沖縄の商品を台湾のライブ配信で予約販売 広告の責任はインフルエンサーにも及ぶか
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沖縄の商品を台湾のライブ配信で予約販売 広告の責任はインフルエンサーにも及ぶか

約7分

ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

売れた分だけを海外へ送る。沖縄県の輸出支援事業で紹介されたのは、そんな仕組みでした。沖縄ニュースQABの10月26日の報道によると、県の「物流対策総合支援事業」の一環として、インフルエンサーを招いたパネルディスカッションとライブ配信による実演販売が行われました。インフルエンサーが事前に販売した商品だけを輸出すれば代金の未回収を避けられること、那覇の倉庫に商品を集めて共同で輸送すればコストを抑えられることが、解決策として挙げられています。台湾やマレーシアのインフルエンサーの実演販売は、およそ490万円を売り上げたそうです。

記事は、どんな商品を誰に売ったのかまでは伝えていません。そこで、台湾のインフルエンサーが台湾のフォロワーに日本の商品を予約販売する場面に置き換えてみます。代金の回収には答えが出ても、台湾の購入者との間では、誰が売主で、画面の中の言葉に誰が責任を持つのかが残ります。

配信者と日本の会社、どちらが売主か

台湾の消費者保護法第2条は、商品の設計・生産・製造・輸入・販売(經銷)、またはサービスの提供を営業として行う者を「企業經營者」と定めます。同じ条の第10款によれば、インターネットなどを通じ、消費者が商品を確かめないまま企業經營者と結ぶ契約は「通訊交易」です。ライブ配信の画面から注文を受ける予約販売も、この形に入ってきます。

では、売主は誰でしょうか。注文と代金を受け取るのがインフルエンサー本人やその会社なら、台湾の購入者から見た売主はそちらになりえます。日本の会社が自社の越境ECサイトで直接受注し、インフルエンサーは商品を紹介するだけなら、売主は日本の会社になります。注文の受け方、代金の流れ、配信での名乗り方が、その判断の材料になります。

売れた分だけを輸出した後で、返品された商品はどこへ戻るのでしょうか。消費者保護法第19条により、通訊交易の消費者は商品を受け取ってから7日以内に、商品を返すか書面で通知して契約を解除できます。理由を説明する義務はなく、費用や対価を負担する必要もありません。商品を渡す時点で解約の期間と方法を示していなければ、7日はそれを示した翌日から数え直しになり、本来の起算から4か月が過ぎた時点で解除権は消えます(同条第3項)。この条に反する約定は無効です(同条第5項)。腐りやすいもの、保存期限の短いもの、解約の時点で期限が迫っているものは、行政院の通訊交易解除權合理例外情事適用準則第2条第1号で例外になりえます。ただし、企業經營者が消費者にそのことを告知していることが条件です。7日間の解約と中国語表示のあらましは、越境ECの解約と表示を扱ったコラムで説明しています。

画面の中の「おいしい」は誰の言葉か

公平交易法第21条第1項は、事業が商品や広告で、商品に関係し取引の判断に影響する事項について虚偽の表示や誤解を招く表示をすることを禁じています。第2項が挙げる事項は、価格、数量、品質、内容、製造日、有効期限、用途、原産地などです。第2条の「事業」には、会社や商店のほか、商品やサービスを提供して取引するその他の人や団体も入ります。

罰鍰(行政上の過料)は事業に科されます。違反した事業に対し、主管機関は期限を定めて停止、是正、必要な訂正措置を命じることができ、あわせて5万〜2,500万台湾ドルの罰鍰を科すこともできます。期限が過ぎても改めなければ、引き続き期限を定めて命じたうえで、改めるまで1回ごとに10万〜5,000万台湾ドルの罰鍰を科すことができます(第42条)。

インフルエンサーの責任は、同じ第21条の第5項と第6項が定めています。広告主以外の人や機関で、広告の中で商品への意見、信頼、発見や、自分で使ってみた結果を示す者が「廣告薦證者」です。薦證が誤解を招くおそれを知っていたか、知ることができたのに薦證をした場合、薦證者は広告主と連帯して損害賠償責任を負います。知名の公人、専門家、専門機関でなければ、責任の範囲は広告主から受けた報酬の10倍までです。

フォロワーの多さだけで「知名の公人」になるのか。その線引きを条文は書いていません。インフルエンサー本人が売主として注文を受けているなら、薦證者の規定に加えて、事業として第1項の禁止を直接受ける立場にもなりえます。

食品なら食品安全衛生管理法も重なる

商品が食品なら、食品安全衛生管理法の広告規制も関わります。第28条第1項は食品の表示・宣伝・広告に不実、誇張、誤解を招きやすい内容を禁じ、第2項は食品で医療効能をうたうことを禁じています。どこからが誇張で、どこからが医療効能なのか。その認定基準は、同条第4項に基づき中央主管機関が準則で定めます。

第45条第1項の罰鍰は、第28条第1項の違反が4万〜400万台湾ドル、第2項の違反が60万〜500万台湾ドルです。条文は対象を「違反した者」と書き、この部分を食品業者に限っていません。再び違反すると、廃業、一定期間の停業、会社・商業・工場の登記事項の全部または一部の廃止、食品業者の登録の廃止を命じられることもあります。登録を廃止されれば、1年間は登録を申請し直せません。広告で違反した食品業者は、掲載や放送をやめるまで回ごとに処罰されます(同条第2項)。

