韓国籍の人が台湾で亡くなったときの相続:準拠法は韓国法、遺産税は台湾にある財産だけ
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韓国籍の人が台湾で亡くなったときの相続:準拠法は韓国法、遺産税は台湾にある財産だけ

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例えば、台中の会社に20年近く勤めた韓国籍の男性が、台中で亡くなったとします。再婚した台湾籍の妻と二人暮らしで、前の結婚で生まれた子2人は釜山にいます。財産は、台中の銀行預金、台湾の上場株式、自宅のマンション、それにソウルの銀行に残した預金です。

この場合、相続人と相続分を決めるのは原則として韓国の民法です。一方、台湾の遺産税(遺產稅)は台湾にある財産だけにかかり、台中に住んでいた人でも申告先は台北国税局になります。亡くなった方が日本国籍でも、台湾側のこの枠組みは同じです。日本の法の適用に関する通則法第36条も相続は被相続人の本国法によると定めており、その場合に確かめる本国法は日本法になります。

相続人を決めるのは韓国の民法

台湾の渉外民事法律適用法第58条(涉外民事法律適用法)は、相続は被相続人の死亡時の本国法によると定めています。韓国籍のみの方であれば、台湾に何年住んでいても、財産がすべて台湾にあっても、原則として韓国民法が相続人と相続分を決めます。韓国の国際私法第77条第1項も、相続は死亡当時の被相続人の本国法によるとしています。

韓国民法では、配偶者は直系卑属がいればその直系卑属と共同で相続し(第1000条、第1003条)、配偶者の相続分には直系卑属の相続分の5割が加わります(第1009条)。冒頭の例を条文どおりに計算すると、妻が7分の3、釜山の子がそれぞれ7分の2です。

遺言があると、相続に適用される法律が変わることがあります。韓国国際私法第77条第2項は、被相続人が遺言に適用される方式で明示的に指定したときは、指定当時の常居所地法(死亡時までその国に常居所を維持した場合に限り効力があります)、または不動産の相続についてその不動産の所在地法によると定めています。台湾の第6条は、本国法がその法律関係を他の法律によるとしていればその法律を適用し、本国法またはその他の法律が中華民国法律を適用するとしていれば中華民国法律を適用すると定めています。台湾に長く住んだ韓国籍の方が遺言で台湾法を指定していた場合は、台湾民法が基準になる可能性があります。指定が有効かどうかは、遺言の方式と文言を実際に見なければ判断できません。

韓国と台湾の両方の国籍を持っていた方については、第2条により、関係が最も密接な国籍の法律が本国法になります。遺産税の法律も被相続人が中華民国国民かどうかで課税範囲と控除を分けているので、その場合は以下の説明がそのまま当てはまらないことがあります。

なお、韓国法による相続放棄や限定承認、韓国の相続税の申告は、韓国の法令が期間と方式を別に定めています。韓国の専門家に確認してください。

台湾籍の家族がいるときの第58条ただし書

第58条にはただし書があり、中華民国の法律によれば中華民国国民が相続人となるべき場合、その国民は中華民国にある遺産を相続できると定めています。台湾籍の配偶者や子がいる相続では、台湾にある財産について、台湾民法による計算もしておく必要があるということです。

台湾民法では、配偶者が直系卑属と相続するときは全員が均等に分け、父母と相続するときは配偶者が2分の1を取ります(第1138条、第1144条)。冒頭の例なら妻と子2人が3分の1ずつで、妻の取り分は韓国法で計算した7分の3より小さくなります。反対に、子がおらず韓国に両親が健在という家族なら、韓国法では妻が7分の3(父母の相続分に5割を加算)、台湾法では2分の1で、今度は台湾法による計算のほうが大きくなります。

どちらの計算が台湾籍の家族にとって大きいかは、このように家族構成で入れ替わります。そして、ただし書を当てはめたときに韓国にいる相続人の取り分をどう扱うのかは、条文には書かれていません。実際の結論は、誰が台湾籍か、財産がどこにあるか、遺言があるかで変わるため、条文だけで結論を出すことはできません。

遺産税は台湾にある財産だけ、ただし控除は限られる

遺産及び贈与税法第1条(遺產及贈與稅法)第2項は、中華民国国民でない人が亡くなった場合、台湾内にある遺産についてだけ遺産税を課すと定めています。台湾での居住年数はこの範囲を変えません。財産が台湾にあるかどうかは第9条で決まり、預金は金融機関の事務所・営業所の所在地、株式は発行会社の主たる事務所の所在地、不動産はその所在地が基準です。冒頭の例では、台中の預金、台湾の上場株式、マンションが課税対象で、ソウルの銀行の預金は台湾の遺産税の範囲外です。評価は死亡時の時価によりますが、土地は公告土地現値、建物は評定標準価格が基準になります(第10条)。

免税額は台湾国民と同じですが、控除は大きく減ります。

2026年に亡くなった場合台湾に常時居住(經常居住)していた台湾国民韓国籍の被相続人
免税額 1,333万台湾元適用同じく適用
配偶者553万、直系卑属1人56万、父母1人138万など第1号〜第7号の控除適用適用なし
死亡前に納めるべきだった税・過料・罰金、証明のある債務、葬儀費用138万、遺言執行・遺産管理の費用(第8号〜第11号)適用台湾内で生じたものだけ

