台湾子会社の財務諸表監査と法人税の会計師査核簽証:二つの「1億台湾元」と帳簿のルール
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台湾子会社の財務諸表監査と法人税の会計師査核簽証:二つの「1億台湾元」と帳簿のルール

約8分

1億台湾元(NT$)という金額は、台湾子会社の決算で二度出てきます。一度目は会社法にもとづく財務諸表の会計師監査、二度目は法人税にあたる営利事業所得税の申告で求められる会計師の査核簽証です。数え方はそれぞれ違います。

会社法の監査は資本金3,000万台湾元から

会社法(公司法)第20条第2項は、資本金が一定額以上の会社と、一定額未満でも一定の規模に達した会社について、財務諸表をまず会計師の監査(查核簽證)にかけるよう定め、その基準を中央主管機関に委ねています。これを受けた経済部の2018年11月8日の公告(經商字第10702425340號)によれば、財務報告期間の末日に払込資本金(實收資本額)が3,000万台湾元以上の会社は、財務諸表に会計師の監査を受けてから株主の同意または株主総会の承認を求めます。

資本金が小さければ監査はいらないのでしょうか。そうとは限りません。払込資本金が3,000万台湾元未満でも、営業収入純額(營業收入淨額)が1億台湾元に達するか、労工保険(勞工保險)に加入している従業員が100人に達すれば、同じく監査が必要です。公告は2019年1月1日に効力を生じ、この規模基準は2019会計年度の財務諸表から適用されています。株式を公開発行している会社は、証券主管機関に別の定めがあればそちらに従います。

資本金1,000万台湾元で設立した販売子会社でも、営業収入純額が1億2,000万台湾元に伸びれば(架空の例です)、その年度の財務諸表から監査の対象になります。資本金は変わっていなくても結論は同じです。義務に違反した会社の責任者(負責人)には、それぞれ1万~5万台湾元の過料が科されます。経済部の検査を避けたり妨げたり拒んだりした場合や、期限までに書類を出さなかった場合は、2万~10万台湾元です(会社法第20条第4項・第5項)。

決算から承認までの期限

商業会計法(商業會計法)第65条は、決算を会計年度終了後2か月以内に終えるよう求め、必要なときは2か月半の延長を認めています。決算では営業報告書と財務諸表を作成し、代表する責任者、経理人、主辦會計人員(会計の主担当者)が署名または押印します(第66条)。責任者は、会計年度終了後6か月以内に決算報表を出資者や株主に提出し、承認を求めなければなりません。第68条の定めです。

会社の形態によって、承認の手順は少し変わります。股份有限公司(株式会社にあたる形態)では、董事会が営業報告書、財務諸表、利益配分または欠損補填の議案を作り、定時株主総会の30日前までに監察人に渡します(会社法第228条)。総会の10日前からは書類を会社に備え置き、株主が閲覧できるようにします(第229条)。総会で承認されたら、財務諸表と配分・補填の決議を株主に配ります(第230条)。

有限公司の場合は、董事が第228条にならって書類を作り、各株主に送って議決権の過半数による承認を得ます。会社法第110条によれば、送付は遅くとも会計年度終了後6か月以内です。送付から1か月を過ぎても異議がなければ、承認したものとみなされます。暦年制の会社なら、翌年6月末が期限になります。監査の対象となる会社では、この承認の前に会計師の監査が入ります。順番は変わりません。

法人税申告の査核簽証は別の基準で決まります

所得税法第102条第2項は、一定範囲の営利事業に対し、営利事業所得税の確定申告を会計師などによる査核簽証で行うよう義務づけ、その範囲を財政部が定めるとしています。財政部の營利事業委託會計師查核簽證申報所得稅辦法(2005年12月30日最終改正)第3条が対象として挙げるのは、銀行・保険・証券などの金融業、株式を公開発行している営利事業、法律にもとづき営利事業所得税の免除を認められ、年間の営業収入純額と営業外収入(非營業收入)の合計が5,000万台湾元以上の営利事業、金融持株会社法や企業合併買収法などにより合併して申告する営利事業です。これらに当たらない営利事業でも、年間の営業収入純額と営業外収入の合計が1億台湾元以上なら対象になります。査核簽証を行うのは、財政部の承認を受けて税務代理人として登録された会計師です。

同じ1億台湾元でも、会社法の基準は営業収入純額だけを見ます。税の基準は、そこに営業外収入を加えます。資本金や従業員数は、税の基準には出てきません。先ほどの販売子会社であれば、法人税の申告も査核簽証の対象です。

査核簽証による申告では、会計師の查核簽證報告書を提出します。財政部臺北國稅局の2026年6月8日の案内によると、暦年制の会社の2025年度(民国114年度)の確定申告期限は2026年6月1日でした。インターネットで申告した会社の報告書は、書面なら6月30日まで、アップロードなら6月29日までが期限です。報告書が期限内にきちんとアップロードされなければ、その申告は普通申告として扱われます。そうなると、所得税法第39条の過去10年分の欠損金控除も、より高い交際費の損金算入限度額も使えません。

