年度財務報告と第1・第2・第3四半期の財務報告には、董事長、経理人(經理人)、会計主管(會計主管)の署名または押印が求められます(証券取引法第36条第1項)。第20条の1第1項は、発行人とその負責人(法律上の責任者)、そして報告書に署名または押印した職員を分けて規定しています。
請求できるのは、発行人の有価証券を善意で取得、売却、保有し、報告の主要内容の虚偽や隠匿によって損害を受けた人です(第20条の1第1項)。株価の下落だけで、すべての要件や賠償額が証明されるわけではありません。
署名した職員と、法律上の責任者
第20条の1第1項第1号は発行人とその負責人を責任の対象とし、第2号は問題の財務報告または財務業務書類に署名または押印した発行人の職員を対象としています。署名か押印の一方で足ります。作成に参加しただけの職員や、名前が印刷されているだけで署名も押印もしていない職員は、第2号に当たりません。負責人かどうかは法律上の地位の問題なので、会計主管が署名したという事実だけで、第1号の負責人に該当すると判断することもできません。
発行人以外の第1項の人には、第20条の1第2項による免責の余地があります。相当の注意を尽くしたことに加え、内容に虚偽や隠匿がないと合理的に信じられる正当な理由があったことを証明すれば、責任を免れます。両方の証明が必要です。発行人は免責の対象外です。
買付日と株式の保有記録
買付日は、いつ取引があったかを示す記録です。その日付だけで善意が認められるわけではありません。第20条の1第1項に基づく請求には、主要内容の虚偽または隠匿と、それによって生じた損害も必要です。
対象となるのは、発行人がこの法律に従って届け出、または公告した財務報告と財務業務書類、そして第36条第1項に従って公告・申告した財務報告です(第20条第2項、第20条の1第1項)。年度財務報告は、第36条第1項第1号の書類に当たります。報告の種類や対象年度を特定すれば、どの売上数値をめぐる請求なのかも整理しやすくなります。
売却後はどうでしょうか?第20条の1第1項には売主も含まれます。自分の名義で買った人は取得者、持ち続けている人は保有者として検討します。いずれも善意や損害などの要件を満たす必要があり、売買や保有の事実だけで賠償が決まるわけではありません。
証券ブローカーが自己の名義で売買する行紀の取引にも、委託した人を保護する規定があります。第20条第4項は、行紀名義での買付けや売却を委託した人を、第3項の取得者または売主とみなします。第20条の1第6項がこの規定を第1項に準用するので、財務報告に基づく請求でも同じ扱いになります。
売買での誤導と、報告内容の虚偽
有価証券の募集、発行、私募、売買における虚偽、詐欺、その他他人を誤信させるに足りる行為は禁じられています。違反した人は、その有価証券の善意の取得者または売主がこれにより受けた損害を賠償します(第20条第1項・第3項)。第3項は保有者を挙げていません。
一方、発行人がこの法律に基づいて届け出、または公告する財務報告と財務業務書類については、内容に虚偽や隠匿があることを第20条第2項が禁じています。その報告に関する損害賠償の対象者や責任者を定めるのが、第20条の1第1項です。株を売らずに持っている人も、他の要件を満たせば、この規定の保有者として請求できます。
年度財務報告の監査と、四半期のレビュー
公告と申告の義務は、第36条第1項第1号に基づきます。この法律により有価証券を発行した会社は、年度財務報告を公告し、主管機関に申告しなければなりません。期限は原則3か月です。毎会計年度の終了後から数えます。事情が特殊で主管機関が別に定めた場合は、例外です。董事長、経理人、会計主管が署名または押印し、会計士の監査・証明(查核簽證)、董事会の承認、監察人の承認を経ることも求められます。監査委員会を設置した会社には、このうち監察人の承認を求める規定が適用されません(第14条の5第4項)。
この法律に基づいて株式を発行し、監査委員会を設けた会社では、年度財務報告についても、原則として委員全体の2分の1以上の同意を得て、董事会の決議に付します。会計士の監査・証明を要する第2四半期報告も同じ対象です(第14条の5第1項第10号)。これらの報告には、第2項の董事会だけで承認する扱いは使えません。正当な理由で監査委員会を開けない場合は、第3項により董事全体の3分の2以上の同意に加え、独立董事である委員の同意意見が必要です。人数は第5項に従い、実際に在任している人で数えます。
第1・第2・第3四半期の財務報告は、各四半期の終了後45日以内に公告・申告するのが原則です。ここにも、特殊な事情について主管機関が別に定めた場合の例外があります。同じ三つの役職の人が署名または押印し、会計士の核閱(レビュー)を受けて董事会に報告します(第36条第1項第2号)。レビューと、年度財務報告の監査・証明は異なる手続です。
