外交部領事事務局の案内(2026年7月17日更新)によれば、日本国籍の人は、所定の要件を満たせば、台湾に90日まで査証免除(ビザなし。中国語では免簽證)で入国できます。ただし同じページは、観光、商務、展示会への参加、考察など許可を要しない活動を除き、ほかの機関の法令で許可が必要な活動をするなら、査証免除で入国しても許可は別に取らなければならないとしています。
外国人は、就業服務法第43条により、同法に別段の定めがある場合を除き、雇用主が申請して得た許可がなければ台湾国内で働けません。客先の工場で装置を据え付け、調整し、保守する技術者も、この規定の対象です。申請の経路は、台湾に支店も代表者事務所もない日本法人が契約の履行のために人を送る履約人員(第51条第3項)、台湾の子会社や支店が雇用主として申請する雇用許可(中国語では聘僱許可)、技術者本人が内政部移民署に直接申請する就業ゴールドカードです。このほか、移民署が発給する学術及商務旅行卡の所持者が講演または技術指導をする場合は、90日以下の滞在について入国査証または入国許可が就労許可とみなされます(許可管理弁法第5条第2項)。
契約を履行するために送る技術者は、履約人員として扱われる
就業服務法第51条第3項は、外国法人が請負、売買、技術協力などの契約を履行するために、第46条第1項第1号または第2号にあたる仕事を契約の範囲内で外国人にさせる場面を定めています。第1号は専門性・技術性の仕事、第2号は華僑や外国人が政府の承認を得て投資・設立した事業の主管です。その外国法人が台湾に支店も代表者事務所も設けていない場合は、契約の相手方である台湾の事業機構か、その授権を受けた代理人が、第48条第2項・第3項に基づく命令の定めに従って申請します。
労働部労働力発展署の履約人員のページ(仕事の内容)も同じ場面を説明しています。同じ履約人員のページの「資格規範」と、2025年9月1日更新のFAQは、申請人を、台湾の支店(代表者事務所)か、契約当事者の事業機構(授権代理人)としています。
装置の据付け、立上げ、保守は、第51条第3項が想定する場面そのものに見えます。ただし、個々の作業が専門性・技術性の仕事として許可の対象になるか、どの区分で審査されるかは労働部の判断です。参考として、資格審査標準(外國人從事就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款工作資格及審查標準)第34条は、台湾の製造業に雇われる外国人の仕事内容に、保守・修理(維修)、コンサルティング(諮詢)、機器の据付け(機具安裝)、技術指導などを挙げています。
30日以下、31〜90日、91日以上で、手続と技術者の資格が変わる
労働力発展署のFAQ(2025年9月1日更新)は、履約の就労期間が30日以下なら申請は要らず、31日以上90日以下なら入国後30日以内に申請でき、外国人の資格と報酬は制限されず、90日以上なら一般の専門性・技術性の仕事の人員と同じ資格で扱うと説明しています。履約人員のページ(資格規範)(2018年9月18日更新)も同じ三区分を示し、91日以上は専門性・技術性の仕事の資格(学歴・経験など)が必要だとしています。
条文との対応は次のとおりです。許可管理弁法(雇主聘僱外國人許可及管理辦法)は滞在期間で、資格審査標準第7条とFAQは就労期間で区切っており、この二つは同じとは限りません(次節)。
| 区分 | 台湾側の手続 | 技術者本人の資格 | 条文・出典 |
|---|---|---|---|
| 30日以下 | 入国査証または入国許可が就労許可とみなされ、申請は要らない(FAQは就労期間30日以下を申請不要とする) | 資格要件の対象外 | 許可管理弁法第5条第1項第1号(滞在期間30日以下)、資格審査標準第7条、FAQ |
| 31〜90日 | 台湾の支店・代表者事務所、または契約相手の台湾企業か授権代理人が、入国後30日以内に申請できる | 資格要件の対象外。FAQは報酬も制限されないとする | 許可管理弁法第12条・第9条、資格審査標準第7条 |
| 90日超(1回の案件) | 台湾側が申請する。第12条の入国後30日以内の申請は、この区分には書かれていない | 一般の専門性・技術性の仕事と同じ資格(資格審査標準第5条)。応備文件のページは、第1号・第2号・第4号に当たる三種類の書類のいずれかを求める | 資格審査標準第7条(第5条の対象外とするのは90日以下)、応備文件の項目5 |
| 就労期間は90日以下でも、申請日前1年間の契約履行の就労期間との累計が90日超 | 上の区分で台湾側が申請するときに問われる | 第5条の第1号・第2号・第4号のいずれか | 資格審査標準第7条但書 |
