器の装着などがあります。

東洋経済オンラインは2026年9月19日、立法委員の高金素梅氏が、公費で支給される補佐官の給与を不正に受け取った疑いなどで、2026年6月8日に台北地方検察署から起訴されたと報じました。同記事によれば、高金素梅氏は容疑を否認しています。同じ日に起訴された元事務所主任の張俊傑氏は、1000万台湾ドルの保釈金、出境制限、電子足輪の装着を条件に釈放されていました。9月6日夜に逃走し、壊れた機器は翌朝早く大安森林公園で見つかり、台北地方裁判所が同日に指名手配を出したとのことです。自由時報は9月29日、逃走が24日目に入り、逃走を助けた疑いのある16人が取り調べを受けたと報じました。

この事件の有罪・無罪とは別に、保釈金を納めて釈放されても、台湾を離れられるとは限りません。釈放後も、出境を止められたり、住居を指定されたり、足首に機器を付けられたりすることがあります。保釈金を出した家族や会社は、被告が逃げればその金を失いかねません。

勾留か釈放か、裁判官の判断

勾留(羈押)は、裁判官が被告に事情を聴いたうえで命じます。刑事訴訟法第101条(以下、特記のない条文は同法)では、重大な嫌疑があることに加え、次のいずれかに該当することが要件です。

  • 被告が逃亡した、または逃亡のおそれを示す事実がある。
  • 証拠の隠滅・偽造・変造や、共犯者・証人との口裏合わせのおそれを示す事実がある。
  • 死刑、無期懲役、または下限が5年以上の懲役にあたる罪で、逃亡や証拠隠滅などを疑う相当な理由がある。

さらに、勾留しなければ捜査・審理・執行が明らかに難しくなることも必要です。

勾留の理由があっても、その必要がなければ、裁判官は保釈、責付(せきふ)、住居制限を直接命じることができます(第101条の2)。また、第114条に該当する場合、保釈の申立てを退けることはできません。たとえば、法定刑が3年以下の罪(例外あり)、妊娠5か月以上、外部で治療を受けなければ治らない病気などが該当します。

勾留期間は第108条により、捜査中は2か月以内です。延長は1回に限られ、最長2か月です。審理中は3か月以内で、同条の範囲でさらに2か月ずつ延長できます。

保釈は、被告本人、弁護人、輔佐人(被告を補佐できる人)がいつでも申し立てられます(第110条)。

勾留や保釈に関する裁判所の決定に不服があれば、抗告(不服申立て)が認められています(第404条)。抗告の期間は、原則として送達から10日以内です(第406条)。検察官の処分についても、10日以内に裁判所へ不服を申し立てられます(第416条)。

保釈、責付、住居制限

保釈と保証金

保釈(具保)では、第111条に基づいて裁判所が金額を定めます。裁判所の管轄区域内にいる資力のある人の保証でも構いません。保釈金は申立人が納めるほか、許可を得れば第三者も納められます。現金に代えて有価証券が認められる場合もあります。裁判所は、被告の住居を制限することもできます。

保証金なしの責付

責付は、被告を補佐できる人や、裁判所の管轄区域内にいる適切な人に被告を預けて釈放する措置です。保証金は要りません。第115条に基づき、預かる人は、被告が召喚された際に出頭させるという誓約書に署名します。

住居を制限して釈放する場合

住居制限(限制住居)については、第116条が、住居を制限する措置だけで裁判所が勾留を終了できると定めています。

検察官も、取り調べのあと、勾留を請求せずにこれらの措置を命じることができます(第93条、第228条)。

日本の会社が従業員のために第三者として保釈金を納めた場合、従業員が逃亡すれば、その保釈金が没収されるおそれがあります。逃亡しなければ、勾留が取り消されたとき、不起訴になったとき、確定した実刑の執行が始まったときなどに、保釈の義務は終わります。第三者が納めた場合には、許可を得て取り下げを申し立てることも可能です(第119条)。没収されなかった現金の保釈金は、生じた利息とともに返還されます(第119条の1)。

釈放後の生活を縛る条件

勾留を停止して釈放する際、裁判所は必要に応じて、期間を定めた条件を付けられます(第116条の2)。

条件には、裁判所、検察官または指定機関へ定期的に出頭して報告することや、適切な電子監視(科技設備監控)を受け入れることなどがあります。被害者、証人、事件関係者やその近親者に対する危害、脅迫、つきまとい、接触を禁じることもできます。

住居や指定区域を許可なく出ること、指定された財産を許可なく処分することを禁じたり、パスポートなどの渡航書類の提出を命じたりすることもできます。裁判所が関係機関に対し、渡航書類を発給しないよう、または取り消すよう求めることもあります。

裁判所は、申立てを受けて、または職権で、これらの条件を変更し、延長し、取り消すことができます。

電子監視中の義務

電子監視の細かな運用は、刑事被告科技設備監控執行辦法(刑事被告の電子監視に関する執行規則)に定められています。被告に交付される書面の命令書には、機器を装着または設置する場所、期間、守るべき義務、違反した場合にどうなるか、不服申立ての方法などが記されます(第8条)。

被告は指定された日時・場所で装着や取り外しを受け、携帯電話番号を伝えたうえで、電話、ビデオ通話、訪問、点検に応じます(第10条)。機器を正常に動かし、電源を保つことも義務です。機器を取り外したり、壊したり、隠したり、機器の作動を妨げたりすることは禁止されています。

生命や安全にかかわる緊急事態で義務を守れなかった場合は、速やかに裁判所または検察官へ知らせ、3日以内に、その事情を証明する書面を提出します(第12条)。命令書は手元に置き、機器は常に充電しておく必要があります。

