確定した税金と罰鍰の未納が、合わせて200万台湾元。台湾子会社の滞納がこの額に達すると、財政部は内政部移民署に、その会社の負責人(代表者)の出国制限を求めることができます。復査などで税額を争っている間の基準は300万台湾元です。董事長が日本から来た駐在員でも扱いは同じです。もっとも、2026年10月時点では、確定した滞納額が2,000万台湾元に届かない場合、金額のほかにもう一つ条件が要ります。
金額の前にある、保全措置という前提
稅捐稽徵法第24条第3項の要件はこうです。台湾域内の営利事業(在中華民國境內之營利事業)が確定した税金を法定の納付期限までに納め終えておらず、未納の税額と確定した罰鍰(行政上の制裁金)が単独でも合計でも200万台湾元以上であること。行政救済の手続が終わる前であれば、300万台湾元以上です。営利事業の場合、出国を制限されるのはその負責人です。
同じ項のただし書は、二つの場合を除いています。相当の担保をすでに提供している場合と、国税局が財産の移転・権利設定を止める措置(第1項第1号前段)や裁判所への仮差押えの申立て(同項第2号)といった保全措置を取っていない場合です。財政部の「限制及解除欠稅人或欠稅營利事業負責人出境規範」(2022年8月19日改正。以下「規範」)第2点も同じ趣旨を定めています。税額に相当する財産の処分禁止がすでに済んでいれば、出国制限の検討対象から外れます(規範第3点第3項)。
滞納額には何が入るのでしょうか?確定した案件では、本税、滞納金、利息、滞報金・怠報金、各税に付加して徴収される捐、確定した罰鍰をすべて合算します。争っている案件では、罰鍰と行政救済に伴う加算利息を除いて数えます(規範第5点第1号)。営利事業所得税の暫定納付(暫繳)の税額も例外ではありません(財政部の解釈)。
2,000万台湾元未満で加わる条件
財政部税務入口網のQ&A(0320)によると、2015年1月1日からは、最上位の区分を除き、金額基準だけでは出国を制限しません。規範第4点の附表は、営利事業の滞納額を三つの区分に分けています(単位:台湾元)。
| 確定した滞納額 | 行政救済中の滞納額 | 負責人の出国を制限する条件 |
|---|---|---|
| 200万以上600万未満 | 300万以上900万未満 | 財産を隠し、または移して執行を逃れる兆候 |
| 600万以上2,000万未満 | 900万以上3,000万未満 | 営業状況の異常、負責人の頻繁な出国・長期の国外滞在・所在不明、財産の隠匿・移転の兆候のいずれか |
| 2,000万以上 | 3,000万以上 | 追加の条件なし |
「頻繁な出国」は、国税局が出国制限の手続を取る時点から遡って2年以内に、負責人の出国が8回に達した場合をいいます。中国大陸・香港・マカオへの出国も数えます。「長期の国外滞在」は、遡って1年以内に連続183日以上国外にいた場合です。配偶者や直系親族が国外で亡くなったといった正当な理由を負責人自身が国税局に説明すれば、どちらにも当たりません(規範第5点第2号・第3号)。
確定滞納額は800万台湾元、董事長はこの2年で東京の本社に9回戻っています(架空の例です)。二番目の区分です。「頻繁な出国」の一点で条件を満たす可能性があります。
出国を制限される負責人の範囲
財政部は、出国制限の対象となる営利事業の負責人を、法律上その事業を代表する法定代理人に限るとし、会社であれば董事会または株主総会から適法に授権された董事長などを指すとしています(1979年の解釈)。親会社などの法人が董事になっている場合、その法人の負責人を出国制限の対象にはできないとする2007年の解釈もあります。
外国人には入出國及移民法第21条が適用されます。財税機関などが法律に基づいて出国制限を通知すれば、移民署はその外国人の出国を禁止しなければならず、出国審査の場で書面を渡して理由を告げます。
書面通知、最長5年、解除の事由
理由と救済手続を記した書面は、財政部が移民署に出国制限を求めるときに、当事者へ同時に送達しなければなりません(第24条第3項第1号)。制限期間は、移民署が制限した日から5年を超えられません。
