台湾で配偶者からDVを受けた日本人の保護令と相談先
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台湾で配偶者からDVを受けた日本人の保護令と相談先

約13分

いま暴力を受けている、相手が押しかけてきているなど、身に危険が迫っている場合は、保護令の書類をそろえるより先に台湾の警察へ助けを求めてください。日本台湾交流協会のDV被害支援案内には、警察への緊急通報先と日本語で相談できる窓口が掲載されています。

台湾で配偶者からDVを受けた日本人も、裁判所に保護令を申し立てられます。離婚するか決めていなくても、配偶者が離婚に同意していなくても、保護を求めることはできます。家庭暴力防治法第3条・第10条は、配偶者や元配偶者を対象に含め、被害者本人による申立てを認めています。

けががなくても、脅迫や支配が対象になる

台湾の「家庭暴力防治法」がいう家庭内暴力には、身体への暴力だけでなく、精神的・経済的な嫌がらせ、支配、脅迫その他の不法な侵害も含まれます(第2条)。診断書に残るけががない、生活費や行動を支配されている、別居後も脅す連絡が続いているという事情も、相談の際に伝える内容です。

通常保護令を出すには、裁判所が家庭内暴力の事実と保護の必要性を認めることが必要です(第14条)。相手が実際に何をしたか、その後も危険が続いていると考える事情を分けて説明すると、申立ての理由が伝わります。

申立書で「相對人」と呼ばれるのは、保護令による禁止や命令を求める相手です。配偶者とは別居していても、離婚が成立していても、それだけで家庭暴力防治法の対象から外れることはありません。

通常・暫時・緊急保護令は、申立人と発令までの手続が違う

本人が申し立てられるのは通常保護令と暫時保護令で、緊急保護令は警察などの機関を通じて求めます。第9条から第16条で、申立てをする人と裁判所の手続が定められています。

種類誰が申し立てるか発令までの扱い
通常保護令被害者本人のほか、法定の申立権者裁判所が審理し、家庭内暴力の事実と保護の必要を認めた場合に発令します。
暫時保護令被害者本人のほか、法定の申立権者。裁判所が職権で発令する場合もあります。通常保護令の審理が終わる前の保護で、審理手続を経ずに発令することができます。
緊急保護令検察官、警察機関、直轄市・県・市の主管機関急迫した危険がある場合の制度です。夜間や休日にも、口頭や通信手段などで申し立てられます。

緊急保護令を必要とする場合、被害者は警察などに、現在いる場所、直近の暴力や脅迫、相手が近づける状況などを伝えます。裁判所は、申立てを受理し、申立人の出頭または電話による陳述から、家庭内暴力を受ける急迫した危険があると認める場合、4時間以内に書面で緊急保護令を発令しなければなりません(第16条第4項)。この時間は、被害者が警察に最初に相談した時から数えるものではありません。

暫時・緊急保護令が先に出た場合でも、通常保護令の審理は続きます。通常保護令を申し立てる前に暫時・緊急保護令を申し立て、それが認められた場合には、通常保護令も申し立てたものとして扱われます。

申立先と、住所を相手に知らせないための手続

申立先は、被害者の住所・居所、相手の住所・居所、または暴力が起きた場所を管轄する地方法院です。少年及家事法院が設置されている地域では、同法院が担当します。台湾人配偶者の戸籍所在地だけに限られるわけではありません(第11条)。

通常・暫時保護令の申立ては書面で行います。裁判所への提出方法や書き方が分からない場合は、裁判所内の「家庭暴力事件服務處」や聯合服務中心に相談できます。警察に被害を届け出て、申立書や資料の準備について支援を求める方法もあります。司法院の案内には、書式と支援窓口がまとめられています。

避難先を相手に知られたくない場合は、書面を提出する段階で住所の秘密保持を申し出ます。第12条は、申立人や被害者の住所・居所を記載せず、書類の送達先だけを記載することを認めています。裁判所が管轄を確認するため住所を調べる場合も、被害者側が秘密保持を求めれば、秘密の方法で聴取し、その記録と資料を封じて閲覧を禁止しなければなりません。

