架空の情景
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業務委託で働く日本人は台湾の「労工」か:従属性の判断と就労許可が絡むところ

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架空の情景

「勞務債務人(保險業務員)得否自由決定勞務給付之方式(包含工作時間),並自行負擔業務風險」。台湾の司法院大法官が法令の統一解釈として出した司法院釈字第740号(2016年10月21日)が、保険外交員の契約が労働契約かどうかを決める物差しとして掲げた一文です。働き方と勤務時間を自分で決められるか、業務のリスクを自分で負うか。契約書の題名は、この問いに答えてくれません。

台湾で「業務委託」として働く日本人にも、同じ物差しが当てられます。

日本の労働基準法第9条との違い

日本の労働基準法第9条は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めています。台湾の勞動基準法第2条第6款は、労働契約を「労使関係を約定し従属性(從屬性)を有する契約」と定義しており、条文そのものに「従属性」という言葉が入っています。釈字第740号が引用した当時の第2条にはこの言葉がありませんでした。

手元の許可が何かで、主張の意味が変わる

外国人が台湾で働くには、法律に別段の定めがない限り、雇用主の申請による許可が必要です(就業服務法第43条)。労働者だと示す事実は、そのまま「台湾で働いた」事実でもあります。どの許可を持っているかで、同じ主張の重さが変わります。

日系企業の駐在や台湾企業の専門職として、特定の会社の許可で来ている人がまず考えたいのは、その会社以外の仕事です。許可を受けた雇用主以外のために働くことは第73条の許可廃止事由です。週末だけ別の会社の通訳を請け負った、という形でも問題になり得ます。条文に回数の定めはありません。詳しくは別の雇用主の仕事を一度だけしたらに書きました。

補習班で日本語を教える人の許可には、時間の条件があります。外国専門人材招致雇用法(外國專業人才延攬及僱用法)第4条第4款第3目と短期補習班の教師基準第3条第2款の「専任外国語教学」として許可を受けるには、その補習班で週14時間以上の教学関連業務が要ります(第5条の1第1項)。教える言語は、旅券の国籍国の公用語であることも条件です。別の補習班でも教えるなら、その補習班が就業服務法第53条第1項により別に許可を申請し、週6時間以上、合計で週32時間以内という枠に収める必要があります。

許可そのものが要らない人もいます。台湾に戸籍のある国民と結婚して居留許可を得た人は就業服務法第48条第1項第2款により、外国専門人材の本人や配偶者・未成年の子などで永住許可を得た人は招致雇用法第7条第2項により、許可なく働けます。それ以外の永住者は就業服務法第51条第2項により、雇用主を通さず自分で許可を申請できます。就業ゴールドカード(就業金卡)は、招致雇用法第9条のとおり就労許可・居留ビザ・居留証・再入国許可を一枚にまとめたものです。

許可のない就労の代償は小さくありません。違反した外国人は就業服務法第68条により3万〜15万台湾ドルの過料を受け、出国を命じられ、その後台湾で働くことはできません。仕事を任せた側も、第44条や第57条違反として第63条の15万〜75万台湾ドルの過料の対象です。

資遣費は新旧どちらの制度で計算するのか

2026年1月1日に、計算の前提が変わりました。招致雇用法第24条により、専門的な仕事に就く外国専門人材は勞工退休金條例の退職金制度(新制度)の対象になっています。補習班の専任外国語教師も、第4条第4款第3目でこの「専門的な仕事」に含まれます。新制度での資遣費(解雇に伴う手当)は、勤続1年ごとに平均賃金0.5か月分、上限6か月分です(勞工退休金條例第12条)。

同じ会社に施行前から勤めていた人には、施行日から6か月以内に、書面で勞動基準法の退職金規定を引き続き選ぶ道がありました。この期間はもう過ぎています。その選択をした人の資遣費は勞動基準法第17条により1年ごとに1か月分です。新制度に移る前の勤続年数も、条例第11条により保留され、勞動基準法の基準で計算します。

専門人材でなくても新制度に入る外国人がいます。同条例第7条が挙げる、台湾に戸籍のある国民と結婚して居留許可を得て働く人、離婚や死別の後も法令により居留して働ける人、永住許可を得て働く人です。どれにも当たらない外国人労働者は勞動基準法第17条が基準になります。許可なく業務委託で働いた人が第24条の対象に入るかどうかは、条文からは読み取れません。計算の細部は台湾の資遣費にまとめています。

資遣費が問題になるのは、主に雇用主が契約を終わらせる場面です。勞動基準法第11条は、廃業・譲渡、赤字・業務縮小、職務に確かに堪えられない場合など5つの事由がなければ予告解雇を認めていません。予告期間は、勤続3か月以上の人について、勤めた期間に応じて10日、20日、30日です(第16条)。