解除の事由は、同条第4項に六つあります。5年が過ぎた場合、滞納税額と罰鍰を全部納めたか相当の担保を国税局に提供した場合、訴願や行政訴訟で処分が取り消され、改めて処分をし直すことが確定した場合(残る滞納額がなお基準以上のときや財産隠匿の兆候があるときを除きます)、救済と処罰の手続が終わって確定した金額が基準に届かない場合、会社が解散・清算を終えて残余財産がない場合、破産法上の和解または破産手続による配当が終わった場合です。会社を閉じるときの申告期限は、台湾子会社・支店を閉じるときの税務申告にまとめています。
一部だけでも納めれば解除されるのでしょうか?原則として解除されません。財政部は、出国制限の対象として管理している滞納税額と罰鍰をすべて納める必要があるとしています(2010年の解釈)。ここでいう「全部」は出国制限のために通知した分に限られ、通知していない他の滞納は含みません(2009年の解釈)。
復査を申し立てた税額には、もう一つ道があります。復査決定の後に強制執行へ移送されるべき案件として出国が制限されたときは、復査決定の税額の3分の1を納めるか相当の担保を提供すれば、制限は解除されます。2021年12月18日以前にすでに強制執行へ移送されていた案件は半額が必要で、財産隠匿の兆候があればこの解除は使えません(規範第6点第2項)。復査と3分の1納付の期限は、台湾子会社の税務調査と追徴の核定に不服があるときで取り上げました。
強制執行に移った後の住居制限
納付期間の満了から30日を過ぎても納めない税金は強制執行に移送され、復査を申し立てていれば移送が猶予されます(稅捐稽徵法第39条第1項)。その後は行政執行法第17条の段階です。逃亡のおそれや財産の隠匿といった事由があれば、行政執行処は相当の担保の提供と期限内の履行を命じ、住居を制限(限制住居)できます。滞納額の合計が10万台湾元未満なら住居制限はできませんが、義務者がすでに2回出国していればこの限りではありません。同法第24条第4号は、これらの規定を会社の負責人にも適用しています。
滞納が脱税になるとき
稅捐稽徵法第41条は、詐術その他の不正な方法で税を逃れた納税義務者を5年以下の有期懲役に処し、1,000万台湾元以下の罰金を併科します。営利事業の逃れた税額が5,000万台湾元以上(個人は1,000万台湾元以上)になると、刑が重くなります。懲役は1年以上7年以下です。罰金は1,000万〜1億台湾元が併科されます。
源泉徴収義務者が詐術などで源泉徴収をしなかったり少なくしたりした場合や、徴収した税を横領した場合は、第42条が5年以下の有期懲役、拘役または6万台湾元以下の罰金(選択または併科)を定めています。教唆・幇助は3年以下の有期懲役と100万台湾元以下の罰金の併科で、税務職員、弁護士、会計師などが行えば2分の1まで加重されます(第43条)。
誰が処罰されるかを決めるのは第47条です。納税義務者・源泉徴収義務者に対する刑罰の規定は公司法上の会社の負責人に適用され、実際に業務を担う人が別にいれば、その人が基準になります。公司法第8条は、股份有限公司(株式会社)の負責人を董事とし、経理人なども職務の範囲内では負責人に含めます。出国制限の負責人より広い範囲です。同じ行為について、会社には営業税法上の罰鍰を、負責人には刑罰をそれぞれ科すことができるとする2007年の解釈もあります。
調査の前に自ら申告し直した場合
第48条の1によると、告発がなく、国税局や財政部が指定した調査員の調査も始まっていない案件で、納税義務者が自ら申告を補って漏れた税金を納めれば、第41条〜第45条の処罰と各税法の脱税に関する処罰はすべて免除されます。刑事責任については、刑を免除することが「できる」と定めるにとどまります。その代わり、本来の納付期限の翌日から納付の日まで、各年1月1日の郵便貯金1年定期の固定金利による日割りの利息が加算されます。
出国前に確かめられること