許可管理弁法の最新の改正は2025年12月30日で、ここで引く第5条、第9条、第12条はその対象ではありません。FAQは最後の区分を「90日以上」と書いていますが、第7条と第12条は90日ちょうどを第2区分までに入れているため、ここでは条文の区切りに従っています。
90日の判定には、細かい点があります。資格審査標準第7条の但書は、申請日の前1年間の契約履行の就労期間と今回の就労期間の累計が90日を超えると、第5条の第1号、第2号、第4号のいずれかを満たす必要があると書いています。第1号は、台湾の「專門職業及技術人員考試法」に基づく証書または業務執行資格を取得した者です。第2号は、国内外の大学の関連分野で修士以上の学位を取得した者、または関連分野の学士号と2年以上の関連実務経験を持つ者です。第4号は、専門訓練か独学による5年以上の関連経験があり、独創的な見解と特殊な実績(創見及特殊表現)がある者です。多国籍企業(跨國企業)に1年以上勤務して台湾へ派遣される第3号の経路は、この但書には挙がっていません。同じ技術者が何度も訪れる保守契約では、1回ごとの日数だけでなく、1年間の累計も追っておく必要があります。
契約履行の就労期間の数え方について、FAQ(2025年9月1日更新)は、雇用主の申請に対して労働部が許可した就労期間を基準とし、途中で契約が終わった場合は、雇用主が労働部に履約の終了を申し出て、実際の履約工作日は実際の就労期間で数えるとしています。
査証免除で入国する日本国籍者への30日の規定は、滞在期間と就労期間で文言が分かれる
許可管理弁法第5条が就労許可とみなすのは「滞在期間(停留期間)が30日以下の入国査証または入国許可」(原文は「入國簽證或入國許可」)で、基準は滞在期間です。労働力発展署のFAQ(2025年9月1日更新)も、この第5条第1項を引いて、30日以下の履約工作を挙げています。一方、前節のFAQは、就労期間30日以下は申請が要らないと、就労期間で書いています。外交部領事事務局によれば、査証免除の滞在期限は14日、30日、90日のいずれかで、入国の翌日から数えます。日本は90日の対象国です。
滞在期間で読むと、査証免除で90日の滞在期間を得た日本国籍者は、作業が数日で終わる場合でも31〜90日の区分に入り、入国後30日以内に台湾側が申請する扱い(第12条)になる可能性があります。就労期間で読むと、30日以下の作業は申請が要りません。査証免除の入国で滞在期間が90日になる日本国籍者の30日以下の作業を、労働部がどちらで扱うかは、末尾の「渡航前に労働部へ照会する項目」にまとめています。
もう一つ、31〜90日の区分で申請を入国後に行う場合、許可が下りる前に作業を始めてよいかも問題になります。第12条は、入国後30日以内に申請「できる」(原文は「得」)と申請の期限を定めるだけで、作業の開始時期は書いていません。
査証免除の滞在は、原則として延長できず、ほかの停留査証や居留査証への切替えもできません。外交部領事事務局のページは例外の一つとして、労働部から履約事由の就労許可を入国前または入国後30日以内に得て、台湾で6か月以上の履約に当たる人を挙げています。この場合は、領事事務局などの専案同意(個別案件としての同意)を得て、停留査証と居留査証の「同時改辦」(同時の切替え)を申請し、そのあと移民署で外僑居留證(外国人の居留証)を申請します。
履約人員の申請人は台湾側の契約相手で、日本側は派遣の指示書面を出す
労働力発展署の必要書類(応備文件)のページは、2023年9月21日更新の時点で、履約(G類)の申請書類として、申請書、履約外国人の名簿、旅券の写し、請負・売買・技術協力などの契約書の写しと中国語訳、外国法人が出す派遣の指示書面(指派函)、国内外の法人の登記証明、申請単位の登記証明などを挙げています。許可管理弁法第9条第2項も、契約書の写し、国内外の法人の登記証明、外国法人が出す履約工作の派遣を証する書類を求めています。指派函は外国法人が出すもので、FAQ(2025年9月1日更新)によれば、外国人の国籍、氏名、派遣する履約の開始日と終了日、履約の工作内容を載せ、外国法人の署名・押印(簽章)が要ります。
客先が日本のメーカーと直接契約せず、台湾の子会社と契約を結び、技術者は日本の親会社から来るという形も考えられます。台湾の子会社は支店でも代表者事務所でもないため、子会社が申請人になるのは、契約の相手方(訂約之事業機構)か授権代理人に当たる場合です。
