海外に住んでいた人が台湾の財産を残したとき、遺産税はどこまでか
← コラム一覧へ台湾法律情報

海外に住んでいた人が台湾の財産を残したとき、遺産税はどこまでか

約6分

日本にいるご家族が亡くなり、台北のマンションや台湾の銀行口座、台湾の会社の持分が残っていることがあります。誰が相続するかという問題と、台湾で遺産税の申告が必要かという問題は、分けて考える必要があります。この記事では、台湾での遺産税申告について説明します。

相続人は誰か、民事上の責任が遺産の範囲に限られるか、相続放棄はいつまでにするかについては、台湾の相続と親権で説明しています。どの国の相続法が適用されるか、外国人の相続人が取得の制限された土地をどう扱うかは、台湾相続の準拠法と土地をご覧ください。日本の相続税の申告が必要かどうかは、日本の税務署または税理士にご確認ください。日本で申告をしても、台湾での申告が不要になるわけではありません。

どのような場合に台湾内の遺産だけが課税されますか?

遺産及び贈与税法第1条が課税の範囲を分けています。台湾に経常居住(經常居住)していた中華民国国民が亡くなった場合は、国内外のすべての遺産が課税対象です。一方、台湾の外に経常居住していた中華民国国民と、中華民国国民でない人については、台湾内の遺産だけが課税対象となります。基準となるのは旅券ではなく、中華民国の国籍です。

被相続人が中華民国国民でなければ、台湾に何年住んでいても台湾内の財産だけが課税され、控除の制限(第17条第2項)と申告先(第23条第2項)も、台湾の外に経常居住していた国民と同じです。経常居住かどうかが実際に問題になるのは、被相続人が中華民国国民だった場合です。その場合、全世界の財産に課税されるか、控除をどこまで受けられるか、どこに申告するかが、経常居住の判断によって変わります。

経常居住の基準は第4条にあります。次のいずれかに当たれば、台湾に経常居住していたことになります。一つは、死亡前2年以内に台湾に住所があった場合です。もう一つは、台湾に住所はないものの居所があり、死亡前2年間の台湾での滞在日数が合計365日を超える場合です。ただし、中華民国政府に招へいされて働き、台湾での居留期間が定められていた人は、滞在日数にかかわらず二つ目の基準には当たりません。どちらにも当たらなければ、台湾の外に経常居住していたことになります。

条文で使われている語は「住所」です。財政部の税務入口網(財政部稅務入口網)の同じ基準についての説明では、この住所は戸籍登記があることを指すと説明されています。条文の文言そのものではなく、税務入口網による説明である点にご注意ください。日数は、死亡日から2年さかのぼって数えます。暦年で183日という基準は所得税上の居住の考え方で、台湾の所得税上の居住で別に取り上げています。

どの財産が「台湾にある財産」になりますか?

第9条は、死亡時に財産がどこにあったかで所在地を決めます。不動産は、その土地・建物がある場所です。金融機関に預けた預金や寄託物はその金融機関の事務所・営業所の所在地、債権は債務者が経常居住する地、または債務者の事務所・営業所の所在地です。公債、社債、株式・持分(股權或出資)は、発行機関または出資先の事業の主たる事務所の所在地で決まります。そのため、主たる事務所が台湾にある会社の株式は、株券が海外にあっても、相続人が海外に住んでいても、台湾所在の財産になります。

船舶・車両・航空機は船籍または登録機関の所在地、特許権・商標権・著作権は登録機関の所在地で決めることも、同じ条に定められています。どの号にも当たらない財産の所在地がはっきりしないときは、財政部が決めます。

誰が、いつまでに、どこへ申告しますか?

第6条第1項によると、納税義務者は相続人と受遺者で、相続人がいない場合は遺産管理人です。納付義務は遺産の範囲に限られ、財産がすでに移転したり失われたりしている場合は、死亡時の時価で計算します。遺言執行者がいれば、これらの人に代わって申告、納付、再調査の申請をすることができます。ここでいう限度は税法上の定めです。民法上の責任の範囲と相続放棄の期間については、前に挙げた相続の記事をご覧ください。相続放棄をした人がいる場合は、誰が署名すべきかを問い合わせる際に、その書面もお持ちください。なお、第15条第1項により遺産に算入される贈与財産に対応する税額については、第6条第3項により受贈者が納税義務者となり、受けた贈与財産の範囲で納付します。

第23条の申告期限は、死亡の翌日から6か月です。第6条第2項により税務機関が裁判所に遺産管理人の選任を申し立てた場合は、裁判所が選任した日の翌日から6か月です。死亡後に確定判決、またはこれと同じ効力を持つ文書によって被相続人の所有と確定した財産は、判決確定の日または文書作成の日の翌日から6か月以内に追加で申告します。

同じ条の第2項は、台湾の外に経常居住していた中華民国国民や、中華民国国民でない人が台湾内に財産を残した場合、中央政府所在地の主管稽徴機関(税務機関)に申告するよう定めています。税務入口網の申告先についての回答は、その申告先を台北国税局(臺北國稅局)の本局または所属の分局・稽徴所としています。同じ回答によると、死亡前2年以内に自ら国籍を放棄した人については、もとの戸籍所在地の機関に申告します。このような人には、第3条の1により、引き続き中華民国国民に関する規定で遺産税が課されます。大陸地区の人民については、同じページに別の項目があります。このページの更新日は2023年4月27日と表示されているので、窓口は提出前に改めてご確認ください。遺産税の概要には、別に定められた要領に当たる案件を、ほかの国税局の窓口で受け付ける手続も紹介されています。別の窓口で受け付けても、6か月の申告期限は変わりません。