情状が重大な広告違反になると、話は罰鍰にとどまりません。主管機関は販売・供給・陳列の禁止を命じ、違反者は処分書の送達から30日以内に、元の広告と同じ紙面や時間帯で訂正広告を一定回数出さなければなりません。その内容には、謝罪と誤りを正す情報を載せます(同条第3項)。販売を続けたり訂正広告を出さなかったりすれば、さらに12万〜60万台湾ドルの罰鍰です(同条第4項)。

表示の欄にも名前が要ります。食品の容器や外包装には、第22条により、品名、内容物、正味量、添加物、製造業者または国内の責任業者の名称・電話番号・住所、原産地、有効期限、栄養表示などを中国語と通用記号で示します。製造業者として日本の会社を書くのか、台湾の責任業者を書くのか。国内の責任業者の名称だけを書く場合は、製造業者、受託製造業者または輸入業者の名称・電話番号・住所を所轄の主管機関に通報することになっています(同条第4項)。サプリメントの広告は健康食品の広告規制のコラム、輸入時の検査は試食サンプルと輸入検査の記事で扱っています。

契約で分けておく役割

配信で口にした条件は、売主にとって約束になります。消費者保護法第22条は、企業經營者に広告内容の真実性を確保させ、消費者に負う義務は広告の内容を下回ってはならないとし、契約が成立した後は広告の内容を確実に履行するよう求めています。「送料込み」「おまけ付き」といったひと言も、この広告の内容に含まれえます。

連帯責任は、購入者から見た話です。知名の公人などでない薦證者についての「報酬の10倍まで」も、購入者に対して広告主と連帯して負う範囲の上限を定めたものです。広告主と薦證者のどちらが最終的にいくら負担するのかは、民法第280条により、法律や契約に別の定めがなければ平均して分担し、一人だけに責任のある事由で生じた損害はその人が負います。

日本の会社とインフルエンサーの間では、売主と輸入者の名義、紹介文を書く人と確認する人、返品や苦情の窓口を決めておくことが多いでしょう。ただ、それは役割の取り決めです。役割を決めた合意がそのまま賠償の分担割合になる、という定めは第280条にありません。内部の負担まで契約で決めるなら、役割とは別に、負担の割合や求償の条件として書くことになります。

台湾での相談の窓口

昊鼎國際法律事務所では、曾雋崴弁護士が、日本企業と台湾のインフルエンサーや販売パートナーとの契約、台湾向けの広告表現、ECの販売条件についての相談を担当しています。連絡先はwei@hoveringlaw.com.twです。配信の告知文や台本、商品の表示案、インフルエンサーとの合意内容をお送りいただければ、台湾の購入者から誰が売主に見えるかを含めて、条文に照らして確かめます。商品が那覇の倉庫を出る前なら、中国語の表示も紹介の台本も、まだ書き直せます。

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架空の情景

参照した資料

  • 沖縄ニュースQAB(Yahoo!ニュース配信)、「県内企業の輸出課題を解決へ インフルエンサー招き実演販売 沖縄」、2026年10月26日20時02分配信:記事。
  • 法務部・全國法規資料庫、公平交易法、2026年10月27日現行条文確認:第2条、第21条、第42条。
  • 同資料庫、食品安全衛生管理法、2026年10月27日現行条文確認:第22条、第28条、第45条。
  • 同資料庫、消費者保護法、2026年10月27日現行条文確認:第2条、第19条、第22条。
  • 同資料庫、通訊交易解除權合理例外情事適用準則、2026年10月27日現行条文確認:第2条。
  • 同資料庫、民法、2026年10月27日現行条文確認:第280条。

確認日:2026年10月27日

よくある質問

台湾のインフルエンサーが紹介した内容に誤りがあった場合、インフルエンサーも責任を負いますか?
台湾の公平交易法第21条は、広告の中で商品への意見や使った体験を示す広告主以外の人を廣告薦證者とし、誤解を招くおそれを知りながら、または知ることができたのに薦證をした場合、広告主と連帯して損害賠償責任を負うと定めています。知名の公人や専門家、専門機関でない薦證者の責任は、広告主から受けた報酬の10倍までです。主管機関の罰鍰(第42条)は、第21条に違反した事業が対象です。
ライブ配信で予約を受けた商品も、7日以内の解約の対象になりますか?
インターネットなどを通じて、消費者が商品を確かめないまま企業經營者と結ぶ契約は、消費者保護法の通訊交易に当たります。消費者は商品を受け取ってから7日以内に、商品を返すか書面で通知して解約でき、理由の説明も、費用や対価の負担も要りません。受け取りの時点で解約の期間と方法が示されていなければ、7日はそれが示された翌日から数えます。ただし本来の起算から4か月が過ぎると、解約権は消滅します。腐りやすい食品、保存期限の短い商品、解約時に期限が迫る商品など行政院の準則が定める例外は、企業經營者がそのことを消費者に告知した場合に限って適用されます。
食品の効き目をうたう紹介をすると、台湾ではどのような罰則がありますか?
食品安全衛生管理法第28条は、食品の表示・宣伝・広告で不実、誇張、誤解を招きやすい内容を禁じ、食品で医療効能をうたうことも禁じています。第45条の罰鍰は、前者が4万〜400万台湾ドル、後者が60万〜500万台湾ドルです。罰鍰の額だけで終わるとは限らず、再び違反すれば廃業や停業、登録の廃止を命じられることがあり、情状が重大な広告違反では販売の禁止と訂正広告の掲載も求められます。どの表現がこれに当たるかは、中央主管機関が定める認定基準で判断されます。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

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