台湾で従業員やフリーランスが作ったソフトウェア・デザインの著作権は誰のものか
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台湾で従業員やフリーランスが作ったソフトウェア・デザインの著作権は誰のものか

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例えば、日本のゲーム会社が、台北のフリーランスのイラストレーターにキャラクターイラストを発注したとします。やり取りは発注書とチャットだけで、報酬は全額支払いました。台湾の著作権法では、このイラストの著作財産権(財産権としての著作権)はイラストレーターに残ります。会社にできるのは、イラストを利用することまでです。翻訳版への流用や映像化、別のイラストレーターによる描き直しまでできるのかは、契約に書いていなければ条文からは決まりません。

報酬を支払っても、著作財産権は制作した側に残ります

著作権法第12条は、報酬を支払って他人に完成させた著作物の著作者を、制作した人(条文では「受聘人」)と定めています。契約で発注者(「出資人」)を著作者とすることもできます。制作した人が著作者である場合、著作財産権をどちらに帰属させるかは契約で決め、定めがなければ制作した人に帰属します。そのとき発注者は、その著作物を利用することができます。

条文は、利用できる範囲を書いていません。台湾の経済部智慧財産局は、発注書だけでERPシステムの構築を依頼した会社を例に挙げ、その会社はシステムを利用できるが、提携先の会社に提供してインストールさせ、使わせることはできないと説明しています。

発注先が制作会社や開発会社であれば、権利の処理は二段階になります。実際に創作するのは、その会社の従業員だからです。智慧財産局の同じ資料によれば、まず制作会社が自社の従業員との約定で権利を確保し、そのうえで著作財産権を発注者に譲渡し、発注者に対して著作者人格権を行使しないことに同意する、という形をとります。発注者と制作会社の契約だけで、制作会社の従業員の創作物を直接発注者のものと定めることはできません。

台湾子会社の従業員が職務上作った著作物

従業員(「受雇人」)が職務上完成した著作物の著作者は、その従業員です。著作財産権は会社(「雇用人」)に帰属します。契約で会社を著作者と定めることも、反対に著作財産権を従業員に帰属させることもできます(第11条)。

区分契約に定めがないとき契約で定められること
従業員が職務上完成した著作物(第11条)著作者は従業員、著作財産権は会社会社を著作者とする、または著作財産権を従業員に帰属させる
報酬を支払って外部に作らせた著作物(第12条)著作者も著作財産権者も制作した側。発注者は利用できる発注者を著作者とする、または著作財産権を発注者に帰属させる

日本の著作権法第15条は、法人等の発意に基づいて職務上作成され、法人等の名義で公表される著作物について、契約や勤務規則に別段の定めがない限り法人等を著作者としています(プログラムの著作物は第2項)。台湾は出発点が異なります。雇用契約に何も書かなければ著作者は従業員で、会社が持つのは著作財産権だけです。台湾子会社の雇用契約に、会社を著作者とする条項を置くかどうかは、この違いを踏まえて決めることになります。

会社を著作者とした場合は、保護期間の数え方も変わります。自然人が著作者であれば、著作財産権は原則として著作者の生存中と死後50年間存続します(第30条)。法人が著作者であれば、公表後50年までです(第33条)。

何が「職務上」にあたるかは、勤務時間や場所では決まりません。智慧財産局は、会社の指示や企画のもとで作られたか、会社の費用や資源を使ったかなど、仕事の性質に応じて判断する事実認定の問題だと説明しています。同局の例では、従業員が休暇中に趣味で撮った写真は職務上の著作物ではなく、著作権は従業員にあります。

日本本社に籍を置いたまま台湾に赴任している社員については、雇用契約の準拠法も関係します。台湾の渉外民事法律適用法第42条第2項は、従業員が職務上完成した知的財産の権利の帰属を、その雇用契約に適用される法律によると定めています。日本法が適用される場合の取扱いは、日本の専門家にお尋ねください。台湾子会社の設立と雇用の基本は、台湾での会社設立の基礎にまとめています。

譲渡も利用許諾も、契約に書いた範囲に限られます

著作財産権は、全部または一部を譲渡できます。譲渡の範囲は当事者の約定によって決まり、約定が不明な部分は譲渡していないものと推定されます(第36条第3項)。利用許諾(条文では「授權」)も同様で、地域、期間、内容、利用方法は約定により、不明な部分は許諾していないものと推定されます(第37条第1項)。非独占の許諾を受けた側は、著作財産権者の同意がなければ、第三者に再許諾できません(同条第3項)。

冒頭のゲーム会社であれば、契約書には、著作者を誰とするか、著作財産権を譲渡するのか利用許諾にとどめるのか、対象とする権利、地域、期間を書くことになります。翻訳、書き換え、映像化のように、元の著作物をもとに別の創作をする行為は「改作」と呼ばれ(第3条)、複製の権利(第22条)とは別に、改作の権利(第28条)として定められています。キャラクターを別の媒体へ展開する予定があるなら、改作の権利が対象に入っていることを条項から読み取れるようにしておきます。

