台湾に住むために、あるいは将来の売却を見込んで、マンション購入を考える日本人は少なくありません。購入できるかどうかは、買主の国籍や土地の条件、地方政府の許可によって決まります。税金は、買うとき、持っている間、売るときで異なります。
国ごとの扱いは、地政事務所の一覧で確かめます。日本側の課税や申告は台湾とは別の制度なので、日本の税理士などに別途確認する必要があります。相続による取得については、外国人の相続人が台湾の土地を承継する場合の解説で説明しています。
相互主義と、外国人が取得できない土地
外国人が中華民国内で土地の権利を取得・設定できるのは、条約または本人の本国法により、中華民国国民が相手国で同じ権利を持てる場合に限られます(土地法第18条)。
内政部の英語FAQによると、「外国人の台湾土地取得に関する相互主義国リスト」に買主の本国が掲載されていない場合、その国が中華民国国民に同じ権利を認めていることを示す証明を添付します。この一覧は、台内地字第0960192146号(2007年12月11日公布)とされています。証明は、台湾の大使館・領事機関・代表処、または外交部が認めた機関が認証します。一方、購入書類のFAQでは、本国がすでに一覧に掲載されていれば、相互主義の証明書は不要としています。登記を扱う地政事務所がいま使っている一覧で確かめます。
相互主義を満たしていても、取得できない土地があります。第17条が外国人への移転・担保設定・賃貸を禁じているのは、森林地、漁業用地、狩猟地、塩田、鉱業用地、水源地、要塞地帯・軍事区域・国境の土地です。購入する土地がこれらに当たらないかは、土地所在地の地政事務所で確かめます。相続は第2項の例外です。その扱いは先に挙げた相続の解説にあります。
土地の用途にも条件があります。第19条は、自己使用、投資、公益のための用途を列挙しています。最初に挙がるのが住宅です。ほかにも用途があり、大規模建設、経済、農牧に関する投資の類型では、その分野の中央主管機関の同意が必要になります。面積や場所の制限を定めるのは地方政府です。第19条自体に面積などの数字はありません。
地方政府の許可と登記の手続き
土地の取得には、直轄市または県(市)政府への申請が必要です(第20条)。用途を変えるときや、将来売るときのように相続以外で移転するときも、同じ許可が要ります。投資の類型では、中央主管機関の事前の同意も求められます。
地方政府は申請を受け付けてから14日以内に判断し、許可した場合は中央の土地主管機関に報告します。この14日は、地方政府が判断する期間です。取引そのものの期限ではありません。
内政部のFAQによれば、買主が登記を申請する窓口は、土地所在地の地政事務所です。申請書類には、登記申請書、双方の身分証明、契約書、納税関係の書類、所有権状があります。
相互主義の証明書も必要ですが、本国が一覧に掲載されていれば不要です。非都市土地以外なら使用区分の証明も要ります。本人が窓口に出向かないときは委任状も要ります。FAQは「外国人の台湾における土地権利取得作業要点」(Operational Directions for Foreigners to Acquire Land Rights in Taiwan)も挙げています。
購入時の契税は、何に6%を掛けるのか
不動産を売買・典権・交換・贈与・分割・占有によって取得した場合、契税の申告と納付が必要です(契税条例第2条)。ただし、土地増値税が課される地域の土地は免税となります。マンションは建物と土地の持分から成りますが、この免税が適用されるのは、そうした地域の土地部分です。建物には及びません。
売買の契税率は、契価の6%です(第3条)。申告・納付は買主が行います(第4条)。
契価は、原則として地方の不動産評価委員会が定めた標準価格です(第13条)。例外が認められるのは、第11条に定める公有財産の取得や裁判所競売で、移転価格が標準価格を下回る場合に限られます。通常の民間売買では、売買契約書の金額にそのまま6%を掛ける計算にはなりません。
申告には所定の様式の契約書が必要で、期限は契約日から30日以内です(第16条)。ただし、建築中の建物を売買し、買主が当初の建築許可の申請者となった後、使用許可を受けた場合は、申告期限の起算日が異なります。納付期限は、納税通知書の送達から30日以内です(第19条)。
所有中の家屋税と地価税
家屋税条例第4条は、家屋税を建物の所有者に課すと定めています。使用権付き家屋、典権者、共有者、受託者には、それぞれ特則があります。
土地にかかる税は、土地税法第1条で地価税、農地税、土地増値税の三つに分けられています。地価が定められた土地には地価税が課されますが、第22条により農地税が課される土地は対象から除かれます(第14条)。
売却時の所得税――居住者かどうかで変わる税率
2016年1月1日以後に取得した家屋、家屋と土地、または建築許可を取得できる土地の取引所得には、所得税法第4条の4が適用されます。同日以後に取得した予約販売の土地付き物件や、地上権による家屋使用権も同様です。今から購入する物件も、この日以後の取得に当たります。
税率は、税務上の居住者かどうかで分かれます。第7条では、台湾に住所があり、かつ通常居住している人、または台湾に住所がなくても課税年度に合計183日以上滞在した人を居住者とし、それ以外を非居住者としています。判定については、台湾の所得税上の居住者の解説で詳しく説明しています。売却した年に居住者となる場合は、居住者向けの税率が適用されます。
課税対象の計算では、まず取引価格から取得価額と取得・改良・譲渡にかかった費用を差し引きます(第14条の4)。相続や贈与で取得した物件は、同条の別の基準で計算します。
納付済みの土地増値税は原価に入れません。ただし、今回の売却で差し引かれなかった土地増値総額の部分に対する税は除きます。さらに、土地税法第30条第1項に基づき、公告現値で計算した土地増値総額を差し引きます。差し引いた後の金額は、総合所得とは別に課税されます。
