台湾で会社を設立する費用:登記の規費、資本金、就業許可、初年度に固定でかかるもの
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台湾で会社を設立する費用:登記の規費、資本金、就業許可、初年度に固定でかかるもの

約9分

資本金100万元の有限公司を台北に設立すると、経済部に払う規費は名称予査の300元と登記費の1,000元、合わせて1,300元です。会社設立の費用を調べている人が最初に知りたい数字はこれだと思いますが、実際に用意する金額は桁が違います。費用の本体は、資本金そのものと、資本金を証明する会計士の査核、投資審査の書類、そして日本人が台湾で自分の会社の仕事をするための就業許可にあります。

この記事は、台湾で子会社(有限公司・股份有限公司)または分公司をつくる日本の会社と個人を対象に、法令で金額や割合が決まっているものを順に並べます。弁護士や会計士の報酬のように事務所ごとに違う費用は書きません。

役所に払う規費は二つだけ

会社設立で経済部に納める規費は、公司登記規費収費準則で決まっています。

名称と事業内容の予査(名稱及所營事業預查)が1件300元。電子申請なら150元減額されます。予査が却下されても返金はありません(第2条)。

設立登記費は、股份有限公司なら払込資本額、有限公司なら資本総額を基準に、4,000元につき1元です。1,000元に満たないときは1,000元になります(第3条)。資本金400万元までは一律1,000元、1,000万元で2,500元、1億元で2万5,000元という計算です。外国会社が分公司を設立する登記は1件1,000元で、資本額による増減はありません。

つまり役所の取り分は小さく、設立費用の見積りで差が出るのは次の三つです。

資本金は全額を先に入れる

有限公司の資本総額は、株主が全額を払い込まなければなりません。分割払いも、外部からの募集もできません(公司法第100条)。登記申請の前に資本金が台湾の口座に入っている状態をつくります。

その資本金は会計士の査核簽證を受けます。設立登記を申請する時か、登記後30日以内に、会計士の査核を経た書類を提出します(公司法第7条)。会計士の報酬はここで発生します。

会社法そのものに一律の最低資本金はありません。有限公司は株主1人からつくれます(第98条)。股份有限公司は発起人が2人以上で、法人が発起人になれるのは会社や有限合夥などに限られます(第128条)。日本の親会社1社だけが株主になる場合は、政府・法人の株主1人で股份有限公司をつくれるので、発起人2人以上の要件はかかりません(第128条の1)。ただし「最低額がない」のは会社法の話で、後で触れる就業許可の要件と、業種別の許認可が実質的な下限をつくります。

投資審査にかかるのは時間と書類

日本の会社や日本人が出資する場合、外国人投資条例の投資人になります。外国法人も含まれ、法人の国籍は設立準拠法で決まります(第3条)。主管機関は経済部で(第2条)、窓口は経済部投資審議司です。

申請には投資申請書、投資計画、関係書類を添えます。手続が整ってから1か月以内、他の主管機関の権限に関わる案件は2か月以内に核定されます(第8条)。投資計画を後で変えるときも同じ申請が要ります。

禁止業種や許可が要る業種は行政院が定める表で決まっていて(第7条)、制限業種なら目的事業主管機関の許可や同意が先になります。ここで追加の費用が出るかどうかは業種次第です。

投資審査では、日本側で用意する書類(登記事項証明書、株主名簿、送金証明など)の取得・翻訳・認証と、台湾側の申請書作成に時間と手数料がかかります。設立のスケジュールで最も読みにくいのがこの部分です。

日本人が自分で働くなら、会社側の数字が決まっている

会社をつくれば、出資者である自分がすぐ台湾で働けるわけではありません。外国人を雇って働かせられる仕事は就業服務法第46条が列挙していて、投資した会社の主管(経営責任者)は第2号に当たります(就業服務法第46条)。雇用主は労働部に許可を申請します(第48条)。

誰がこの枠で許可を取れるかは、審査標準第38条にあります。外国人投資条例で核准を受けた会社で、外国人の持株または出資が合計で3分の1を超える会社の経理人、外国分公司の経理人、代表人事務所の代表人です(審査標準第38条)。

雇用主である会社の側に、数字の要件があります(第39条)。

1年未満の会社なら、払込資本額または在台運転資金が50万元以上、営業額が300万元以上、輸出入実績が50万米ドル以上、代理手数料が20万米ドル以上、このいずれか一つ。

1年以上たった会社なら、直近1年または前3年平均の在台営業額が300万元以上、輸出入実績の平均が50万米ドル以上、代理手数料の平均が20万米ドル以上、このいずれか一つ。

代表人事務所は在台の業務実績が要りますが、設立1年未満は免除です。台湾経済への実質的な貢献や特殊な事情があれば、専案認定の道もあります。

設立直後の会社に営業額や輸出入実績はないので、実務上は「払込資本額50万元以上」が最初の線になります。資本金100万元で設立した会社がこの要件で止まることはありませんが、30万元で始めた会社は、輸出入実績などの他の基準も満たさなければ、売上が300万元に届くまで自分の就業許可が出ません。会社法に最低資本金がなくても、この数字が設立時の資本金を決めてしまう理由です。

