すでに約束された賃金の未払いは既存の権利義務に関わり、将来の賃上げ要求は労働条件の維持・変更に関わります。勞資爭議處理法第5~7条は両者を区別し、第53条は原則として権利事項の紛争を理由とするストライキを認めていません。日本本社は、台湾子会社の労働契約や労働協約に何が定められているかを先に確認する必要があります。
調解不成立と投票の関係
労使いずれも、労働者が役務を提供する地の地方主管機関に調解を申請できます。申請書には当事者、調解を求める事項、調解方法などを記載します。主管機関は申請者が求めた方式に従い、調解人を指名するか調解委員会を設置します。委員会の調解案を一方が受け入れなければ調解は不成立です。勞資爭議處理法第9~11条、第19~21条
第53条によれば、争議行為には原則として調解不成立が必要です。さらに第54条は、組合がストライキを宣告し、ピケを設けるために、組合員の直接・無記名投票で、組合員全体の過半数の賛成を求めています。投票に参加した人の過半数ではありません。投票可決だけで調解不成立や適法性が証明されるわけでもありません。教員などのストライキ禁止や、特定の公益事業における必要サービス条項にも注意が必要です。勞資爭議處理法第53~54条
使用者による工會法第35条または團體協約法第6条第1項違反を中央主管機関の裁決が認定した場合、第53条には組合が争議行為を行う特則があります。一般の未払賃金請求をすべてストライキの対象にする規定ではありません。また、調解・仲裁・裁決の期間中は、紛争を理由とする使用者側の事業停止、解雇その他の不利益な行為と、労働者側のストライキ等が第8条で制限されます。勞資爭議處理法第8条、第53条
本社と現地の指示を記録する
工會法第35条は、組合の結成・加入・活動、団体交渉、争議行為への参加や支持を理由とする解雇、降格、減給その他の不利益な取扱いなどを禁じています。組合の組織や活動への不当な介入も禁じます。同条に違反する解雇、降格、減給は無効です。
現地法人は賃金規程と契約、労働協約、組合との往復書簡、調解の申請書と記録、人事・賃金変更の決裁経緯を保存しておくと、後に判断の根拠を説明できます。組合の投票については、会社が投票を運営するかのように扱わず、受け取った通知とその日時を区別して記録します。本社の予算指示があっても、台湾で行った個々の人事判断の理由は別途検討が必要です。
台湾の労働問題を扱う弁護士は、請求が既存の権利か労働条件の変更かを整理し、調解記録と会社の対応案、人事判断の適法性を確認できます。関連する論点は台湾の資遣法制と台湾子会社の従業員解雇も参照してください。
台湾子会社の労使紛争については、昊鼎國際法律事務所の曾雋崴弁護士へ wei@hoveringlaw.com.tw でご相談いただけます。所在地:103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2。
出典
2026年10月1日確認:勞資爭議處理法第5~11条、第19~21条、第53~54条、工會法第35条。
よくある質問
- 組合の投票で過半数が賛成すれば、直ちにストライキできますか。
- 投票だけでは足りません。原則として調解が不成立となる必要があり、投票は組合員による直接・無記名投票で、組合員全体の過半数の賛成が必要です。業種などによる制限も確認します。
- 過半数は投票した人を基準に数えますか。
- いいえ。勞資爭議處理法第54条の基準は、投票者数ではなく組合員全体です。
- 本社が決めた人員配置なら、台湾子会社は組合活動への影響を考慮しなくてよいですか。
- いいえ。台湾の工會法第35条は、組合加入や団体交渉、争議行為への参加・支持を理由とする不利益な取扱いなどを禁じています。個別の決定理由と経緯を確認する必要があります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