出境制限が続く期間

検察官または裁判官は、第93条の2に基づき、出境・出海を直接制限できます。要件は、重大な嫌疑があり、被告に定まった住居がないか、逃亡や証拠・証人への働きかけを疑う相当な理由があることです。ただし、法定刑が拘役(短期の拘留)または罰金だけの罪では、この直接の制限は認められません。

保釈、責付、住居制限が認められる場合には、出境制限を併せて命じることもできます(第93条の6)。制限は書面で行われ、理由、期間、執行機関、不服申立ての方法が記されます。

期間は第93条の3に定めがあります。捜査中に検察官が命じる制限は、8か月を超えることができません。裁判所による延長は2回までで、1回目は最長4か月、2回目は最長2か月です。

審理中は、1回の制限が8か月以内です。通算の上限は、法定刑が10年以下の罪では5年、それ以外は10年です。逃亡して指名手配されていた期間は、制限期間に算入しません。被告または弁護人は、制限の解除や変更を申し立てられます(第93条の5)。

会社の役員に対する税務関連の出境制限については、台湾子会社の董事長・責任者の責任の記事が参考になります。

逃亡したとき、条件に違反したとき

召喚を経ない拘引と再勾留

第116条の2の条件に違反した被告は、事前の召喚なしに拘引(逕行拘提)されることがあります(第116条の2)。さらに、正当な理由なく適法な召喚に応じない場合、住居制限に違反した場合、上記の条件に違反した場合には、第117条に基づいて再び勾留を命じられることがあります。その際、すでに勾留されていた期間は通算されます。

保釈金は利息も含めて没収

第118条は、保釈中の被告が逃亡した場合、保証人に指定額を納めるよう命じ、その金銭を没収すると定めています。納めなければ強制執行されます。すでに納めた保証金は没収され、第119条の1により、利息も失われます。

逃亡・潜伏は指名手配の対象に

逃亡した被告や、身を隠している被告は、指名手配(通緝)の対象になります(第84条)。指名手配後は、検察官や司法警察官が逮捕できます(第87条)。

刑法第164条は、犯人をかくまう行為、適法に逮捕・勾留された後に逃げた人をかくまう行為、逃亡を助ける行為を、2年以下の懲役、拘役または罰金で罰します。逃亡中の人から連絡が来た場合、車や部屋を貸す前に、まず弁護士に電話で相談するのが安全です。

日本にいる家族や会社も対応できる

裁判所の決定書、命令書、通知はすべてコピーを保管し、保釈金を誰が納めたか分かる領収書も残しておく必要があります。事件番号と各期限も控えておくとよいでしょう。住居を指定されている場合、引っ越しには事前の許可が必要です。

被告の法定代理人、配偶者、直系の親族、3親等内の傍系親族、家長または家族は、それぞれ弁護人を選任できます(第27条)。国外からの依頼の進め方は、海外から台湾の弁護士に仕事を頼むときの記事が参考になります。

また、被留置者が求めた場合、勾留施設は、外交官・領事官、または本人の国や地域を代表できる立場にある人との面会や文書のやり取りを手助けしなければなりません(羈押法第59条)。台湾にいる日本人の領事業務は、日本台湾交流協会が行っています。

昊鼎国際法律事務所へのご相談

身近な方が台湾で勾留されたり、保釈に条件が付いたりしたとき、昊鼎国際法律事務所(Hovering International Law Firm)では、決定書や命令書を確認し、各条件を説明します。保釈の申立てのほか、理由がある場合には、保釈条件の変更や出境制限の解除を求める申立てにも対応します。会社が保釈金を納めるかどうかのご相談も承ります。

台湾の事件についてご相談いただく際は、最初のメールに、本人の氏名と国籍、裁判所または検察署の名称と事件番号、保釈金を納めた人、すでに示されている期限を記し、決定書や命令書のコピーを添え、希望の言語もお書きください。

ご相談は、曾雋崴(そう・しゅんい)弁護士が担当します。メールは wei@hoveringlaw.com.tw へ。事務所の所在地は、103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2(7F-2, No. 35, Sec. 1, Chengde Rd., Datong Dist., Taipei City 103, Taiwan)です。個々の事件の扱いは、お手元の命令の内容によって異なります。

参照資料・関連記事

確認日:2026年9月30日

よくある質問

台湾で保釈された日本人は、裁判が続く間に日本へ帰国できますか?
出境制限が付いていれば帰国できません。台湾の刑事訴訟法では、検察官または裁判官が、単独でも、保釈と併せても、出境・出海を制限できます。裁判所はパスポートなどの渡航書類の提出も命じることができます。どの条件が付いているか、変更を申し立てられるかは、弁護人に確認する必要があります。
被告が逃亡すると、誰が保釈金を失いますか?
刑事訴訟法第118条は、保釈中の被告が逃亡した場合、保証人に指定額を納めるよう命じ、その金銭を没収すると定めています。すでに納付された保証金も没収の対象です。第119条の1により、現金で納めた保釈金の利息も没収されます。会社や親族が第三者として保釈金を納めた場合も、このリスクを負います。
電子監視を受ける被告には、どんな義務がありますか?
刑事被告科技設備監控執行辦法に基づき、指定どおりに機器を装着し、連絡がつく状態を保ち、点検に応じます。機器を正常に動かし、電源を保つ義務もあります。取り外したり、壊したり、隠したり、機器の作動を妨げたりしてはいけません。裁判所が定めた条件に違反すると、事前の召喚なしに拘引され、再び勾留されることがあります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

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