台湾で遺言なく亡くなったとき、誰がどれだけ相続するか:順位・配偶者の取り分・代襲相続
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台湾で遺言なく亡くなったとき、誰がどれだけ相続するか:順位・配偶者の取り分・代襲相続

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台湾人の夫が遺言を残さずに亡くなり、日本人の妻と子ども2人(長男と長女)が残されたとします。台湾の民法が適用される相続であれば、妻の法定相続分は2分の1ではありません。妻、長男、長女の3人が3分の1ずつ相続します。

日本の民法第900条は、子と配偶者が相続人であるときの相続分を各2分の1と定めています。台湾の民法は、配偶者の取り分を、誰と一緒に相続するかに応じて別の割合で決めています。日本の割合をそのまま当てはめると、計算が合いません。

配偶者は常に相続人、血族には四つの順位があります

民法第1138条は、配偶者以外の相続人を、直系卑属、父母、兄弟姉妹、祖父母の順に定めています。先の順位に一人でも相続人がいれば、後の順位の人は相続人になりません。直系卑属の中では親等の近い人が先になるため(第1139条)、子がいれば孫は原則として相続しません。同じ順位に複数の人がいるときは、人数で均等に分けます(第1141条)。

配偶者の相続分(台湾の条文では「應繼分」)は、第1144条が、一緒に相続する順位ごとに定めています。

配偶者と一緒に相続する人配偶者残り
第1順位 直系卑属他の相続人と同じ割合直系卑属が同じ割合ずつ
第2順位 父母2分の1父母が2分の1を均等に
第3順位 兄弟姉妹2分の1兄弟姉妹が2分の1を均等に
第4順位 祖父母3分の2祖父母が3分の1を均等に
四つの順位に誰もいない全部なし

例えば、先ほどの夫婦に子がなく、夫の両親が健在であれば、妻が2分の1、両親が4分の1ずつです。両親もすでに亡く、夫に兄と妹がいる場合は、妻が2分の1、兄と妹が4分の1ずつになります。配偶者がいない相続では、その順位の血族が遺産の全部を均等に相続します。

ここで計算しているのは相続分です。法定財産制の夫婦の一方が亡くなったとき、残された配偶者が持つ剰余財産の分配請求権(第1030条の1)は、相続分とは別に計算します。

先に亡くなった子の分は、孫が代わって相続します

第1140条は、第1順位の相続人が相続の開始前に死亡し、または相続権を失ったときは、その直系卑属がその相続分を代わって相続すると定めています。台湾の条文では「代位繼承」といい、この記事では代襲相続と呼びます。

冒頭の家族で、長男が父より先に亡くなっていて、長男に子が2人いたとします。妻と長女が3分の1ずつ相続し、長男の分である3分の1を孫2人が6分の1ずつ分けます。

第1140条が対象にしているのは、第1順位の相続人だけです。兄弟姉妹が相続人になる場面で、先に亡くなった兄弟姉妹がいても、その子(おい・めい)がこの条文によって代わりに相続することはできません。日本の民法は第889条第2項で兄弟姉妹についても代襲の規定を準用しており、条文の作りが異なります。

相続放棄は代襲の原因になりません

第1140条が挙げる原因は死亡と相続権の喪失の二つで、相続放棄は入っていません。子の一人が放棄すると、その相続分は一緒に相続する他の相続人に帰属します(第1176条第1項)。冒頭の家族で、存命の長男が裁判所に相続放棄をした場合、長男の子は相続人にならず、妻と長女が2分の1ずつ相続します。

子が全員放棄した場合は、次の親等の直系卑属、つまり孫が相続人になります(第5項)。これは代襲ではなく、第1順位の中で順番が回ってきたものです。孫を含めて第1順位の全員が放棄すると、父母、兄弟姉妹、祖父母の順に、次の順位の人が相続します(第6項)。配偶者は、自分で放棄しない限り、その間ずっと相続人のままです。

日本の民法も、代襲の原因として放棄を挙げていません(第887条第2項)。ただ台湾には、子が全員放棄したときは孫が相続人になるという、上の第5項の規定があります。

借金を理由に子が全員放棄したとき、家族が予想していなかった人が相続人になるのは、この規定によるものです。相続人の地位は孫、父母、兄弟姉妹へと順に移り、その中には未成年者や、亡くなった方と行き来のなかった親族が含まれることがあります。放棄をした人は、自分の放棄によって相続人になる人に書面で通知しなければなりません(通知できない場合を除きます。第1174条第3項)。そうして相続人になった人は、相続人になったことを知った日から3か月以内に放棄できます(第1176条第7項)。放棄しなかった相続人も、被相続人の債務については、相続で得た遺産を限度として弁済の責任を負います(第1148条第2項)。放棄の手続きと債務の扱いの基本は、台湾の相続と親権で説明しています。

