架空の情景
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台湾人の夫や義母が私を被保険者にした保険:日本の保険法と比べた同意・受取人・撤回

約6分

架空の情景

「由第三人訂立之死亡保險契約,未經被保險人書面同意,並約定保險金額,其契約無效。」台湾の保険法(保險法)第105条第1項の一文です。他人が掛ける死亡保険は、被保険者の書面による同意と、保険金額の約定がなければ無効になります。

台湾人の夫や義理の家族が、日本人の配偶者を被保険者にして台湾で保険に入り、その要保書(申込書)への署名を求めることがあります。

日本の第38条と台湾の第105条

死亡保険の同意については、日本の保険法第38条も、契約当事者以外の人を被保険者とする契約は被保険者の同意がなければ効力を生じないと定めます。同意を求める点は同じです。台湾の第105条はそこに二つを足しています。同意は書面で、しかも保険金額が約定されていなければなりません。

書面の署名は本人が書く必要があります。台湾の民法第3条は、法律が文字の使用を求めるとき、本文は本人が書かなくてもよいものの、署名は必ず本人がするとしています。印鑑を押せば署名と同じ効力があり、指印や十字などで代えるときは二人の証明署名が必要です。

要保人の側にも条件があります。第16条は、本人またはその家屬、生活費や教育費を頼っている人、債務者、自分の財産や利益を管理する人の生命・身体について、要保人に保険利益があるとします。保険利益がなければ契約は効力を失います(第17条)。

受取人の変更に被保険者の同意はいるか

死亡保険の受取人変更は、日本では被保険者の同意がなければ効力を生じません(保険法第45条)。台湾の条文はどうでしょうか。

第110条は、要保人が保険者に通知して受益人(受取人)を指定すると定め、受益人は保険金を請求する時に生存している人に限られます。指定の後も、要保人は処分権の放棄を表明していなければ、契約や遺言で処分でき、保険者への通知があって初めて保険者に対抗できます(第111条)。被保険者の同意を変更の条件とする文言は、この二つの条文には書かれていません。

解除の請求と、同意の撤回

日本の保険法第58条は、被保険者が保険契約者に死亡保険契約の解除を請求できる場合を定めています。被保険者の保険契約者や受取人に対する信頼を損ない、契約の存続を困難にする重大な事由がある場合のほか、保険契約者と被保険者の親族関係の終了その他の事情で、第38条の同意の基礎とした事情が著しく変わった場合も含まれます(同条第1項第3号)。

第105条第2項は、もっと直接です。被保険者は自分の同意をいつでも撤回でき、その方式は保険者と要保人の両方への書面通知です。撤回すれば、要保人が保険契約を終了させたものとみなされます(同条第3項)。

義母が要保人、夫が受益人で、日本人の妻を被保険者とする生命保険(架空の例です)なら、撤回の書面を送る相手は保険会社と義母です。受益人の夫は、第105条第2項の通知先に入っていません。夫が受益人のままでも、撤回すれば契約そのものが終わります。

傷害保険と旅行の保険

傷害疾病定額保険について、日本の保険法第67条は被保険者の同意を求めつつ、被保険者(死亡給付については被保険者またはその相続人)が受取人である場合を例外としています。ただし、給付事由が傷害疾病による死亡だけの契約には、この例外は使えません(同条第2項)。台湾では第135条が、第102条から第105条、第107条、第107条の1、第110条から第116条、第123条、第124条、第125条第2項を傷害保険に準用します。旅行中の事故に備える商品でも、傷害保険として組まれ、第三者が死亡給付付きで掛けるなら、書面同意と撤回の規定がそのまま関わってきます。

台湾の契約を調べる窓口

自分を被保険者とする台湾の保険があるかどうかは、中華民國人壽保險商業同業公會(生命保険業の同業団体)の投保紀錄查詢で調べられます。対象は、本人が被保険者か要保人になっている人身保険のうち、有効なものと失効から2年以内のもので、会員会社が通報システムに載せた資料に限られます。回答表に出るのは保険会社名、商品名、証券番号、保険の種類、保険金額、契約の効力発生日、有効かどうかです。契約内容の変更の有無は各保険会社に問い合わせます。

問答集によれば、申請書と証明書類、郵便振替の受領書を郵送するか、公会の窓口に持参します。電話での照会は受け付けていません。処理は受付から最長10営業日です。本人以外では、親権者、後見人・補助人、最も近い順位の法定相続人、遺産管理人、遺言執行者が申請でき、配偶者は常に最も近い順位の法定相続人に当たります。

離婚協議書で保険の要保人と受益人をどう扱うかを決める段階から、台湾の弁護士に相談できます。相続人としての投保紀錄の照会と保険金の請求、要保書と同意書の写しを取り寄せての署名の確認、保険会社と要保人に宛てた撤回通知の中国語での作成と存證信函での送付も依頼できます。家事事件のご相談はwei@hoveringlaw.com.twまで。昊鼎国際法律事務所の台北事務所は台北市大同区承徳路一段35号7階の2(臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)にあります。

日本の保険法なら解除を「請求」する場面で、台湾の被保険者は自分で同意を撤回できます。要保人の承諾は、条文の要件に入っていません。

参考資料

確認日:2026年10月28日。

よくある質問

台湾人の義母が、私を被保険者にした生命保険に入りたいと言っています。断ってもよいのでしょうか。
署名するかどうかは被保険者が決めることです。台湾の保険法第105条第1項は、第三者が掛ける死亡保険について被保険者の書面同意と保険金額の約定を求め、どちらかが欠ければ契約は無効になります。義母に保険利益があるかは第16条で判断され、同じ世帯で暮らしていれば家屬(民法第1122条・第1123条)に当たりえます。いったん署名しても、第105条第2項によりいつでも書面で撤回できます。
撤回の通知は日本語で書いてもかまいませんか。
第105条第2項が定めているのは、保険者と要保人の両方に書面で通知するという方式で、使う言語は書かれていません。ただ、受け取る台湾の保険会社が内容と日付を確実に読み取れるよう、中国語で書くか中国語訳を付けておくと、届いた・届かないの争いを避けやすくなります。郵便局の存證信函を使えば、送った内容の記録も残ります。
受取人を決めていなかった死亡保険金は、誰が受け取りますか。
被保険者の遺産になります(保険法第113条)。受取人が指定されていれば、その保険金は遺産に入りません(第112条)。そこから先は相続の問題で、台湾の涉外民事法律適用法第58条は、相続を被相続人の死亡時の本国法によるとしています。日本人の被保険者なら原則として日本法です。ただし同条ただし書により、中華民国の法律で相続人となるべき中華民国国民は、台湾にある遺産について相続できます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。