会計士の責任にも関わります。第20条の1第3項が対象にするのは、簽證(証明)を担当した会計士です。また、第14条の5第1項第10号は、監査・証明を要する第2四半期の財務報告も監査委員会の決議事項に挙げています。第36条と第14条の5だけでは、どの第2四半期報告が監査・証明の対象になるかをすべて特定することはできません。
会計士の行為と、裁判所を通じた調書の確認
対象の財務報告や財務業務書類を簽證した会計士は、不正な行為、または業務上尽くすべき義務への違反や懈怠によって第1項の損害を生じさせた場合、賠償責任を負います(第20条の1第3項)。簽證だけでは足りません。会計士の行為や義務違反と、その損害との因果関係まで問われます。
申立先は裁判所です。この会計士の責任を問う善意の取得者、売主、保有者は、裁判所に監査調書(工作底稿)の取り寄せを申し立て、閲覧または謄写を請求できます。会計士と会計事務所は拒めません(第20条の1第4項)。
過失によって第1項の損害を生じさせた場合、第1項各号の人と第3項の会計士は、発行人を除き、それぞれの責任の割合に応じて賠償します(第20条の1第5項)。発行人には、この割合による規定は適用されません。ただし発行人に対する請求でも、第1項にある主要内容の虚偽・隠匿と、それによって生じた損害は必要です。
条文は2026年10月14日に全国法規資料庫で確認しました。法律全体の直近の改正日は2024年8月7日です(全文)。主管機関は金融監督管理委員会です(第3条)。売却に伴う課税については、台湾子会社の株式を売却するときの税金で扱っています。
資料についての相談は、昊鼎国際法律事務所の wei@hoveringlaw.com.tw で受け付けています。
請求には時効もあります。証券取引法第21条は、この法律に基づく損害賠償請求権について、賠償を受けられる原因を請求権者が知った時から2年間行使しなければ消滅すると定めています。募集、発行または売買の日から5年を超えた場合も同じです。二つの期間は起算点が異なり、後日の訂正公告の日が当然に両方の起算日になるわけではありません。
年度財務報告、後日の訂正公告があればその公告、買付けと保有の記録を並べると、問題の売上項目、署名・押印、取引の日付を照合できます。請求では、報告内容の問題と損害とのつながりも確かめることになります。
参考にした公的資料
確認日: 2026年10月14日
よくある質問
- 財務報告の公告のあと株価が下がりました。それだけで賠償を請求できますか?
- その事実だけでは足りません。[証券取引法第20条の1第1項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=G0400001&flno=20-1)は、対象の財務報告や財務業務書類の主要内容に虚偽または隠匿があり、そのために善意の取得者、売主、保有者が損害を受けたことを要求しています。株価の下落だけでは、すべての要件や賠償額は証明されません。
- 財務諸表を作った職員は皆、賠償責任を負いますか?
- 全員が対象になるわけではありません。[第20条の1第1項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=G0400001&flno=20-1)は、発行人とその負責人を第1号に、問題の報告や書類に署名または押印した職員を第2号に規定しています。どちらもしていない職員は第2号に当たりません。発行人以外の第1項の人は、相当の注意を尽くし、内容に虚偽や隠匿がないと合理的に信じられる正当な理由があったことを証明すれば、第2項により免責されます。
- 会計士は、台湾でいう簽證(財務報告への証明)をしただけで損害を賠償しますか?
- 簽證だけでは足りません。対象の報告や書類を簽證した会計士の不正な行為、または業務上の義務違反や懈怠により、第1項の損害が生じることが必要です。過失によってその損害を生じさせた場合は、責任の割合に応じて賠償します([第20条の1第3項・第5項](https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=G0400001&flno=20-1))。善意の取得者、売主、保有者は第4項により、裁判所に監査調書の取り寄せを申し立て、閲覧または謄写を請求でき、会計士と会計事務所は拒めません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