移民署の案内によれば、外国人も必要書類をそろえれば、各県市のサービスステーションで本人または委任を受けた人が出国禁止の有無を照会できます。照会は無料です。本人の同意と委任がなければ、会社の担当者が代わりに照会することもできません(移民署の照会案内)。制限を解くには、通知された滞納税額と罰鍰の全額を納めるか、国税局に相当の担保を提供することになります。財産にかかった保全措置は、納税義務者自身または第三者が相当の担保を提供すれば、その範囲で解除されます(第24条第2項第1号)。日本の親会社が担保を差し入れる場合の日本側の会計・税務の扱いは、日本の税理士にご確認ください。
出国制限の通知書や国税局の処分書が届いた場合は、その写しと滞納している税目・金額を整理して、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)までお送りください。解除事由に当たるかどうかと、残っている不服申立ての期限から一緒に確認します。
出国制限は長くても5年です。通知された滞納税額と罰鍰をすべて納めるか担保を立てれば、それより前に解除されます。
参考にした公的資料
- 稅捐稽徵法(2021年12月17日最終改正)第24条、第39条、第41条、第42条、第43条、第47条、第48条の1
- 行政執行法(2010年2月3日最終改正)第17条、第24条
- 入出國及移民法(2023年6月28日最終改正)第21条
- 公司法(2025年12月26日最終改正)第8条
- 財政部 限制及解除欠稅人或欠稅營利事業負責人出境規範(2022年8月19日改正)、第4点附表
- 財政部稅務入口網 稅務問與答0320:欠税者の出国制限と解除(2022年11月8日更新)
- 財政部各稅法令函釋檢索系統、稅捐稽徵法令彙編113年版:1979年7月18日の解釈、1985年2月22日・2015年9月4日の解釈、2007年4月11日の解釈、2007年5月22日の解釈、2009年6月11日の解釈、2010年9月1日の解釈
- 内政部移民署 出国禁止の有無の照会案内(2022年7月8日更新)
確認日:2026年10月7日
よくある質問
- 日本から派遣された董事長も、子会社の滞納で台湾から出国できなくなることがありますか?
- あります。稅捐稽徵法第24条第3項は、台湾域内の営利事業が確定した税金と罰鍰を200万台湾元以上(行政救済の手続が終わる前なら300万台湾元以上)滞納したとき、財政部が移民署にその負責人の出国制限を求めることができると定めています。外国人については入出國及移民法第21条により、財税機関の通知があれば移民署が出国を禁止します。財政部の解釈は、対象となる負責人を董事会などから適法に授権された董事長のように、法律上会社を代表する者に限っています。確定滞納額が2,000万台湾元未満なら、頻繁な出国などの条件も必要です。
- 滞納額の一部を納めれば、出国制限は解除されますか?
- 原則として解除されません。第24条第4項は、滞納税額と罰鍰の全額を納めるか相当の担保を提供したことを解除事由とし、財政部の2010年の解釈も、出国制限の対象として管理している滞納税額と罰鍰をすべて納める必要があるとしています。ただし、復査決定の後に強制執行へ移送されるべき案件として制限された場合は、復査決定の税額の3分の1を納めるか相当の担保を提供すれば解除されます(2021年12月18日以前に移送済みの案件は半額。財産隠匿の兆候があれば適用されません)。
- 税金を納められないだけで、董事長が刑事責任を問われますか?
- 稅捐稽徵法第41条が処罰するのは、詐術その他の不正な方法で税を逃れた場合です。その場合は5年以下の有期懲役と1,000万台湾元以下の罰金が併科され、営利事業の逃れた税額が5,000万台湾元以上なら1年以上7年以下の有期懲役と1,000万〜1億台湾元の罰金が併科されます。徴収した源泉税の横領は第42条の対象です。第47条はこれらの刑罰規定を公司法上の会社の負責人に適用し、実際に業務を担う人が別にいればその人を基準にします。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



