台湾の遺産税2026年:免税額と控除額、死亡前2年以内の贈与分は誰が納めるのか
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台湾の遺産税2026年:免税額と控除額、死亡前2年以内の贈与分は誰が納めるのか

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台湾では2026年9月11日に遺産及び贈与税法(遺產及贈與稅法)の一部が改正・公布され、亡くなる前2年以内に配偶者や相続人へ贈与された財産については、その分の遺産税を財産を受け取った人が納めることになりました(財政部2026年9月11日の発表)。2026年に亡くなった方の遺産税(遺產稅)は、遺産総額から免税額1,333万台湾元と各種の控除額を引いた残りに、10〜20%の税率をかけて計算します。

国外の財産まで課税されるのは、台湾に住んでいた台湾籍の方です

遺産及び贈与税法第1条第1項は、台湾に常時居住(經常居住)していた中華民国国民が亡くなったとき、台湾の内外にあるすべての遺産に遺産税を課すと定めています。死亡前2年以内に台湾に住所があった場合、または住所はなく居所だけがあり、その2年間の台湾滞在が合計365日を超える場合が、この常時居住にあたります(第4条第3項)。台湾人の夫や親が日本に預金や不動産を持っていれば、それも遺産総額に入ります。国外の財産について所在地国の法律に基づき納めた遺産税は、現地の税務機関が発行した納税証明に台湾の在外公館(公館がない場合は現地の公認会計士または公証人)の認証を受けて提出すれば、台湾の遺産税から差し引けます。差し引けるのは、国外の遺産を加えたことで増えた税額までです(第11条第1項)。

亡くなった方が中華民国国民でない場合や、国外に常時居住していた国民の場合は、課税されるのは台湾内の財産だけで、使える控除や申告先も変わります。こちらは海外に住んでいた人が台湾の財産を残したとき、遺産税はどこまでかで扱いました。

2026年に亡くなった場合の免税額・控除額・税率

第13条、第17条、第18条の条文に書かれている金額は、基準となる額です。消費者物価指数が前回の調整時から累計で10%以上上がると翌年から金額が調整され、財政部が毎年12月末までに翌年分を公告します(第12条の1)。財政部の公告による2026年(民国115年)の金額は次のとおりで、2025年から変わっていません。単位は台湾元です。

項目2026年に亡くなった場合条文上の基準額
免税額1,333万元1,200万元
配偶者控除553万元400万元
直系卑属(1人につき)56万元40万元
父母(1人につき)138万元100万元
重度以上の障害の特別控除(1人につき)693万元500万元
扶養していた兄弟姉妹・祖父母(1人につき)56万元40万元
葬儀費138万元100万元

未成年の直系卑属は、成年に達するまでの年数1年につき56万元を加算できます。相続を放棄した相続人については、配偶者・直系卑属・父母などの人的な控除は使えません(第17条第2項)。

控除後の課税遺産純額が5,621万元以下なら10%、5,621万元を超え1億1,242万元以下なら562万1,000元に超過分の15%を加えた額、1億1,242万元を超えると1,405万2,500元に超過分の20%を加えた額になります。遺産の価額は死亡時の時価で計算し、土地は公告土地現値(公告土地現值)または評定標準価格、建物は評定標準価格を基準にします(第10条)。

例えば、台中に住んでいた台湾人の夫が2026年10月に亡くなり、相続人は日本人の妻と成年の子3人、遺産総額は6,000万元だったとします。債務はなく、後で述べる剰余財産差額分配請求権の控除も申告しない前提です。免税額1,333万元、配偶者控除553万元、子の控除168万元(56万元×3人)、葬儀費138万元の合計2,192万元を引くと、課税遺産純額は3,808万元、税額はその10%の380万8,000元です。第17条には、配偶者や子の国籍を条件とする文言はありません。

死亡前2年以内の贈与は遺産に加算され、その分の税は受贈者が納めます

第15条第1項は、被相続人が死亡前2年以内に配偶者、民法第1138条・第1140条による各順位の相続人(直系卑属、父母、兄弟姉妹、祖父母と代襲相続人)、これらの相続人の配偶者へ贈与した財産を遺産とみなし、遺産総額に加算すると定めています。夫婦間の贈与は贈与税の計算には入りませんが(第20条第1項第6号)、死亡前2年以内のものは遺産税の計算に戻ってきます。

改正のきっかけは、憲法法廷(憲法法庭)が2024年10月28日に公告した113年憲判字第11号判決です。亡くなる11日前に配偶者へ土地を贈与していた事案でした。憲法法廷は、加算された贈与分の税を配偶者と他の相続人がどう負担するのかを明確に定めた規定がなく、他の相続人が自分の相続した遺産で配偶者の受けた贈与分の遺産税まで負担することになる点は平等権の保障に合わないと判断し、2年以内の法改正を求めました。

改正後の第6条第3項は、それぞれの贈与財産が遺産総額に占める割合で計算した遺産税額について、受贈者を納税義務者としています。受贈者の責任は受け取った財産が限度で、その財産をすでに譲渡したり失ったりしている場合は、被相続人の死亡時の時価で計算します。同法は公布日から施行すると定めており(第59条)、公布日施行の法規は公布日から数えて3日目に効力を生じるので(中央法規標準法第13条)、改正条文は2026年9月13日から効力があります。

先の例で、夫が亡くなる1年前に妻へ1,500万元を贈与していたとします。遺産総額は7,500万元、課税遺産純額は5,308万元、税額は530万8,000元になります。条文どおりに計算すると、このうち5分の1にあたる106万1,600元は妻が受贈者として納め、残りの424万6,400元は相続人が遺産を限度に納めます。贈与の時に納めた贈与税や土地増値税(土地增值稅)があれば、利息を加えた額を遺産税から差し引けますが、贈与財産を加算したことで増えた税額が上限です(第11条第2項)。

