日本の親会社の株式報酬と台湾の所得税:ストックオプションは行使した年に課税、RS・RSUには財政部の解釈が見当たらない
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日本の親会社の株式報酬と台湾の所得税:ストックオプションは行使した年に課税、RS・RSUには財政部の解釈が見当たらない

約9分

日本の親会社から付与されたストックオプションを台湾勤務中に行使したら、台湾でも課税されるのでしょうか。付与日から最初に権利行使を請求できる日までの間に台湾で働いていれば、課税されます。財政部(日本の財務省にあたる官庁)の2005年5月17日の解釈は、外国企業が台湾の子会社・支店・事務所の社員や台湾に派遣した社員に付与したストックオプションについて、行使した年に、行使差額のうち台湾滞在日数の割合分を台湾源泉所得として課税するとしています(財政部94年5月17日台財稅字第09404527550號令)。

RS(譲渡制限付株式)やRSUは事情が違います。2026年10月7日に財政部の法令解釈検索システム(財政部各稅法令函釋檢索系統)で確認した範囲では、外国の親会社が付与したRS・RSUを直接扱う解釈は見つかりませんでした。

行使日の時価から行使価格を引いた差額

2005年の解釈によると、課税されるのは権利行使日(執行權利日)の株式の時価が行使価格を上回る部分です。この差額は所得税法第14条第1項第10類の「その他所得(其他所得)」に当たり、行使した年の所得に算入されます。給与所得には分類されていません。

台湾の取り分は期間で決まります。付与日から最初に権利行使を請求できる日(得請求履約之始日)までの間、台湾で勤務していなければ台湾源泉所得の問題はありません。その間に台湾で勤務していれば、差額に「その期間中の台湾滞在日数÷期間の総日数」を掛けた額が台湾源泉所得です。付与から3年後に行使可能になるオプションで、そのうち1年半を台湾で過ごしていれば、差額の半分が台湾源泉所得になります(架空の例です)。

円などの外貨建ての株式は、行使日の臺灣銀行の当該外貨の直物為替買値・売値の終値の平均で台湾元に換算します(財政部95年7月12日台財稅字第09504528030號令)。2005年の解釈には例外が一つあります。付与を受けた年に、外国企業の本国の税法に従ってオプションの価値を評価して申告・納税した社員は、行使年の申告・納税に関する規定の再適用を免れることができます(2005年の令第4点)。

株式購入プランと株式増価受益権(SAR)

財政部は2007年2月27日の解釈で、外国企業の台湾支店の社員が海外本社の株式購入プラン(認股計畫)に参加して取得した株式について、取得時の時価が購入価格を上回る差額をその他所得としました。会社は株式の交付日に源泉徴収をせず、支払明細の申告と免扣繳憑單の交付だけを行います(台財稅字第09604503990號函)。

海外の親会社の株式増価受益権(股票增值權)では、行使日の親会社株価と約定の行使価格の差額をもとに、現金または同等の株式が支払われます。これも受け取った年のその他所得です。台湾の会社は源泉徴収を免除される一方、支払明細の申告と免扣繳憑單の交付を求められます(2007年6月15日台財稅字第09600112810號函)。

RS・RSUについて確認できた基準はありません

公表されている解釈は、ストックオプション、株式購入プラン、SARを対象にしたものです。譲渡制限付きの株式についての解釈(2012年7月11日の令)もありますが、対象は台湾の会社が台湾の会社法に基づいて発行する新株(限制員工權利新股)です(同令)。

そのため、外国親会社のRSUがベスティング時に課税されるのか株式の交付時なのか、どの価格で評価するのか、ストックオプションと同じく滞在日数の割合で按分するのかは、公的な文書では確認できません。ストックオプションも含め、海外上場株式の「時価」をその日の終値とするのかどうかも、確認した解釈の本文には書かれていません。最初のベスティングの前に、プランの書類を持って管轄の国税局(國稅局)に照会しておくと安心です。

なお、財政部は2025年11月12日に多数の解釈を改正・廃止する令(台財稅字第11404634280號)を出しました。上の外国親会社関連の解釈はその一覧に含まれておらず、2025年版(114年版)の解釈集にも収録されています(行政院公報)。

子会社がすること:源泉徴収ではなく1月末の申告

台湾の会社の社員が外国企業のストックオプションを行使すると、その会社は翌年1月末までに、行使した社員の氏名、住所、身分証番号と台湾源泉所得を管轄の国税局に申告し、免扣繳憑單(源泉徴収をしていない所得の証明書)を社員に交付します(2005年令第2点、所得税法第89条第3項)。交付期限は2月10日です。1月に3日以上続く国定休日がある年は期限が延び、申告は2月5日、交付は2月15日までとなります。

2026年10月時点の第111条第2項では、期限内に申告しない、事実と異なる申告をする、または免扣繳憑單の交付が遅れると、1,500~20,000台湾元の過料が科され、期限を定めて補正が求められます。その期限も守らなければ、過料は3,000~90,000台湾元です。

日本からの出向者には別の解釈があります。財政部の2005年5月17日台財稅字第09404528910號令は、外国企業が台湾の子会社などで役務を提供させるために派遣した社員の報酬を、第8条第3号の「台湾で提供した役務の報酬」としています。台湾の会社は、付与日から最初の行使可能日までに台湾で役務を提供した日数の割合でオプション費用を計算して費用に計上でき、支払う際には第88条・第92条に従って源泉徴収し、源泉徴収票(扣繳憑單)を申告します(解釈本文)。