申請人が台湾側の契約相手である以上、客先に書類を出してもらい、申請を担当してもらう段取りが必要です。契約書で、誰が申請人になるか、日本側がどの書類を出すか、技術者や期間が変わったときの追加申請を誰がするかを決めておくと、あとで揉めにくくなります。これは実務上の提案で、条文が求める内容ではありません。
労働部の2026年4月13日施行の公告(勞動發事字第1150504126號)は、外国人の雇用許可の申請について、審査日数を、規定のオンライン申請で受理の翌日から7営業日、書面申請で12営業日と定めています。渡航日程に組み込むときは、余裕を見ておくほうが安全です。
許可なしに作業させた場合、客先、雇用主、本人に別々の条文が働く
就業服務法は、許可のない就労について、関係者ごとに別の条文を置いています。
| 対象 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 外国人を違法な就労の場として受け入れた者(容留)、許可のない外国人を雇った雇用主 | 第44条、第57条第1号、第63条 | 15万〜75万新台湾ドルの罰鍰(行政罰の金銭)。5年以内に再び違反すると、3年以下の有期徒刑(懲役に相当)・拘役(短期の拘禁)、または120万新台湾ドル以下の罰金(併科あり)。法人の代表者や従業員が業務で違反した場合は、法人にも罰鍰または罰金を科す(第63条第2項) |
| 許可された範囲外の仕事に就かせた雇用主 | 第57条第3号、第68条 | 3万〜15万新台湾ドルの罰鍰 |
| 外国人本人 | 第43条、第68条 | 3万〜15万新台湾ドルの罰鍰(第68条第1項)。直ちに出国を命じられ、以後、台湾で働くことはできない(第3項)。期限までに出国しなければ、強制出国と収容の対象になり得る(第4項) |
| 将来の許可申請 | 資格審査標準第2条の1 | 申請日の前3年以内に、未許可での就労や、許可外の雇用主のための就労などがないことを、申請の条件として書いている |
罰鍰は、直轄市と県(市)の主管機関が科します(第75条)。第44条は「何人も」と書いているため、客先の側にも問題が生じ得ます。受注側に許可の根拠書類を求める場面は、条文から十分に想定できます。ただし、実際に誰が容留に当たるか、いくらが科されるかは、個別の事実と主管機関の判断によります。本稿は判決や処分例を取り上げていません。
短期の出張でも、所得税の判定は許可とは別に進む
台湾で提供した労務の報酬は、原則として台湾源泉所得です。所得税法第8条第3号は、台湾の居住者でない個人が、1課税年度に台湾での滞在が合計90日以下で、報酬を台湾外の雇用主から受ける場合を、その例外にしています。居住者かどうかは、第7条第2項第2号が、住所がなくても1課税年度に合計183日以上滞在すれば居住者とします。履約人員の90日(申請日前1年間の履約期間の累計)とは、数える期間も根拠も別です。日本の居住者には、これに加えて、日本と台湾の間の租税取決め(日台民間租税取決め。台湾での名称は臺日租稅協定)があります。財政部の発表によれば、2015年11月26日に署名され、2016年6月13日に発効し、2017年1月1日から適用されています。給与所得は日本語版の第15条第2項、会社の事業利益の課税には第5条第3項が関わり、所得税法の90日とは基準が違います。個々の技術者や会社にどの規定がどう当てはまるかも、日本側の手続や税務も、ここでは判断しません。条文ごとの整理は台湾で働く半導体技術者の税務で、年の途中の入出国と申告は年の途中で台湾に来る・帰るときの所得税で扱っています。
渡航前に労働部へ照会する項目
ここまでに触れた次の点は、確認できた条文と公式ページには書かれていませんでした。いずれも、台湾側の契約相手を通じて労働部に照会しておくのが確実です。
- 30日以下の作業の扱い。査証免除で入国して滞在期間が90日になる日本国籍者の作業を、労働部が滞在期間と就労期間のどちらで扱うか、入国の形(査証免除か停留査証か)と滞在期間の取扱いを含めて照会します。申請が要らない30日以下の訪問が、申請日前1年間の累計90日にどう入るかも対象です。
- 31〜90日の区分で、許可が下りる前に作業を始めてよいか。第43条が許可のない就労を禁じているため、作業を始める前に労働部へ確認しておくのが慎重です。
- 装置の据付け、立上げ、保守の個々の作業が、専門性・技術性の仕事として許可の対象になるか、どの区分で審査されるか。
- 台湾の子会社と契約し、技術者は日本の親会社から来る形で、親会社と子会社の間の契約が第51条第3項の「契約」に当たるか。
