台湾で訴訟を起こす前に証拠を保全する申立て
← コラム一覧へ台湾法律情報

台湾で訴訟を起こす前に証拠を保全する申立て

約4分

証拠保全の申立先は、訴えを起こす前と後で変わります。台湾の民事訴訟法369条では、提訴前は尋問を受ける人の住所・居所地、または証拠物の所在地の地方法院に申し立てます。日本本社で訴状の準備を進める間にも、台湾にある資料の保存場所や状態を確認しておく理由はここにあります。

どの要件に基づく保全か

368条は、証拠が失われたり使用しにくくなったりするおそれがある場合、または相手方が同意した場合に、裁判所へ保全を申し立てることを認めています。事物の現状を確定する法律上の利益があり、必要性もあるときは、鑑定・検証または書証の保全を求める経路もあります。根拠は一つではありません。

何を今の状態で残すのでしょうか。ログの上書きが問題なら、保存設定や削除予定を示す資料が申立ての理由を具体化します。現状の確定を求めるなら、その状態と権利関係とのつながりを説明します。こうした資料を添えれば許可されるという保証はなく、裁判所が要件と範囲を判断します。

所在地を調べてから申立先を決める

提訴後は、原則として事件を扱う受訴裁判所に申し立てます。急迫の事情があれば、提訴前の申立先として369条が定める地方法院にも申し立てられます。日本本社の住所だけでは台湾の申立先は決まりません。

原本はどこにあるでしょうか。保管部署、書類の所在地、尋問を受ける人の滞在先を整理すると、管轄を検討するための情報がそろいます。海外サーバーと台湾の端末に資料が分かれる場合には、対象をさらに特定します。台湾の証拠保全規定だけで海外資料への執行可能性まで結論づけることはできません。

証拠名と立証事項を結び付ける

370条が求める記載は、相手方、保全する証拠、その証拠で証明する事実、保全の理由であり、相手方を特定できなければその理由も示します。さらに疎明が必要です。対象は、相手方を特定できない理由と保全の理由です。

資料名だけで終わらせず、取引番号や期間、保管者と、証明したい事実との対応を整理する方法があります。たとえば検収日の機器の状態と代金の支払状況では、立証の対象が異なります。探す証拠も変わります。

裁判所が決定します。371条によれば、許可する決定には対象証拠と立証事項を示さなければなりません。申立書に並べた資料がすべて自動的に確保されるとはいえません。却下決定には抗告できますが、許可決定には不服を申し立てられないという区別もあります。

相手方への通知と記録の行き先

証拠調べの期日は申立人に通知されます。373条は、急迫の場合や保全に支障を来す事情がある場合を除き、相手方にも期日前に申立書または調書と決定を送達して通知するよう定めています。申立人の希望だけで無通知になるわけではありません。

相手方が不明、または期日の通知が間に合わないときは、その人の証拠調べに関する権利を守るため、裁判所が特別代理人を選任できます(374条)。調書は保全を命じた裁判所が保管し、訴訟が別の裁判所に係属していれば、そちらへ送付します(375条)。

社内で資料一覧を作る際は、原本の保管者と場所、変更や消失の予定を資料名に添えておけます。保全してほしい証拠と、今その手続を求める理由を結び付けるための記録になります。

参照した公式資料

確認日:2026年10月14日。台湾の民事手続における証拠保全を対象としています。

よくある質問

台湾で提訴する前にも証拠保全を申し立てられますか。
民事訴訟法369条は提訴前の申立てを認めています。尋問を受ける人の住所・居所地、または証拠物の所在地の地方法院に申し立てます。提訴後は受訴裁判所が原則ですが、急迫の場合は同じ地方法院にも申し立てられます。
証拠がなくなる危険は必須ですか。
368条は、証拠の滅失・使用困難のおそれ、または相手方の同意を根拠とする保全を定めています。事物の現状を確定する法律上の利益と必要性がある場合に、鑑定・検証・書証の保全を求める経路もあります。
相手方に知らせず進められますか。
373条は申立人への証拠調べ期日の通知を定め、急迫または保全に支障を来す事情がない限り、相手方にも期日前に申立書または調書と決定を送達して通知するよう求めています。無通知の手続が当然に選べるわけではありません。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。