子会社の社員か、親会社からの出向者か。それによって会社の義務が変わりますが、二つの解釈の関係を直接整理した解釈は確認できませんでした。雇用契約と費用の付け替えの仕組みを先に確かめる必要があります。給与の源泉徴収全般は出向者と現地採用者の給与のコラムで扱っています。

社員本人の申告と183日

会社が源泉徴収をしない以上、税金は社員が自分で申告して納めます。台湾に住所がない人は、その年に合計183日以上滞在すれば居住者です(第7条)。居住者は翌年5月1日から31日までに総合所得税を申告・納付します(第71条)。その他所得は総合所得に合算されて累進税率で課税され、2026年分の税率は5%から40%です(財政部の2026年度金額表)。

親会社が4月~3月の事業年度でも、台湾の個人所得税の課税年度は1月1日から12月31日までです(財政部税務入口網の外国人向け案内)。子会社の1月の申告も、前年1月から12月の行使分が対象になります。

年の途中で台湾の住所や居所を引き払って出国する居住者は、出国前にその年の所得を申告・納付しなければなりません。居住者の配偶者が台湾に残る場合は、配偶者が合算して申告します(第71条の1第2項)。

帰任後に行使したらどうなるでしょうか?2005年の解釈の計算式は行使年の滞在日数を使いません。付与日から最初の行使可能日までの日数を使うので、計算上は台湾の取り分が残り得ます。行使した年に非居住者である場合の税率や申告方法は、今回確認した公的資料には見当たりませんでした。帰任前に国税局へ確認しておくのが無難です。滞在日数の数え方は居住者判定のコラムにまとめています。

株式を売却したとき

行使後に株式を売った場合、売却価格と行使日の時価の差額は証券取引所得または損失です(2005年令第1点)。海外上場株式であれば、この差額は海外所得としてミニマム税(所得基本稅額)の対象になり得ます。財政部の税務入口網は、海外の証券取引所得にはミニマム税の免税規定がないと説明しています(稅務問與答1756)。区分は国税局に確認してください。

居住者世帯の海外所得が年100万台湾元未満なら基本所得額に算入せず、100万台湾元以上なら全額を算入します(所得基本稅額條例第12条第1項第1号)。株式の譲渡所得は受渡日(交割日)の属する年に算入します(財政部の查核要點第3点)。

基本税額は、基本所得額から2026年分は750万台湾元(金額表)を差し引いた額の20%です。所得の源泉地で納めた税額は、限度額と証明書類の要件の範囲で控除できます(第13条)。基本税額が通常の所得税額を上回るときに限って、ミニマム税の納付が必要になります(稅務問與答1746)。

外国特定専門人材の優遇

外国特定専門人材(外國特定專業人才)の税優遇は、2026年1月1日から外國專業人才延攬及僱用法第22条に置かれています。旧第20条を内容を変えずに移したものです(台北国税局のQ&A)。対象は、台湾に戸籍がなく、仕事のために初めて居留許可を受けた人のうち、要件を満たす専門人材です。

初めて183日以上滞在し、給与所得が300万台湾元を超えた年から5年間が対象期間です。その間、183日以上滞在した年は、給与のうち300万台湾元を超える部分の半分が課税所得から除かれ、海外所得はミニマム税の計算に入りません。

ただ、優遇の基準は給与所得(薪資所得)です(減免所得稅辦法第4条第3項)。その他所得に分類される親会社の株式報酬がこの計算に入るかどうかを示した公的な説明は、見つかりませんでした。申請は各年の総合所得税の申告(出国前の申告を含む)の際に行い、申告期間が終わるまでに申請しなければ適用されません(同辦法第5条)。

同じ利益に対する日本側の課税や、台湾で納めた税の外国税額控除の扱いは、日本の税理士にご確認ください。

付与通知書、ベスティング・行使の明細、年ごとの台湾の出入国記録をそろえて、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)までメールでお送りいただければ、台湾側の課税時期と会社の申告範囲を一緒に確認します。

行使日の株価の記録は二度使います。行使した年のその他所得を計算するときと、売却した年の差額を計算するときです。海外所得を基本所得額に算入する際に取得費を証明できなければ、売却価格の20%が所得とされます(查核要點第16点)。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月7日

よくある質問

台湾に赴任する前に付与されたストックオプションを台湾で行使しました。差額の全部が台湾で課税されますか?
財政部の2005年の解釈は、付与日から最初に権利行使を請求できる日までの期間を基準にします。その期間に台湾で勤務していなければ台湾源泉所得はなく、勤務していれば、行使日の時価から行使価格を引いた差額に、その期間中の台湾滞在日数の割合を掛けた額が台湾源泉所得です。この額は行使した年の「その他所得」です。
台湾子会社は、親会社のストックオプションの利益について源泉徴収をしなければなりませんか?
子会社の社員であれば源泉徴収はせず、行使の翌年1月末までに社員ごとの台湾源泉所得を国税局に申告し、2月10日までに免扣繳憑單を社員に交付します。親会社から派遣された出向者のオプション費用を台湾の会社が負担して支払う場合、財政部の解釈は支払時の源泉徴収を求めています。
RSUやRSはいつ課税されますか?
2026年10月7日に財政部の法令解釈検索システムで確認した範囲では、外国の親会社が付与したRS・RSUを直接扱う解釈は見つかりませんでした。公表されている解釈はストックオプション、株式購入プラン、株式増価受益権(SAR)を対象にしています。課税時期と評価方法は、プランの書類を持って管轄の国税局に確認しておくのが確実です。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。