初めて義務の対象になった会社の会計処理が水準に届かない場合には、会計師と会社が申告期限までに稽徴機関の承認を得て、翌会計年度から査核簽証申告を始める道もあります(同辦法第4条)。

帳簿は台湾元と中国語で

商業会計法は営利を目的とする事業に適用され、その範囲は会社法などによって決まります(第2条)。記帳の基準となる通貨は台湾元(國幣)です。業務上の必要から外国通貨で記帳する場合でも、決算報表では台湾元に換算しなければなりません(第7条)。数字はアラビア数字、それ以外は中国語(我國文字)で記載します。第8条は、実際の必要があれば外国語の付記や併用を認めつつ、その場合も中国語の記載を基準とするとしています。

保存期間を定めるのは第38条です。会計証憑は年度の決算手続が終わってから少なくとも5年、会計帳簿と財務諸表は少なくとも10年です。永久保存すべきものや、未決の会計事項に関するものは別扱いになります。

会計年度はどうでしょうか。商業会計法第6条は1月1日から12月31日までを原則とし、法律に別の定めがある場合や営業上の特別な必要がある場合を例外としています。税務上も暦年が原則で、従来の慣習や営業の季節性という特殊な事情があり、管轄の稽徴機関の承認を受けたときに限って変更できます(所得税法第23条)。承認を受けた会社の申告期限は、暦年制に準じて計算します(第101条)。

支店で進出している場合

外国会社の台湾支店(分公司)にも、会社法第20条第1項から第4項までが準用されます(会社法第377条第1項)。決算書類の承認、会計師監査の規定、経済部による検査と提出命令が支店にも及ぶということです。違反すると、支店の台湾における責任者に1万~5万台湾元の過料が科されます。検査を避けたり妨げたり拒んだりした場合や、期限までに提出しなかった場合は、2万~10万台湾元です(同条第2項)。

では、3,000万台湾元の基準は支店にどう当てはめるのでしょうか。支店には外国会社が専用に割り当てた営業資金(營業所用之資金)があり(第372条)、経済部の公告は払込資本金を物差しにしています。公告に支店の記述はありません。経済部や会計師に確認すべき点です。税務の面では、支店は本店とは別に帳簿を設けて台湾での所得を計算し(所得税法第41条)、登記地を管轄する稽徴機関に申告します(所得税法施行細則第49条第2項)。子会社と支店の違いは台湾進出:子会社と支店の違いにまとめています。

3月決算の親会社と暦年の台湾子会社

日本の親会社が4月~3月の年度で連結決算を組み、台湾子会社が暦年で決算を締めるなら、決算期のずれは3か月。親会社の連結にどの決算日の数字をどう取り込むか、円への換算をどうするかは日本側の会計の問題ですので、日本の会計士や税理士に確認してください。台湾側の帳簿と、株主の承認を受ける財務諸表は、その扱いとは関係なく台湾のルールで作られます。親会社への報告用に日本語・円建ての資料を別に作っても、台湾で承認を受ける決算報表は台湾元に換算されている必要があり、記載の基準は中国語です。設立時の資本金送金や口座開設については台湾会社設立―応用編2で説明しました。

子会社と支店のどちらを選ぶか、株主承認の手続をどう進めるかといった会社法の問題については、昊鼎国際法律事務所へメール(wei@hoveringlaw.com.tw)でご相談いただけます。財務諸表の監査は会計師が、法人税の査核簽証申告は財政部に税務代理人として登録された会計師が行います。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月6日

よくある質問

資本金1,000万台湾元の台湾子会社でも、会計師の監査は必要ですか?
財務報告期間の末日の払込資本金が3,000万台湾元未満でも、営業収入純額が1億台湾元に達するか、労工保険に加入している従業員が100人に達していれば監査の対象です。経済部の2018年11月8日の公告による基準で、2019会計年度の財務諸表から適用されています。株式を公開発行している会社は、証券主管機関に別の定めがあればそちらに従います。
日本の親会社に合わせて、台湾子会社の会計年度を4月~3月にできますか?
商業会計法第6条と所得税法第23条は、1月1日から12月31日までを原則としています。所得税法第23条は、従来の慣習や営業の季節性といった特殊な事情があり、管轄の稽徴機関の承認を受けた場合に限って変更を認めています。承認を受けた場合の申告期限は、同法第101条により暦年制に準じて計算します。
台湾の帳簿を日本語や日本円で付けてもよいですか?
商業会計法第7条は台湾元(國幣)を記帳の基準とし、業務上の必要から外国通貨で記帳する場合でも、決算報表では台湾元に換算するよう定めています。第8条は数字以外の記載を中国語で行うとし、外国語を付記・併用しても中国語の記載が基準になります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。