労工保険にも関わります。勞工保險條例第6条は5人以上を雇う会社・商店の従業員などを強制加入とし、ここでいう労工には在職中の外国籍従業員も含むと明記しています。補習班はこの強制加入の単位に入らない、というのが勞工保險局の案内です(勞動部の報道資料、2021年9月24日)。補習班で教える人は、同条例第8条第1項第1号による任意加入の道があります。

指導原則の物差しを当ててみる

勞動部の労働契約認定指導原則(勞動契約認定指導原則)(2019年11月19日付函)は、契約の形式や名称に拘束されず、従属性の高低で実質的に判断するとしています。挙げられている要素は具体的です。勤務時間・方法・場所を事業者が管理しているか、割り当てられた仕事を断れるか、評価や懲戒を受けるか、代わりの人を立てられるか。報酬が成果ではなく労務そのものに支払われるか、機材の費用を誰が持つか、事業者が一方的に決めた基準でしか報酬を得られないか、顧客と直接取引することが禁じられているか。同僚との分業に組み込まれているかも見ます。

二つの働き方を並べてみます(どちらも架空の例です)。新竹の工場に通訳として毎朝8時半に入り、会議の予定も担当者の指示で決まり、日当で支払われる人。従属性の要素はそろっています。オンラインの日本語レッスンサイトに登録し、空いている時間を自分で公開して受講者に選ばれる人は、一見すると委託寄りです。ただ、サイトが単価を一方的に決め、受講者と直接やり取りすることを禁じているなら、経済的な従属性の要素が加わります。

指導原則は「その他の判断要素」として、労工保険への加入や退職金の積立て、給与所得としての源泉徴収、同じ仕事をする他の人の契約が労働契約かどうかも挙げています。

争う場所と、残しておきたい記録

指導原則の第5点は、労務提供者が事業者を雇用主と考える場合は民事訴訟で救済を求められるとしています。決め手になりやすいのは、指示の出し方が残った連絡履歴や、毎月の支払いの記録です。

台湾の弁護士には、旧制度を選ぶ書面の有無や、雇用主が勞工保險局に退職金の拠出を届け出ているかを確かめたうえで、資遣費と予告期間分の賃金の額を出してもらえます。補習班の掛け持ちや週末の通訳が就業服務法の許可の範囲に収まっているかの確認、レッスンサイトや通訳先の会社との契約書を指導原則の要素に沿って読み直して事業者に送る書面を作ること、調停や訴訟での代理も依頼できます。労働事件のご相談はwei@hoveringlaw.com.twへ。昊鼎国際法律事務所の台北事務所は台北市大同区承徳路一段35号7階の2(臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)にあります。

空き時間を自分で公開するレッスン講師と、毎朝8時半に工場へ入る通訳とでは、同じ「業務委託」の契約書でも答えが違ってきます。

参考資料

確認日:2026年10月27日。

よくある質問

2026年より前から同じ補習班の専任教師として働き、旧制度を選ぶ書面を出していません。資遣費はどう計算されますか。
書面を出さなかった人は、外國專業人才延攬及僱用法第24条第1項により勞工退休金條例の退職金制度(新制度)の対象です。同項ただし書の選択期間は施行日(2026年1月1日)から6か月で、すでに過ぎています。新制度に入る前の勤続年数は、同条第3項と勞工退休金條例第11条により保留され、契約終了時の平均賃金で勞動基準法の基準により計算します。新制度に入った後の年数は、同条例第12条により1年ごとに平均賃金0.5か月分、上限6か月分です。
会社の許可で働いています。週末に別の会社の通訳を一度だけ引き受けても、許可に響きますか。
響く可能性があります。就業服務法第73条第1款は、許可を受けた雇用主以外の雇用主のために働くことを聘僱許可の廃止事由としており、回数や時間の下限は書かれていません。二つ目の雇用主のもとで働く場合は、その雇用主が許可を申請する仕組みです(第53条第1項)。
単価をサイトが一方的に決めるオンラインの日本語レッスンでも、労働者になり得ますか。
なり得ますが、それだけでは決まりません。勞動部の労働契約認定指導原則は経済的従属性の判断要素として、事業者があらかじめ定めた定型化契約により、事業者が定めた基準や一方的に変えた基準でしか報酬を得られないこと、事業者を通さずに第三者と取引することを禁じられていることを挙げています。ただ、空き時間を自分で公開し受講者に選ばれる働き方は、勤務時間の管理という人格的従属性の要素が弱く、全体を総合して判断されます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。