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帰国前に台湾の暗号資産取引所で出金が止まったとき:居留証の抹消、警示、20日と48時間

約7分

架空の情景

帰国前に、取引所に預けた台湾ドルの残高を日本の口座へ移そうとしたら、出金が止まりました(架空の例です)。理由を尋ねても「法令に基づく管理です」という返事しかありません。この「法令」とは何で、いつまで続くのでしょうか。

根拠として考えられるのは詐欺犯罪危害防制條例と、その委任を受けた「金融機構及提供虛擬資產服務之事業或人員防制詐欺犯罪危害應遵循事項辦法」(以下、遵守事項弁法)です。

止まっているのは、アカウント全体か決まった額か

この条例と弁法による止め方は三つあり、どれに当たるかで解除の見通しも問い合わせ先も変わります。手がかりは止まっている範囲です。特定の額だけが動かせないなら、他の金融機関からの連携通報による「圈存」が考えられます(弁法第48条第1項)。取引機能がすべて止まっていれば、警察が指定した「警示」(第45条)か、取引所自身の管理措置のどちらかです。

管理措置は、入出金や送付の停止、取引機能の全部または一部の停止、継続的な本人審査、サービスの拒否まで幅があります(条例第8条第1項)。一部の機能だけが止まっているなら、この管理措置です。

圈存は48時間で決まる

期限が最も短いのは圈存です。押さえられるのは通報された額まで、残高が少なければ残高全部です。警察は圈存の時点から48時間以内に、警示にするか解くかを取引所に伝え、警示の通知がなければ取引所が圈存を解きます。問題がないと確かめられれば、48時間を待たずに解くこともできます(第48条第3項〜第5項)。

異議を扱うのは、もとの警示アカウントを通報した警察機関(原通報警示之司法警察機關)です。取引所は必要に応じて協力します(第51条)。

管理措置は20日を過ぎても続くことがある

管理措置で出てくる数字は20日です。取引所は管理とあわせて警察に通報でき(第25条)、通報を受けた警察は、管理を続けるか解くかを20日以内に公文書で伝えます。ところが、20日を過ぎて何も届かなくても、管理は続けてかまいません(第26条第1項)。出国を20日後に組んでも、その日に解けている保証はないわけです。警察の通知で管理されているなら、窓口はまず取引所で、必要があれば通知した警察機関にも尋ねられます(同条第3項)。

警示には回答期限の定めがない

見通しが最も立たないのは警示です。警察は捜査のため、警示の指定と全取引機能の停止を取引所に通知でき(条例第9条第4項)、取引所は被害資産の行き先を調べて移転先にも知らせます(弁法第45条)。回答期限の定めは、弁法にありません。第66条第2項は「通報による警示の解除」と「警示期限の満了」に触れますが、その期限の長さを決めた条文もありません。

解除の申請を警察に断られても、訴願・取消訴訟・一般給付訴訟で争う道は残ります。ただし、将来の警示まで前もって禁じてもらうことはできません。最高行政法院は2026年9月17日、ある会社の銀行口座が警示になった事件でこの二点についての原審の判断を維持し、予防的な訴えには権利保護の必要がないとして上訴を棄却しました(114年度上字第388號)。

居留証の抹消と第12条第9号

疑わしいアカウントの判断基準は、弁法第12条に13号あります。国籍で対象を分けているのは、2026年7月20日の改正で加わった第9号だけです。口座開設時に確かめた居留証などの身分証明書が期限前に抹消された、在留期限を過ぎた、所在不明と通報された。取引所がそのどれかを知った外国人のアカウントが対象です。

退職者に関わるのは「期限前の抹消」です。就労を理由とする居留では退職で居留の原因が消えることがあり、そのとき居留許可を取り消して居留証を抹消するのは移民署です(入出國及移民法第31条第4項)。ただし書の九つの場合(職業災害の治療中、労働紛争の訴訟中など)は、居留の継続が認められることもあります。管理をかけるかどうかは、それでも取引所の判断です。

知人にアカウントを貸していたら

頼まれて取引所のアカウントを貸しただけでも、洗錢防制法第22条に触れることがあります。商取引の慣行や親族・友人間の信頼など、正当な理由があれば違反になりません。対価などの事情がなければ、処分は警察による「告誡」です(同条第2項)。刑罰の対象になるのは、対価の約束か受領があった場合、渡した口座・アカウントが合わせて3つ以上の場合、処分から5年以内に繰り返した場合で、3年以下の有期徒刑か拘役、または100万台湾ドル以下の罰金(併科あり)です(同条第3項)。

警示や管理を受けても、それで罪が決まるわけではありません。捜査の対象になっても無罪と推定され、起訴されて第一審で有罪とされても上訴できます。銀行口座が警示になった場合は「台湾の銀行口座が「警示帳戶」になったとき」で扱いました。

日本から取引所に求められること

日本に戻ってから取引所に求められるのは、主に、解除後の約款どおりの出金や返還です。値下がり分の賠償は難しいでしょう。条例第12条第2項は、事業者がこの条例の詐欺防止措置を実施し、または警察や所管官庁の処理に協力したことで顧客に損害が生じても、賠償責任を負わないとしています。

警示のアカウントに残った被害者の資産は、警察の書面通知を受けた取引所が被害者に返すことがあり(売却代金での返還も可能)、通知の写しはアカウントの持ち主にも届きます(第64条)。正当な売買の代金だったという立場なら、関係するのは第69条です。取引上の紛争の疑いや複雑な案件だと取引所が判断すれば、返還は行われず、裁判手続で扱われます。

台湾の弁護士に頼めること

日本にいながら委任することもできます。依頼できるのは、通知や公文書から止まり方を見極めること、それに合った警察機関への説明書面と解除申請、断られたときの訴願・行政訴訟、取引所への出金・返還の請求と証拠保全です。事情聴取への同行も頼めます。昊鼎国際法律事務所の曾雋崴弁護士へはwei@hoveringlaw.com.twで連絡でき、事務所は台北(103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)と台中(40453 臺中市北區館前路19號6樓之1)にあります。居留証の抹消日と、取引所から通知が届いた日。手元で最初に並べるのはこの二つの日付です。

参照した公的資料

確認日:2026年10月22日

よくある質問

日本に帰国した後でも、止まったアカウントについて問い合わせはできますか。
警察の通知で管理されたアカウントなら、顧客は取引所に問い合わせ、必要に応じて管理を通知した警察機関にも直接尋ねることができます(遵守事項弁法第26条第3項)。圈存への異議は、もとの警示アカウントを通報した警察機関(原通報警示之司法警察機關)が扱い、取引所は必要に応じて協力します(第51条)。どちらの条文も、問い合わせる人が台湾にいることを条件にしていません。台湾の弁護士に委任して、日本から手続を進めることもできます。
警察が「警示」にしたアカウントは、いつ解除されますか。
取引所自身の管理(第26条の20日)や圈存(第48条の48時間)に当たる回答期限は、警示については弁法に書かれていません。第66条第2項が警示の効力が解ける場面として触れるのは、「通報による警示の解除」と「警示期限の満了」です。解除を申請して認められなかった場合について、最高行政法院は、訴願や行政訴訟で争えるとした原審の判断を維持しています(銀行口座の警示事件、114年度上字第388號)。
出国前に、手元に残しておきたい資料はありますか。
取引所からの通知、警察の公文書があればその写し、取引履歴、問題の入金が何の代金だったかを示すチャットや契約書、そして居留証が抹消された日が分かる書類です。止まった理由が条例第8条の管理措置か、警示か、圈存かは、これらを突き合わせて確かめることになります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。