商品は台湾を通らなくても課税は台湾で 国税局がAIで見つけた三国間貿易の申告漏れ
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商品は台湾を通らなくても課税は台湾で 国税局がAIで見つけた三国間貿易の申告漏れ

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ニュースをきっかけに執筆した記事です。公開日以降に状況や法令が変わっている可能性があります。

4,084万7,555台湾ドル。ある会社が営利事業所得税の確定申告から漏らしていた、三国間貿易(三角貿易)の外販収入です。財政部高雄国税局が2026年10月21日の発表で明らかにしました。

発表によると、国税局は「AI稅務應用系統」を使って甲社の2024年度(民国113年度)の申告を調べ、この漏れを見つけました。関連する原価を差し引いた申告漏れの課税所得は、368万2,464台湾ドルと核定(決定)されています。国税局は税額73万6,492台湾ドルを追徴し、さらに所得税法第110条第1項により44万1,895台湾ドルの罰鍰(行政上の金銭罰)を科しました。中央通信社(CNA)も同じ日にこの内容を伝えています。

たとえば、中国や東南アジアの工場から日本や第三国の顧客へ商品を直接送らせ、発注と代金の受け払いは台湾の現地法人が担う。台湾に拠点を置く日系企業がこうした流れで取引しているなら、問われるのはその売上を台湾の帳簿にどう載せるかです。

台湾を通らない商品の売上が、台湾の所得になる理由

出発点は総機構の所在地です。所得税法第3条第2項は、総機構が台湾にある営利事業に対し、台湾の内外を問わず全部の営利事業所得を合わせて営利事業所得税を課すと定めています。台湾で設立した子会社なら、これに当たります。総機構が台湾の外にあって台湾源泉の所得がある場合は、台湾国内の営利事業所得だけが対象です(同条第3項)。

高雄国税局は、商品の起運地が台湾かどうかを問わない、と明言しました。商品が台湾の港を一度も通らなくても、台湾に総機構を置く会社が自社の名義で売ったのなら、その所得は台湾の申告に入ります。

二重課税の調整も同じ条文にあります。台湾外で生じた所得について所得の源泉国で所得税を納めていれば、その国の税務機関が発行した同じ年度の納税証明を出し、現地の中華民国の在外公館などの認証を受けたうえで、台湾の税額から差し引くことができます。差し引けるのは、国外所得を加えたことで増えた台湾の税額までです(同項ただし書)。

「進銷貨」で記帳するとは

発表文は、取引の形をかなり具体的に書いています。国外の顧客から注文を受け、自社の名義で第三国の供給業者から商品を買います。商品は税関の通関手続を経ず、供給業者から顧客へ直接運ばれます。そのうえで、商品の瑕疵担保責任は自社が負います。この場合は「進銷貨」、つまり仕入と売上を両方立てる形で記帳すべきだ、というのが国税局の説明です。売上は顧客から受け取る代金の全額で、供給業者への支払いは仕入原価になります。

甲社がどう記帳していたのかは、発表からは分かりません。瑕疵担保責任を負わない形の取引をどう扱うかについても、この発表は何も述べていません。自社の取引がどちらに近いのかは、契約書の条項から読むことになります。

仕入側の証憑にも目を向けておきたいところです。営利事業所得税査核準則第45条第1款第1目は、国外からの仕入れの原始証憑として、国外業者の発票(インボイス)、通関関係の書類その他の関連証明書類、外貨決済の書類または銀行送金の証明などを挙げています。台湾の税関を通らない取引には、このうち通関書類がありません。そのぶん、契約書や発注書、供給業者のインボイス、送金記録が取引の中身を示す材料になります。

では、台湾の税関を通っていない取引が、なぜ見つかったのでしょうか。発表は、国税局が課税資料を積極的に集め、AIのシステムで調査対象を精度よく選んでいると述べるだけです。何が手がかりになったのかは明かしていません。そのうえで「切勿認為在境外交易,稽徵機關不易掌握課稅資料」、つまり境外の取引なら税務当局は課税資料をつかみにくい、とは決して考えないようにと、営利事業に念を押しています。

罰鍰の上限は漏れた税額の2倍

申告はしていたが漏れや過少申告があった、という場合が所得税法第110条第1項です。罰鍰は漏れた税額の2倍以下とされています。申告そのものをしておらず、調査で課税所得が見つかった場合は、追徴税額の3倍以下になります(同条第2項)。

数字に当てはめてみます。営利事業所得税の税率は、課税所得が12万台湾ドルを超える場合、原則として20%です(同法第5条第5項第2号)。追徴税額73万6,492台湾ドルは、核定された所得368万2,464台湾ドルの20%にあたります。罰鍰の44万1,895台湾ドルは、2倍という上限の枠の中で決められた額です。