相続権を失う場合

第1145条は、相続権を失う事由を五つ挙げています。一つ目は、故意に被相続人または相続人となるべき人を死亡させ、または死亡させようとして、刑の言渡しを受けた場合です。詐欺や強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせ、または撤回・変更させた場合、同じ方法で遺言やその撤回・変更を妨げた場合、遺言を偽造・変造・隠匿・隠滅した場合も相続権を失いますが、この三つについては、被相続人が許したときは相続権を失いません。五つ目は、被相続人に重大な虐待または侮辱を加え、被相続人が相続させない旨を表示した場合です。相続権を失った人が子であれば、その直系卑属が第1140条により代わって相続します。

養子、婚姻外で生まれた子、胎児

養子は、養親とその親族との関係では、法律に別の定めがない限り、婚姻中に生まれた子と同じ扱いです(第1077条第1項)。したがって養親の第1順位の相続人になります。実の父母とその親族との間の権利義務は、養子縁組が続いている間は停止するため、その間は実父母の側の相続で相続人には数えません。ただし、夫婦の一方が他方の子を養子にした場合、その他方と子の間の権利義務は縁組の影響を受けません(第2項)。

婚姻外で生まれた子は、母との関係では、認知がなくても婚姻中に生まれた子とみなされます。父との関係では父の認知が必要で、父が養育してきた場合は認知したものとみなされます(第1065条)。

胎児が相続人であるときは、他の相続人は胎児の相続分を留保しなければ遺産を分割できず、分割については母が胎児を代理します(第1166条)。

遺言がある場合、亡くなった方が台湾籍でない場合

遺言があれば、上の割合は変わることがあります。遺言者は、特留分(相続人に法律上残される最低限の取り分)の規定に反しない範囲で、遺言によって遺産を自由に処分できます(第1187条)。特留分の割合を定める第1223条は2026年8月17日に改正・公布され、公布の6か月後に施行されます。2026年10月5日時点で適用されている改正前の条文は、直系卑属・父母・配偶者について相続分の2分の1、兄弟姉妹・祖父母について3分の1としており、改正後の条文には兄弟姉妹がありません。相続が改正前に開始していた場合は、施行法に特別の定めがない限り、改正後の規定は適用されません(民法繼承編施行法第1条)。

以上の順位と割合は、台湾の民法が適用される相続についてのものです。台湾の渉外民事法律適用法第58条は、相続を被相続人の死亡時の本国法によるとしています。亡くなった方が日本国籍であれば、まず、どの国の法律で相続人を決めるのかを確かめることになります。この点は外国人が台湾の不動産を相続するときで取り上げました。日本側の相続手続きや税務は、日本の専門家にお尋ねください。

家族関係が複雑で相続人や相続分の整理が難しいときは、昊鼎国際法律事務所へメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、亡くなった日、亡くなった方の国籍、家族構成、相続放棄をした人の有無をお知らせください。この記事は一般的な説明であり、個別の事案の結論は戸籍資料や裁判所の書類によって変わります。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月5日

よくある質問

台湾人の夫が遺言なしで亡くなりました。子どもが2人いる場合、妻の相続分は2分の1ですか?
台湾の民法が適用される相続であれば、2分の1ではありません。民法第1144条は、配偶者が直系卑属と一緒に相続するときの相続分を他の相続人と均等と定めているため、妻と子2人なら3分の1ずつです。配偶者が2分の1になるのは父母または兄弟姉妹と相続する場合で、祖父母と相続する場合は3分の2です。
被相続人より先に亡くなった子の分はどうなりますか?
その子の直系卑属、つまり被相続人の孫などが、その子の相続分を代わって相続します(民法第1140条。台湾の条文では代位繼承)。子が相続権を失った場合も同じです。相続放棄は代襲の原因ではなく、放棄した子の相続分は一緒に相続する他の相続人に帰属します(第1176条第1項)。
子が全員相続放棄をすると、誰が相続人になりますか?
民法第1176条により、子が全員放棄したときは次の親等の直系卑属である孫が相続し(第5項)、第1順位の全員が放棄したときは父母、兄弟姉妹、祖父母の順に次の順位が相続します(第6項)。こうして相続人になった人は、それを知った日から3か月以内に放棄できます(第7項)。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。