著作者人格権は譲渡できません

台湾の著作権は、著作者人格権(条文では「著作人格權」)と著作財産権から成ります(第3条)。著作者人格権は、公表するかどうかを決める権利(第15条)、氏名を表示し、または表示しない権利(第16条)、名誉を害する形で内容や形式を改変させない権利(第17条)の三つです。著作者本人に専属し、譲渡も相続もできません(第21条)。著作財産権をすべて譲り受けても、会社を著作者と約定していない限り、人格権は従業員やフリーランスに残ります。

法律は、利用との衝突を一部調整しています。会社や発注者が当初から著作財産権を取得した未公表の著作物は、その利用に伴って公表されても、著作者が公表に同意したものとみなされます(第15条第3項)。利用の目的と方法に照らして著作者の利益を害するおそれがなく、社会の使用慣行に反しないときは、氏名の表示を省略できます(第16条第4項)。それ以外の場面について、智慧財産局の資料は、著作財産権の譲渡とあわせて、相手方に対し著作者人格権を行使しないと約定する方法を挙げています。人格権そのものは著作者に残るため、誰に対して行使しないのかは、契約の文言で決まります。

ソースコードは、著作権と営業秘密を分けて考えます

著作権が保護するのは表現だけで、そこに表された思想、手順、システム、操作方法、原理などには及びません(第10条の1)。コードの著作財産権を譲り受けても、設計の考え方や処理の方法を著作権で押さえることはできません。

方法、技術、プログラム、設計などの情報は、秘密性などの要件を満たせば、営業秘密法第2条の営業秘密として保護されます。帰属の定め方は著作権法と似ています。従業員が職務上研究・開発した営業秘密は、契約に別段の定めがなければ会社に帰属します(第3条)。外部に委託して開発した営業秘密の帰属は契約により、定めがなければ開発した側に帰属し、委託した側は業務上使用できます(第4条)。開発委託契約に、著作権と営業秘密の帰属条項を並べて置くのはこのためです。外注先がオープンソースを組み込んでいる場合、その部分には各ライセンスの条件が及ぶので、納品時に一覧を受け取っておきます。秘密保持契約と技術の共有については、台湾の半導体顧客との材料開発契約で扱いました。

登録制度がないため、契約書と制作記録が証拠になります

台湾では、著作者は著作物を完成した時に著作権を取得します(第10条)。智慧財産局によれば、著作権の登記制度は1998年1月21日の改正で廃止され、現在は著作権の登録を受け付ける主管機関がありません(同局の説明)。争いになれば、権利者が自分で権利の存在を証明することになります。会社にとっては、契約書と制作過程の記録がその資料です。

侵害があったとき、著作権者は侵害の排除と予防を請求でき(第84条)、故意または過失で著作財産権を侵害した者に損害賠償を請求できます(第88条)。2026年10月6日時点の条文では、実際の損害額を証明しにくい被害者は、1万台湾元以上100万台湾元以下の範囲で賠償額を定めるよう裁判所に求めることができ、侵害が故意で情状が重大な場合、賠償額は500万台湾元まで増額されることがあります。利用許諾を受けた側が自己の名義で訴訟上の行為ができるのは、独占的な許諾(「專屬授權」)を受けた範囲に限られます(第37条第4項)。著作財産権がフリーランスに残ったままであれば、第三者にイラストを模倣されたとき、誰が請求できるのかをまず確かめることになります。

台湾で制作した成果物の契約書を見直したい、あるいは新しく作りたいときは、昊鼎国際法律事務所へメール(wei@hoveringlaw.com.tw)で、制作者が従業員か外部の方か、成果物の種類、手元の契約書や発注書をお知らせください。この記事は一般的な説明であり、個別の事案の結論は契約の文言と制作の経緯によって変わります。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月6日

よくある質問

台湾のフリーランスにイラストの報酬を全額支払いました。著作権は当社に移っていますか?
契約で著作財産権の帰属を定めていなければ、移っていません。台湾の著作権法第12条により、著作者も著作財産権者も制作した人で、発注者はその著作物を利用できます。著作財産権を取得するには、契約で発注者に帰属させるか譲渡を受ける必要があり、譲渡の範囲が不明な部分は譲渡していないものと推定されます(第36条第3項)。
台湾子会社の従業員が業務で書いたプログラムの権利は、会社のものですか?
契約に定めがなければ、著作者は従業員、著作財産権は会社に帰属します(著作権法第11条)。契約で会社を著作者と定めた場合は、会社が著作者人格権と著作財産権の両方を持ちます。職務上の著作物かどうかは、会社の指示や企画、会社の資源の利用など、仕事の性質に応じて判断すると智慧財産局は説明しています。
契約書に「著作者人格権も譲渡する」と書けば足りますか?
著作者人格権は著作者本人に専属し、譲渡も相続もできません(著作権法第21条)。台湾の智慧財産局は、著作財産権を譲り受けたうえで、相手方に対して著作者人格権を行使しないと約定する方法を説明しています。はじめから会社を著作者と約定することは、第11条と第12条が認めています。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。