経過規定もあります。2024年10月28日から改正条文の施行前までに亡くなった事案でも、被相続人の配偶者が相続を放棄した場合や相続権を失った場合には、第3項を適用します(第6条第5項)。憲法法廷は判決の中で、こうした配偶者には法律の定めがないまま課税することはできないとし、その扱いを立法に委ねていました。

配偶者の剰余財産差額分配請求権を控除する場合

台湾民法の法定財産制では、その関係が終わるとき、夫婦それぞれの婚姻後の財産から婚姻中の債務を引いた残りを比べ、差額を等分します。相続などで無償取得した財産と慰謝料は計算から外れます(民法第1030条の1)。残された配偶者がこの請求権を主張する場合、納税義務者はその額を遺産総額から控除するよう申告できます(第17条の1第1項)。日本人と台湾人の夫婦の場合は、夫婦の財産にどの国の法律が適用されるかが先に問題になります。

改正で加わった第2項は、死亡前2年以内に配偶者へ贈与され遺産総額に加算された財産を、この控除額の計算では被相続人の現存財産とみなします。憲法法廷が同じ判決で、配偶者が受けた贈与分にこの控除にあたる規定がない点も平等権に合わないとしたことを受けたものです。

この控除を受けた納税義務者は、税務機関が納税完了の証明書(稅款繳清證明書)または免税証明書を発行した日から1年以内に、請求権の額にあたる財産を配偶者へ実際に引き渡さなければなりません。引き渡していない部分は、税務機関がその期間の満了日の翌日から5年以内に税を追徴します。遺産総額に加算された贈与財産を、この引渡しに充てることはできません(第3項)。

申告は死亡の翌日から6か月以内、納付は通知から2か月以内

納税義務者は、被相続人が亡くなった日の翌日から6か月以内に、被相続人の戸籍所在地を管轄する税務機関(国税局)へ遺産税を申告しなければなりません(第23条第1項)。正当な理由で間に合わない場合は、期限が来る前に書面で延長を申請します。延長は原則3か月までです(第26条)。期限までに申告しないと、決定された納付税額の2倍以下の過料が科されます(第44条)。遺言執行者がいる場合は、相続人や受贈者に代わって申告、納付、復査(復查)の申請を行えます(第6条第4項)。

税務機関は、申告書を受け取った日から2か月以内に税額を決定して納税通知書を送ることになっています(第29条)。納税義務者は、通知書の送達を受けた日の翌日から2か月以内に納めなければならず、必要な場合はその期限内に2か月の延長を申請できます(第30条第1項)。遺産税を完納するまでは、税務機関が発行した移転同意の証明書や免税証明書などがない限り、遺産の分割、遺贈の引渡し、移転登記はできません(第8条)。

2026年の改正で変わった納付方法

一度に現金で納めるのが難しい場合は、納付期限内に申請して、18回以内、各回2か月以内の間隔で分納できます。分納には利息がかかります。改正前は税額が30万元以上でなければ分納を申請できませんでしたが、この条件は削除されました(第30条第2項・第3項)。実物で納める物納(抵繳)は、今も税額が30万元以上の場合に限られます(第4項)。

被相続人が金融機関に残した預金で遺産税を納める手続きも変わりました。遺産は分割するまで相続人全員の公同共有で(民法第1151条)、その処分には全員の同意が必要です(民法第828条第3項)。改正後の第30条第7項は、相続人の過半数で、かつその相続分の合計が過半数となる同意、または相続分の合計が3分の2を超える相続人の同意があれば申請できるとしました。先の例では4人の相続分は4分の1ずつなので(民法第1144条)、3人が同意すれば足ります。ただし、受贈者が納税義務者となる税額にはこの特例が適用されません。財政部は、その税額を遺産で納めるには相続人全員の同意が必要だと説明しています。

日本に住む相続人に日本の相続税の申告が必要になるかどうかは、日本の税務署や税理士に確認してください。

台湾のご家族の遺産税の申告や、亡くなる前の贈与の扱いについて相談したい場合は、昊鼎国際法律事務所にメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、亡くなった日、相続人の構成、死亡前2年以内の贈与の有無をお知らせください。この記事は一般的な説明で、個別の税額や手続きは実際の資料によって変わります。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月5日

よくある質問

台湾人の夫が亡くなる1年前に私へ贈与した財産にも、遺産税はかかりますか?
かかります。遺産及び贈与税法第15条は、死亡前2年以内に配偶者、各順位の相続人、その相続人の配偶者へ贈与した財産を遺産総額に加算すると定めています。2026年9月11日に公布された改正後の第6条第3項により、その贈与財産が遺産総額に占める割合で計算した遺産税額は、財産を受け取った人が納税義務者となり、受け取った財産を限度に納めます。
2026年に亡くなった場合、台湾の遺産税の免税額と税率はいくらですか?
財政部の公告によると、2026年に亡くなった場合の免税額は1,333万台湾元です。控除額は配偶者553万台湾元、直系卑属1人につき56万台湾元、父母1人につき138万台湾元、葬儀費138万台湾元です。税率は課税遺産純額5,621万台湾元以下が10%、5,621万台湾元を超え1億1,242万台湾元以下の部分が15%、それを超える部分が20%です。
相続人の一人が同意しなくても、故人の台湾の預金から遺産税を納められますか?
2026年の改正後の第30条第7項は、相続人の過半数で、かつその相続分の合計が過半数となる同意、または相続分の合計が3分の2を超える相続人の同意があれば、被相続人が金融機関に残した預金で遺産税を納める申請ができると定めています。ただし、死亡前2年以内の贈与について受贈者が納税義務者となる税額には、この特例は適用されません。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。