調査が始まる前の自主申告

もし自社でも同じような漏れに気づいたら、どうなるのでしょうか。税捐稽徴法第48条の1第1項は、告発されておらず、稽徴機関や財政部が指定した調査担当者の調査もまだ始まっていない案件で、納税義務者が自ら補正申告して漏れた税額を納めた場合、各税法の逃脱税に関する処罰などを免除すると定めています。刑事責任が問題になる場合も、刑を免除できるとされています。

免除されるのは罰です。利息は付きます。本来の納付期限の翌日から納めた日まで、毎年1月1日の郵便貯金1年定期の固定金利で日割り計算した利息が加わります(同条第3項)。

条文の要件は「調査がまだ始まっていないこと」です。国税局から書面で問い合わせが届いた後では、同じ扱いを受けられるとは限りません。

国税局はどこまでさかのぼれるか

過去の年度にも同じ取引があったら、どうなるのでしょうか。国税局が税額を決め直せる期間を、台湾では核課期間と呼びます。期限内に申告していて、詐欺その他の不正な方法で故意に税を逃れていなければ5年、期限内に申告していないか、故意に不正な方法で逃れていれば7年です(税捐稽徴法第21条第1項第1号・第3号)。期限内に申告していれば、5年でも7年でも、期間は申告日から数えます(第22条第1号)。期限内に申告していなければ、申告期間が終わった翌日からです(同条第2号)。

この期間内に見つかった税は、追徴され、処罰の対象にもなります。期間内に見つからなければ、その後に追徴や処罰を受けることはありません(第21条第2項)。三国間貿易を長く続けてきた会社ほど、見直す年度の幅が広がります。

追徴を受けた後の30日

核定に納得できない場合の最初の手続は、同じ国税局への復査の申請です。追徴税額が記載された核定税額通知書を受け取った場合、繳款書(納付書)の送達後、納付期間が満了した翌日から30日以内に申請します(税捐稽徴法第35条第1項第1号)。復査の後の訴願・行政訴訟、強制執行との関係は、台湾の税務調査と不服申立ての期限:復査・訴願・訴訟で取り上げました。

申告漏れが見つかったのは、甲社の2024年度の申告でした。同じ形の取引が翌年度以降も続いていれば、帳簿の扱いはその年度ごとに問われることになります。

昊鼎国際法律事務所へのご相談

昊鼎国際法律事務所では、曾雋崴弁護士が、台湾に現地法人を置く日本企業から、国税局の調査への対応、追徴税額や罰鍰に対する復査、調査前の自主的な補正申告の検討についてのご相談を承っています。受注から出荷、入金までの取引の流れと、該当年度の申告書・帳簿の写しをwei@hoveringlaw.com.twにお送りいただければ、記帳と申告のどこに論点がありそうかを確かめるところから始めます。

  • Taipei 103 臺北市大同區承德路一段35號7樓之2
  • Taichung 40453 臺中市北區館前路19號6樓之1

参照した資料

確認日:2026年10月22日

よくある質問

商品が一度も台湾に入らない三国間貿易でも、台湾の現地法人の所得になりますか。
総機構(本店)が台湾にある営利事業は、台湾の内外を問わず全部の営利事業所得を合わせて営利事業所得税を納めます(所得税法第3条第2項)。財政部高雄国税局は2026年10月21日の発表で、商品の起運地が台湾かどうかにかかわらず、この規定が適用されると説明しました。外国で納めた所得税は、所定の納税証明と認証を条件に、上限の範囲で台湾の税額から差し引けます(同項ただし書)。
申告漏れを指摘されると、罰鍰はどのくらいになりますか。
確定申告をしたうえで課税所得の漏れや過少申告があった場合、所得税法第110条第1項により、漏れた税額の2倍以下の罰鍰が科されます。申告そのものをしていなかった場合は、追徴税額の3倍以下です(同条第2項)。高雄国税局が公表した例では、追徴税額73万6,492台湾ドルに対し、罰鍰は44万1,895台湾ドルでした。
国税局の調査が始まる前に、自社で申告漏れに気づいた場合はどうなりますか。
告発されておらず、稽徴機関や財政部が指定した調査担当者の調査もまだ始まっていない案件で、自ら補正申告して漏れた税額を納めれば、税捐稽徴法第48条の1により各税法の逃脱税に関する処罰などが免除されます。刑事責任が問題になる場合も、刑を免除できるとされています。ただし、本来の納付期限の翌日から納付日までの利息が日割りで加算されます(同条第3項)。

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案についての法的助言ではありません。

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