ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。
半分残った豚肉入りのおにぎりを携え、2025年11月に廈門から金門へ入境した男性が、20万台湾元の過料を科されました。中央社の2026年10月14日の報道は、その男性について、収入や家計の事情を考慮した月5,500台湾元の分納が認められたと伝えています。
日本からの旅行や台湾への帰任でも、携帯している食品が検疫対象品なら、旅客には入境時に検疫を申請する義務があります。これは商品として輸入する場合だけの手続ではありません。ただし、この報道の金額が、日本から持ち込むすべての肉製品に一律に適用されるわけではありません。
食べかけでも、検疫対象かどうかは別です
台湾の動物傳染病防治條例第34条第2項は、検疫対象品を携帯する旅客に、入境時の検疫申請を義務づけています。この項は販売目的の輸入だけを対象とする規定ではなく、「自分で食べるため」「少量だから」という理由による免除も置いていません。
申請をしなかった旅客には、同条例第45条の1により、1万台湾元以上100万台湾元以下の過料が定められています。これは法定の範囲であり、すべての事案で最低額や最高額になるという意味ではありません。
日本台湾交流協会の案内も、日本から台湾への肉製品や卵・卵製品の持込みは厳しく制限されていると説明しています。空港到着時に検疫対象か判断に迷う場合には、税関等へ申告し、職員の指示を受けるよう案内しています。食品の包装が日本語であることや、日本の店で買ったことだけでは、台湾での扱いは判断できません。
第34条が定めているのは検疫を申請する義務であり、申告すればその食品を必ず持ち込める、という規定ではありません。持込可否と申告義務は、別々に考える必要があります。
日本から直接向かう旅程も、第三国・地域で食品を買ってから台湾へ入る旅程も、廈門から金門へ入った今回の事案とは事実関係が異なります。食材や製品の原産地、購入先、入境までの経路を区別すれば、「豚肉入り食品」という言葉だけでは分からない条件を検疫担当者へ伝えられます。
「忘れていた」と過失の判断
報道では、男性は入境前に食べ切れず、残りがポケットに入っていたことを忘れたと説明しています。この本人の説明と、法律上の責任の判断は同じではありません。
行政罰法第7条第1項は、故意も過失もない行為には行政罰を科さないと定めています。反対に、故意がなかったとしても、過失があれば処罰の対象になり得ます。「忘れた」という一言だけで免責されるとも、必ず過失があるとも決まりません。
また、同法第8条は、法令を知らなかったことによる当然の免責を認めず、事情に応じて処罰を軽減・免除できるとしています。食品が入っていると知らなかった場合と、持込みの規制を知らなかった場合とでは、検討する事情が異なります。
今回の分納は、行政執行署台中分署が男性の生活状況を調べたうえで認めたものです。過料が取り消されたわけではなく、支払義務は残ります。処分の根拠や金額を争うことと、支払方法を相談することは、別の問題です。手元の処分書が何を違反としたのか、本人の携行状況とどう対応するのかが、個別の判断の出発点になります。
架空の情景
参照資料
- 中央社、2026年10月14日:2025年11月の持込みと、過料の分納を認めた経緯。
- 日本台湾交流協会「食品」:日本から台湾への食品持込みと、判断に迷う場合の申告案内。
- 台湾法務部・全國法規資料庫:動物傳染病防治條例第34条・第45条の1、行政罰法第7条・第8条。
ニュース・法令確認日:2026年10月15日。台湾入境時の検疫に関する一般情報です。個別の食品の持込可否や過料の適法性は、対象品、持込条件、申告の経緯によって異なります。
よくある質問
- 日本から肉製品を持ち込むと、必ず20万台湾元の過料になりますか?
- 一律ではありません。報道の20万台湾元は、廈門から金門へ豚肉入りのおにぎりを持ち込んだ事案の金額です。動物傳染病防治條例第45条の1が定める未申請の過料は1万台湾元以上100万台湾元以下であり、個別の食品や持込条件を無視して同じ額を当てはめることはできません。
- 入っていることを忘れていた場合も処罰されますか?
- 故意がなかっただけで免責されるわけではなく、過失の有無も問題になります。行政罰法第7条第1項は、故意も過失もない行為には行政罰を科さないと定めています。本人の説明だけで結論は決まらず、携行や申告に至る事情によって判断されます。
- 支払が難しければ、毎月5,500台湾元の分納を選べますか?
- 報道は、男性の収入や家計を踏まえて行政執行署台中分署が月5,500台湾元の分納を認めたという個別事例です。誰もが同額の分納を選べる制度や、過料の免除が認められたことを示すものではありません。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。



