ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。
公視の2026年10月13日の報道によると、台湾の外交部向け調達で、中国のソースコードを使ったソフトウェアを台湾独自の開発品と説明し、その旨の誓約書を出して入札した疑いが捜査されています。報道は関係者4人が事情聴取を受けたと伝えていますが、有罪が確定したという内容ではありません。
フォーカス台湾の同日報道では、外交部は異常な接続を確認しておらず、当該ソフトウェアで機密情報は扱っていないと説明しています。原産地に関する説明の問題と、実際に情報が流出したかどうかは、同じ事実として扱えません。
日本の販売元と台湾の入札業者が説明する範囲
日本のIT企業が台湾の販売会社へ製品を供給する場合、「日本企業の製品」という説明だけでは、入札書類の要求を満たすかは分かりません。開発主体、使われているプログラム、入札で求められる誓約の範囲は、別々に確かめる必要があります。台湾でプログラムの画面(インターフェース)を変更したことと、ソフトウェア全体を台湾で開発したことも同じではありません。
中国に由来するコードがあれば直ちにすべての公共調達から排除される、と引用した報道が述べているわけではありません。ただし、2025年12月1日に施行された資通安全管理法第11条第1項は、公務機関が主管機関の認定した「危害國家資通安全產品」をダウンロード・インストール・使用することを禁じています。業務上の必要があり、ほかに代替手段がない場合は、所定の承認を経て個別に使用できますが、台帳で管理しなければなりません。
数位発展部資通安全署の案内では、大陸(香港・マカオを含む)の法律に基づき設立・登記された事業者を出所とするソフトウェア・ハードウェア・サービスも対象に含まれ、原則として最終製品で判断するとされています。ただし、多国籍企業が現地法上の要請で設立した子会社で、実質的な支配者が大陸・香港・マカオ以外にあることが明らかな場合には、個別に対象から除外される余地があります。
そのうえで、個別の入札条件と提出書類が何を表明しているかが問題になります。製品説明の翻訳や販売会社名への変更によって、供給元の説明より広い保証が書類に入っていれば、その部分の裏付けも必要になります。
契約後に分かった不実の書類
台湾の政府採購法第50条第1項第4号は、不実の書類で入札したことを開札前に発見した場合、その入札を開札しないよう求めています。開札後に発見した場合は、その業者を落札者にできません。
この規定が直接対象とするのは入札業者です。日本の開発会社が製品を供給したというだけで、台湾の入札業者と同じ法的立場になるわけではありません。日本側が自ら入札したのか、供給元として保証書を出したのかによって、確認する書面や責任の根拠も変わります。
落札や契約の後に、落札前からこの事由があったと判明すれば、第2項により、落札取消し、契約の終了または解除が必要となり、損失の賠償を請求することもできます。ただし、これらの措置がかえって公益に反し、上級機関が承認した場合は例外です。「すでに納品した」という事情だけで問題が消える規定ではありません。
さらに、同法第101条第1項第4号は、不実の書類による入札・契約締結・履行について、情状が重大な場合に政府採購公報(政府調達公報)への掲載に向けた通知を行うと定めています。この重大性の要件を省いて、書類の誤りをすべて同じ処分につなげることはできません。
同条は、通知の前に業者へ口頭または書面で意見を述べる機会を与え、調達作業・審査小組を設置して、同条第1項の各事由に該当するかを認定することも求めています。重大性の判断では、機関が受けた損害、業者に責任を帰せる程度、実際の是正や賠償措置などが考慮されます。
日本の供給元と台湾の販売会社の間で残した仕様書、開発元の説明、提出済みの誓約書を対照すれば、誰がどの情報を基に何を説明したかをたどれます。調達先への表明と、供給元が引き受けた保証の範囲に違いがある場合、その差は契約上の責任を検討する際にも残ります。
架空の情景
参照資料
- 公視、2026年10月13日:入札時の説明・誓約書を巡る疑いと、捜査の状況。
- フォーカス台湾、2026年10月13日:事情聴取と、接続状況・機密情報に関する外交部の説明。
- 台湾法務部・全國法規資料庫:政府採購法第50条・第101条。
- 同・資通安全管理法第11条(2025年12月1日施行)、数位発展部 資安法FAQ 9.3。
ニュース・法令確認日:2026年10月15日。台湾の公共調達に関する一般情報です。個別業者の違法性や責任を判断するものではなく、適用には入札条件、提出書類、履行の経緯の確認が必要です。
よくある質問
- 今回の報道は、業者の違法行為が確定したという意味ですか?
- 確定したという意味ではありません。引用した2026年10月13日の報道は、関係者への事情聴取と捜査上の疑いを伝えています。判決による有罪認定として扱うことはできません。
- 虚偽の入札書類が見つかっても、契約後なら問題になりませんか?
- 契約後にも問題になります。政府採購法第50条第2項は、落札前から存在した同条第1項の事由が落札や契約の後に判明した場合、落札取消しや契約の終了・解除を求め、損失の賠償請求も認めています。これらの措置がかえって公益に反し、上級機関の承認を受けた場合には例外があります。
- 不実の書類が一つあれば、直ちに政府採購公報へ掲載されますか?
- 第101条第1項第4号は、不実の書類による入札・契約締結・履行について、情状が重大であることを要件としています。通知前に業者へ口頭または書面による意見陳述の機会を与え、調達作業・審査小組を設置して、同項の各事由に該当するかを認定する必要もあります。疑いが報じられただけで直ちに掲載が決まるわけではありません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