住所の秘密保持を求める場合も、裁判所からの書類を受け取る送達先は必要です。安全に受け取れる場所を支援担当者や裁判所と相談します。添付する診断書や契約書などにも住所が載っていないかを確認し、扱いを相談してから提出すると、申立書だけを伏せて添付資料に避難先が残る事態を防げます。

2026年10月3日時点の第10条第3項では、保護令の申立て、取消し、変更、延長、不服申立ての裁判費は免除されます。ただし、弁護士への依頼や資料の準備にかかる費用まで、すべて免除される制度ではありません。

相手に何を禁じ、暮らしをどう守るか

保護令に盛り込める内容は、暴力の禁止だけではありません。第14条には、嫌がらせや接触、つきまとい、通話・通信などの不要な連絡の禁止、住居からの退去、住居・職場・学校などへの接近禁止が定められています。必要な禁止内容、対象となる場所や人を、被害の状況に合わせて求めます。

子どもがいる場合、裁判所は未成年の子に関する権利・義務を誰がどのように行使・負担するかを暫定的に定めたり、相手との面会の日時・場所・方法を指定したりできます。必要があれば面会を禁止することもできます。裁判所は子どもの最善の利益を考慮しなければなりません。子どもが暴力を見たり直接聞いたりしていたことも、支援を求める際に伝えます。

通常保護令では、家賃や被害者・未成年の子の扶養費、医療費などの支払を命じることもできます。ただし、通常保護令で求められる内容が、すべて暫時・緊急保護令でも認められるわけではありません。第16条第3項は、暫時・緊急保護令で発令できる項目を限定しており、第14条第1項第8号の家賃・扶養費の支払はその範囲に含まれていません。緊急の避難と、その後の生活費について、必要な支援をそれぞれ相談します。

被害の記録と、日本語で話すための準備

申立てでは、いつ、どこで、誰から何をされたかが分かる資料を使います。受診時の診断書、けがや壊された物の写真、脅迫のメッセージ、通報の記録、事情を知る人の連絡先などが考えられます。危険を冒して撮影したり、資料を取りに家へ戻ったりする必要はありません。安全に確保できている資料を支援担当者に示し、足りない情報の扱いを相談してください。

メッセージは、問題の一文だけでなく、相手や日時、前後のやり取りが分かる形で保管すると経過を説明しやすくなります。日本語の資料については、中国語訳をどの範囲で用意するか、提出先に確認します。資料を配偶者と共有している端末に保存すると相手が見られる場合があるため、保管先や連絡方法も安全面から検討します。

2026年10月3日確認の衛生福利部の保護相談窓口の案内では、24時間・年中無休の相談を受け付け、日本語を含む外国語の通訳サービスを提供しています。日本語が必要なことを最初に伝え、避難や保護令の支援につながるよう、現在地と危険の状況を説明します。差し迫った危険があるときは、相談の順番を待たず、警察への緊急通報を優先してください。

裁判所での通訳は、相談窓口の通訳とは別です。司法院の説明に従い、中国語でのやり取りが十分に分からないことを裁判所に伝え、司法通訳を申し出ます。呼出状が届いた段階で、日本語の通訳が必要だと担当書記官に伝えておくと、裁判所が事前に対応を検討できます。

保護令の審理は非公開で、裁判所は必要に応じて相手と別々に事情を聴くことができます。親族、担当のソーシャルワーカー、心理師の同席を申し立てることも可能です(第13条)。同じ部屋では話せない、待合場所で接触するのが怖いといった事情も、出廷前に裁判所へ伝えます。

日本台湾交流協会は、家庭問題・DV被害支援に関する情報を日本語で公開しています。台湾の相談窓口や法律支援を探すための案内であり、掲載先すべてが日本語に対応するという意味ではありません。保護令を発令するのは台湾の裁判所で、交流協会への相談だけで申立てが完了するわけではありません。

発令後の期限と、違反があった場合

通常保護令は、発令時から効力を生じ、有効期間は2年以下です。何年何月何日まで有効かは、実際の決定で確認します。有効期間が満了する前に延長を申し立てることができ、延長は1回につき2年以下です。期間内に変更・延長を申し立てた場合は、裁判所が判断するまで元の保護令の効力が続きます。ただし、保護令に定めた命令について、満了前に別の裁判が確定した場合、その命令は効力を失います(第15条)。