なお、第1号の専門性・技術性の仕事で雇う外国人の給与は労働部が公告する額を下回れません(第8条)。日本から社員を送る場合の人件費の下限はこちらで決まります。

就業許可が出た後に居留証を申請する流れは、会社設立の基礎と就業金卡の記事に分けて書いています。

登記が終わる前に営業すると罰則がある

登記を終えないうちに会社の名義で営業すると、行為者に1年以下の有期徒刑、拘役、または15万元以下の罰金(併科もあり)が科され、民事責任も本人が負います。行為者が2人以上なら連帯責任です(公司法第19条)。外国会社が分公司登記をしないまま外国会社の名義で営業した場合も同じ刑罰です(第371条)。

日本の本社が台湾の顧客と直接契約を結び、現地の社員が受注や集金を始めている状態は、この条文に触れることがあります。準備段階で費用を抑えようとして先に動くほど、後の費用が大きくなります。

初年度から固定でかかるもの

設立が終わると、次の負担が法律で決まった率で続きます。

営業税。総機構と固定営業場所ごとに、営業開始前に税籍登記をします(営業税法第28条)。申告は売上があってもなくても2か月を1期として、翌期の開始から15日以内です(第35条)。税率は法律上5%から10%の範囲で行政院が徴収率を定め(第10条)、現行の徴収率は5%です(財政部税務入口網の案内)。統一発票を使う会社は明細表も添えます。

営利事業所得税。年間の課税所得が12万元以下なら免税、12万元を超えると全額に20%です。ただし税額は12万元を超えた部分の半分を上限とします(所得税法第5条)。

労働保険。従業員の普通事故保険料は本人20%、事業主70%、政府10%の負担で、職業災害保険料は全額事業主です(労工保険条例第15条)。

健康保険。民間企業の被用者は本人30%、事業主60%、政府10%です(全民健康保険法第27条)。

退職金。台湾籍の従業員など労工退休金条例の対象者については、事業主が月給の6%以上を退職金として拠出します(第14条)。毎月外部に払う固定費です。対象は第7条が定める台湾籍の労働者や永住許可を受けた外国人などのほか、2026年1月1日からは、就業許可を受けて専門的な仕事に従事する外国人も含まれます(外國專業人才延攬及僱用法第24条)。日本人社員も、経理人やエンジニアとして就業許可を受けていれば対象です。

このほか、会計士への記帳・申告の報酬、営業場所の賃料、業種別の許認可の更新費がありますが、金額は法律で決まっていないので、ここでは数えていません。

設立前に決めておくと見積りがぶれないこと

資本金の額は、就業許可の第39条と業種の許認可から逆算します。会社法に下限はありません。日本人が自分で経営する会社なら50万元が線で、売上の立ち上がりが遅い事業ほど余裕を見ます。

有限公司にするか股份有限公司にするかで、登記費の計算基準(資本総額か払込資本額か)と発起人の人数が変わります。

誰が最初の経理人になるかで、就業許可の申請者と、雇用主側の要件の見方が決まります。日本の本社から出向させるのか、現地で採用するのかも、第1号と第2号のどちらで申請するかに関わります。

営業開始日は、税籍登記と統一発票の準備が終わる日から逆算します。この間は会社名義で請求書を切れません。

見積りを出すには、事業計画の概要(業種・取引先・初年度の売上見込み)と出資者の登記事項証明書、台湾で働く予定の人の経歴が要ります。投資審査の申請から就業許可までは、昊鼎国際法律事務所(wei@hoveringlaw.com.tw)が日本語で引き受けています。

参考にした公的資料

条文の確認日:2026年10月6日(台湾時間)。金額・割合はすべて条文の数字です。業種別の許認可や会計士・弁護士の報酬は含みません。

よくある質問

台湾の会社設立に最低資本金はありますか?
会社法に一律の最低資本金の定めはありません。有限公司は資本総額を株主が全額払い込む必要があり(公司法第100条)、分割払いや公募はできません。ただし、日本人が自分の会社の経理人として就業許可を取る場合、設立1年未満の会社は払込資本金または在台運転資金50万元以上などの要件を満たす必要があり(審査標準第39条)、この額が実務上の下限になります。業種別の許認可に資本金要件がある場合は別です。
登記のときに役所へ払う費用はいくらですか?
会社名称と事業内容の予査が1件300元(電子申請は150元減額)、設立登記費が払込資本額または資本総額4,000元につき1元で、最低1,000元です(公司登記規費収費準則第2条・第3条)。資本金100万元なら登記費は1,000元、1,000万元なら2,500元です。分公司の設立登記は1件1,000元です。
設立のあと毎月かかる法定の負担は何ですか?
営業税は売上の有無にかかわらず2か月ごとに申告し(営業税法第35条)、営利事業所得税は課税所得12万元を超えると20%です(所得税法第5条)。従業員を雇うと、労働保険の普通事故保険料は事業主が70%、健康保険は事業主が60%、退職金は月給の6%以上を事業主が拠出します(労工保険条例第15条、全民健康保険法第27条、労工退休金条例第14条)。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。