- 90日を超える区分の報酬。31〜90日の区分では資格と報酬が制限されないとFAQにありますが、90日を超える区分については、FAQに資格しか書かれていません。
- 審査日数の公告。公告は履約の区分を個別に挙げておらず、補正が入った場合の扱いも書いていません。
契約の相手方、台湾側の拠点の有無、作業内容と期間の見込みについて相談される場合は、機密資料を添えず、概要からお送りください。昊鼎国際法律事務所のパートナー弁護士、曾雋崴(Wei Tseng)への連絡先はwei@hoveringlaw.com.twです。台北事務所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2、台中事務所は40453 臺中市北區館前路19號6樓之1です。
参考資料
- 就業服務法(全文)、第43条、第46条、第51条。法務部全國法規資料庫、2025年1月20日修正。確認日:2026年10月3日。
- 雇主聘僱外國人許可及管理辦法。法務部全國法規資料庫、2025年12月30日修正。確認日:2026年10月3日。
- 外國人從事就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款工作資格及審查標準。法務部全國法規資料庫、2024年8月1日修正。確認日:2026年10月3日。
- 所得稅法第7条、第8条。法務部全國法規資料庫、2026年9月11日修正。確認日:2026年10月3日。
- 亞東關係協會與公益財團法人交流協會避免所得稅雙重課稅及防杜逃稅協定(臺日租稅協定)於105年6月13日生效,自106年1月1日適用。財政部、2016年6月15日発表(2021年11月3日更新)。確認日:2026年10月3日。
- 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め(日本語版)。公益財団法人交流協会。確認日:2026年10月3日。
- 履約人員:仕事の内容(工作內容)(2018年8月10日更新)、資格規範(2018年9月18日更新)、必要書類(應備文件)(2023年9月21日更新)。労働部労働力発展署外国人在臺工作服務網。確認日:2026年10月3日。
- 履約に関するFAQ(いずれも2025年9月1日更新):FAQ:履約の就労期間ごとの規定、FAQ:履約工作90日の計算方法、FAQ:工作許可が不要な場合、FAQ:履約の申請人、FAQ:指派函の提供者と記載事項。労働部労働力発展署。確認日:2026年10月3日。
- 聘僱外國人申請案の審査日数に関する公告(勞動發事字第1150504126號)。労働部、2026年4月13日。確認日:2026年10月3日。
- 査証免除のページ(免簽證)(2026年7月17日更新)。外交部領事事務局。確認日:2026年10月3日。
一般的な法制度情報であり、個別案件への法律助言ではありません。資料は2026年10月3日(台湾時間)に確認しました。
よくある質問
- 日本国籍の技術者は、査証免除で入国してそのまま客先で装置の据付けをしてよいですか。
- 査証免除は90日までの滞在を認める入国の形で、作業の許可を含みません。外交部領事事務局は、ほかの機関の法令で許可が必要な活動には別に許可が必要だとしています。台湾に支店も代表者事務所もない日本法人が契約の履行のために人を送る場合は、就業服務法第51条第3項の履約人員として扱われます。労働力発展署のFAQ(2025年9月1日更新)は、履約の就労期間が30日以下なら申請は要らず、31〜90日なら入国後30日以内に申請できるとしています。一方、許可管理弁法第5条が就労許可とみなすのは滞在期間30日以下の入国査証または入国許可で、滞在期間が90日になる査証免除での入国にこの規定がどう当てはまるかを書いた資料は、確認できた範囲では見つかりませんでした。渡航前に労働部へ確認しておくのが確実です(2026年10月時点)。
- 台湾に子会社も支店もない日本メーカーの技術者について、許可は誰が申請しますか。
- 就業服務法第51条第3項は、台湾に支店も代表者事務所もない外国法人の場合、契約の相手方である台湾の事業機構か、その授権を受けた代理人が申請すると定めています。労働力発展署のFAQも同じ答えです。子会社は支店でも代表者事務所でもありませんが、子会社が申請人になれるのは、契約当事者か授権代理人である場合と読めます。公式ページに例示はないため、契約の組み立てごとに確認が要ります。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。


