台湾の賃貸契約と送金前の確認を題材にした、説明用の架空のイメージ。
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台湾の賃貸で「内見前に保証金を」と言われたら

約6分

AI生成のイメージです。実在の物件、契約書、人物や被害事例を示すものではありません。

「大家は国外にいる。内見を手配するには先に送金してほしい」。台北市警察の士林分局は、こうした説明で仲介業者を装う相手に送金させる手口を、2017年の注意喚起で紹介しています。同分局は、写真や貸主の説明だけで支払わず、実際の部屋と所有権を確認するよう呼びかけています。

日本にいる間に部屋を決めるなら、現地で内見できる知人などに確認を頼むか、渡航後に内見する日程を確保してください。ただし、部屋を見せてもらえれば確認が済むわけでもありません。台南市の注意喚起には、大家を装って内見させ、金銭を受け取った後に連絡を絶つ手口も挙がっています。

部屋を見せる人と、貸す権限がある人

内見では室内の状態を確かめるとともに、住所・階・部屋番号が募集広告や契約書と一致するかを照合します。日本台湾交流協会の「台湾在留邦人安全の手引き」4頁も、玄関などの施錠や避難経路を住居選びの確認事項に挙げています。

貸す権限については、台南市の案内に沿って、相手の立場ごとに資料を求めます。

  • 所有者本人なら、本人確認書類と房屋權狀などの権利を示す資料。
  • 所有者の代理で仲介する人なら、所有者からの委任書。
  • 部屋を借りて又貸しする人なら、元の賃貸借契約と転貸を認める書類。

委任書では、対象の部屋と、誰が誰に委任したのかを確認します。内見の案内だけなのか、契約締結や金銭の受領も任されているのか、委任の範囲を確かめます。振込先が契約上の貸主と違う場合は、誰が何の権限で受け取るのか、書面で説明を求めます。これは送金前の確認方法であり、書類が一枚あれば安全という意味ではありません。

「訂金」と「押金」は、支払う目的が違う

「保証金」という日本語だけで話を進めず、中国語の契約書や領収書に何と書くのかを確認します。賃貸借の債務を担保する「押金」は、租賃住宅市場發展及管理條例第7条の適用がある住宅では、家賃2か月分が上限です。30日未満の賃貸、休暇・観光用の住宅などには同条例の適用除外があるため、短期滞在の宿泊予約まで同じ扱いにはできません(同第4条)。

内政部の住宅賃貸借の定型約款に関する必須・禁止記載事項は、押金を契約締結時に支払うこと、契約書の検討期間を少なくとも3日設けること、貸主が貸す権限と身元を示す資料を提示することを定めています。内見の予約を取るために、内容の分からない送金を先に済ませる必要がある、という規定ではありません。

契約書が中国語なら、物件、貸主、金額、入居日、解約・返金の条件を理解してから判断します。日本語のメッセージで約束した内容と契約書に食い違いがある場合は、署名前に修正を求め、両方を保存します。「今日中に送れば確保する」という期限に合わせて、意味の分からない条項を残したまま支払うことは避けてください。

一方、部屋を確保する名目の「訂金」は、その文字だけで返金条件を決められません。台湾民法の「定金」に当たる場合、第248条は受領によって契約成立を推定し、第249条は、別段の合意の有無や、誰の事情で履行できなくなったかによって扱いを分けています。「まだ契約書に署名していないから必ず戻る」とは考えず、何の支払か、借りない場合にどう扱うかを送金前に文面で確かめます。

送金した後に連絡が途絶えた場合

契約書の翻訳や相手からの返事を待つ間にも、銀行・警察への連絡は進めてください。台湾では165が詐欺の相談窓口です。広告のURLと画面、相手のアカウント、やり取り、振込先、日時・金額が分かる記録を保存し、警察に提示します。台北市警察は、165への電話だけでは届出は完了せず、事情聴取などの手続と受理を示す書面の取得が必要と案内しています。

台湾の金融機関では、営業時間中に本人が窓口で詐欺被害を申告した場合の通報手続も定められています。本人確認書類と送金記録を持参し、被害の経緯を伝えます(金融機関等の詐欺防止規則第28条)。日本の銀行から送金した場合は、その送金元銀行にも直ちに連絡し、送金日時・金額・相手口座と、詐欺を疑った事情を伝えてください。

銀行への連絡や警察への届出は、全額の回収を約束する手続ではありません。警察は、早い申告で送金された資金を留められる可能性を案内していますが、既に資金が移されたかなどで状況は変わります。返金を求める際も、相手の説明、支払の目的、送金先を残した資料が出発点になります。

主な公的資料

資料確認日:2026年10月3日。台湾での住宅賃貸借を想定した一般的な情報です。個別の契約内容や送金経路によって、必要な対応は変わります。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。