暫時・緊急保護令も発令時から効力を生じますが、通常保護令の申立てが取り下げられたとき、審理が終わって通常保護令が出たとき、または申立てが却下されたときに効力を失います(第16条)。申立ての段階が変わったら、現在どの命令が有効なのかを確認する必要があります。

相手が命令に違反したときは、保護令の内容と、いつ何が起きたかを警察に伝えます。第61条は、暴力の禁止、不要な接触・連絡の禁止、退去、接近禁止など、同条が列挙する命令への違反を「違反保護令罪」としています。法定刑は3年以下の有期懲役、拘役、または新台湾ドル10万元以下の罰金で、罰金を併科することもできます。処罰の対象かどうかは、実際の命令と行為に照らして判断されます。

すべての条項違反が、そのままこの罪になるわけではありません。例えば金銭の支払を命じる保護令については、第21条に基づく裁判所への強制執行の申立てが問題になります。どの機関に対応を求めるかも、命令の内容によって異なります。

また、退去や接近禁止の命令は、被害者が「戻ってきてもよい」と同意しただけでは効力を失いません(第17条)。相手との話合いや謝罪だけで命令がなくなったと考えず、変更が必要なら裁判所の手続を確認します。

離婚、子どもの帰国、居留は別に判断する

保護令事件では調停や和解を行うことができず、別の捜査や訴訟が進行中であることを理由に、裁判所が保護令の発令を遅らせることもできません(第13条)。離婚の結論や刑事事件の判決が出るまで、保護を待つ制度ではありません。

一方、保護令が出たことだけで、子どもを連れて日本へ移住できると判断することもできません。子に関する暫定的な命令の内容、既存の裁判や合意、居住地を決める権限を確認する必要があります。子どもと日本で暮らす計画で扱う海外転居の問題と、台湾で当面の安全を守る措置を区別します。

台湾での居留も、保護令の取得によって自動的に延長されるわけではありません。入出國及移民法第31条第4項第2号には、台湾に居住し戸籍を持つ国民の外国人配偶者が、家庭内暴力を受けて離婚し、再婚していない場合、引き続き居留を許可できる規定があります。これは移民署の許可が必要な制度です。居留証の期限や離婚の状況を確認し、移民署に相談します。関連する条件は外国人配偶者の居留でも扱っています。

台湾での保護令と家族関係の手続について弁護士への相談を希望する場合は、昊鼎国際法律事務所・曾雋崴(Wei Tseng)弁護士へ、wei@hoveringlaw.com.twでお問い合わせいただけます。返信を受けても安全な連絡方法を添え、詳しい被害資料は送付方法の案内後にお送りください。所在地:103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2。

参考にした公的資料

確認日:2026年10月3日。相談窓口・通訳サービス・裁判費の取扱いは同日確認の案内に基づきます。

よくある質問

日本人でも、台湾で離婚する前に保護令を申し立てられますか。
台湾で配偶者から家庭内暴力を受けた日本人も、保護令を申し立てられます。離婚への合意や離婚訴訟の提起は前提ではありません。身体への暴力のほか、精神的・経済的な嫌がらせ、支配、脅迫なども家庭暴力防治法の対象に含まれます。
危険が迫っているとき、本人が緊急保護令を申し立てるのですか。
緊急保護令は、検察官、警察機関、直轄市・県・市の主管機関が裁判所に申し立てます。本人は警察などに危険を伝えます。裁判所が申立てを受理し、申立人の陳述から急迫した危険を認める場合、4時間以内に書面で発令しなければなりません。警察への相談から4時間以内という意味ではありません。
中国語で被害を説明できない場合、日本語で相談できますか。
2026年10月3日確認の衛生福利部の案内では、保護相談窓口は24時間・年中無休で、日本語の通訳サービスがあります。裁判所での通訳は別に申し出ます。日本台湾交流協会も、DV被害に関する日本語の支援情報を掲載しています。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。