台湾に居住しない個人には、この残額に保有期間に応じた税率がかかります。
- 家屋・土地の保有期間が2年以内:45%
- 家屋・土地の保有期間が2年超:35%
非居住者には、5年や10年で税率が下がる区分はありません。
居住者には、第14条の4の居住者向け税率表が適用されます。たとえば、自己使用の家屋・土地が第4条の5第1項第1号に該当する場合、残額のうち400万台湾ドルを超える部分の税率は10%です。この税率表は非居住者には使えません。また、相続や遺贈で取得した物件では、被相続人(遺贈者)の保有期間を通算できることがあります。
納める税金がなくても、申告は必要です(第14条の5)。所有権移転が完了した取引では、登記の翌日から30日以内に、契約書などを添えて税務機関へ申告します。納める税金がある場合は、納付を済ませ、その領収書も添えます。予約販売の土地付き物件の申告期限は、取引日の翌日から30日以内です。
土地増値税は所得税とは別の負担
地価が定められた土地の所有権を移転するとき、その地価の増加総額に課されます(土地税法第28条)。
第28条で免税となるのは、相続による移転、政府による公有地の売却や適法な贈与、および政府が贈与を受ける私有地です(財政部の手引き)。私人間の贈与が一律に免税となるわけではなく、通常の私人間のマンション売買も、これらの免税対象には含まれません。
有償で移転する場合の納税義務者は、元の所有者です(第5条)。契約で買主が納税に必要な現金を負担すると定めても、納税義務者は変わりません。
税率は第33条の累進税率によります。保有期間が20年、30年、40年を超えると、最低税率を超える部分の税額が軽減されます。
申告の時期は、計算の基準にも影響します。第30条第1項によれば、契約日から30日以内に申告した場合は、契約日が属する期の公告現値が基準です。申告がその期限を過ぎると、申告受付日が属する期の公告現値が基準になります。
手付金を払う前の権利関係と税負担
手付金が戻りにくくなる前に、地政事務所の一覧で自分の国籍の扱いを確認し、第18条の条件を満たすか、購入する土地が第17条の制限対象に当たらないかを確かめます。
住宅としての使い方が第19条に合うか、第20条の許可、または当局が受け付けた申請があるかも見ます。登記簿上の所有者と権利関係の記載も読みます。
マンションの契約に土地の持分が含まれていれば、その持分にも土地に関する規制が及びます。契約書に「建物だけ」とある場合は、土地の権利も一緒に移るのかを尋ねます。
そのうえで、契税、土地の税、非居住者の所得税を、自分の取引に当てはめます。台湾での滞在日数から居住者になる可能性があるときは、35%を前提にする前に、居住者の解説で判定の考え方を確かめます。
台湾の不動産購入・売却のご相談
昊鼎国際法律事務所では、外国人による不動産の購入・売却について、土地法に基づく手続きと台湾での税務上の論点を確認しています。相談を担当するのは、曾雋崴弁護士(女性)です。
台湾の物件についてご相談の際は、最初のメールに、国籍、台湾に住んでいるか、およその滞在日数、物件の住所または地番、購入か売却かを書き、契約書案があればその案も添えてお送りください。本人確認書類や権利関係の書類の送り方は、こちらからご案内します。
ご連絡は wei@hoveringlaw.com.tw へ。事務所の住所は103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2です。
参照した公式資料
- 土地法第17条、第18条、第19条、第20条
- 内政部 英語FAQ:外国人の購入に必要な書類
- 内政部 英語FAQ:相互主義の一覧にない国籍の場合
- 契税条例第2条、第3条、第4条、第11条、第13条、第16条、第19条
- 家屋税条例第4条
- 財政部:土地増値税の手引き
- 土地税法第1条、第5条、第14条、第28条、第30条、第33条
- 所得税法第4条の4、第7条、第14条の4、第14条の5
確認日:2026年9月30日
よくある質問
- 外国人個人なら、誰でも台湾のマンションを買えますか?
- 誰でも購入できるわけではありません。土地の権利を取得するには、条約または本人の本国法により、台湾国民が相手国で同じ権利を享受できることが条件です(土地法第18条)。森林地・水源地など、一部の土地は対象外です(第17条)。住宅などの用途は認められていますが、面積や場所の制限は地方政府が定めます(第19条)。地方政府の許可も必要です(第20条)。国ごとの扱いは、契約前に、登記を扱う地政事務所がいま使っている相互主義の一覧で確かめます。
- 購入時の契税は、売買契約の金額の6%ですか?
- 契約金額の6%とは限りません。売買の契税は、契価(契税を計算するための価格)の6%です(契税条例第3条)。契価は原則として、地方の不動産評価委員会が定めた標準価格です(第13条)。第11条に定める公有財産の取得や裁判所競売で、移転価格が標準価格を下回る場合に限り、例外が認められます。土地増値税が課される地域の土地は免税です(第2条)。売買の契税は買主が申告・納付します。
- 台湾の税務上の非居住者が売却すると、所得税率はどうなりますか?
- 中華民国域内に居住しない個人には、保有期間が2年以内なら45%、2年を超えるなら35%の税率が適用されます(所得税法第14条の4)。納める税金があるかどうかにかかわらず、所有権移転登記の翌日から30日以内の申告が必要です(第14条の5)。居住者には、第14条の4に定める居住者向けの税率表が適用されます。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



