加盟を希望する台湾の事業者に、費用や制限の情報を渡す期限は、原則として契約を結ぶ10日前です。台湾にはフランチャイズだけを規律する法律がありません。この期限を置いているのは、公平交易委員会(公平会)の「加盟業主経営行為案件の処理原則」第3点です。罰則は法律の側にあります。守らなかったときの根拠は公平交易法第25条です。
処理原則が「加盟業主」と呼ぶ事業
処理原則第2点によると、加盟業主とは、商標や経営技術などを授権し、加盟店の経営を協助・指導して、加盟店から対価を受ける事業です。対価には加盟金や権利金のほか、教育訓練費、商品や原材料、設備、内装工事の代金も含まれます。除外もあります。卸売価格以下で仕入れた商品をそのまま転売するだけの関係です。
日本の本部が台湾で店を増やす形は、大きく二つに分かれます。台湾の加盟店と本部が直接契約する形と、台湾のマスターフランチャイジーが自分の名義で加盟店を募る形です。前者なら本部が加盟業主です。後者では、加盟店との関係ではマスターが加盟業主となるのが通常で、本部とマスターの契約は別に検討します。では、マスターの説明会に本部の担当者が出て、本部名義の資料を配ったらどうなるでしょうか。加盟店の目には、本部が直接募集しているように映るかもしれません。どちらの形なのかは、契約の当事者と募集の役割分担として書面に残しておくべきです。
正式契約の前に申込金を受け取り、辞退すれば没収する意向書を交わすこともあります。これは預備加盟経営関係と呼ばれ、開示の期限はその意向書の10日前に前倒しされます。
10日前に渡す7項目
第3点が挙げる「加盟重要資訊」は次のとおりです。
- 開業前の費用:加盟金、教育訓練費、商品・原材料、設備、内装工事など、本部や本部の指定先に払う金額か見込額
- 営業中の費用:権利金の計算方法、経営指導・販促・仕入れなどの金額か見込額
- 使わせる商標権・特許権・著作権の名称、範囲、制限
- 経営協助と訓練の内容と方法
- 加盟店の商圏に同じチェーンを出す計画
- 契約期間中の制限:指定先からの仕入れ、毎回の発注で求める品目と最低数量、設備の購入先、内装の施工業者の指定など
- 契約の変更・終止・解除の条件と処理方法
渡し方は自由です。紙でも、メールや電子媒体、SNS、メッセージアプリでもかまいません。ただし、渡したかどうかを証明するのは加盟業主の側です。既存の加盟関係を続ける・広げる場合や、本部が客観的にその情報を持っていない場合など、正当な理由があれば開示しなくても違反にはなりません。
10日は原則です。個別の事情から合理的と認められる期間や、双方が約定した期間でも足ります。
審閲期間と契約書の交付
契約書そのものについては第4点があります。署名の前に少なくとも5日(または個別に合理的な期間)の審閲期間を与え、署名日から30日以内に契約書を相手に渡さなければなりません。30日の交付には例外があります。本部の責めに帰さない事由で遅れた場合は違反になりません。処理原則は、離島や遠隔地の店舗、本部の責任でない抵当権の手続、加盟店側の事情を例に挙げています。
第3点・第4点の違反が取引秩序に影響するほどであれば、第5点により公平交易法第25条違反となります。公平会は期限を定めて是正を命じ、5万〜2,500万台湾ドルの罰鍰を科すことができます。期限までに是正しなければ、改めて期限を定めて是正を命じ、是正するまで回ごとに10万〜5,000万台湾ドルの罰鍰を科すこともできます(第42条)。
価格をそろえたい本部と第19条
全店で同じ価格にしたいという要望は、日本のチェーンでよく出てきます。公平交易法第19条は、供給した商品を取引相手が第三者に転売する価格を制限することを禁じています。その先の再転売の価格も同じです。サービスにもこれを準用しています。
例外は正当な理由がある場合です。施行細則第25条は、下流の事業者の販売前サービスの向上、ただ乗りの防止、新しいブランドの参入、ブランド間の競争の促進などを考慮要素に挙げています。立証は本部の仕事です。契約に価格の拘束を書くなら、その理由を説明できる資料を先に用意することになります。
商標は、加盟店の募集を始める前に本部名義で台湾に登録されているか確かめてください。代理店名義で先に出願されていた事例は台湾の代理店が日本ブランドの商標を先に登録していたらで扱いました。権利金を台湾から受け取るときの源泉徴収は台湾子会社が日本の親会社に払うロイヤルティー・役務提供料・利息と台湾の源泉徴収を参照してください。
後から加盟店と争いになったとき、本部が示せるのは開示の書面、審閲期間の記録、契約書の交付記録です。説明会で配る資料を開示書面として使うなら、配った日付と相手の一覧が、10日を数える起点の記録になります。
開示書面の中国語版について相談したいときは、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw、103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2)までご連絡ください。
参考にした公的資料
- 公平交易法 第19条、第25条、第42条
- 公平交易法施行細則 第25条
- 公平交易委員會對於加盟業主經營行為案件之處理原則(2018年8月1日発布の改正までを反映した公平会掲載版)
確認日:2026年10月24日。条文と処理原則は中国語の原文を基準にしています。
よくある質問
- 台湾のマスターフランチャイジーが加盟店を集める場合、日本本部にも開示の義務がありますか。
- 処理原則は、商標や経営技術を授権し、加盟店を指導して対価を受ける事業を加盟業主としています。台湾のマスターが自分の名義で加盟店を募って契約するなら、その加盟店との関係では通常マスターが加盟業主です。日本本部が台湾の加盟店と直接契約したり、募集に深く関わったりする場合は、本部自身が加盟業主と判断される可能性があるため、募集の体制と契約の当事者を先に確認します。
- 契約前に意向書を交わし、申込金を受け取る予定です。その時点でも開示が必要ですか。
- 申込金を受け取り、辞退すれば没収するか賠償を求める内容の意向書や予約書を交わすなら、処理原則のいう預備加盟経営関係に当たります。この場合、開示の期限は意向書を交わす日の10日前(または個別に合理的な期間、双方が約定した期間)になります。
- 全店でメニュー価格を統一したいのですが、契約で定めてよいですか。
- 公平交易法第19条は、供給した商品を取引相手が第三者に転売する価格(その先の再転売の価格を含む)を制限することを禁じ、サービスにも準用しています。加盟店が自ら調理して出すメニューの価格が第1項(商品)と第2項(サービス)のどちらの問題になるかは、本部が何を供給しているかによります。正当な理由があれば例外になり、施行細則第25条は販売前サービスの向上やただ乗りの防止などを考慮要素に挙げていますが、立証は事業者側の負担になります。価格を拘束する条項を置く前に、正当理由として示せる事情を整理してください。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