なお、上の申告期限は、2026年9月11日に改正公布された条文(改正の沿革)に基づいています。税務入口網の案内ページはそれより前に更新されたもので、遺産税の概要には「死亡日から6か月以内」という改正前の表現が残っています。期限は、現在の第23条の条文どおり、死亡の翌日から数えてください。

申告期限の延長は第26条に定められています。正当な理由があって期限内に申告できない場合は、期限が来る前に書面で延長を申請します。延長は3か月が限度ですが、不可抗力その他特別の事情があるときは、税務機関が実情に応じて期間を定めることができます。どのような理由が認められるかの一覧は、法律にはありません。税額の通知を受けた後の納付期限は、第30条が定める別の段階の話です。

第18条により、台湾の外に経常居住していた国民と中華民国国民でない人にも、経常居住していた国民と同じ規定で免税額が適用されます。金額は財政部が公告し、死亡日によって変わるので、その年の金額は税務入口網でご確認ください。一方、第17条第2項は控除の範囲を狭めています。第1項第1号から第7号までは適用されません。第8号から第11号まで、つまり未納の税や過料・罰金、証明できる債務、葬儀費用、遺言の執行と遺産の管理に直接必要な費用は、台湾内で生じたものに限って控除されます。各号の金額とその後の公告は、死亡した年の公式ページでご確認ください。

登記機関や会社は、なぜ納税の証明を求めるのですか?

第8条により、遺産税を納めるまでは、遺産の分割、遺贈の引渡し、移転登記をすることができません。贈与税も、納めるまでは贈与による移転登記ができません。ただし、事前に税務機関から移転同意証明書の発行を受けた場合や、免税証明書、遺産総額・贈与総額に算入しない旨の証明書の発行を受けた場合は例外です。税を納めた後は、税務機関が完納証明書(稅款繳清證明書)を発行します。

第42条は、地政機関(不動産登記を扱う機関)やその他の政府機関、公営・民間の事業者が移転登記をする際、当事者にこれらの証明書の写しを提出させるよう定めています。提出できなければ、移転登記は行われません。マンションであれば地政事務所(登記機関)が、株式であれば会社や株主名簿の管理者がこの書面を確認します。準拠法と取得の制限された土地については、前に挙げた相続の記事をご覧ください。

生前に贈与していた場合は、どの申告になりますか?

生前の贈与は、遺産税とは別の申告です。第3条第2項は、台湾の外に経常居住する国民と中華民国国民でない人が台湾内の財産を贈与した場合、贈与税を課すと定めています。第24条により、1年間の贈与額が免税額を超えた場合は、免税額を超えることになった贈与の後30日以内に申告しなければなりません。免税額は年によって案内が変わることがあるため、ここでは金額を書いていません。税務入口網のその年のページをご確認ください。こうした贈与者は中央政府所在地の主管稽徴機関に申告し、贈与税の申告先の案内では、この場合の申告先を台北国税局としています。納税義務者は第7条により原則として贈与者で、贈与者の行方が分からない場合など、条文が定める場合に限って受贈者になります。死亡によって移転する財産は、遺産税の申告対象です。また、死亡前2年以内に配偶者、法定相続人またはその配偶者に贈与した財産も、第15条により遺産総額に算入されます。

最初のメールには何を書けばよいですか?

この記事は、法律と税務入口網の案内をもとにした一般的な説明であり、個別の相続についての法的助言ではありません。昊鼎国際法律事務所の曾雋崴弁護士にご連絡いただく際は、被相続人の国籍、台湾の戸籍の有無、死亡日をお書きください。死亡前2年間にどこに住んでいたか、台湾に滞在したおよその日数、分かる範囲での台湾の財産(住所、会社名、銀行)もお知らせください。相続人と受遺者の居住地、相続放棄をしたか、または検討中かも必要です。死亡前に台湾の財産を贈与したことがあるか、遺言執行者や裁判所が選任した管理人がいるかも、あわせてお書きください。

メールはwei@hoveringlaw.com.tw、住所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2(台北市大同区承徳路一段35号7階の2)です。旅券や死亡を証明する書類は、事務所がご案内する方法でお送りください。

参照した公式資料

確認日:2026年9月29日

よくある質問

日本にある家も台湾の遺産税の対象になりますか?
中華民国国民でない人、および経常的に台湾に居住していなかった中華民国国民については、遺産及び贈与税法は台湾内の財産だけを課税します。日本にある家はその範囲の外です。台湾に主たる事務所がある会社の株式・持分は、第9条により台湾所在の財産です。
183日を超えると台湾居住になりますか?
遺産税の経常居住は、死亡前の2年間を見ます。この基準は、被相続人が中華民国国民だった場合か、死亡前2年以内に自ら国籍を放棄した場合に意味を持ちます。住所はなく居所があり、その2年の滞在が合計365日を超えると経常居住になり得ます。台湾の政府に期間を定めて招かれた人は、この365日の基準から外れます。183日は所得税の基準で、別の法律です。
申告の前に台北のマンションを名義変更できますか?
第8条により、遺産税を納めるまでは、遺産の分割、遺贈の引渡し、移転登記ができません。ただし、事前に税務機関から移転同意証明書の発行を受けた場合や、免税証明書、遺産総額に算入しない旨の証明書の発行を受けた場合は例外です。第42条は、完納証明書やこれらの証明書がなければ、地政機関(登記を扱う機関)などは移転登記をしないと定めています。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。