免税額は第18条第2項、控除の制限は第17条第2項によります。金額は、財政部が2026年に発生した相続に適用すると公告した額です。妻が台湾籍でも、亡くなった方が韓国籍であれば配偶者控除はありません。葬儀を韓国で行った場合の費用や、韓国で生じた債務も控除から外れます。免税額と控除を引いた課税遺産の純額が5,621万台湾元以下なら税率は10%で、それを超える部分は15%、20%と上がります(第13条、2026年の金額)。

台中に住んでいても申告先は台北国税局

納税義務者は相続人と受遺者です(第6条)。ただし、第15条により遺産に加算される死亡前2年以内の贈与財産に対応する税額は、第6条第3項により受贈者が納めます。現行の第23条(2026年9月11日改正公布)により、死亡の翌日から6か月以内に申告しなければなりません。同条第2項は、中華民国国民でない人の遺産税を中央政府所在地の税務機関に申告すると定めており、財政部の税務ポータルの申告先の案内は、これを台北国税局(臺北國稅局)の総局または所属の分局・稽徴所としています。

正当な理由で期限に間に合わないときは、期限が切れる前に書面で延長を申請します。延長は原則3か月までです(第26条)。期限内に申告しなかった場合は、決定された納付税額の2倍以下の過料(罰鍰)が科されます(第44条)。

税務ポータルの添付書類の案内には、死亡を証明する資料、相続人それぞれの身分資料(身分証、戸口名簿、旅券または台湾の居留証の写しのいずれか)、相続系統表(繼承系統表)、死亡日現在の預金残高証明書、上場株式の残高証明が挙がっています。国外で発行された証明書類は、現地にある台湾の在外機関の認証を受け、中国語訳を添えるという項目もあります。

税の手続きが終わるまで、財産は動かせません。第8条は、遺産税を完納するまで遺産の分割、遺贈の引渡し、移転登記を認めていません。第42条は、地政機関その他の政府機関、公営・民間の事業者が遺産の名義を移すときに、完納証明書や免税証明書などの写しを求め、提出できなければ移転に応じないと定めています。マンションの登記も、株式の名義書換も、預金の承継も、この証明書が出るのを待つことになります。遺産が免税額に届かなくても申告は必要で(施行細則第20条)、税額がないと決定されたときは税務機関が免税証明書を発行します(第41条)。

釜山で用意する書類と認証の窓口

釜山の子は、家族関係証明書や基本証明書といった韓国の書類で相続人であることを示し、台湾に来ずに手続きを任せるなら委任状を作ります。外交部及び駐外館処文書証明条例第10条(外交部及駐外館處文件證明條例)は、国外で作成された文書の認証(驗證)を、作成地を管轄する在外機関に申請すると定めています。韓国でこれを扱うのは駐韓国台北代表部(駐韓國台北代表部)です。代表部の文書証明の案内によると、ソウルの代表部が受け付けるのはソウル市、京畿道、江原道、忠清南北道、全羅北道の文書に限られ、全羅南道、慶尚南北道、済州島などそれ以外の地域の文書は釜山弁事処(釜山辦事處)に申請します。翻訳が必要な文書は、申請人が訳文を用意し、申請人か翻訳者が代表部で訳文に署名します。翻訳者が出向けないときは、原文と訳文について先に公証機関で翻訳公証を受ける必要があります。

この記事で確認した資料には、アポスティーユが代表部の認証に代わるとは書かれていません。どの書類をどの形式で求めるかを国税局、銀行、地政事務所に先に確かめてから、韓国でまとめて取得するほうが手戻りを減らせます。相続人が日本に住んでいて日本で書類を作る場合も、第10条の考え方は同じで、作成地を管轄する台湾の在外機関が申請先になります。

マンションを韓国籍の子が引き継ぐなら、外国人の土地取得を扱う土地法第17条・第18条も関係します。この点は外国人が台湾の不動産を相続するときにまとめています。亡くなった方が台湾の外に住んでいた場合の遺産税は、海外に住んでいた人が台湾の財産を残したときをご覧ください。

個別の事案の結論は、国籍に関する書類、遺言、家族関係の書類、財産の一覧を見てからでなければ出せません。昊鼎国際法律事務所へのご相談は、死亡日、相続人それぞれの国籍と居住地、台湾にある財産の種類を書いて、wei@hoveringlaw.com.tw までお送りください。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月5日(2026-10-05)

よくある質問

台湾に長く住んでいた韓国籍の夫が台湾で亡くなりました。相続は台湾の民法で決まりますか?
台湾の渉外民事法律適用法第58条は、相続は被相続人の死亡時の本国法によると定めています。韓国籍のみであれば、台湾での居住年数にかかわらず、原則として韓国の民法が相続人と相続分を決めます。ただし、台湾法上相続人となる台湾国民は台湾にある遺産を相続できるというただし書があるため、台湾籍の配偶者や子がいる場合は、台湾民法による計算もしておく必要があります。
配偶者が台湾籍なら、台湾の遺産税で配偶者控除を使えますか?
使えません。遺産及び贈与税法第17条第2項は、被相続人が中華民国国民でない場合、配偶者・直系卑属・父母の控除など第1項第1号から第7号を適用せず、債務や葬儀費用など第8号から第11号も台湾内で生じたものに限るとしています。免税額(2026年に亡くなった場合は1,333万台湾元)は、第18条第2項により同じように適用されます。
台北以外の都市に住んでいた場合、遺産税はどこに申告しますか?
被相続人が中華民国国民でなければ、台湾のどの都市に住んでいても中央政府所在地の税務機関が申告先です(遺産及び贈与税法第23条第2項)。財政部の税務ポータルは、これを台北国税局の総局または所属の分局・稽徴所と案内しています。期限は死亡の翌日から6か月以内です。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。