1年以上3年以下。台湾の検察官が起訴を見送る緩起訴で定める期間です。処分が確定した日から数え、その間は公訴時効(条文では追訴権の時効)も止まります。死刑、無期徒刑、法定刑の下限が3年以上の有期徒刑の罪には使えません(刑事訴訟法第253条の1、2026年10月時点)。
このとき検察官は、期間を定めて次の8つを被告人に命じられます。謝罪、悔過書(反省文)、被害者への財産上・非財産上の賠償、国庫納付、検察署が指定する機関・団体などでの40時間以上240時間以下の義務労務、依存症や精神・心理の治療・カウンセリングなどの処遇の完了、被害者の安全を守る命令、再犯を防ぐ命令です。
賠償から処遇までの4つには被告人の同意が要ります。このうち賠償と国庫納付は、民事の強制執行の根拠(執行名義)になり得ます。条件は処分書に書かなければならず、履行の期間は緩起訴の期間を超えられません(第253条の2)。
処分書は告訴人や被告人のほか、条件の履行に関わる被害者・機関・団体・地域社会にも送達されます(第255条)。
告訴人の道は10日以内の再議と取消しの申立て
1つは再議。処分書を受け取って10日以内に、不服の理由を書いた書面を、原検察官経由で直近上級の検察署の検察長か検察総長に出します。期間と提出先は、告訴人に届く正本に記載する決まりです。処分の前に緩起訴に同意した告訴人は、申し立てられません(第256条)。
10日は、受け取った日を入れず翌日から数えます。末日が日曜日や記念日などの休日なら翌日に延びます(第65条、民法第120条・第122条)。再議を申し立てられる人がいない事件は、原検察官が職権で再議に送る義務があります(第256条第3項)。
もう1つは取消しの申立てです。第253条の3が挙げる事由は3つです。期間中に故意で有期徒刑以上の刑にあたる罪をさらに犯して検察官に公訴を提起された場合、緩起訴の前に故意で犯した別の罪で期間中に有期徒刑以上の刑を言い渡された場合、条件に違反した場合です。このとき検察官は、職権で、または告訴人の申立てにより処分を取り消し、捜査を続けるか起訴できます。被告人は履行済みの部分の返還も賠償も求められません。申立ての期限は条文に書かれていません。
被告人も、取消しの処分書を受け取って10日以内に同じ方法で再議を申し立てられます(第256条の1)。
被害者が裁判所に直接訴える自訴(第319条)はどうでしょうか。検察官が捜査を始めた事件は自訴できず、親告罪の直接の被害者などへの例外も期間中は適用されません(第253条の1第4項、第323条第1項)。
取消しなく期間が満了した後、再起訴は2つの場合だけ
第260条が挙げるのは、新しい事実か証拠が見つかった場合と第420条第1項第1・2・4・5号の再審事由がある場合です。新しい事実や証拠には、捜査中にあったのに調べきれなかったものも、その後に生じたものも入ります。
条件が守られているかを告訴人に知らせる定めは、ここで引いた条文にありません。処分書の条件と履行の期間、受け取った日を控えておいてください。その控えと秘密でない概要は、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)にお送りいただけます。
参考にした公的資料
- 台湾法務部・全國法規資料庫「刑事訴訟法」:第65条、第253条の1、第253条の2、第253条の3、第255条、第256条、第256条の1、第260条、第319条、第323条、第420条
- 台湾「民法」:第120条、第122条
- 刑事訴訟法の沿革:直近の改正は2026年5月13日公布の第101条の1で、この記事が引用した条文とは無関係
確認日:2026年10月12日
本記事は2026年10月12日に確認した台湾の法令に基づく一般的な情報であり、個別の事案についての法的助言ではありません。
よくある質問
- 台湾の緩起訴で被害者への賠償が条件になると、どんな効力がありますか?
- 検察官は緩起訴にあたり、被告人に被害者への損害賠償を命じることができます。この条件には被告人の同意が必要で、処分書に記載されます。賠償の条件と国庫納付の条件は、民事の強制執行の根拠になり得ます(刑事訴訟法第253条の2)。2026年10月時点の現行条文に基づきます。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



